恐るべしノアヲタ
■団体:NOAH
■日時:2002年10月19日
■会場:愛知県体育館
■書き手:SMAP

10月19日、雨がぱらつく中、愛知県体育館(以下県体)へ向かった。
当日は、仕事のため18:00きっかりに会場入りとなったが、県体へ向かう道中どーも『今日県体でイベントがある』と言う雰囲気がしない。9月に行った新日ではこの県体がある名城公園の周りは路上駐車であふれ返っていたのだけど、今日はその路上駐車もまばらだ。
開始間際だからかもしれないけれど県体へ向かう人も殆どいない。暗い道を一人とぼとぼと歩いているうちに『あれ?今日じゃなかったっけ?』と不安になる。
新日では多く見られたダフ屋も殆どいない。県体の入り口近くになってよーやくそれらしい雰囲気になってきた。しかし、新日とは大違い。入り口前の広場には殆ど人がいない。当日券を買い求める人もまばら。遠くからでも会場ロビーが見える。
そんな中3000円の一番安い席を簡単にGETし会場内へ。
会場は花道を作り客席の1/4をつぶしている。しかもアリーナは席と席の間隔が広い。開始当初、アリーナ席は6割程度。スタンド席は半分以下だったが、最終的にはアリーナ8割、スタンド6割弱の入り。9月の新日の半分程度の客入りだ。MAXによると10/14の全日よりも少ないとの事。やはり名古屋では新日の圧勝なのだろう。
客層は殆どが30台〜40台。新日のそれよりも5〜10歳上だ。新日では見られなかったプヲタも見かけた。いつも混雑する売店での買い物もすんなり出来る。そして、客に『恐そうな方々』がいない。これはノアだけの特徴。闘龍門でも新日でもK―1でもプライドでもDEEP(特にDEEPなんてたちの悪そうな奴ばっか)でも『恐そうな方々』はいたのだが、このノアには殆どいない、いや全く見かけない。

そんなこんなで試合開始。
他の団体と違って前説も前振りもなく唐突に試合が始まる。

第一試合   ○百田(エビ固め6:52)×永源

いきなりこの試合である。殆どの方はどんな試合か想像できると思うのであえて内容については書かない。正直勝敗などドーでもいい試合である。
いきなり最初にこれをもって来るのがノアなのだ。そしてこれに乗っかり楽しむのがノアヲタなのだ。つまらない野次や茶化す笑いなど入れてはいけない。そんなことをしようもんなら、睨まれてしまう。(事実MAXは睨まれたらしい)まるでリトマス試験紙のような試合だ。俺はノアに試されているのか?三沢に『お前付いて来れるのか?』っと言われているような気がした。いきなりノアワールドを見せ付けられ少々面食らってしまった。

第二試合   ○KENTA(片エビ固め10:47)×橋

気を取り直して今度は若手同士の試合。
当然の事ながら最初っからガンガンぶつかりあう。しかし、ガンガンぶつかり合うとはいえ端っから大技の連発。エプロン際での裏DDTや場外へのダイビングヘッドバットなど探りあいも何も無い。最初っから飛ばしまくりだ。
その後体格に勝る橋が優位に試合を進める。レッグロックやアキレス腱固め、ハーフボストンなどでKENTAを攻める。時折KENTAも反撃をするが単発に終わりってしまう。
5分経過の後今度はKENTAの膝に攻撃を集中させる。しかしKENTAもスワンダイブのドロップキックなどで応戦。リバースのDDTなどを出すが橋を仕留めるには至らず。橋もキャプチュードっぽい技(なんて技か知りません)で攻め込むも3カウントは奪えず。
最後はKENTAが回転えび固めで橋を追い込み、掌底とキックのラッシュで橋からKOを奪い逆転勝ち。
っとまあ試合はこんな感じだったが正直見ているのがしんどかった。メリハリがあまり無い。しかし…会場内はノア愛に包まれている。試合中暖かい声援が飛び交っていた。辛辣な野次など無い。まさにここはノアヲタの楽園なのだ。

第三試合   モーガン、モデスト、○スコーピオ(エビ固め11:20)IZU、ジャスティス、×スリンガー

このメンバーの中で知っているはスリンガーとスコーピオだけだ。(知らない俺が悪いんですけどね)しかし声援は均等に飛び交う。IZUにもモーガンにも。
一人一人出てくるもんだから入場が長い長い。
試合は…あまり印象は無い。(MAXと喋ってたもんだから)なんとなく1980年代にあった日本のプロレスのようだった。それだけしか覚えていない。メモも取らずにボーっと見ていた。

第四試合   ○力皇(体固め6:58)×スティーブ

これまた知らない選手が出てきた。スティーブって誰?(知らない俺が悪いんです)
力皇は0-1に登場したりタッグ王者になったりと目を掛けられていると思ったがここに登場しているところを見ると…
これまた熱い声援が飛ぶ。第一試合から気になっていたのだが女性ファンの声援が多い。この試合でも女性ファンの『リキー!!』と黄色い声援が多く聞こえた。
試合は力皇が体格にものを言わせ相手を攻め込む。スティーブもヘッドシザースやネックブリーカーを出す。試合は5分過ぎアクシデントが起こる。トップローブ゜に登ったスティーブが飛ぼうとしたところどこかに足を引っ掛けてしまい、膝をいためる。心配そうに覗き込むレフリー。しかし試合は続行。力皇は足を攻めることなく張り手からのラリアットってピンを奪う。あれはマジだったんだろう。

