11/30 PANCRASE 横浜文化体育館
■団体:PANCRASE
■日時:2002年11月30日
■会場:横浜文化体育館
■書き手:高倉仮面
15:30
東急東横線の終点(始点)、桜木町駅到着。

美しい景観とは裏腹に、巨額の負債を抱える、
「MM21計画」(みなとみらい21計画)の上に成り立っている街、桜木町。
http://www1.ttcn.ne.jp/~toshisekkei/11.htm

「人を集積し、そこから税収をあげ、開発に投資した財政を補う」という、
典型的なバブル期の発想の元に進められている「MM21計画」。
将来就労人口19万人を目指しているものの、実際は5万人。
居住人口は目標1万人に対して、現在は0人。
それでも「都市再生」の旗印の元、
今もこの街には、見栄えの良い高層ビルが建てられようとしている。

それより、僕にとって身近な問題なのは「MM21線」なる鉄道の存在だ。
この鉄道が開業すると、東急東横線の横浜〜桜木町間が廃止されるという。
やめてくれ。渋谷から30分、290円、乗り換えなしで、
横浜文化体育館近くまで移動できるのは大きな魅力だというのに。
しかも、この区間が「MM21線」になってしまうと、
4kmくらいしかない、横浜〜元町間が、
まともに採算を取ろうとすると600円〜800円にもなるらしい。
さすがにこの料金での運営はないだろうが、
乗り換えや新たな運賃が発生するだけでも、
こっちとしては「百害あって一利なし」である。

幸い、開業予定は2003年となっているが、
2002年12月現在、そのメドは立っていない。
もし開業したところで、元々は人口の少ない「みなとみらい」、
利用客は少ないのだからすぐに赤字になるのは明らか。

この計画、今からでも見直せないもんかねぇ・・・。ムリか。


15:40
破綻している「MM21計画」自体はかなり問題なのだが、
名所の多いこの街が、観光地として大変に魅力的なのは紛れもない事実。
難しい事はすっかり忘れて散策を開始。

まずは、「みなとみらい21」の象徴的存在、
「横浜ランドマークタワー」へ。

●横浜ランドマークタワー
http://www.landmark.ne.jp/

このビルの69階にある「スカイガーデン」から見る景色は、
天気が晴れていると相当に奇麗らしい。
・・・のだが、入るだけで大人は1000円も取られてしまうのはいただけない。
高いねぇ、東京タワーの特別展望台もそうだが、
何でまあ、高い所にはこうも金が掛かるかね?
(大展望台まで、大人820円。そこから特別展望台、大人600円)


15:50
「写メール」のCM等で有名な「コスモクロック21」のある、
「よこはまコスモワールド」へ。

●よこはまコスモワールド
http://www.senyo.co.jp/cosmo/

入場料無料で入れる遊園地というのは魅力的、
この日もカップルや家族連れ等、沢山の人々がアトラクションを楽しんでいた。
名物である大観覧車「コスモクロック21」は、現時点では世界最大だという。
料金は700円、ランドマークタワーの展望台よりは良心的と言えるだろう。

ま、一人身の僕には、乗る義務も価値も能力もないのだが・・・。


16:10
最近は、多目的ホールである一号館で、
プロレスや格闘技興行も良く開催される、
「横浜赤レンガ倉庫」へ。

●横浜赤レンガ倉庫
http://www.yokohama-akarenga.jp/

赤いレンガが大変に奇麗な建物なのだが、店内の殆どが小物とブティック。
土曜の夕方にこんな所に来たものだから、中は若いカップルや家族連れで大混雑。
当然ながらレストラン等も、どこもかしこも行列待ち。
それでも、最大の目的である「YOKOHAMA BASHAMICHI ICE」を食べようと、
店の前に行ってはみたが・・・。
ダメだこりゃ、今までの中でもダントツ1位の大渋滞。
待っている人が外にまではみ出てるよ、今日はあきらめるか。

●YOKOHAMA BASHAMICHI ICE
http://www.takanashi-milk.co.jp/from/akarenga/basha_shop.htm


16:30
夜になると夜景がやたら美しくなり、
気が付いたら、カップルだらけになる山下公園を散策。

●山下公園
http://www.yamashitapark.net/content.html

さて、公園内にある「氷川丸乗り場」のあたりは、
大道芸のスポットとして有名なのだが、今日も人垣が出来ている。
その中を覗くと、外国人が炎のバトンや電源の入ったチェンソーを使って、
器用にジャグリングを行っているではないか。いや〜っ、見事見事。
日本語による話術もかなり達者で、
お客さんはどんどん彼らの芸に引き込まれていた。
そしてパフォーマンスは大盛況のうちに終了、
このお客の大絶賛ぶりを見るに付け、今日の稼ぎは相当な額になりそうだな。

ちなみに、聞いた所によると、
今日、大道芸を披露していた外国人は、
本来は二人組のユニットで、芸名は「Wポール」。
一人はアメリカ人のポール、もう一人はイギリス人のポールなんだそうな。
最近は、毎週のようにここで芸を披露しているらしいので、
金のない人は、ここでヒマを潰すのも良いと思う。


17:00
横浜の中華街へ・・・、と言っても、
横浜に来る度にいつも「食事は中華」と言うのでは飽きてしまう。
今日は観戦のおやつの「あんまん」を買うに留まった。


17:10
中華街を潜り抜け、元町商店街を散策。

●Motomachi Shoping Street
http://www.motomachi.or.jp/

このあたりは、とにかく「お洒落」。
個人的には銀座、青山、麻布十番なんか目じゃないくらい「お洒落」だと思う。
何だか日本ではない雰囲気すら醸し出している商店街には、
見るからに高そうなブティックやら貴金属店やらカフェやらがビッシリ。

イヤイヤ、なんだか歩いているだけで、
「格闘技観戦が目的の一人身の男なんて、
 見るからに金のなさそうな男なんて、『お呼び』じゃないんだよ!」と、
街から名指しで言われているような気分になってくる。
ま、場違いな街を歩いているのは認めるが、
こっちは好きで歩いているんだから、
ほうっておいて欲しいもんだ。

えっ?
誰も何も言ってないって?

