12/14 修斗 東京ベイNKホール
■団体:修斗
■日時:2002年12月14日
■会場:東京ベイNKホール
■書き手:高倉仮面
16:00
JR舞浜駅に到着。

イヤイヤ、それにしてもマジに便利だよ「りんかい線」は。

12月1日より全線開業、JR埼京線からの直通運転を開始した「りんかい線」。
新宿や渋谷から電車の乗り換えなしで、お台場や有明へのアクセスが可能になった。
これで、景色だけは良いが余計な場所に沢山アクセスする為、
有明に行くには無駄に時間のかかる「ゆりかもめ」に乗らなくても、
大井町から約10分程度で有明についてしまう。
来年からはディファ有明や有明コロシアムの興行へは、
今まで以上にマメに足を運ぶ事になるだろう。

さらに、川崎市民にとって嬉しい誤算だったのは、
この電車が東京NKホールが存在する舞浜のすぐ近くにある新木場までいく事。
あの悪名高い東京駅の京葉線ホームまでの道を走る必要は一切無くなったのだ。
その上、所要時間も今までの大井町〜東京〜舞浜が40分+αだったのに対して、
りんかい線を使った大井町〜新木場〜舞浜というルートは25分。
これなら、このルートでディズニーランドに行く人も多いだろうね。

まったく、世の中はドンドン便利になっていくねぇ。
・・・とは言ってはみたが。

一度として遅刻せずにNKホールに行った事のない、僕。
便利になった交通網をフルに使っても、
今日もNKの興行には遅刻してしまった。

全く、何がダメなんだろう?
時間の計算の仕方を根本から間違えているのだろうか?
今回は開始時間に間に合わせる自信はあったんだが・・・。

ちなみに、この時期のディズニーランドはどこもかしこもクリスマス仕様。
当たり前の話だが、周りはカップルや家族連ればかりだ。
幸せそうな人々を横目に見つつ、羨ましく思いつつ、
ミッキーのモノレールに乗り込む。

16:10
NKホール前に到着、本日は修斗の観戦。

それにしても、この修斗という組織、
一時の飛ぶ鳥を落とすような隆盛期と比べると、
現在は勢いがなくなった印象がある。

「二大エースの失速」。
プロ興行をこの二枚看板で廻していた修斗にとって、
これは大打撃だったであろう事は、
殆ど観戦歴のない僕にでも容易に推測できる。

「一本勝ち」や「秒殺」を重ね続けた修斗の大エース、その甘いルックスから女性にも大人気、
一時は「ルミナー」(ルミナの女性ファンを称した単語)なる単語まで生み出すに至った、
「修斗のカリスマ」佐藤 ルミナ選手は、去年のNK興行での五味 隆典戦で敗北。
ルミナは、この試合で五味選手の若さに押されてまくってしまった。
「カリスマの負け方」としては、あまりイメージの良くない負け方だろう。
更には、今年は公式戦は二試合して勝ち星はなし。
この結果、修斗の象徴的大会であるNK興行から、
今年初めて、ルミナの名前が消えた。

修斗では、デビュー以来ひたすら全勝街道を走り続け、
これまた、その甘いルックスから女性人気も高かった、桜井 "マッハ" 速人選手。
去年はついにアンデウソン シウバに一敗はしたものの、
今年3月、ついに念願のUFC進出を果たす。
ここまでは順風満帆だったマッハだが、UFCでの試合の直前に腰痛を患ってしまう。
マッハの運命は一気に反転、試合に敗北しただけではなく、
今年一年、全く修斗の公式戦に出場する事が出来なくなってしまったのだ。
格闘家が試合が出来なくては、その存在をアピールする事も出来ない。

今年はK-1やPRIDE、Dynamite!といった興行が世間に大きくアピールした年。
「ボブ サップ」「アントニオ ホドリコ ノゲイラ」「ヴァンダレイ シウバ」
「アーネスト ホースト」「ジェロム レ バンナ」「マーク ハント」
といった名前が世間でも大きく浸透していく裏で、
去年あたりまでは浸透していた「修斗」「ルミナ」「マッハ」といった固有名詞は、
「二大エースの失速」と共に影を薄くしていく事になった。

また、基本的に興行や選手は「鎖国体制」に近い修斗なのだが、
最近は「現役ランカー達の他団体流出」も著しい。

「今年の6月1日以降は、PANCRASEの大会に出場し寄与した日本の選手は、
 修斗の普及や発展の妨げを助長したとして、ライセンスの剥奪をする」

修斗はここまでの発表をしているのに、
修斗の現役ランカーだった竹内 出選手や和田 卓也選手が、
あっさりと修斗のライセンスを放棄してPANCRASEへ参戦している。

それだけではない。
振り返れば、今はすっかりPANCRASEに馴染んでしまったGRABAKA勢だって、
所属選手の多くが、元々は修斗で活躍していた選手なのだ。

他にも、SB、DEEP等でも修斗の現役ランカーの名前を聞く。
PANCRASEのようなライセンスの問題にはならないにせよ、
これらの興行にランカー選手が上がるのも、
修斗側としては良い話ではないはず。

では、何故、プロの修斗選手達は他団体へ流出してしまうのだろうか?

理由は簡単。

「修斗のランカーになっても、
 それだけでは食っていけない」からだ。

PANCRASEでは憎まれ口で知られる、GRABAKAの郷野 聡寛選手。
彼は、修斗のランカー時代に格闘技通信のインタビューで、
「ファミレスでメニューの値段を気にしないで注文するくらいになりたい」
と発言し話題を呼んだ。又、修斗のリング上では、
「修斗一本で生活できるようになりたいです!」
と号泣してしまい、その姿を観客の笑い者にされたりしたが、
結局はこれらの発言が修斗側に聞き入れられず、
やむなくPANCRASEに流出した、という苦い過去を持っている。

その郷野は、PANCRASEのインタビューで、

「いま生きてて楽しいですよ。それは本当に。
 やっぱりこの道一本でしっかりやって行けてますし・・・。」。

と答えている。

この発言、「PANCRASEへの『ヨイショ』」とも取れるが、
同時に「ランカーに対して生活を保証できない修斗という組織への恨み」、
とも取る事が出来るだろう。

●郷野「修斗一本で生活できるようになりたいです」発言:参考資料
http://mirai.atclub.co.jp/BoutReview/report/shooto/01/0119/11.html

●郷野インタビュー:参考資料
http://www.so-net.ne.jp/pancrase/data/pro/gono/0111itv.html

修斗での自身の扱いに不満を持っているのは、
現役の修斗チャンピオンの中にも存在する。

12/8のDEEP 7th IMPACTに参戦した、
修斗ライトヘビー級チャンピオンの須田 匡昇選手。
彼は、DEEPへの参戦理由を「修斗で試合を組んでもらえないから」と打ち明けた。
チャンピオンであっても、試合(=生活)が保証されないほど修斗は苦しいのか?

