HALLOWEEN with NOAH 箱舟の角が取れた日
■団体:NOAH
■日時:2002年10月31日
■会場:ディファ有明
■書き手:テック

2002年10月31日ディファ有明、NOAHの会場でハロウィンパーティー。全選手がキャラクターに扮してリングに登場!

凄い企画だ。通した人は誰なんだろう、かなり大胆だ。何が行われるか想像もつかない。ほとばしる不安と同時にこれを見届けないわけにはいかないという固い決意が芽生え、平日有明夜7時、賑やかなお台場を横目に、ゆりかもめにゆられた。

会場につくとダフ屋が「券余ってない?ないならあるよ」と。客入ってるんだなぁ、と思いつつ当日の立ち見券を求め売り場へ。そこでまず衝撃だ、松田優作のコスプレをしているおっさんが半笑いでチケットを売っているではないか。「これが本日最大の衝撃だったらどうしよう」そんな不安を抱えながらも会場入り。もぎりもグッズ売り場も仮装している。

人は入っている。けっこうお洒落なカップルやら女性客、中にはホスト系のアンちゃんなどがいる中に明らかなプオタが混じるという、あいかわらず珍妙な客層だ。でもこういうのを見ると、プロレスってまだまだ捨てたもんじゃないと思う。
公式HPやスポーツ紙などに「仮装してご来場ください! 」と書いてあったが、覆面レスラーに扮した人や、ナース、着ぐるみ、子供を仮面ライダーに仕立て上げたお母さんなど、ぱっと見、10人に1人くらいが仮装をしていた。用意された席はほぼ満員。都内のNOAHは相変わらず強い。隣には健康的な10代後半頃のカップルが、仲良く観戦のようだ。

第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負
ビッグ・ベン イホ・デ・リキドウザンwithマネージャー:スカイダイバー
V S
タイショウ ダーベイ

何が出てくるのかという期待と不安を持たせる入場が、このイベントのひとつの大きな見せ場だろう。まず出てきたのが足取り重たいスカイダイバー。パンプキンをかたどったレスラーマスクは、マイクで有名な彼です。入場曲をそのまま名前に。続いてイホ・デ・リキドウザン。「色、男」を刺繍した白マスクは、かの大レスラーの息子。ビッグ・ベンは、平井堅の「大きな古時計」で入場。5分で作った感じの時計の落書きが施されているマスクのアゴから下がった金の振り子がブラブラ揺れている。コーナーでそれを手に持つが2秒で壊れた。彼のネタはこれで終了。タイショウは、なぜか知らんが裸の大将に扮した永原。唐突なネタだ。おにぎりの工作が泣かせる。ダーベイは、ベイダーの偽造をした元力士。一宮のプロレス教室を受けた模様。

ダーベイの偽造以外は、まぁ普通に彼らのプロレス。マスク剥ぎならぬズボン剥ぎで惨めな姿にされたタイショウとダーベイに哀愁を感じるも、あいかわらずお客さんに唾液を引っ掛け(しかも唾避けの新聞紙をそれほど広げていない地帯に 涙)終了。

○ビッグ・ベン(田上 明)イホ・デ・リキドウザン(百田 光雄)with スカイダイバー(R・木村)
(9分03秒 リキドウザンの横入り式回転エビ固めをつないでのエビ固め)
ダ−ベイ(泉田 純) ●タイショウ(永源 遥)


第2試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負
VINNY ブラック・コブラ 吉 村
V S
ミスターX1号 ミスターX2号 ミスターX3号

空手の道がどうした、とかいう歌詞の「空手バカ一代」の曲に合わせて三人の空手着姿の赤覆面が入場。先頭から徐々に背が高くなる。最後尾の大男はマスクからもれる汚い長髪が魅力的だ。リング上で1号と思われる選手がバット折りのパフォーマンス。チョップなんかでアッサリ折れてしまうバットってどこに売ってるんだろう。2号(?)が大男の3号(?)に頭で割ってみろと訴えるが「死んじゃうよ!」の言葉で中止。お前なら割れるだろう。

吉村はボクシンググローブとヘッドギア、下半身プロテクターをした杉浦、と思ったが実況によると(音声は会場に入ってないが、肉声でも十分聞こえる)杉浦のボクシングトレーナーらしい。顔が似てる言い訳になってないぞ、それ。ブラック・コブラはザ・コブラを意識したであろうマスクマン。今ごろなぜ。VINNYは怪盗系アイマスクとビニール系のコスチュームで黒に固めた小柄の元ヘビーチャンプ。Xの三人は、選手コールの時に三人同時にアピールするという技で誰が誰だかわからんようにカモフラージュしたようだが、1号の次に3号をコールするというフェイントにアッサリ引っかかっていた。