んで、美幌亭なる店のコロッケが旨そうだったので、
観戦のおやつとして2個ほど購入。
コロッケは安くて旨いので好きだ。


17:15
色々と歩いているうちにハラが減ってきた。
飯を食うべく「天使屋」なる店に入る。

●Yahoo!グルメ プチカフェ天使屋
http://gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kanto/Kanagawa/guide/0205/U0002035723.html

中では山手の若い有閑マダムと思われる人達が約十名、
子供が通っている学校の事や、
自身が通っているカルチャースクールについて、
あ〜でもない、こ〜でもない、ど〜でもない、と、
お茶一杯で三時間以上は粘っているであろう雰囲気で喋っていた。
そして、彼女達以外に客は誰もいない。

場違いな場所に入ってしまったようだが、
こっちは食事目的の正統派の客だ、そんな事は知ったことではない。
とりあえずと「カレーうどん」と、名物になっている「ホットケーキ」を注文。

んで、料理が出てきたのだが、
「カレーうどん」は「うどんの入った田舎風カレーシチュー」、
「ホットケーキ」は「ふんわりと焼いた、皮の厚いパン」、
という感じで、この店ならではの創作色が強かったように思える。
どちらもなかなか美味しかったので、人には薦められる店ではあるんだけど、
独特の手作り感が、なんとなくではあるが、
「この店そのものが『有閑マダム』の道楽みたいなものなのかねぇ」と感じさせた。

正直、男が一人で食事を取る店ではないかもなぁ・・・。


18:00
さて、今日は目的は散歩ではない、PANCRACEの観戦だ。
食事を終え、元町商店街から関内方面へ歩き、
ようやく横浜文化体育館に到着。

それにしても、このところは去年までの勢いが、
すっかりと失速してしまった印象のあるPANCRACE。

「去年の今頃」と言えば、
切り札カードである「菊田 早苗 vs 美濃輪 育久」で団体がブレイク、
その流れを受けて「ISM vs GRABAKA」の抗争が勃発、
締めくくりとして「近藤 有己 vs 郷野 聡寛」が行われた頃である。
この試合は、近藤は戦前の「不利」の予想を覆し打撃で郷野を圧倒、
最後には病院送りにしてしまうという、何とも劇的な幕切れ。
この頃の観客の熱気はかなりのものだった。

それを思えば、近頃のPANCRACEはすっかり元気がなくなってしまった。

要因は色々とある。

まずは、エース選手達が大失速。
美濃輪 育久は今年はMMAで勝ち星がゼロ。
近藤 有己はUFC進出ムードが高まっている時に、
禅道会の百瀬 善規に足を取られてしまい、
菊田 早苗はPRIDE進出を果たすものの、そこでアレクサンダー 大塚に光を消され、
UFO LEGENDではアントニオ ホドリコ ノゲイラに完敗。
去年までの勢いはどこへやら、この三人にとっては今年は試練の年となった。

GRABAKAに替わる新たなる外敵である修斗勢の出現も見逃せない。
DEEPの舞台ではお互いの団体のウェルター級一位対決として、
「PANCRACEの伊藤 崇文 vs 修斗の三島 ☆ ド根性ノ助」が組まれたが、
結果は三島の秒殺による圧勝。負けた伊藤は完全にパニックに陥り、
客にまで手を出す大醜態を見せてしまう。
さらには、ミドル級には元修斗ライトヘビー級三位の竹内 出が登場。
初参戦にも関わらず、PANCRACE最強外国人である、
ネイサン マーコート(当時、ミドル級一位)を判定で下している
これにより、ウェルター級・ミドル級のチャンピオンである國奥 麒樹真は、
二人の修斗勢にその地位を脅かされる形になったのだ。

さらには、同団体の興行での一本勝ちの少なさも気になるところだ。
何せ、最近の三回の興行(※注1)での試合数は22試合(※注2)、
これに対して一本勝ちの試合はたったの5試合しかないのだ。残りは全て判定決着。
まあ、判定でも「面白い試合」は幾つかは存在はしたものの、それは稀な話。
実際は、極め所で極めきれない、ポジション取りだけで勝利してしまうような、
なんとももどかしい試合の方が圧倒的に多かった。
これでは、一見さんが「つまんない団体」と感じても仕方がない。

※注1 8/25 梅田ステラホール、9/29 横浜文化体育館、10/29 後楽園ホール
※注2 前座試合であるPANCRACE GATEの試合や、
    実際に試合のなかった、9/29 の 石川 大輔 vs ディーン リスター戦は除く

とまあ、これら多くの失速要素を抱えながら、今日の大会を向えたPANCRACE。
本日の目玉は、新日本プロレスの獣神 サンダー ライガーの参戦。
鈴木 みのるとの対戦は、この団体に「一見さん」を呼び込む事になるだろう。
また、PRIDE系からは小路 晃から勝利したヒカルド アルメイダが参戦、
ここ最近は好調の渋谷 修身と対戦。楽しみなカードだ。
更には、伊藤 崇文がDEEPに続いてまたしても修斗からの刺客と対戦。
今日の相手は「ワダタク」こと和田 拓也。これもいいカードだ。
そして純PANCRACE勢の試合としては「佐々木 有生 vs 美濃輪 育久」の再戦。
人気者二人による対戦は、同団体のファンならずとも注目すべきだろう。

