1/14佐野直5周年記念興行観戦記
■団体:佐野直興行
■日時:2003年1月14日
■会場:北沢タウンホール
■書き手:ダイス(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)
インディと一口に言われるが、インディったって色々ある。やはり後楽園で定期的に興行が打てる団体と、それ以外の団体の間には深くて長い河が流れているのだ。この日の北沢タウンホールでは、その河に無理矢理橋をかけて、あっちとこっちが微妙に混じりあった、不思議な興行が行われた。佐野直デビュー5周年興行。ビミョーだなあ。
なんで、この興行に金を落とそうと考えたのか、自分でもよくわからない。今年はまだインディらしいインディを見ていない(WEWは01勢が目当て)ので、これは、まだ新年を迎えてないようなモノだとか、適当な理屈を考えて、自分を騙して会場に向かった。
会場ロビーでは、どっかで見たような人たちが、高木三四郎や三和社長と妙に親しげに話しこんだり、先着順で配られた和菓子を食べたり、同じく先着順で配られた風俗情報誌を読んだりしながら、なんとも言えないダウナーな空気をかもし出していた。ああ、この何の期待も高揚もない空間こそが、河向こうのインディの味だよ。

試合開始を告げるアナウンスに、緩慢な動きで会場へ移動し、佐野直5周年興行が始まった。
まずは、試合に先駆け佐野のイメージビデオが流れた。XJapanの『Rusty Nail』に乗せて「SANO MANIA」のCGが、非合法すれすれなデザインで踊る。かっこつける佐野、攻め込む佐野、やられる佐野、近所で買い物する佐野、公園で少女たちに握手を求められる佐野といった、スゴイ映像がまる1曲流れた。自分を騙すことに成功した者と、内輪には大受けだ。場内の空気が微妙に温まったところで試合開始。

第1試合
○ヘブン(8分17秒 チェックメイトから片エビ固め)奥村健人×
入場前にそれぞれから、佐野へのおめでとうメッセージが流れて、場内がどんどんゆるゆるになっていく。この二人のどっちが格上で、ゆえにどっちが勝つか試合前からわかってしまう自分が、嫌いになりそう。

第2試合
×WOLF(7分23秒 ロメロスペシャル)マスクドインベーダー○withギャングスター会場
場外乱闘中にお互いの姿を見失い、会場の客をつかまえては「WOLFか!」「インベーダーか!」と問い詰めて回るところがちょっと面白かったかな。しかし、7分23秒って、こんなに長かったのか。

第3試合
○“バイオモンスター”DNA&つぼ原人(10分15秒 ライガーボムから体固め)足立知也&マッチョマン・パワフル蜂巣×
おお、レフェリーがテッドさん。さすがにつぼ&テッドの二人がプロの仕事を見せ付けて、普通の会場程度に客席を暖める。足立の見事なケブラーダ。つぼの下半身攻撃。蜂巣のマッチョポーズ。客席の三四郎を巻き込んだ乱闘と、いかにもインディらしい会場を広く使った試合になり、盛り上がる。
つぼがロビーまで足立を連れて行って乱闘している隙に、DNAが蜂巣を仕留めたわけだが、当然俺はロビーにいたので、フィニッシュは見てません。

休憩。お祝いビデオメッセージが流れる。負死鳥カラス、バンジー高田、Aky、二瓶組長、ターザン後藤となかなかの豪華メンバー。

第4試合
○黒田哲広&吉田和則&菊澤光信(15分08秒 ラリアットから片エビ固め)維新力浩司&バイオレンスリベンジャー×&クラッシャー高橋
去年01で富豪2&黒毛vs『神風』&黒田という、レッスル夢ファクトリー対決を見たわけだが、黒田vsバイオレンスリベンジャー(つーか森谷さん)、高橋とのからみはPWC対決と言えよう。調子こいて「黒田、PWC魂見せろ!」と言ったら、近くにいた日本一濃いインディファンに「嫌がってるよ、いい思い出ないはずだから」と窘められたが。しかし、森谷さん達のセコンドについていた謎のマスクマン(つーか飛田)に場外から足をとられてすっ転んだシーンなど、野良犬コールを送っていた人たちには、涙無しには見れない情景だったろうな。
吉田の場外弾や、維新力の突っ張りに歓声があがりつつも、「This is 哲ちゃんカッター!」への唱和が少なかったのが、今日の客層を表しているというか。
それにしても、維新力のつっぱりに押される黒田なんて絵を見れただけでも、今日来た価値があったという物だ。

メインイベント
×佐野直(9分40秒 テーブルへの投げ捨てパワーボムからの片エビ固め)金村キンタロー○
「殺しちゃだめだよ!」とか「ほどほどにね!」といった声援をあびつつ、椅子を手に金村登場。カッコつけて入場してきた佐野を襲って試合開始。しかし、場内の予想を大きく裏切り、佐野が逆襲。場外に蹴落とした金村にトペを放ち、リング下からテーブルを取り出してリングに戻る。だが、あっさり逆転されると「俺がどうやって橋本に殺されたか、おしえてやるわ」とアピール。佐野の持ち出したテーブルをコーナーに立てかけ、さらにもう一つ机を取り出し、佐野をサンドイッチにして体当たり。これで終わりかと思われたが、さすがに自らの主催興行だけのことはあり、ここから意地を見せる。チョップ合戦は互角に打ち合い、爆YAMAもキックアウト。スイングDDTやサノスプラッシュも見せ、大歓声を呼び起こす。正直、もっと一方的な試合になると思ってたが、金ちゃんの懐は想像以上に深かった。いわゆる「いい試合」をここで見れるとは思わなかったなあ。

試合後、マイクを取った金ちゃんは
「いつのまにか雇う側と雇われる側が逆転してます。お前、俺のパシリにしてやるわ。くだらないけど、兄者とか言ったりして、仲間になろうや。次はそこにいる三四郎と一宮に二人で組んでやろうや。いっしょに踊ろうや、ボス」

そして場内の大きな拍手の中、『COME OUT AND PLAY』が流れる。

最後によれよれの佐野がマイクを握る。
「俺とか、第1、第2試合の選手は、取るに足りない底辺のDoインディならぬ、ドインディの選手だけど、こんな俺達でもこうやってイベントができました。お客さんは満足してないかもしれないけど。俺達は、俺達のプロレスが楽しいです。俺達の目線のプロレスを追求していきます。今日はどうもありがとうございました」

100人程度の客を集めて、赤字前提で行われるプロレスに嫌悪感を持ってる人は、相当いるのだろうなと思う。更に、これが先日のノア武道館よりチケットが高いと思うと、俺でもいろいろ考えたくなる部分はある。けど、これもプロレスなんだよな。プロレスという言葉は三沢・蝶野vs小橋・田上と同時に、ヘブンvs奥村も含んじゃうのだ。そう考えると、なんだか痛快だ。こうやって幅を広げていこう。楽しいことはどっかにある。




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