さて試合、吉村が2号(?)にグローブでのパンチを繰り出すが、それ以外のやりとりは妙にやりにくそう。すぐにレフェリーによって取り外された。この吉村、ヘッドギアへの攻撃は効かないし、プロテクターに包まれているため急所攻撃も効かない。が、ヘッドギアをずらしての攻撃はむちゃくちゃ痛がってた。あとまぁ、やるとは思ってたけどXは、疲労した選手をレフェリーのブラインドをついてリングから下ろして他の選手に交換。コーナーで逆釣りにされた時も同じように。
吉村の「なんでそんな元気なんだよ!」「どう考えたっておかしいじゃないか!」等の叫びが妙にはまってておかしい。貴方はゼロワンでも通用します。極めつけは「お前、池田だろう!」やるべきことは全部やった感じだ。VINNYはいつも通りの動き。コブラ、この人はルチャやらせるとやっぱうまいなぁ。

吉 村 (杉浦 貴) ○ブラック・コブラ(佐野 巧真)VINNY(小川 良成)
(16分35秒 横入り式回転エビ固め)
●ミスターX1号(青柳 政司)ミスターX2号(池田 大輔)ミスターX3号(本田 多聞)


休憩が済み元の場所に戻ると、隣のカップルがマジギレケンカしていた。イタズラで出した手が本気で痛かったとかそんなことが理由らしいが、見た目普通に可愛らしい女の子が、男にシュートの蹴りを何発も入れている。こわ〜い、と思いつつ試合へ。


第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負
パンプキンです 月の者
V S
ホワイト7号 ホワイト11号

ホワイトは黒のマスクに黒のTシャツ。NOAHのデカいタッグがそのまま出てきた。腹が隠され、野暮ったい顔も見えないことにより、迫力が増している。こっちのほうがいいんじゃないか?月の者はホラー系のボロを身にまとっている。そしてパンプキンです入場。同じくおどろおどろしいテーマでボロ姿・・・かと思いきやいきなりテーマがアップテンポに変わりボロを脱いだその下は、かぼちゃ着ぐるみマスクに緑ラメのかぼちゃパンツで黄と緑混色タイツという、なんとも破廉恥なキャラが!曲は懐かしい、Winkの「淋しい熱帯魚」。詞のHeart on wave〜をハロ〜ウィ〜ンと掛け、見事に完璧なまでの振り付けを披露する。
これで奇跡が起きた。会場の爆笑と共に隣のカップルも爆笑、みごと仲直りを果たしたのだ。この選手の正体は、フリー契約ではあるが、NOAHで最もコワモテの彼だ!選手コールの時は「さ〜んぺ〜いです」のあのノリに合わせて「ぱんっぷき〜んです」のフリ。

試合もパンプキンですの独壇場。スリーパーで攻められるとポケットから取り出だしますはキャンディー。これにはたまらずホワイトも、それを手に掴み、しゃがんで開封にかかる。そこのスキを攻めるパンプキン。怒られるとゴメンゴメンのポーズで相手に戦意失わせ、再び攻撃、素晴らしい。月の者はボロを取られると3と書かれた黒覆面。それを取るたびに2.1.と数が減り、最後の1枚を取られると場外リング下に脱出。出てきたスティング調のペイント顔は、突っ込んでくるホワイトに毒霧噴射。

最後は2度目の毒霧をホワイトにカットされ飲みこんでしまい、苦しんだところを攻められ終了。退場前にパンプキンですは、おケツをぷりぷりして帰って行く。最後までその芸を貫いた。

●月の者(橋 誠)パンプキンです(斎藤 彰俊)
(12分43秒 ダブルチョーク・スラム→片エビ固め)
〇ホワイト7号(力皇 猛)ホワイト11号(森嶋 猛)


第4試合 タッグマッチ 45分1本勝負
SHURA BORO
V S
ZIZO ザ・カメハメハ

ザ・カメハメハはそのまんま、ハワイアンキャラ。ZIZOは、銀地の口と目だけが開いている柄なし覆面で、坊さんの格好をしている。正体は華奢が売りの彼だが、地道に鍛えたその体は、引き締まっていて実に逞しく、いつもより強そうに見える。無地の覆面より幸薄い素顔が、彼の最大の弱点なんだよな。BOROは黒くした細身のケインかな。SHURAは、白装束に白い長髪、モンスター系の白い特殊メイクという格好の怪奇系キャラだ。これが実に雰囲気がある。