横浜文体を満員にすべく、今回は良いカードを揃えてきたPANCRACE。
全体的なスランプから脱出する切欠になりえるのだろうか。

・・・能書きはこの辺にしてチケットを購入、5000円。
横浜文体興行になるといきなりチケット代が高くなるのは、
PANCRACEの悪いところだと思う。

18:10
会場入り、なのだが・・。

相変わらずPANCRACEは会場の作りがショボい。
大型モニターもなければ、専用の入場ゲートもなし。
あるのは、ちょっとだけ派手な照明機材だけ。
ただでさえ、老朽化した建物が貧相な印象を与える横浜文体、
この演出だけでは「うちは貧乏です!」と声高々と宣言しているようなモノだ。
もう少し小さい格闘技団体だって、ない金を絞って色々と演出しているんだから、
マジでもう少し何とかならんのかねぇ、マジで。

そう言えば、PANCRACEは次の興行は「ディファ有明」。
あんな小さい箱でこんな演出をやったら、
チープさが興行全体に影響を与えかねんぞ。
どうするのかね?どうもしないと思うけど。

18:30
この所は、団体の失速に歩調を合わせるように観客数も減っていたPANCRACE、
9/29の横浜文体は約7割の客入り、10/29の後楽園は約8割で、
どちらもあまり芳しくない数字だったが、今日の入りは9割前後。
さすがに好カード目白押しの興行、PANCRACEとしては本当に久々の満員だ。

まずは動員数はスランプ脱出と言えるだろう。
あとは試合内容がこの観客数に答えるだけ、なのだが・・・。
今日は「一本勝ち」がどれくらい出てくるのだろうか?ちょっと不安である。
中華街で買ったあんまんを食べつつ観戦開始。



うっ、旨いなっ、このあんまんっ!
でも、何て店で買ったんだけ?
覚えてない・・・。

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第一試合 ミドル級 5分2R
○岡見 勇信(187cm/79.7kg/和術慧舟會東京本部)
●中台 宣(180cm/81.9kg/パンクラスism)
[判定 3−0]

1R、中台は極真出身者らしくローキックで岡見を蹴り上げるが、
岡見は中台に組み付き、そのままコーナー際まで押し込むと、
ここから崩してテイクダウン、ハーフマウントからアッサリとパスガード、
サイド、マウントとポジションを奪っていく。
中台はグラップリングがホントに弱い。

それでも中台は、
マウントになった岡見のバランスを下から崩してリバースに成功、
インサイドガードからパンチを落とす。
岡見がパンチを落とされないように中台の手を掴むと、
中台はその手をはずして自ら立ち上がる。
岡見も立ち上がって、両者スタンド。

打撃の得意な中台は牽制のハイキックを繰り出すが、
岡見は再び中台に組み付き、スタンドでバックを奪ってコーナーへ押し込む。
中台は前から岡見の腕を取っていたが、何もする事が出来ない。
対する岡見、後ろから腿へ膝を入れつつ、中台を何度も崩しに掛かるが、
中台はこれを何度もこらえた為、試合は展開がなく膠着状態に。
最後に中台が体の向きを変えて正面から岡見を殴りに行ったが、1Rは終了。

2R、試合はワンパターンに進行していった。
牽制の打撃戦から岡見が組み付く、中台は後ろを向いて腕を取る、
これを岡見がコーナーまで押し込む、中台は体の向きをくるりと反転し、
正面から岡見を殴りに行く。警戒した岡見が距離を置き、両者スタンド状態。

これは1Rの終盤で見られた攻防だったが、2Rはこれの繰り返し、合計三度。
2R終盤、バックを取られた中台が前転で抜け、
ドロップキックを繰り出した場面は良かったものの、
組んでも打撃でも、試合を圧倒していたのは岡見の方だった。

判定は3−0で岡見。中台は明らかに試合から逃げていた印象だ。
この男、団体から毎月金を貰った上で、この程度の試合しか見せられないのか?
山下公園の氷川丸前のWポールの大道芸でも見て、
「練習する事の大事さ」を知って欲しいものだ。


第二試合 フェザー級 5分2R
○砂辺 光久(172cm/56.4kg/HYBRID WRESTLING 武∞限)
●渡邊 将広(171cm/58.9kg/フリー)
[2R1分17秒 フロントチョーク]

選手層も厚くなってきた印象のある、PANCRACEのフェザー級。
団体イチオシのエース的存在の砂辺もいるんだし、
そろそろベルトを作っても良いんじゃないのかな?

1R、両者は組み付いてコーナー際へ移動、
テイクダウンを奪うべく崩し合いが展開された。
この勝負にせり勝ったのは渡邊、
グラウンドでバックマウントを奪って何度もスリーパーを極めに入る。
長い時間、劣勢に立たされた砂辺。
何とかこれは逃れたが、尚も渡邊の攻勢は続く。
亀の状態になって防御する砂辺を崩した渡邊、
サイド、マウントとポジションを移行してパンチを落とす。
砂辺は下から渡邊に組み付き防御。

砂辺にとっては我慢の展開が続いたが、
渡邊はこのグラウンドを諦めたのか、立ち上がってローキックを落としていった。
隙を見て砂辺が立ち上がり、下から渡邊に組み付いてテイクダウン。
攻守逆転、砂辺のセコンド陣から歓声が上がる。

今度は砂辺が立ち上がり、寝ている渡邊にお返しのローキックを放っていく。
さらにはシウバばりの踏みつけも見せるが、渡邊も隙を見て立ち上がる。
両者が組み合って、序盤と同じ崩し合いを展開したところで1Rは終了。

2R、砂辺はパンチから渡邊に組み付いたが、
渡邊は体制を入れ替えて砂辺をコーナー際へ押し込んだが・・・、

ここで「あっ」と驚く裏技が。
コーナー際でフロントチョークの体制になった砂辺は、
その体制のままサードロープをヒョイヒョイと渡っての三角飛び、
これでコーナーを脱出した砂辺は、一気に渡邊をグラウンドへ引き込んだ。
これに対して渡邊は何もする事が出来ず。レフェリーが試合をストップした。

砂辺、一本勝ちはお見事、なんだけど・・・。
最後のサードロープ三角飛びって、反則にはならないのかね?