確かに須田選手は「試合がつまんない」という噂も聞いたことがあるが、
これでは、選手は何の為に強くなっていくのかわからない。
まかりなりとも「プロ」という単語を使うのであれば、
せめてチャンピオンになったら、
生活の保障を約束する必要があるのではないのだろうか?

と、まあ、
このように色々と体質の改善の余地のある修斗だが、
もちろん、悪い所だけではない。

組織としては、アマチュアにも大変に力を入れている修斗、
日本人選手の充実度は他の団体に比べると圧倒的だ。
勿論、その厚い選手層の中を勝ちあがった強豪だけが「プロ」になれる訳で、
つまり強豪である「プロ」同士が試合をすれば、試合のレベルも大変に高くなる。

このシステム、分かってはいたつもりではあったものの、
11/15の後楽園ホール興行で修斗を初観戦した時は、
その日本人選手のレベルの高さに大変に驚いたものだった。
正直、いつも観戦している他の団体と比べて、
「何で、僕は今まで修斗を観戦していなかったんだろう・・・。」と、
思わず後悔してしまう程の差だった。

そして、今日は修斗の今年一年の集大成的興行である「NK興行」。
まだまだ修斗の素人である僕にとっては、
現在の修斗を観るには絶好の機会という訳だ。

当日券を購入、6000円を払って会場入り。
う〜ん、どうもNK興行は高くついてイカン。
交通費だってバカにならないのに、
二階席でこんな金を取られるとなぁ・・・。

16:15
会場でパンフレットを買ったところ、これが2000円。
しかも、その作りは後楽園興行で1000円で買ったパンフと比べて、
型がひとまわり大きいだけ。特にカラーページが使われている訳でもなく、
試合についての見所が淡々と書かれているだけだった。

「高いよ、高すぎ。
 この内容なら1500円でも『高いなぁ』って感じるだろうな。」

ブツブツと文句を言いながら会場入り。
リング上では全選手の入場が終わろうとしていた。
遅刻はしたものの、第一試合の開始には間に合ったようだ。ヤレヤレ。

開会宣言を背中で聞きつつ自分の席を探す、発見して驚いた。
6000円で席を買った割には、二階席の最後列から三番目くらいの場所だったのだ。
改めて書くが、どうにもNKホールの興行は席代が高くてイカン。
後楽園ホールなら、これだけの金を払えば、
どの団体でもかなり良い席に座れるだろうに・・・。

会場には入退場用の花道が準備され、
花道の奥にある舞台の上には自前の電光掲示板が。
もちろん大型モニターも準備されている。
中々に金の掛かった作りだが、
思わず「この程度か?」と思ってしまうのは、
以前、この会場で「プレミアム チャレンジ」を観戦したからだろう。
あの大会は、内部の演出にはかなり力を入れていたからなぁ。
客は、全然入ってなかったけど。

「客が全然入っていない」と言えば、
今日の修斗の客入りだって、お世辞にも「良い」とは言えない。
一階席は約六割〜七割程度の入り、二階席は三割弱くらい、全体では五割弱か。
かつては隆盛を誇った修斗のNK興行とは、とても思えない程の寂しい入り。
これなら、晩年のRINGSの方がまだ客が入っていた気がする。
やはり「二大エースの失速」はこの組織に深刻な影響を与えていたのだ。
ある程度は分かってはいたつもりだったが、ここまでとはねぇ・・・。

一昨年あたりは「格闘技ブーム」の一画を担っていた修斗。
その見る影もない客の入り。やはり今は「K-1、PRIDEのブーム」なのだろう。
DEEPを観戦した時と同じような複雑な気分になりつつ観戦開始。

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第一試合 ミドル級 5分3R
○弘中 邦佳(176cm/75.9kg/日本/SSSアカデミー/9位)
●ニック ディアス(183cm/74.9kg/米国/シーザー グレイシー アカデミー)
[判定 2−1]

弘中は今年の新人王決定トーナメントのミドル級の優勝者。
「キッチリと結果を残した選手が、一年の集大成であるNK興行に参加する」、
というシステム自体は良く出来ていると思う。観ている側も選手を追いかけ易いしね。
ある日突然、思い出したかのように、ランキングの順位とは関係なく、
タイトルマッチを行う他の団体とはエライ違いだ。

1R、弘中はタックルでニックに組み付く、
ニックは逆に弘中をロープ際へ押し込み、組み付いたまま腿への膝と肩パンチで攻める。
しかし、弘中はスキをついてニックの足を引っ掛けて、ゆっくりとテイクダウンを奪う。

倒されたニックだが、すかさず下からの逆十字を仕掛けた。
弘中はこれを冷静に外してインサイドガード、
上からパンチを落とした後、一旦立ち上がる。
寝ているニック、下から弘中を蹴りあげるが、
これを食らいつつも弘中はニックに潜り込んでパスガードを狙う、これは失敗。
パスガードは失敗、弘中はインサイドガード、ニックはクロスガードで防御。

弘中は半身を起こしてパンチを打つ。
パンチは中々重そうだ、応援団からは歓声が。
だが、そのパンチをキャッチしたニックは、再び下からの逆十字。
二度に渡って仕掛けたニックだが、
弘中はこれらを凌いで立ち上がりパスガードを狙う。
しかし今回も失敗、インサイドガードから、
重そうなパンチを落とした所で1Rは終了。