試合は、合間あいまで常に祈る地蔵、妙に陽気なカメハメハ、奇声を発しながら普通に試合するBORO、という感じだが、SHURAがとても画になっている。ゆったりした動きから突然吠えて客をビビらせ、ついでにレフェリーもビビらせたりしつつ盛り上げる。動きを研究したであろうコブラクロ−などの反則技を見せて、かなり様になっている。正体の彼は、1回自分の固定されたプロレスから離れた方がいいかもしれない。これだけのセンスがもったいない。
ZIZOにとっては特殊メイクより普段の彼の方が数段怖いからか、SHURAに積極果敢に攻めて行き、潰れたカエルのようなフォーム(天然)の拝みダイビングヘッド等も見せるが、場外戦でSHURAが腰に巻いていた縄を使って鉄柱に括り付けた上に、マスクを180度逆にされ身動き取れなくされると、リング内でカメハメハが丸め込まれる。

○ BORO(金丸 義信)SHURA(秋山  準)
(13分34秒 首固め)
●ザ・カメハメハ(川畑 輝鎮)ZIZO(志賀賢太郎)


第5試合 6人タッグマッチ 60分1本勝負
ケビンマスクwithマネージャー:ロビンマスク 丸藤正道? リオン
V S
HALIMAO 独眼竜笹かマン BLAZE

ケビンとロビンはコミケのコスプレ並にはコスチュームの完成度がある。HALIMAOはタイガーマスクのテーマで現れ、格好はほとんどそのまま、白いタイガーマスク。仙台出身と思われる独眼竜笹かマンは良くわかんねえけど日本刀をもって黒覆面の上に眼帯をして出てきた。BLAZEは普通にカッコイイ線を狙ったであろうパンタロン姿のマスクマン(素晴らしいほどマッチョ)。リオンはライオンをかたどったマスクマン(入場曲:富士サファリパーク)かつては虎だった彼だ。
そしてなにより丸藤正道?。丸藤の入場用の仮面をした黒コスチュームでまとめられたその姿は、体型こそ以前より3割増で太って見えるが誰がどうみても丸藤?だ。「まるふじ〜、なおみち?(語尾上がる)」のコールに観客は「丸藤!?(語尾上がる)復帰おめでとう!」「丸藤!?(語尾上がる)おかえり!」と非常に暖かい声援が送られる(注:丸藤は今年の4月以来、腰を痛め戦線を離脱中)。余りの声援に恥ずかしいのか、久しぶりの試合に緊張したのか、丸藤?は試合中も仮面をしたままだ。

試合はケビンとHALIMAOが軽快なルチャの動きで引き締める。笹かマンは「お”え”え”〜」といういつもの声を発し、いつもの試合ぶりだ。リオンとBLAZEが相対すると、急に館内がピリッとした空気に包まれた。ここでBLAZEが気合入りまくり。強烈なチョップ連打をすると、リオンもエルボー、フライングラリアット、タイガードライバーなど、四天王戦であるかのようなハードファイト。するとBLAZEはハーフネルソンスープレックス、ついにはコーナーへ叩きつけるターンバックルパワーボム!今日の企画などお構いなしな気合の入りようだ。ひとり野暮ったい動きなのが丸藤?(略)。なんだか泥臭いプロレスを展開。やはり腰が悪いのか。客は「丸藤?らしくないぞ!」などの罵声。

そんなこんなでケビンとHALIMAOが鮮やかに動き、終盤にはケビンが原作オリジナルの技、ORAPやビッグベンエッジを、マンガの世界からリアルマットへと上手くアレンジし、見事に披露。会場もヒートする!そこでまた動きを止めるのが丸藤?だ。不知火を決めようとするも、あっさりコーナーに叩き付けられ不発。ラスト目前でとうとう仮面を脱ぎ捨てたその顔はなんと雅央だ!会場はどっひゃ〜。おりゃ〜ラリアットなどを見せ「持ち上げるぞ〜!」と満面の笑みでアルゼンチン。そこで終了。

ケビンマスク(鈴木鼓太郎)with ロビンマスク(丸藤 正道) ○丸藤正道?(井上 雅央)
(19分36秒 アルゼンチン式背骨折り)
HALIMAO(KENTA) ●独眼竜笹かマン(菊地 毅)BLAZE (小橋 建太)


それぞれの選手がそれぞれの見せ場を持っていて、まだまだ消化不良はあるものの、実に見所の多い大会だった。やればできるじゃん。しかしちょっと待て、選手達には、今日を迎えるために捻った頭を、是非、普段のリングでも使って欲しいものだ。NOAHには話題がない。変化が少ない。それが当たり前になってしまっている現状を打破するヒントが、実はこの大会の中にいくつも落ちていたのではないだろうか。試合前に客への謎掛けをし、リング上でその期待を上回るアンサーをつきつけることは、プロレスラーにとって必要なものだ。そのプロレスラー意識がこれを機に選手に芽生えたら、単なるその日のみの企画イベント以上の大きな結果を、今後のリングにもたらすと思う。




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