第三試合 ミドル級 5分2R
○三崎 和雄(178cm/77.8kg/パンクラスGRABAKA/4位)
●小島 正也(179cm/83kg/和術慧舟會千葉支部)
[1R 4分40秒 腕ひしぎ十字固め]

小島の入場曲は相川 七瀬の「六本木心中」。
個人的には、アン ルイスの元曲の方が全然良いね。
対するGRABAKAのヒットマン、三崎の入場曲は、ジャンルで言えばテクノ ガラージ。
何か、この入場曲は印象に残るんだよねぇ。タイトルは全然知らないけど。

試合開始から両者打撃を繰り出しながら組み付き、ここは三崎がテイクダウン。
ハーフマウントから、パンチをコツコツと落として、腕を極めようと狙っていく。
小島はこれを逃ようと体を動かすが、三崎は上の体制をガッチリとキープ。

この展開のまま長い時間が経過したが、三崎がついにサイドを奪った。
しかし小島は下からこの体制を崩し反撃に出ようとする、
ここで三崎は体を放して猪木アリ状態、そして潜ってインサイドガードし、
尚も上のポジションをキープしたものの、小島はこの体制を崩して、
結局は両者スタンド状態。試合は振り出しに戻った。

三崎は小島に組み付き、そのまま一気にコーナー際へ。
ここで小島の顔面に膝を連打すると、一発がクリーンヒット!
沈んでいく小島の体。事実上、この一発で勝負アリ。
倒れた小島から腕を取り逆十字を仕掛けると、小島は成す術なくタップ。

三崎、お見事です。
おっ、今日は一本勝ちが続くねぇ、いいねぇ。


第四試合 ウェルター級 5分3R
○伊藤 崇文(176cm/72.9kg/パンクラスism/1位)
●和田 拓也(171cm/74.4kg/SKアブソリュート/前修斗ミドル級8位)
[判定 3−0]

今年9月のDEEPでの、修斗の三島 ★ ド根性ノ助戦での秒殺敗北、
その後の記録的大失態の記憶も新しい伊藤だが、再び試練が訪れた。
何故なら、今日の対戦相手はDEEPに続いての「修斗からの刺客」だからである。

「ワダタク」こと和田は、コンバットレスリング76kg級優勝、
アマチュアリングス70kg級優勝、ゴールデントロフィー75kg級優勝、
プロ修斗戦跡も9戦5勝2敗2分と、実力的には全く侮れない。

伊藤は「PANCRACEの生え抜き第一号選手」として、
修斗勢への連敗だけは許されないが・・・。果たして勝てるのだろうか?
伊藤は正念場を迎えた、と言えるだろう。

1R、まずは和田が組み付いたが、
逆に伊藤がバックを奪ってコーナー際へと押し込む。
そして後ろから腿への膝で和田を攻め立てるが、
和田は前から伊藤の腕を取っている。

ここで伊藤、後ろから和田を崩してテイクダウン・・・だったが、
崩れ際に踏ん張って立ちあがった和田は、逆に崩れて倒れた伊藤にかぶさる。
これを亀になって防御する伊藤、和田はバックを取りに行くが、
ここで伊藤は前転で回避、立ちあがった。
両者スタンド状態、観客からはPANCRACEファンの拍手が起こる。

伊藤は打撃から和田に組み付き、
またまたコーナー際でスタンド状態のバックを奪う。
和田は前から伊藤の腕を取りつつ体制を入れ替え、
伊藤に膝を打ち込んだが、この内の一発が伊藤の金的に。
伊藤には全くダメージがなさそうだったが、
この攻撃で和田にはイエローカード。

え〜っ、マジで?
だって伊藤はピンピンしているジャン。
ダメージがなければ、アレくらいのローブローは別にいいんじゃないの?
微妙なレフェリングだったが、試合は再開。

和田はパンチから伊藤に組み付き、コーナー際へ押し込むと、
体を潜らせて伊藤の体制を崩しにかかる。
しかし、これをしっかりとガブッた伊藤、
和田はここからグラウンドへは移行できず、一旦距離を離す。
そしてもう一度組みに行ったが、これも失敗。ならばと、和田は打撃勝負。
大きな裏拳で観客を驚かせると、距離を置いてのパンチ合戦。
しかし、ここで伊藤のストレートがクリーンヒット。
そして1R終了。再びPANCRACEファンから歓声が沸く。

2R、お互いに前に出て打撃戦。
何発もの打撃が交差し、和田は伊藤に膝蹴りをヒットさせれば、
伊藤はストレートをヒットさせる。両者、一歩も譲らないが、
この打撃戦は、和田の方がわずかに有効打が多かったように思える。
荒っぽい試合展開に、PANCRACEファンから、
そして修斗ファンから歓声が沸き起こる。
・・・って、今日は修斗ファンも結構多いのね。

再び距離を置いた両者、伊藤はローキックで和田を牽制、
一度は組み付かれたがこれを外し、
尚も前に出る和田に、カウンターのストレートをヒットさせる。
更に和田がミドルを出すと、
これをキャッチしてコーナー際へ押し込みテイクダウン。
ここに来て、伊藤が微妙に試合のペースを握っている。

伊藤、ハーフマウントからパンチを落としてパスガードに成功、
サイドから尚もパンチを落としていく。
和田がこの体制をガードポジションまで戻したが、
この間にも、伊藤の強引な打撃が和田にヒットしていく。
その後、伊藤は立ちあがって猪木アリ状態、
レフェリーがブレイクし打撃戦が入ったところで2Rは終了。