2Rは、スタンドでの打撃戦から始まった。
ニックのストレートがヒット、仰け反る弘中に組み付いたが、
弘中は逆にコーナーにニックを押し込み、
鮮やかな払い腰を決めてテイクダウン。

弘中応援団の歓声の中、
上になった弘中は、ニックの喉にギロチンを食い込ませて嫌がらせ。
そしてまたまた立ち上がったが、ニックの下から蹴り上げが顔面にヒットしてしまう。
このスキに乗じて自分も立ち上がったニック、両者スタンド。

弘中は逆襲のストレートをヒットさせると、
ニックはこれに応戦してストレートを放つ、
しかし、これに合わせて弘中がカウンターのタックルで組み付きテイクダウン。
さらにはサイドポジションまで奪ってしまった。
しかし、これはニックは下からバランスを崩して立ち上がり、
またまた両者スタンド状態。

弘中はめげずに組み付き、ニックの首を取って引き込む。
フロントチョークの体制になったが、
ニックはあっさりと首を外してしまった。
これにより、この試合では始めてグラウンドで上になったニック、
しかしポジショニングでは弘中が上なのか、この体制のリバースに成功。
弘中応援団の歓声が起こるが、下になったニックは得意の逆十字で攻める。
弘中は凌いでパンチを落とすと、
これまでグラウンドでパンチを貰い続けたばニック、左目下には出血が。
ドクターチェック、OKが出て試合再開。
ニックは上になっている弘中のバランスを崩した後にタイミングよく立ち上がる。

試合は再びスタンドへ。
そして、ここから試合の流れが変わる。

ニックが繰り出したパンチのコンビネーションが、
次々に弘中にヒットする。さらにはハイキックもヒットした。

ここまで互角以上に戦ってきた弘中だが、
この時の打撃のダメージが大きく、これで一気に劣勢に立たされる。
打撃の中を掻い潜ってタックルをしても、ニックはガブッてしまった。
これを嫌った弘中が自らガードポジションを取れば、
ニックはインサイドガードから大振りで重そうなパンチを弘中に落としていく。
弘中は下からの逆十字を仕掛けるも、
これをニックに切られたところで2Rは終了。

これまでペースを握ってきた弘中だったが、
スタンドの打撃で完全に覆されてしまった。
逆転はあるのか?

3R、両者、距離を空けて打撃を繰り出すも、
またしてもニックのストレートがヒット。
弘中は組み付いてニックをロープ際やコーナー際へ追い詰めるも、
ここからテイクダウンする事が出来ない。
逆にニックの膝を食らっている。

両者離れて、打撃戦になるが、
弘中はこの間にも何度もニックに組み付いて行くも、
ニックはこれを突き放して打撃を入れていく。
ストレート、ヒザが次々にヒット、弘中は苦しそうだ。
それでもどうにか組み付いてコーナーに押し込んだが、
バックを取って突き放すニック、振り向く弘中にストレートがヒット。

劣勢の弘中、意地のフックを当てて組み付くが、
これをニックにガブられてしまう。
ところが、お構いなしに弘中が突進した為、
二人は場外へと転げ落ちる。
珍しいシーンだな。

スタンドで試合再開、ニックの打撃を再び潜ってタックル、
首を取って引き込んだ弘中だったが、この首はすっぽ抜けてしまう。
インサイドガードの体制のニックは、ボディパンチを落としつつパスガード、
サイド、マウントとポジションを移行、パンチを落とす。
嫌がる弘中が背を向ければ、
バックからののニックのスリーパーが待っていた。
弘中は大ピンチ、何とか凌いていたが、
ここで救いのゴングが鳴る。

判定、僕は弘中の逆転負けかな?
と思っていたが、判定は2−1で弘中。
う〜ん、僕はニックの勝ちだと思うんだが・・・、
あと1Rあれば、間違いなくニックが勝利していただろう。

勝利が告げられても応援団の歓声は小さめだったところを見ると、
どうやら、僕の感性は間違ってはいないようだ。


第二試合 ウェルター級 5分3R
○ヨアキム ハンセン
 (178cm/69.9kg/ノルウェー/スカンジナビアンBJJアカデミー オスロ)
●タクミ(173cm/69.7kg/日本/パレストラ東京/8位)
[判定 2−0]

タクミは11/15の後楽園ホール興行において、
佐藤 ルミナ選手の対戦相手を務めた選手。
試合は一進一退、一本勝ちを狙うルミナに対して、
これらの技を凌ぎながら打撃を当てていき、
ルミナの減点1(二度の股間蹴り)があったとは言え、
引き分けに持ち込んだのだった。
精神的なタフさには定評のあるタクミ、
今日の相手は、新進気鋭の「チーム・スカンジナビア」軽量級の雄、ヨアキムだ。

1R、ヨアキムはタクミに組みつくと、
「あっ」と言う間にテイクダウン、「あっ」と言う間にサイドポジション。
そのあまりの速さに、客席からどよめきの声が上がる。

ヨアキムはボディへパンチを落としつつ、
胴に足を絡めてくるタクミからグラウンドでバックを奪い、
ボディや顔面にパンチを打ち込む。
タクミはバックハンドで後ろにあるヨアキムの顔面を殴るが、
ヨアキムは足を胴に絡めてのボディシザースで、
タクミの体制をコントロールしつつパンチを打ち込んでいく。

タクミは何とかこの体制を抜けようとバランスを崩しに掛かり、
なんとか正座の体制までは逃げるが、ヨアキムは後ろからおぶさってくる。
これをさらにタクミが崩すと、何とかインサイドガードの体制を奪った。
しかし、ヨアキムは下からの逆十字でタクミに絡み付く、
これはタクミがはずしたものの、ヨアキムはすぐさま三角締めへ移行。
これが少しずつ極まり始め、もうすぐガッチリ入るか・・・、
という所で1Rは終了。

ヨアキム、メチャメチャ強いな!
タクミは極められずに済むのか、これ?

