3/7PWCけじめマッチ観戦記
■団体:PWC
■日時:2003年3月7日
■会場:駒沢屋内球技場
■書き手:ダイス(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)


そぼ降る雨の中、駒沢屋内球技場へ向かう。伝説の団体PWCの旗揚げ前けじめマッチ。
PWC残党軍に対して、PWCとは関わりの無かった維新力浩司が、自らをエースとして認めさせるためのけじめマッチがPWCの熱心なサポーターの前でおこなわれる。これは、維新力を象徴とする新生PWCを選ぶか、それとも高野拳磁に殴られてプロレスを覚えてきた、PWCの残党たちを選ぶかという、サポーターに対してのケジメマッチでもある。

19時ちょうどにそれまで流れていたBGMが止まり、入場テーマなしで維新力がリングに上がった。しかし、残党軍はなかなかやってこない。スタッフが、相手側控え室に様子をうかがいに行ったが、そこには誰もいなかったと報告した。
リング上の維新力は「やつらは俺から逃げた、俺の不戦勝だ」とアピールする。

だが、「何がリングに上がれだ。お前がこっちに来いよ!」と声がかかった。なんと客席最上段に飛田、足立、吉田、前田、高橋によるPWC残党軍団が揃っていた。5対1、圧倒的に不利なことはわかりきっている。だが、エースとしてのプライドが維新力を走らせた。リングを降りた維新力は、客席を一気に駆け上がり、残党たちに襲い掛かる。しかし、どれだけ勢いがあっても、5対1というこの状況では、やはり試合にならない。維新力はただ袋叩きにされるのみ。

観客から「卑怯だぞ!」「場外でしかできないのか!」「リングでやれ!」といった罵声を浴びせられた残党軍は、維新力をリングに引きずり上げる。維新力は最後の力をふりしぼり、チョップや張り手で逆襲する。だが、やはり多勢に無勢。これはもはや試合と呼べるものではない。単なるリンチだ。セコンドの森谷代表が「力さん、がんばれ!」と声を振り絞る。しかし、うつぶせに倒れて起き上がれない維新力の姿を見て、無念の表情でタオルを投げ込んだ。

7分41秒、TKO。それが今日の結果だった。維新力はPWCエースとしての力を残党軍に見せ付けることができなかった。倒れて動かない維新力に、飛田がビッグファイヤーで追い討ちをかけると、勝どきをあげて引き上げていく。呆然とその場に立ち尽くすスタッフ達と、行き場を失った思いを抱えて、立ち上がることもできないPWCサポーター達。この苦い思いを永遠に抱えていなければならないのかと、誰もがうなだれていた空間に「力さん!」と声が響いた。

戸井だ。「ノーギャラじゃちょっと……」とこの日の出場を断った戸井マサルがリングに倒れ伏した維新力を助け起こす。すると「力さん、遅れてすいません」と叫んで、客席から疾風のようにリングに駆け込んだ者がもう一人。菊澤光信だ。さらに客席の反対側から「地元のお祭りにゲストで呼ばれているんで」と言って、この日の来場はできないと言っていた黒田哲弘が「いやな予感がしたんで、お祭りを抜けてきました」と言いながら表れ、維新力を介抱する。

維新力はそれでも立ち上がれなかった。救急車が呼ばれ、戸井、菊澤、黒田が維新力の寝ている担架を担ぎ込む。走り去る救急車に向けて、自然発生した「PWC」コールが送られる。
残された新生PWC正規軍の3人は「プロレスは金じゃないんだ、31日の北沢タウンホールでやつらを潰す」と宣言して、固く手を握り合った。

新生PWCの前途は多難である。だけど、選手、スタッフ、そしてサポーター達の熱い声援がある限り、PWCは何度でも甦るだろう。だがPWCの残党たちも、PWCに対する譲れない思いがある。それは維新力の持っているものよりも重たいのかもしれない。そんな両軍の心がぶつかり合う3/31北沢タウンホール大会は、見る者の魂を揺さぶる試合になるはずだ。



駒沢はこれで3度目だが、公園に入ってから必ず迷子になる。今日は特別派手に迷った。なんかの呪いだろうか。駒澤大学駅から駒沢公園まで10分程度で着くのに、なぜ公園に入ってから倍以上の時間がかかるんだろう。

とにかく入場。ポロシャツは3000円という話だったが、2000円というリーズナブルな価格。赤、白、黒と3色あったが、LLが残っているのが白のみということで、選択の余地無し。他のサイズは山積みだってのに、インディオタはデブばっかりか。
会場に足を踏み入れると、噂どおりのプエルトリコスタイルで、アリーナに椅子は無い。つーか、椅子代ケチっただけなんだろうけどさ。そのかわりスタンドのギリギリにリングを設置。最前列から手を伸ばせばロープに触れそうなぐらい。
観客数を数えようかと思ったけど、どれが客で、どれがプレスで、どれが関係者なのか判断がつかないんでやめた。週プロ愛モードによると48人という話だが、うーん、開始5分前ぐらいに数えたときは40人いなかったような気もするが、多分実数だろう。