3R、距離を置いての打撃戦、両者が打撃を入れる度に、
PANCRACEファンから、そして修斗ファンから声援が飛ぶ。
この熱さは、去年のISM vs GRABAKAの頃の元気なPANCRACEを思わせる。

この打撃の中、和田は伊藤に組み付きテイクダウン、
インサイドガードを取るが、伊藤は派手な動きで体を逃がしにかかる。
それでも逃がさない和田、結局、伊藤からインサイドガードを取り直した。
ここからパンチを数発落とす、修斗ファンから歓声が。
伊藤はクロスガードでこれを防御。そして下からの意地のパンチで和田に反撃。
今度はPANCRACEファンからは歓声が。
そして、伊藤はこのグラウンドを意地で脱出、試合は再びスタンド勝負に。

試合はまたまた打撃戦、ここで伊藤のストレートが数発クリーンヒット。
和田はやや棒立ち気味に下がり始めた。これに乗じて伊藤はパンチを繰り出す、
またしてもストレートが数発ヒット、PANCRACEファンからは大歓声。
和田、これでは分が悪いとタックルにいくが、
伊藤はこれを切ってスタンドをキープ、
更に1・2パンチで和田を追いこむと、組み付いてテイクダウン、
サイドポジションから打撃を落としていく。

和田がガードポジションに戻しても、伊藤は意地の打撃を落としつづける。
その必死さに胸を打たれたPANCRACEファン、またまた大歓声。
しかし和田は下からの蹴り上げを伊藤の顔面に数発ヒットさせる、
修斗ファンからも歓声が上がったところで試合終了。

判定は1Rのイエローがそのままジャッジに響いて伊藤の勝利。
個人的には3Rの印象点込みで伊藤の勝利だと思う。

勝った伊藤は大喜びで勝利をアピールしていたが、
修斗の選手に1勝しただけで、全てが終わったわけではない。
何と言っても、この勝利の先には三島との再戦という大きな目標がある。
ここは勝利を重ねて、再戦を行なう事に説得力を持たせて行くしかない。

頑張れ、伊藤。

・・・ちょっと伊藤寄りの文章になっちゃったかな?
初参戦の和田もかなり良かったです。
これからも定期的なPANCRACE参戦を期待します。


第五試合 ライトヘビー級 5分3R
○ヒカルド アルメイダ(180cm/89.1kg/米国/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
●渋谷 修身(185cm/86.4cm/パンクラスism/4位)
[1R 3分25秒 チョークスリーパー]

ムエタイ修行帰りの渋谷は、ここ最近の2試合でGRABAKA勢を相手に絶好調。
8/25 梅田では、引き分けとは言え、郷野をパンチ一発で朦朧状態にし、
9/29 横浜では、佐藤を相手にグラウンドで圧倒し判定勝利。
打撃でも寝技でも調子がいい渋谷に、遅咲きのブレイクのチャンスが訪れた。
何故なら、今日の対戦相手であるアルメイダは、
「寝技の天下一武道会」アブダビコンバットでは常に安定した好戦績を残し、
UFCやPRIDEでも活躍している、世界でもその名を知られた強豪だからだ。
セコンドには、師匠のヘンゾ グレイシーもついている。
ここは是非とも、ヘンゾの前で勝利して、
「世界に渋谷あり」をアピールしたいところ、なのだが・・・。

その試合は、一方的な惨い展開に。

試合開始、アルメイダは距離を空けてローキックを放っていたが、
合間を見て奇麗なタックルを繰り出すと、渋谷はこれを切る事が出来ず。
テイクダウンを奪ったアルメイダは、インサイドガードから、
難なく、本当に難なくサイドへ移行。

パスガードの瞬間を狙って渋谷はリバースを狙っていくが、
アルメイダはしっかりバランスを取って、それをさせない。
それどころか、サイドからグラウンドでバックへ移行しスリーパーを狙ってきた。
絶体絶命の渋谷だったが、
バックを取られながらも立ち上がって体制の立て直しを図る。

しかしアルメイダは渋谷を逃がさない。
おぶさりながらのスリーパーから、再び渋谷をグラウンドへ引き込んだ。
尚も渋谷は必死に逃げようとするが、アルメイダは許さない。
我慢勝負の展開だが、最終的にはこのスリーパーがガッチリ決まった。
ああ渋谷、一巻の終わり。タップで試合終了。

PANCRACEファンの溜息が、会場を包む。
PANCRACEの強さのレベルそのものが否定されかねない試合内容。
アルメイダの強さが「このところは好調な渋谷」の輝きを完全に消し去った。
これからもPANCARCEへ定期的に参戦するらしいアルメイダに、
対戦相手として指名された菊田や美濃輪は「強さ」で答えられるのだろうか・・・。

この試合が落とした「影」は、何気に暗くて重い。

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10分休憩

おやつだけは大変に充実している今日の観戦。
アルメイダの強さに感嘆しつつも、元町で買ったコロッケを食うべく、
コートのポケットから取り出したら・・・、

どこでそうなったのか、見事にひしゃげていた。
あらららら、結構、楽しみにしてたのに。

ま、潰れたなりに旨かったのでNO問題。

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第六試合 ライトヘビー級 5分3R
○菊田 早苗(176cm/89.6kg/パンクラスGRABAKA/王者)
●エドワルド パンプロナ(177cm/88.4kg/ブラジル/ハイアン・グレイシー柔術)
[判定 3−0]