2R、ヨアキムはミドルキックから組み付くが、
ここはタクミが逆にヨアキムを持ち上げてテイクダウン。
インサイドガードの体制からパンチを落としていくタクミだが、
ヨアキムはガッチリのクロスガードから、
自分のパンチが当たり易い場所まで、下からタクミの体制をコントロール。
そして下からのパンチをタクミの顔面に当てていく。

ヨアキムの首を取りにきたタクミだが、
これを凌いだヨアキムは下からの三角締めを狙っていく。
何とかはずしたタクミは、ヨアキムにパンチを落としていき、
意地のパスガードからバックを奪いかけるが、
ヨアキムはこの動きに素早く反応、
体制をガードポジションに戻してしまった。
イヤイヤ、ヨアキムは下になってからもメチャメチャ強いぞ!

ヨアキムはさらに下からの三角締めを仕掛ける。
これはタクミが外して猪木アリ状態。
だが・・・。

すかさずヨアキムは、思いっきりタメを作った、
寝た状態からの踵落としをタクミに放つ。
そして、この一撃が・・・運悪くタクミの股間を強襲!

股間を押さえて悶絶するタクミ、かなり痛そうだ。
傍目にも、深刻なダメージを受けたのが分かる。
試合はしばらく中断、ヨアキムにはイエローカードによる減点1。

タクミ、何とか回復、拍手と共に試合再開。
猪木アリ状態から、寝ているヨアキムが下からの顔面蹴りを出す。
ヒットしてタクミは怯んだが、
さらに蹴ってくるヨアキムからインサイドガードを奪う。
しかし、ヨアキムは下からでも強い。
タクミを足でコントロールして、顔面をパンチ連打。
さらに下からの大振りなフックがヒット、タクミはかなり苦しそうだ。
ヨアキムの攻めは止まらない、今度は三角締め。
これをどうにかタクミが凌いで立ちあがり、
寝ているヨアキムにローキックを放ったところで2Rは終了。

タクミは、試合中のダメージもそうだが、
股間蹴りでさらに体力を消耗した様子。厳しい試合だ。

3R、まずヨアキムが接近、タクミは組み付き、
ヨアキムがグラウンドへ引き込んだ。
下になったヨアキムだが、相変わらずの下からのコントロールでタクミを翻弄。
立ちあがろうとするタクミに下からの蹴り上げ、組み付いてくれば三角締め。
三角締めが極まらないと見るや、首を引き込んでパンチを連打。
そしてこれをタクミが外すと、その顔面に下からの蹴りをモロにヒットさせる。

・・・と、ここで試合中断。
「何だろ?」と思っていたら、今の蹴りは反則らしい。
「相手がグラウンド状態、自分もグラウンド状態でのキックは反則」だそうだ。
これでヨアキム、イエローカードで減点1。あらら、これで減点が2点ですかい。

試合再開、タクミはグラウンドから立ちあがって猪木アリ状態、
ここはヨアキムも立ちあがって両者スタンド。
タクミはヨアキムに組み付いてコーナー際へと押し込む。
ヨアキム、ここでタクミの首を取って引き込みグラウンドに入ると、
またまた下からタクミをコントロールし、下からパンチを落とす。
ここはタクミも上からのパンチで何とか応戦するが、
このパンチの腕をキャッチしたヨアキム、下からの腕十字で反撃。

本当に打つ手のない状態のタクミだが、何とかこの逆十字も凌いだ。
だがこの時、ヨアキムはリバースに成功。
さらにサイド、バックとポジションを移行する。
タクミはなんとかハーフガードの体制に戻すが、
ヨアキムは上からのパンチ、そして猪木アリ状態でのキックを放つ。
そして、ここで試合終了。タクミは最後まで試合をさせてもらえなかった。

判定は減点2点があっても、
全ラウンドを優勢に戦ったヨアキムが2−0で勝利。
しかし、当のヨアキムはこの勝利がピンと来ていない様子だった。
まあ、反則による大きな減点が2点もあるのだから、
「やる側」の気持ちとしてはそんなものなのかもしれないね。

いずれにせよ、また見たい選手だ。
再来日を希望。


第三試合 フェザー級 5分3R
○塩沢 正人(167cm/59.9kg/日本/和術慧舟會/9位)
●池田 久雄(168cm/60kg/日本/PUREBRED大宮/2位)
[3R 4分14秒 TKO]

1R、両者は距離を取っての打撃戦。
塩沢は伸びのある左ストレートを放つと、
これが池田にハードヒット。
早くも体制が崩れる池田、ダメージは軽くはなさそうだ。

そして、この試合で僕はこの光景を何度も観る事になる。

塩沢は尚もパンチを繰り出す。
これに対して、逆襲とばかりに池田はアッパーやミドルキック、
更にローキックを繰り出し、ここから何度も組み付いていくのだが、
塩沢はこれを悉く嫌って突き放す。
池田は奇襲のハイキックを出すが、塩沢はキッチリとガードして、
またしてもパンチで池田にプレッシャーを与えていく。
試合は、さながら立ち技格闘技のようなイメージで進んで行った。

ここで、塩沢が伸びのある左ストレートを出すと、これがモロにヒット!
腰からバランスを失う池田、何とかダウンはこらえて立ちあがるも、
その間際に、再び塩沢の伸びのある左ストレートがヒット!
さすがにこらえきれずに池田はダウン。
ダウンカウントが進む中、池田はカウント8で立ちあがった。
このあと、池田は何かを吹っ切るように塩沢と打撃戦を展開したが、
ここで1R終了。

・・・あっ、修斗って「ダウンカウント」があるんだ、知らんかった。

2R、1Rでの打撃戦に手応えを感じた塩沢、
ジワジワと前へ出て池田にプレッシャーを与えていく。
池田はタックルを繰り出すも、塩沢は突き放す。
試合は徹底した立ち技勝負だ。

試合が再び乱打戦に突入、そして・・・。

またしても。伸びのある塩沢の左ストレートが池田にヒット!
池田はまたダウン、カウントは進む、8で持ちなおし試合は続行。

スタンドでは勝ち目のない池田、塩沢に組み付いていくが、
塩沢はこれをガブって、
亀の状態で防御する池田からバックを奪う。
そしてゆっくりとスリーパーの体制へ。
掛けられまいと必死に逃げに入る池田、
かなり長い時間、技を仕掛けられたが、
塩沢は極めきれずにブレイク。池田、九死に一生を得る。