19時ちょうどにBGMが止まって、維新力入場。しかし残党軍がなかなかやって来ない。リング中央に椅子を置き、どっしり座って待つ維新力。「来ないじゃねえか、どうしよう」と苦笑する維新力に、「佐野とやれ!」と野次が飛ぶ。
そこへ、残党軍がスタンドのてっぺんに来たー。しかも全員私服。「なんだよ、お前一人だけ裸で、やる気まんまんじゃねえか」の挑発に、維新力がスタンドを駆け上がる。しかし、多勢に無勢でぼこられる維新力。しかし、観客の興味はそんなところにはない。場外乱闘の現場は、なぜか外への扉付近なのだ。「この扉は開くのか?」観客の興味はその一点に集中していると言っても過言では……まあ、過言か。少なくとも俺はそう思っていたが、残念ながらこの扉は固く閉ざされたままであった。しょうがないので、乱闘というか、リンチ現場を「力さん!」とか心にも無いことを叫びながら見る。なんとなく、そうしなきゃいけないような気がしたもんで。やっぱりどう考えても、残党軍の方がPWCだもんなあ。だって維新力はSWS→NOW→WARだもん。おまけに、リングシューズにはSWSマークがついてるし。飛田の「恐竜のマークまで入れやがって!」というアピールに拍手喝采。しかし、場内を支配する微妙な空気にはあらがえず、維新力を応援してしまう弱い俺。つーか、誰一人として残党軍へのコールが起こらないっつーのもなあ。「支配されるのが、こんなにラクだなんて」とか、『昴』チックなことまで考えてしまう。たしかに興行は客が作るものではあるのだが、その作った興行を誰に見せるつもりだ。

せっかく組んだことだし、もったいないという心理も働いたのか、6人はリングへ。
相撲張り手で、維新力が一瞬優位に立つ場面もあったが、しょせん多勢に無勢。飛田が「おら、超満員のお客さんにやらっれっぷりを見てもらえよ」とアピールし、場内の笑いを誘うが「リバーサイドプロレスやったときは、客が2人だったから、こんだけはいってりゃ超満員なんだよ!」と、受け狙いではなく、ガチマイクであることをさらにアピール。でも、客数2人のわりには、ぐぐってみたら29件ヒットしたんですが、なぜでしょう。

まあ、既報通り森谷さんからタオルが投入されたわけだが、残党軍の怒りは客席にも飛び火し「お前らの中で、北沢タウンに来てたヤツが、どんだけいるんだ。こんなもんがPWCか!」いやいや、ごもっとも。
そして、飛田の怒りはとどまるところを知らず、メキシコ修行で、ルチャを習わずに大道芸人から教わったビッグファイヤーを噴射。この体育館は空調ないから暖かくてよかったっす。
「維新力、こんなもんじゃないからな。家ごと燃やす。『どりんくばー』も燃やしてやるからな」と宣言し、帰っていく残党軍。試合時間は既報通り7分41秒。試合前と試合後にもろもろあったとは言え、30分と経っていない。さすがに「これに2000円払っちゃった俺って……」と後悔していると「力さん!」という絶叫が。おお、戸井だ!つーか、私服姿で出てきた戸井を見て、一目で戸井ってわかるな。戸井コールするな。どういう客層だ。でも、きっとこいつら新日の若手とかは区別つかないんだぜ。断言。いや、自分がそうだってだけなんだけどさ。あと、戸井さん、俺のすぐ横を通って行ったんだけど、なんか妙に甘いにおいが。飲んでる?さらに菊澤と黒田も登場。しかし、後藤さんは来ない。後藤さん、ガチで金に汚いのか?
とはいえ、4対5でもう1試合かと思って、盛り上がる客。しかし隣席の女の子が「みんな思いっきり私服だし、黒田Gパンのポケットに財布まで入ってるから、やる気全然ないね」と冷静に突っ込む。「旗揚げ戦はがんばるぞ!」みたいな決意表明をしたところに、高野拳磁のテーマ『ターザンボーイ』が流れて客出し。みんな一様に半笑いの表情を貼り付けて出て行く。

いっしょに見てた友人(プロレス以外で知り合った人。かつ、ここで会おうと約束していたわけではない)と、この後どうしようかとか言いながら外に出ると、救急車が体育館に向けてやってきた。そういや、伊藤こーへーが救急車を手配するとかなんとか言ってたなあと思っていたら、本当に会場に横付けされた。ええ、それって大仁田が使いすぎて、禁じ手にされたんじゃなかったのか?
しかし、客が全員救急車のまわりに集まり、半笑いを浮かべてデジカメを取り出したりしている。試合を見逃したらしい女性に「一体、どんな試合だったんですか」と聞かれて、表バージョンなことを語ったのだが、こんだけ上滑りする言葉を平然と並べる自分の口先に関心したりもした。
そうこうしているうちに、戸井、菊澤、黒田、森谷さん、佐野らに運ばれた維新力が救急車に担ぎこまれた。隣でデジカメを構えた兄ちゃんが「寒いんだから、早く出発しろよ。救急車が動くところの絵が欲しいんだよ」とか言い出したが「俺も日記ネタのためにここにいるんだしな」と思い、お互いに共犯者を見る目でアイコンタクト。さらにPWCコールまで発生。「こいつら最低だ」とつぶやき、隣の兄ちゃんと苦笑いを交し合う。無論「こいつら」の中には俺も入っているわけだが。

SAMURAIのカメラに向かって、残党軍への怒りと旗揚げに向けての意気込みを語る。最後に菊澤が「あいつら、31日であぼーんだ!」
そんな弱火なオチをつけてどうする。

というわけで、下北沢にも行っちゃうんでしょうねえ。誰か止めて。




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