今年の菊田は、あまり良い所がない。

同団体の第二代ライトヘビー級王者という肩書きで、
満を持して再参戦したPRIDE20では、
アレクサンダー 大塚を相手に一方的勝利を収めたものの、
その試合内容は、絶え間なく挑発してくる大塚を最後まで極めきる事が出来ず、
一般層に「『アブダビ・コンバット優勝』『寝技世界一』も大した事ないな」
という印象を与えてしまった。

さらにはUFO LEGENDでは、
東京ドーム・ゴールデンタイム・生放送という絶好の機会に、
「寝技『真』の世界一決定戦」としてアントニオ ホドリコ ノゲイラと対戦。
しかし、結果は2R、打撃による失神KO負け。

今年は飛躍の年になるはずだったが、
残念ながらチャンスをモノに出来なかった印象の強い菊田。
何気にPANCRACEでは今年は最初で最後の試合(※注3)となるこの試合で、
その存在感を再アピールしたいところ、だったが・・・。

※注3 1月27日の後楽園ホール大会で岩崎 達也と対戦しているが、
    これはエキシビジョンなので除く。

1R、菊田はタックルでエドワルドをコーナー際へ押し込む。
体制を入れ替えてエドワルドは粘ったものの、
菊田は更に逆コーナーまで押し込んで、ここでテイクダウンに成功。
インサイドガード、下から腕を取りに来るエドワルドを潰してパスガード、
あっさりとマウントを取る事に成功した。「これは秒殺か!」会場に期待が高まる。

極めきれない。

何度もマウントとバックマウントを奪いまくった菊田、
マウントパンチ等で嫌がらせたりするのだが、
全くエドワルドを極めきる事が出来ない。
会場からは「菊田さん、極めちゃって下さい」なんて声援も聞こえるが、
菊田は相当にてこずっている様子。
相手が巧いのか、菊田の「極め」の技術がイマイチなのか。

エドワルドにスタンドで逃げられそうになったのを、
崩してグラウンドへ引き込んで、足を極めに行く菊田、
「極めるか!」という期待に会場は沸きかえったが、結局、これも極まらず。
エドワルドがこの体制から立ち上がり、
猪木アリ状態からのローキックとパンチを何発か繰り出した所で1Rは終了。

2R、菊田はタックルを慣行、これをガブッたエドワルドが上からパンチ、
菊田はコーナー際まで押し込んでテイクダウンを奪う。

極めきれない。

インサイドガードからのパスガードは難なく成功するし、
ここからマウントも取るし、
下からバランスを崩したエドワルドを逃がさず亀の状態からバックを奪ったり、
さらにマウントを取りなおしたり・・・と、
ポジション取りは相変わらず天下一品なのだが、
マウントパンチもなく、サブミッションも出てこない。
痺れを切らした観客からは、
「グラウンドのポジション取りだけで勝てる『アブダビ』じゃねぇんだ!」、
という厳しいヤジが飛び始めている。
ラウンド終盤にはアームバーや肩固めに移行する場面を見せたが、
これも極める事が出来ずに2R終了。どうした菊田。

3R、両者組み付き、
菊田がコーナー際まで押し込み、
あっさりとテイクダウン。

極めきれない。

インサイドガードから、
パスガードに成功してマウントを取ったものの、
何故か殴りにも極めにも行かない菊田。
「どうした菊田!」「寝技世界一はその程度か!」
と、そのヤジはさらにキツくなっていく。

ここからエドワルドに一度はハーフマウントに戻されたものの、
やはりマウントに戻してしまう菊田。
「もう良いよ、『ポジション取りは世界一』なのは分かったから」。

残り一分、さらに「菊田!極めろ!」の声援が大きくなる。
ここからマウントパンチを繰り出した菊田だが、
結局、観客の期待には答えられずに試合終了。
客席からは落胆の声や溜息が漏れていた。

判定は3−0で文句無く菊田だったものの、
調子の悪い一年、今年唯一のPANCRACEでの試合、
ここは何が何でも一本勝ちすべきだったと思う。

「今日は、しょっぱい試合でスイマセン。
 ベルトの防衛戦について、僕から挑戦者を指名したいと思います。
 近藤選手!この横浜文体のリングで待っています!」

このマイクで、観客は多少救われた気分になっていた。
菊田はPRIDE20での間の抜けたマイクに比べると、
こういうフォローは上手くなった気がするなぁ。


第七試合 ライトヘビー級 5分3R
○美濃輪 育久(175cm/85.6kg/パンクラスism/6位)
●佐々木 有生(182cm/87.2kg/パンクラスGRABAKA/3位)
[判定 2−0]

この試合、今年一年で「明暗を分けた者」の一戦。

「明」は佐々木。
元々、PANCARCE内でも隠れた人気を誇る選手だったが、今年一年でついにブレイク。
DEEP 4th IMPACTでは、ルタ リーブレの強豪のグスタボ シムと引き分け、
9/29 横浜では、PRIDEでも「ブラジリアン キラー」として有名な、
アレックス スティーブリングを相手に判定勝ち。
PANCARCE参戦以来の戦跡は7勝1敗3分。しかも今年は負けなし。
前回大会ではついに「世界に出る」事を口にした佐々木、
その前の「ケジメ」として希望したのが、
唯一、PANCRACEで負けている美濃輪との対戦だった。

「暗」は美濃輪。
今年の始めはPRIDE参戦も噂されていた美濃輪だが、
3/25の後楽園では、禅道会の百瀬 善規に負けに等しい引き分け。
続く5/28の後楽園、GRABAKAの佐藤 光芳に完敗。
この二戦での戦いぶりをみた尾崎社長には「3ヶ月の強制休養」を言い渡され、
その復帰戦となったDEEP 6th IMPACTでは、
U-FILE CAMP.comの大将である田村 潔司に敗北。
今年は勝ち星のない美濃輪だが、それでもファンの期待は大きい。
DEEPの田村戦で見せた「紅白の紋付袴」姿で入場してきた美濃輪、
今年の全敗は免れたいところだ。今日も出るか、無謀ファイト。