九死に一生、得なかった。スタンドからの試合再開、
またしてもまたしても、塩沢の伸びのある左ストレートが池田にヒット!
池田はまたまたダウン、カウントは進んでいくが、ここでも何とか立ちあがった。
しかし、流石に3回目のダウン、ダメージが大きそうだ。

塩沢、さらにジリジリと前へでてプレッシャーを与えると、
さすがに池田の体が後ろに下がるようになった。
塩沢は気を良くして組み付いていくが、ここで池田が投げを放ってテイクダウン。
「すわ、逆転か?」と思う展開だったが、そうでもなかった。
池田はインサイドガードの体制だったが、塩沢はスルリと抜けた後、
グラウンドでバックを奪って、再びスリーパー地獄へ池田を誘う。
「もう少しで極まるか?」という状態まで行ったが、ここで2R終了のゴング。

3R。両者は組み付いて主導権を握ろうとするが、
結局はグラウンドを拒んで、試合はスタンドによる打撃戦に。

そして・・・。
またしてもまたしてもまたしても。
塩沢の伸びのある左ストレートが池田にヒット!
池田はまたまたまたダウン、カウントは進んでいくが、池田は立ちあがる。
不死鳥のような復活劇ではあるが、ダウンは通算4度目。
もう、試合を止めた方がいいんじゃない?

塩沢、またまたジリジリと前に出て池田にプレッシャー。
池田も無理してパンチを出して、試合は打撃戦に。
ここでも塩沢のパンチが池田の顔面に的確にヒットしていく。
池田は1Rでも見せたハイキックを出すが、塩沢はキッチリとガード。
さらに両者はパンチを繰り出す。
打撃戦の中、池田はローキックから塩沢に組み付くが、これも塩沢が突き放す。

またしても×4。塩沢の伸びのある左ストレートが池田にヒット!
池田は腰からぐらつき、これを見たレフェリーがダウンを取る。
それでも池田はまだ戦う意思があるようだが、
今度こそ、止めた方が良いんじゃない?

あらら、試合は再開。その後、直ぐに。
またしても×5。塩沢の伸びのある左ストレートが池田にヒット!
池田はこれでダウン、3ダウンで試合終了。
池田は試合中に計6回のダウンですかい。

かなり一方的な試合だったが、
全てのダウンを伸びのある左ストレートで奪った塩沢。
今日は己の得意技に自信を持つには、
良い試合になったのではないだろうか。


第四試合 ウェルター級 5分3R
○ビトー ヒベイル(173cm/69.8kg/ブラジル/ノヴァ ウニオン/7位)
●川尻 達也(170cm/69.8kg/日本/総合格闘技TOPS/5位)
[判定 3−0]

川尻は今年の新人王決定トーナメントのウェルター級の優勝者。
・・・なのだが、そのご褒美が、
修斗の中でも「強豪中の強豪」されるビトーになるとは。
パンフレットにも「乾坤一擲の大勝負」と書かれているこの試合、
勝つ事が出来れば、彼が新たなるスターとして一気にのし上がる事も出来るだろう。

しかし。
強い、あまりにもビトー "シャリオン" ヒベイルは強すぎる・・・。

1R、ビトーはジャブからタックルを慣行、これを川尻はガブる。
ビトーの首を取り、足を掛けてテイクダウンを奪う・・・、その間際だった!
ビトーは既に下からの逆十字の体制に入っている!
川尻応援団の悲鳴の中、ガッチリと体制に入ってはいたが、
ここは川尻が体制を持ち直し、このままビトーを持ち上げてパワーボム。
川尻応援団、今度は大歓声。

何とかインサイドガードの体制になった川尻だったが、
下になっているビトーは腕を取りつづける。
まだ腕十字を諦めていなかったのだ。さらには三角締めへ移行する。
次々に襲ってくるビトーの関節技、川尻は何とか凌いだものの、
今度は下からクロスガードで川尻の体を固定し、腕を捕まえてのアームバー。
このアームバーがしつこい。川尻が腕力で返そうとするが、全く外れない。
川尻応援団からは再び悲鳴が。

何とか逃れた川尻だが、
ビトーはまだまだ下から攻め続ける。今度は三角締め。
川尻は上になっているのに全く攻める事が出来ない。
そして再びアームバーへ移行、これが極まった!
ついにレフェリーが「キャッチ」のサインを出す。
更には、腕を極めながらのスイープで川尻の上になると、
その腕をガッチリと絞り上げていく。
もうダメか!川尻応援団からの悲鳴が大きくなる。

それでも川尻は粘りに粘って、腕力でこのアームバーを外した。
川尻応援団から歓声が上がるが、
ビトーは既にバックを奪ってスリーパーの体制。
終わらない川尻応援団の悲鳴、またしてもガッチリ極まりかけるが、
ここは1R終了のゴングに救われた。

それにしても。
シャリオン、強すぎる!
レベルが違いすぎる!

2R、ビトーは1Rと同じくパンチで牽制しつつタックルを慣行。
これを川尻が受け止めて、両者組み合ったままの主導権争い、
ここは川尻が勝利、テイクダウンで上になる。川尻応援団からは歓声が。

川尻はパスガードすべく色々仕掛けるが、ビトーはそれをさせない。
ビトーはグラウンドで横向きになるが、
この横っ面に川尻はパンチを落としていく。

しかし、しかしなのだ。
この横の体制から、まるで鰻のように、
上になっている川尻からスポッとグラウンドを脱出するビトー、
これに対して、まだ体が反応していない川尻に組み付き、逆にテイクダウン。
そして、既にグラウンドでサイドを奪っているではないか!
えっ、えっ、えっ?今、何が起きたの?ド素人にはサッパリわからない!

川尻はなんとか体制をガードポジションまで戻し、クロスガードの体制。
ここで両者は、グラウンドでのパンチ合戦。川尻も下から応戦するが、
ビトーはパンチを落としつつパスガード、サイドの体制。
川尻、あわててハーフガードに戻すも、
ビトーは半身を起こして勢いのあるパンチを連打する。
川尻応援団の悲鳴の中、ここで2Rは終了。

それにしても・・・、
ビトーのあの鰻のようなグラウンド脱出術は何だったんだ!?

