パンクラス対新日が、美濃輪対佐々木に勝つ
■団体:PANCRASE
■日時:2002年11月30日
■会場:横浜文化体育館
■書き手:リー監督(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 久々にパンクラスの横浜文体がほぼ一杯になった。ライガーが来る。ケンスキーが来る。そのおかげで観客が来る。というわけで、新日ブランドはかくも偉大だったのだ。一方で今までのパンクラスが一体なんであったのか、と考え込む。こうやって新日に美味しいところを持っていかれると困ってしまう。

 
【中台 対 岡見】

 試合経過を書くのを控えたい、と思わせる試合だった。新日の第一試合みたい、と書くと怒られるだろうが。

 
【砂辺 対 渡邊】

 もしかすると、砂辺は最強かもしれない。最初は渡邊がバックマウントからマウントの繰り返す展開で、どうなることかと思ったが、2Rに入って砂辺はトリッキーな動きを成功させる。妙なストレートパンチがあったし。そして、コーナーに押し込まれてからロープをかけのぼってフロント・チョークとは恐れ入った。これは反則じゃないのか。誰がこのようなロープワークを教えたのだろう。

 それはそれとして、砂辺は今後も怪我しないようにしていただいて、パンクラスのマットに上がって欲しい。色々な意味を込めて、「沖縄は最強」です。はい。

 
【三崎 対 小島】

 役者が違う。肌の色が違う。ヒゲが違う。技術が違う。声援を送る女性が違う。三崎はこれからパンクラスで伝説を残すかもしれないし、残さないかもしれない。誰にもわからない。

 
【伊藤 対 和田】

 うーむ。今日のワダタクはイマイチ。もしかして、三島・伊藤戦を観てパンクラスをなめていたのかもしれない。しかし、それ以上に伊藤の気迫が勝っていた。鈴木が ism でやりたいことの片鱗を観たような気がする。

 ルミナなどでお馴染みの、おんぶ・バックチョークに対しても頭から落として外す。なぜか打撃でも和田が上だったが、3Rになってスタミナ切れ。伊藤のパンチが当たるようになってからすっかり伊藤ペース。1Rに和田のローブローがあり、判定は伊藤で文句なし。でも、もう一度パンクラスでワダタクを観たい。

 
【渋谷 対 アルメイダ】

 アルメイダ、強すぎる。簡単にテイクダウンすると、その後渋谷は何もできない。それでも渋谷は目一杯頑張って抵抗していたと思う。誉めてあげたい。渋谷の気持ちが切れないことを祈るのみ。

 
【菊田 対 パンプロナ】

 休憩後。いやあ、菊田の相手にしては弱いよね。これでは某ブラジル大好き君の言うとおり、菊田の対戦相手なら「金魚」というのが正しい認識であろう。

 ヘンゾの叫びも虚しく、菊田は何度マウントを取ったことだろうか。でも、それで判定とはやや悲しい。試合後、菊田は近藤戦をアピール。その前にアルメイダやアローナとやって欲しいなあ。・・・と独り言。

 
【美濃輪 対 佐々木】

 美濃輪が総合をやろうとしているところもあって少し寂しいけど、負けられない一戦なら仕方あるまい。

 佐々木のバックチョークやらなんやらを全て気迫でひっくり返す。無理矢理パンチと無理矢理タックルから無理矢理上になる。その後、インサイド・ガードから足を抜こうとする動きに、少しビックリ。とりあえず、上をキープするまでの気迫が凄い。これで一皮剥けるかもしれないし、剥けないかもしれない。誰にもわからない。

 多分、佐々木は相当悔しいはず。戦術的にはまずくなかったのだけど。

 最後にライガーばりの浴びせ蹴りを当てたことが、ほとんど唯一の「魅せる美濃輪」らしさか。2−0で美濃輪の判定勝ち……、ということだけど、判定はこれでいいのかな。引き分けという意見が多そう。掣圏道のトータルバランシングルーズポイントシステムでも引き分けだろう。

 
【ライガー 対 鈴木】

 ライガー、94.1kg。鈴木は95.5kg。うひ。体型は新日だな。ライガー、ジャブからいきなり浴びせ蹴り。さすがに鈴木はかわしてライガーのハーフガード。鈴木、あっさりマウントをとって殴る。腕十字狙いなどフェイントを一杯かけて楽しそうな鈴木。最後はバック・チョーク。しかし、ライガーは凄い。明らかに負けがわかっているのに、わざわざ来てくれた。基本的にお客さんは暖かい拍手でOKの意志表示。新日は選手が負けても、興行で勝てば大丈夫な団体なのだなあ。

 試合後の鈴木のマイク「ライガーさん、ちょっとだけ錆びてましたね。でもやっぱりライガーさんは最高だよ!」

 それを受けてライガーのマイク「すぐにやったらまた今日の試合みたいになるから、2年後にやってやるよ。その時はぶっ飛ばしてやるからな!」・・・素晴らしい。やっぱりプロならマイクを練習しないと駄目です。

 ライガーの退場シーンに対し深々と礼をして見送る鈴木。そして、今度は健介へマイク。「ここでやるのか健介! おめー、はっきりしろよ!!どうなんだよ!!」。闘龍門チックな展開でドキドキする。

 そして健介が登場。予想通りのお約束に沸き上がる会場。「色々周囲の問題があって・・・・、お前だってわかってるだろ」。よく考えれば鈴木は「わかっていて」訊いてる筈なのだが・・・。塩の塩たる片鱗をみた。「あの時の青春を、オレとお前でもう一度作ろう!!」

 鈴木、尾崎社長と持田代表に「(鈴木・健介戦の)場所、作っておいて!!」ときたもんだ。「来年はパンクラス、10周年。パンクラスの10周年はオレが仕切る!!!」・・・なんとなく、気持ち良さそうなマイクで半分「おいおい今更鈴木かよ」だけど、残り半分は満足。おじさんの心は複雑なのだ。

 結局新日の勝ち。新日的興行論に慣れてないお客さんにも、まあまあ受けていたようなので、これはこれでありでしょう。次回もこれをやったら客は来ないかもしれないが。なんだかんだで瞬発力(=スターを作るシステムという意味)があるのは、総合よりもU系、U系よりも新日だった。

 パンクラスの会場に沢山の観客と取材陣を運んでくれた、ライガーと健介に感謝。ありがとう。
 
   
【おまけ】

 コアなパンクラス・ファンには評判悪そうな興行だった。今までコツコツと築き上げたものが鈴木やライガーに全部持っていかれるような印象が強かった。でも、それはそれで「あり」だと思う。

 来年早々には近藤対菊田のタイトルマッチがあるようだが、その先のカードがない。健介・鈴木戦は実現の可能性がまだあるようなので、それを含めた「祭り」(春・夏・秋)もあるらしい。興行的な手を打つことは危機感の表れだろうから、賛成。
 
 これからどうなるのか、お手並み拝見である。
  
  
第1試合 ×中台(判定)岡見○
第2試合 ○砂辺(チョーク)渡邊×
第3試合 ○三崎(腕十字)小島×
第4試合 ○伊藤(判定)和田×
第5試合 ×渋谷(チョーク)アルメイダ○
第6試合 ○菊田(判定)パンプロナ×
第7試合 ×佐々木(判定0-2)美濃輪○
第8試合 ○鈴木(1Rチョーク)ライガー×




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