1R、距離を空けていた両者、まずは美濃輪がタックル。
佐々木はこれをガブッて美濃輪を亀の状態にし、
バックを奪って早くもスリーパーを敢行。
「やはり、お互いの『今年一年』を象徴するような展開だな」と思っていたが、
美濃輪はこのスリーパーを何とか凌いだ。

しかし、試合は佐々木のペース。
佐々木はインサイドガードの状態からパンチを落とす。
美濃輪は下からパンチを出すが、佐々木はパスガードに成功、サイドを奪う・・・、
と、このタイミングで美濃輪が崩しに掛かり、これが成功。
試合は再びスタンド状態へ。両者への歓声が大きくなる。

打撃戦、美濃輪のストレート、佐々木得意のミドルがヒットする中、
さらにミドルを繰り出した佐々木の足を取った美濃輪は、そのままテイクダウン。
美濃輪ファンの歓声の中、インサイドガードになるが、
佐々木は下からパンチを繰り出して、そのまま下からの三角締めの体制。
今度は佐々木ファンから歓声、これを美濃輪が振りほどいた所で1Rは終了。
ここまでは佐々木ペースであろうか。

2R、やはり出だしは距離を空ける両者、美濃輪はローキックで佐々木を牽制。
さらには1・2パンチをヒットさせると、佐々木からテイクダウンを奪う。
美濃輪ファンの声援がまたまた起きるが、
佐々木はクロスガードでガッチリ防御、下からパンチを突き上げる。
そして下からのスイープを狙って来るが、美濃輪はそれをさせない。
ガチガチにバランスを取って、佐々木を潰しにかかる。

しかし、上になっても極めもパスガードも狙って行かない美濃輪、
あくまで、このポジションをキープする事に拘っているようだ。
何だか美濃輪らしくないファイトだが、結局、このグラウンドはブレイクに。
ポジションに拘るあまり、体制そのものがブレイクになったのでは話にならんね。

距離を空けての打撃戦、元々は空手出身の佐々木、ミドルで美濃輪を蹴っていく。
しかし美濃輪はこの蹴りをキャッチ、テイクダウン。
インサイドガードからパンチを入れる美濃輪、
佐々木はクロスガードでガチガチの体制、2Rが終了。

う〜ん、佐々木は1Rは良かったものの、
2Rは美濃輪のガチガチファイトにてこずっている印象。
対する美濃輪、今日は「らしさ」が全くない上、何より「つまんない」。

3R、美濃輪はタックル、佐々木がこれ切って美濃輪の腕を取るが、
美濃輪はこの体制を崩してテイクダウン、上からパンチを落としていく。
佐々木はオープンガード、下から技を狙うべく美濃輪をコントロールして、
体制をリバースしインサイドガードを取る事に成功した。
佐々木ファンの歓声が上がる。

美濃輪は下から佐々木を崩しに掛かるが、
佐々木はバックを奪ってスリーパーの体制に入った。
美濃輪は必死に逃げるが、佐々木はしつこい。

ピンチになった美濃輪だが、
結局、このスリーパーを脱出、インサイドガードの体制・・・なのだが、
今日の美濃輪からは無謀さを感じない。この脱出劇も、いつもの美濃輪らしい、
「何だかよくわからない力で脱出」という感じではなかった。
そして何より、「ガムシャラに何かを極める」という攻めの姿勢も見えない。
残り時間も少なかったこの場面も、美濃輪はパンチでダメージを与える事を選択。
それも、いつもの無我夢中のパンチという感じではない。
バランスを取って、ミスのないように打っていったパンチ、
「らしさ」半減、すなわち、魅力も半減。

佐々木はこの体制をタイミングを見て脱出、
美濃輪は最後の最後に浴びせ蹴りを出してらしさをアピールするが、
当然、不発。佐々木が上になり、
インサイドガードからパンチを落とした所で試合終了。
佐々木も佐々木で、今日は「らしさ」がなかったように思える。
極めどころでカッチリと極めきれなかったり、
グラウンドでの鮮やかな展開も少なかった。
個人的には、ここ何試合かの中で最も動きが悪かったように見えた。

判定は・・・。
僕は「引き分け、か、『グラウンドでの攻め』で佐々木の勝ち」だと思っていた。
ところが、勝者は2−0で、何と美濃輪だという。
マジでかい?!オイオイ、PANCRACEは上になるだけで勝てる団体なのかい!
佐々木もこの判定は不満らしく、足早にリングを降りていた。
一方、勝った美濃輪は久々の「頂点目指すぞ!」のポーズ。
しかし、こんなファイトで勝っても、ファンは美濃輪についていくのだろうか?
無謀でなくても、攻める姿勢ももっと見せていれば、
ファンも納得しただろうに・・・。

正直、両者の期待の大きさを考えれば、
「大凡戦」と言って良い試合内容だろう。


第八試合 無差別級 5分3R
○鈴木 みのる(178cm/95.5kg/パンクラスism)
●獣神 サンダー ライガー(170cm/94.1kg/新日本プロレス)
[1R 1分48秒 チョークスリーパー]

本日のメインは、久々の鈴木のPANCARE公式戦。
対戦相手は、鈴木の新日本プロレス時代の同期、
「正直、スマンかった」でスッカリお馴染みの、
元・新日本プロレスの佐々木 健介(今年11月に、同団体を退団)・・・の代理人、
新日本プロレス時代は先輩だった、獣神 サンダー ライガーだ。