3R、ビトーが立ちあがりにタックルを仕掛けるが、
これを川尻が受け止め首を取る。
しかし、ビトーはこのまま川尻の懐に潜り込み、
そのまま、しゃがみながらの投げを狙っていく。
川尻も逆にビトーを投げようとこらえたが、
結局、この勝負はビトーの勝ち。

グラウンドで上になったビトー、
限りなくサイドに近いハーフマウントの体制、肩固めを狙っていく。
さらには足を抜いてマウントの体制。
マウントパンチは食らうまいと、
川尻は下からビトーの胴に腕をまわして組み付く。
ビトーは横からボディへのパンチを落としていたが、
川尻はブリッジ等でビトーのマウントを崩して、
ビトーに組み付いたまま立ちあがる。
この動きには、もちろん川尻応援団から歓声が上がる。

しかし、ビトーは川尻から再びテイクダウンを奪いインサイドガードの体制、
上からパンチを落としつつパスガードを狙っていく、川尻は必死の防御。
ここはビトーが一旦立ちあがってのパスガードを狙ったが、
川尻はタイミングを見て立ちあがる。

ビトーはそのまま川尻に突進してタックル、これを川尻がガブッた。
組み合ったままもつれる両者、ビトーが投げを放ってテイクダウン。
ハーフマウントの体制から、川尻の腕を取って何かを狙っていく・・・、
が、ここで試合で終了。判定前ながら完敗だとわかる試合内容だが、
なんとか3Rを戦いきったルーキー川尻の健闘を労う拍手が起こった。

判定は3−0で文句なくビトー。
いや〜、強かったなぁ、シャリオンは。レベルが違いすぎる!

それにしても、さっきのヨアヒムといい、このビトーといい・・・。
こんな選手達を定期的に見てるんだから、
そりゃ確かに、修斗ファンは他の団体の事をバカにする訳だよなぁ。

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休憩20分。

この間に、3月18日のサスティン主催の修斗興行についてのCMが、
大型スクリーンに流れる。メインはジョン ホーキ vs 植松 直哉。
このカードが流れた瞬間、会場は騒然となる。

---

休憩後、新人王トーナメント表彰式。

バンタム級  優勝 漆谷 康弘(RJW/セントラル)
フェザー級  優勝 小松 晃(総合格闘技道場コブラ会)
ライト級   優勝 門脇 英基(和術慧舟會)
ウェルター級 優勝 川尻 達也(総合格闘技TOPS)
ミドル級   優勝 弘中 邦佳(SSSアカデミー)

それぞれの階級優勝者が、
坂本会長から表彰状と「金の修斗グローブ」を贈呈されていた。
「金の修斗グローブ」って・・・。

んで、色々な副賞の贈呈。
目立ったのは「修斗のDVD」と「毛ガニ等の海産物」あたりか。
良く分からんが、毛ガニは食いたい。

その他にも、MVP、敢闘賞、技能賞を発表してました。
詳細は・・・スイマセン、忘れました。

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第五試合 ミドル級 5分3R
○ジェイク シールズ(178cm/75.4kg/米国/シーザー グレイシー アカデミー)
●桜井 "マッハ" 速人(173cm/76kg/日本/GUTSMAN 修斗道場/1位)
[判定 3−0]

悲劇のUFC36。
マッハはUFCウェルター級チャンピオンである、
マット・ヒューズの防衛戦の相手に抜擢されたものの、
訪米中に襲ったギックリ腰のせいで、4R3分11秒、TKO負け。
腰痛はそれからも良くなる事はなく、
今年はまだ修斗のリングに一度も立っていなかった。

しかし、今日。ハイロウズの「不死身のエレキマン」が流れる中、
UFC36から約9ヶ月、ついに修斗のリングにマッハが帰ってきた!
花道を颯爽と歩いていくマッハ、観客は大歓声でこれを出迎える。
なんだかんだで、修斗ファンは彼を待っていたのだ。
今日の相手は、修斗では1戦1敗のルーキー、ジェイク。
ここはマッハ、秒殺による圧勝を期待したいところだった。

だが。

この時、この日一番の大歓声を集めたヒーローが、
この日一番のワーストバウトを展開する等、
誰が予想していただろうか。

1R、ジェイクはタックルでマッハに組み付いてくるが、
マッハはこれを切ってスタンドで組み付く。
そしてテイクダウンを奪うと、もうマッハはマウントだった!

秒殺ムードに観客が興奮したが、
ジェイクは下からマッハの胴に腕をまわすと、
この体制をリバースして上になる。
しかしマッハ、今度は下からの三角締めの体制。会場の興奮状態は尚も続く。
が、ジェイクはこれを強引に持ち上げてのパワーボム。
三角締めの体制は崩れ、観客からは落胆の声が挙がる。

ジェイクはマッハの上になりパンチを落としていく。
マッハはクロスガードを取りながら、
下からジェイクに組みついてこれをガード。
これを嫌ったジェイク、果敢にパスガードを狙うもマッハはそれをさせない。
そして、試合はこの体制のまま時間が経過していく。膠着状態だ。

長い時間が経過したが、何とマッハがスイープに成功!
大歓声の中、マッハはジェイクのバックを奪ってスリーパーを狙う。
これは失敗に終わったが、マッハすかさず逆十字を極めにかかる。
果敢な攻めに会場が大歓声だったが、結局これも失敗、
ジェイクがインサイドガードになったところで1Rは終了。

ここまではマッハが良い攻めを見せているが、
チャンスがありながら極めきれないのは、
気持ちに対して体が追いついてない為か?