何故、ライガーが参戦する事になったかは・・・、
語るのも面倒なので各自調査。
会社の責任を背負って試合を飲み込んだライガーは男だ。

さて、この一戦を前に「『渦中の人』になれない人」、
佐々木 健介が会場入り、鈴木みのるが準備した招待席に座ると、
プロレスマスコミの人々がバシャバシャと写真を撮り始めた。
何か、アホらしさを感じるシーンだな。今の健介を写真に収めるくらいなら、
もっと収めるべき被写体は、この団体の中ですら色々とあるだろうに。

そんな中、ライガーの入場曲のイントロが流れ始めた。
そして「♪燃やせ、燃やせ、怒りを燃やせ〜っ!」という歌と共にライガーが入場、
これで会場のテンションが一気に上がり、手拍子が自然発生した。
へぇ〜、知らなかった。PANCARCEファンって、意外にプロレスファンも多いのね。

今日のライガーは、マスクは角を取ったシンプル仕様、
珍しいスパッツ姿での登場、色は純正の「白地に赤」。
そして、いつものように自分のコーナーに登って客席にアピール。
会場はさらなる大歓声に包まれた。
身振り一つで客席を沸かせられるのは「プロ」だ。

対する鈴木は、懐かしの「白のパンツ」にタオルを頭に被っての登場。
入場曲は、これまた懐かしの、
中村あゆみの「♪かっ・ぜっ・にっ・なれぇ〜っ!」。
これに対しても、会場は大歓声。そしてそのタオルを脱ぐと・・・、
おおっ、その頭は坊主ではないか。
やはり、新日本時代の先輩に対する気遣いなのだろうか

それにしても、凄い盛り上がり方だな。
「プロレス」独特の盛り上げ方が妙にツボにハマッた会場。
何だか、新日本プロレスの会場にいるみたいだ。

何はともあれ、大歓声の中、試合は開始。
まずライガーは、低い低い独特の構えで鈴木の出方を待つ。
・・・が、この間に絶えられなくなったライガー、いきなりの浴びせ蹴り。
新日本プロレスと変わらぬムーブに会場からは驚きの歓声が上がるが、
当然、これは不発。そして、ライガーの出した技はこれ一つのみ。

勝手に倒れたライガーの上になった鈴木、
ライガーは必死に下から体制を崩そうとするが、全く崩れていかない。
やはり総合格闘技での経験は、鈴木が何枚も上だ。
そして鈴木は、マウントをキープしたまま非常のパンチを浴びせていく。
嫌がるライガーが背中を向けると、鈴木はスリーパーで仕留めに掛かる。
これに対してライガー、成す術なくタップ。

「鈴木、秒殺!」。その瞬間、客席は総立ち状態。
弟子である窪田 幸生に肩車されてガッツポーズを取る鈴木に対して、
観客は大歓声でこれに答える。何か凄いな、この光景は。
この試合は最初から最後まで、いつものPANCRACEとは全然違うぞ。
さすがは、魅せるプロ同士の試合だ。

しかし、この試合の見せ場は、
やはりこの後の「鈴木劇場」にあるだろう。

ライガーと、たっぷりと間を空けてから抱き合う鈴木。(会場大歓声)
一発づつ張り合ってから、また抱き合う鈴木。(会場大歓声)

そして鈴木がマイクを持つ。

「ライガーさん、
 刀がちょっとだけ錆びついてましたね。(会場笑)
 でも、あんた最高だよ!(会場大歓声)」

これに答えたライガー。

「もう1回やろう。(会場大歓声)
 でも、今。直ぐやるとかなわないから、2年、時間をくれ。(会場笑)
 その時はブチのめすっ!(会場大歓声)」

ライガーはこの後もPANCAREに参戦する模様。
これはこれで楽しみではある。

さて、勝って気の良い鈴木のマイクはまだまだ続く。

「皆、知っていると思うけど、この試合は、
 一人の男が、やるだのやらないだのと、ごちゃごちゃ並べた上に、
 結局はそいつが男と男の約束を破っちまったから、
 こう言う事になったんだよなぁ!(会場大歓声)

 ライガーさんは男を見せたけど・・・。
 健介っ!お前、やるのかどうかハッキリしろっ!(会場大歓声)」

大歓声の中、健介がリングイン。

「お前、まわりにゴチャゴチャ言われた、
 俺の気持ちがわからないのかっ!」

・・・な、な、何て間の悪い発言だっ!
当然、会場は大ブーイングに包まれる。

「鈴木っ!俺とお前の世界を作ろうっ!」

鈴木とガッチリ握手。会場大歓声。

そして鈴木のマイクは続く。

「来年はPANCRACEの10周年なんだから、
 その記念興行で試合をしようっ!」

その後、フロントにその事を念押しする鈴木のマイク。
今日は何だか、この一試合で随分と「プロレス」テイストが強まったなぁ。
まあ、観ている側は面白ければ何でも良いんだが。

---

雑感:
純PANCRACE的には、ちょっと脆い部分を露呈した興行だと思います。
中台の弱さ、渋谷の敗戦、菊田の極めの弱さ、佐々木 vs 美濃輪の凡戦ぶり。
特に最近のPANCRACEはISM vs GRABAKAがかつての新鮮味を持たなくなってきており、
中々、自身の団体内で熱のあるカードを提供できなくなってきている気がします。
切り札カードである佐々木 vs 美濃輪が凡戦に終わった事が、
何よりもその事を象徴していると思います。

反面、「対 修斗」や「対 新日本」といった対抗戦色の強いカードは、
選手がその期待に答えて大盛り上がりを見せました。
これから先、しばらくは多団体の力を借りて盛り上がっていくのでしょうかね。

純PANCARCEファンの気持ちは複雑なのでしょうが、
個人的には、今日は「一本勝ち」も多かったし、
いい興行にはなったと思います。

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なお、この興行は12/23(日)にテレビ東京で放送されます。
1時間枠とちょっと短めですが、是非、チェックして下さい。

以上、長文失礼。




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