2R、コーナー際で組み合う両者、
ここはマッハがテイクダウン、インサイドガードを奪いかけるも、
コーナーを背もたれにしたジェイクが立ちあがり、
下から組み付くマッハを投げて逆にテイクダウン。

ジェイクはインサイドガードから、
下になったマッハにパンチを落としつつパスガードを狙う。
マッハはこれを嫌ってクロスガードによるガッチリの防御。

この体制のまま、時間だけが経過していく。

お互い、時折パンチを交差するも、試合は全く動きがない。
ここはレフェリーがブレイクを要請。スタンドで試合再開。

マッハはスタンドでソバットを繰り出し歓声を浴びるが、
ジェイクは組み付いて、またしてもテイクダウンに成功。
ここでマッハからグラウンドでバックを奪いかけるが、
マッハはクルッと向きを替えてガードポジション。
観客から「ヒヤヒヤもの」のマッハのファイトに声援が送られる。
これでジェイクはインサイドガード。マッハはクロスガード。

そして・・・、
この体制のまま、時間だけが経過していく。

時折、ジェイクは上からパンチを落としながら、
パスガードを狙っていくが、マッハはそれをさせない。
逆にマッハも下からパンチを突き上げつつ、
スイープを狙うが、これもジェイクが防御する。
そして、殆ど体制が変わらないまま2R終了のゴングが鳴る。
この時、観客はこの試合に対して明らかに退屈し始めていた。

3R、ジェイクはミドルキックを出して、
マッハに組み付きコーナー際まで押し込む。
テイクダウンに成功して・・・、

ジェイクはインサイドガードで上になる。
マッハはクロスガードでこれを防御する。

またしても・・・、
この体制のまま、時間だけが経過していく。

パスガードを狙ってジェイクは動いたものの、マッハはそれをさなかった。
しかし、何より肝心なのは、マッハに全く攻める姿勢が見られない。
クロスガードの体制からパンチをコツコツともらい続けるマッハ。
観客からは「何かしてくれ!」「こんなのマッハじゃない!」、
といった声が挙がり始めた。

しかし・・・、
マッハはガードポジションの体制のまま、時間だけが経過していく。

ジェイクはマッハが何もしない事を良いことに、
パンチの振りを大きくしてマッハを殴っていく。
マッハに対する声は大きくなる一方、
祈りにも似た「マッハ」という声が会場中から聞こえてくる。

それでも・・・、
マッハ、攻める姿勢もなく、時間だけが経過していく。

尚も続くジェイクのパンチ、もはや判定ならマッハの敗北は確定的。
「それでもマッハなら、最後の最後に何かやってくれる!」
「せめて最後くらい、マッハらしい動きが見たい!」
観客の「マッハ」という声は、ますます大きくなる一方だ。

だが、結局、マッハは最後までクロスガードを崩す事はなかった。

ラウンド終了のゴングが鳴る。観客からは落胆の声すら挙がらない。
シーンと静まり返った会場、ジェイク陣営のハシャギ声だけが会場に響く。

判定、3−0でジェイク。

リング上でセコンドからの祝福を受けるジェイクを気にも留めず、
音もなく花道を去っていくマッハ、
その彼に未だに掛ける声を見つける事が出来ない会場。

腰の悪さは相当なものなのだろうか?
マッハは今回、練習があまり出来なかっのが、
初めての観戦になる僕にでも直ぐに分かったくらいだ。
ずっと彼の事を観てきたファンにしてみれば、
これがあの「修斗のエース」だった頃のマッハと、
同じ人間だと思いたくないのだろう。

「自分が自分の世界の 主人公に なりたかった
 子供の頃から 憧れてたものに
 なれなかったんなら 大人のフリすんな
 第一希望しか見えないぜ 不死身のエレキマン」
(ハイロウズ「不死身のエレキマン」)

マッハの復活はあるのだろうか?


第六試合 ライト級 タイトルマッチ 5分3R
○アレッシャンドリ フランカ ノゲイラ
 (165cm/65kg/ブラジル/ワールド ファイト センター/王者)
●阿部 裕幸(168cm/64.7kg/日本/AACC/1位)
[1R 3分53秒 スリーパーホールド]

ここからはタイトルマッチ二試合。
試合前にはタイトルマッチ宣言があり、国家吹奏もあり。
やはり、こういうセレモニーがあると、観る側も気持ちが引き締まる。

この試合は、今年の7月19日に行われた同試合のリマッチだ。
ノンタイトル戦だった前回の試合、阿部兄は1R4分37秒、
左フックで王者である小ノゲイラを下している。
この試合は、その結果を受けてタイトルマッチという訳だ。

チャンピオンとしては是が非でもリベンジを果たしたいだろうが、
阿部兄だってこの完勝劇をもう一度再現し、
長い間、小ノゲイラの腰に巻かれているライト級のベルトを奪いたい。
両者共に気合が入る一戦、勝つのはどちらか?

試合開始、阿部兄は打撃で小ノゲイラを牽制すると、
これに小ノゲイラが答えて試合は打撃戦に。

そして阿部兄、ローキックを出した後に繰り出したストレート、
これが何と小ノゲイラの顔面をモロに直撃!
腰を崩した小ノゲイラに対して、レフェリーがダウンカウントを数える。
ダメージは小さそうだったし、小ノゲイラは「ダウンじゃない!」とアピールするが、
阿部兄応援団は既に勝ったかのような大歓声だ!

試合再開、阿部兄は距離を取ってのローキック連打で小ノゲイラを牽制するが、
小ノゲイラはタックルを慣行、阿部兄に組み付きコーナー際へ。
そしてテイクダウン、インサイドガードからすかさずパスガードを狙っていく。
阿部兄応援団が、この小ノゲイラの動きに悲鳴を上げる。
しかし阿部兄、ここはクロスガードでガッチリと防御。

小ノゲイラ、上から阿部兄のボディにパンチを落とせば、
阿部兄も下から小ノゲイラにパンチを突き上げる。
しかし、試合はこの体制のままちょっと膠着。
なれども、阿部兄応援団、阿部兄に対するコールを忘れない。

しかし、ここから試合は「あっ」という間に終わってしまう。

下からの三角締めを狙った阿部兄から逃げるように立ちあがった小ノゲイラ、
何かに取り付かれたように相手の首に腕をまわすと、
ここから一気にパスガード、既にバックを取ってスリーパーの体制だ!

観客がその素早さに感嘆の声を挙げる中、
レフェリーが「キャッチ」のサインを出す。
阿部兄応援団からの悲鳴は最高潮。そして・・・。

成す術なく阿部兄タップ。

小ノゲイラ、王座の4度目の防衛である。
しかも、一度負けている選手を相手にしての防衛、喜びも一際だ。

試合後、あまりの完敗劇に力なくリングを降りる阿部兄。
それでも応援団からは「良くやった!」「もう一回!」といった暖かい声が飛んでいた。
確かに一度はダウンを奪ったのだから、何も出来なかった訳ではない。
しかし、最後のスリーパーを仕掛ける時の王者の動きを見ると・・・。

日本人で、この小ノゲイラに勝てるような選手は、いるのだろうか・・・。


第七試合 ウェルター級 タイトルマッチ 5分3R
○五味 隆典(173cm/70kg/日本/木口道場レスリング教室/王者)
●三島 ★ ド根性ノ助(170cm/69.5kg/日本/総合格闘技道場コブラ会/1位)
[2R 52秒 TKO]

本日のメインイベントは、
本来は去年8月に行われるはずだった試合の仕切り直し。
そもそも、最初にこのカードが組まれたのは去年8月、
この時は三島選手の負傷により、試合が流れてしまったのだ。

この時、リング上で三島は泣きながら

「今回はすみませんでした。一から出直します」

とリング上でコメント。

しかし、これを受けた五味は、

「去年怪我してからリング上がってなかったんで大暴れしたかったんですけど、
 相手がいないと暴れられないんで、残念です。
 自分でも整理がつかないような状態です。
 修斗の中には逃げないで自分の挑戦を受けてくれる選手が絶対いると思います。」

とバッサリと切り捨てた。

両者の感情がストレートに交差した会場は、
何とも重苦しい空気に包まれたそうだ。

あれから約16ヶ月。
彼らは二人とも、一敗もしないでこの日を迎えた。
五味は「修斗のカリスマ」の佐藤 ルミナに勝利、ウェルター級の王者になった。
三島は別団体のウェルター級一位の選手に秒殺で完勝。
お互いに最高潮、「オイシイ」の状態での対戦、
見る側にも熱がこもるというものだ。

三島には「山田 花子」「小池 栄子」「三波 春夫」から激励賞が。ウソつけ。

「福岡市ゴジラ」の怪しい旋律に乗って入場する三島、
今日はマントに玩具の王冠を身にまとっている。
リング中央で回転してからの指突き出しポーズに会場が沸く。

対する五味、須藤元気ばりに殺虫剤のようなものを背負ったセコンドと共に入場。
・・・と思ったら、そのセコンド、須藤元気じゃねぇか!
スモークを観客にかけまくる派手なパフォーマンス、
花道の横にいるファンは大喜びだ。

まずはお互い、観客のつかみはOK。
佐藤 ルミナのいないNK興行のメインイベント、
試合内容でも彼らはその大役を果たせるか?

1R、いきなり三島が仕掛ける、大振りなフックで五味に突進。
五味はダッキングでこれをかわす。前のめりになってコケる三島。
この活きの良い三島の攻撃に、会場が沸き返る。

距離が空いて、パンチ戦。
お互いへのコールが交差する中、
五味のストレートが数発、三島の顔面にヒット。
三島がお返しのストレートを当てれば、
五味は両腕を広げて「効いてないぞ!」のアピール。
五味応援団の歓声の中、五味は尚もパンチを当てていく。
勢いの良いフック、組み付く三島を突き放して、更にストレートを数発当てる。
戦前の予想では「打撃では五味が上」、その下馬評通りの試合展開。
気がつけば、徐々に五味が三島にプレッシャーを与え始めた。

尚も続く打撃戦、三島はパンチから五味に組み付くが、
これを突き放した五味のパンチがまたまた三島にヒットする。
三島はハイキックで反撃、五味はストレートでお返し、
繰り出される打撃に、両者の応援団が一喜一憂する。

ここから三島が組みに掛かり、
お互いにテイクダウンを奪おうとする相撲になる。
当然ながら、両者、意地になって倒れない。
力の入る展開、両者へのコールが挙がる中、
コーナー際まで押し込んだ三島がテイクダウンに成功、大歓声。

三島はハーフマウントの体制から、
下から腕をまわして組み付く五味にパンチを落とす。
五味の腕のクラッチが切れると、
今度は半身を起こして勢いのあるパンチを連打。
五味はこのグラウンドから逃げようとするが、
三島が一旦立ちあがったところで1Rは終了。

ここまでは、スタンドでは五味、グラウンドでは三島だろう。
グラウンドに持ち込ませない分だけ、わずかに五味が押しているか?

2R、距離を空けての打撃戦。
ここで三島のアッパーカットをかわした五味が、
カウンターのストレートをヒットさせると、これがドンピシャのヒット!
ガクンとダウンした三島に対して、レフェリーがダウンカウントを取る。
三島はカウント8で立ちあがるも、もはや足に来ていた。この一撃で勝負ありだ。

試合再開後、勢い良く五味は三島に組み付くと、あっという間のテイクダウン。
この体制からパンチを連打すると、レフェリーが慌てて試合をストップ。
五味、完勝で初防衛に成功だ!勝利が決まった瞬間、
五味はトップロープに登ってガッツポーズを決めていた。

勝利した五味がマイクを握る。

「このベルトも大事だし・・・、お客さんも大事だし・・・、

 ・・・・・・・・。、

 あのね、暴れるだけ暴れて、もうね、世界中の選手をブッ倒して・・・、
 子供達も強くなってきているしね、お客さんも大事だし、
 もっとね、頑張って強くなっていきます。ありがとうございました!」

ちょっとハイになりすぎだが、若者らしいと言えば若者らしいな。

負けた三島、一人で花道を消えていく。
舞台の上で一礼し、姿を消した。
次に上がる団体は、この修斗なのか?
それとも噂されているあの団体か?

---

雑感:
兎に角、レベルの高い攻防の連続に驚かされました。
特に外国人選手の全体的なレベルの高さには舌を巻くばかりです。
そりゃ、「ガチオタ」と言われる人種は修斗を見に行くわな・・・。

反面、試合のレベルの高さが、
必ずしも観客動員数につながらないという現実を見た気分です。
う〜ん、「興行」って難しい・・・。

今、修斗に足りないのは「広告塔」の存在。
新しいエースを作らないと、何かしらの形で団体を潤わせないと、
これからも修斗の選手流出は免れられないでしょう。

理想と現実の間でもがく修斗の明日は・・・?

---

以上、長文失礼。




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