第五試合   井上、○本田(タモンズ・シューター13:52)×川畑、森嶋

よーやくおなじみの選手登場。しかしアンコ型の選手がそろったもんだ、ってノアは多いんだっけ。
試合は開始当初から井上組が川畑を捕まえ攻め込む。森嶋は交代できずイライラした様子。ようやく交代し、森嶋のタックル一発で会場が沸く。
しかし、すぐに試合のペースを握る井上・本田。逆エビなどで川畑を攻める。森嶋もたまらず出て行くもレフリーのチェックに有ってしまう。
その後よーやく森嶋に交代。体格に物を言わせラッシュする。ボディーアタックやラリアット等。しかし3カウントは奪えず。
その後井上・本田が合体技を繰り出し、最後はSTF…じゃなかった、タモンズ・シューターで決着。
非常に安定感があって良い試合だと思う。特に井上は上手く試合をリードしていた。しかし、イマイチピンと来ない。そんな彼らにノアヲタはこれまた優しい。

第六試合   鈴木、佐野、○小川、三沢(岩石落とし固め19:36)青柳、×杉浦、池田、田上

何だか、人員あわせでまとめて出してきたような試合。
8人別々に入場か?と思いきや4人同時に入場。長くならなくて良かった。
先に池田・杉浦・田上・青柳が入場。地元出身の青柳に声援が飛ぶ。自コーナーの最前列に横断幕を持った応援団らしき人々がいた。
次に小川・鈴木・佐野・三沢が入場。ここで初めて会場から『ミサワ』コールが起こる。
開始直後は鈴木が軽量を生かし飛び技で攻めるも、青柳につかまり蹴りを受ける。この青柳の蹴りを出す度に前記の応援団から歓声が飛ぶ。ワザワザ相手を場外落としてまで応援団の前で蹴りを見舞う大サービス。
試合は5分までは小川が技を受けまくる。その後も小川が殆どの技を受けまくるのだがこれが上手いの一言。こう言う選手がいると団体側は大助かりだろう。
5分過ぎようやく三沢が登場。っと同時に『ミサワ』コールが会場から起こる。しかし田上と少しと絡んだだけで交代。その後も三沢は殆ど田上との絡みばかり。お疲れなのだろうか?
一方の田上はと言えば、動きもそこそこで良い味を出している。しかしそれはノアでの事。他団体では???
10分過ぎ佐野のロメロスペシャルが出て会場が沸く。その後も相変わらず小川が技を受けまくる。鈴木のドロップキックが綺麗に決まる。
15分前後軽量の鈴木を田上、青柳が交互に攻めるもピンを奪うまでには行かず。三沢は相変わらず田上とばかり絡んで攻め込まない。
その後杉浦のスピアー3連発などが出て、4人がかりで小川を攻めるも仕留められず。
今度は三沢軍が杉浦を4人がかりで攻める。このあたりから展開が早くなる。
最後は小川のバックドロップホールドで杉浦からピン。
期待の三沢は余り活躍しなかったが、試合的にはまとまった良い試合だと思う。しかし余りにも予定通りで物足りなさも感じないではない。でもノアヲタは大満足なのだろう。

セミファイナル GHCジュニアヘビー級選手権
○金丸=王者(片エビ固め16:53)×菊地=挑戦者

試合は開始当初からお互いに激しくぶつかり合う。
金丸がコーナーに逆さ吊りにして菊地をいたぶると、菊地はじっくり金丸を攻める。この菊地、技の一つ一つにひねりを加えている。例えばキャメルクラッチに捉えても顔面をウォッシュしたりと単純には攻めない。
5分過ぎ試合は場外へ。菊地が花道でブレンバスター2連発を敢行。ここから菊池が有利に攻めだす。ボストンクラブやキャメルクラッチなどジワリジワリと攻める。
10分過ぎ金丸が攻勢に転じドロップキック等の飛び技打撃系が飛び出す。
その後両者大技を連発、ムーンサルトやジャーマンなど。
15分過ぎ菊地がジャーマン3連発を出すもピンは奪えず。金丸も垂直落下式ブレーンバスターとムーンサルトを出すもカウント2。更に垂直落下式ブレーンバスターを出しカウント2で返されると、それならばとトップロープからの垂直落下式ブレーンバスターを繰り出しようやくカウント3。
良い試合なんだけどぶっちゃけ見ていてしんどった。下手な試合でないし、モタモタした試合でもない。しかし見ていてあくびが何度も出た。(寝不足なのもあるけどね)菊地の試合は何度も見ているし嫌いな選手じゃない。何度も書くけど悪い試合ではないのだが・・・


メインエベント GHCタッグ選手権
斉藤、○秋山=王者組(体固め31:11)×志賀、小橋=挑戦者組

ようやくメインへ。ここまで悪い試合はない。時々新日に見られるような『なんだこりぁ〜』なんて試合はない。凄く安定しているし、体が大きな選手が多い分迫力も伝わってくる。しかし・・・・今ひとつ物足りない。満腹感までは程遠い。

試合前、高山がTV解説の為会場に現れる。その時大きな歓声が起こる。
先に挑戦者組が登場。ここで大『コバシ』コールが起こる。三沢のそれより全然大きい。いや、新日の蝶野コールよりデカイだろう。ノアヲタにとって小橋は象徴的存在なのだろう。何処にも汚されていない、直向きにプロレスを追及する、そんな姿がノアヲタを痺れさせるのだろうか。
続いて王者組の登場。斉藤が花道でポーズを取り派手な入場をする。今日唯一の客へのアピール。地元という事で幟が何本か見られる。その一方で秋山は淡々と無表情で入場。
試合は秋山が志賀を完全に格下扱いをする。このことがこの試合のキーポイント。
小橋、秋山の先発でスタート。
両者ファーストコンタクトの前の探りあいで会場がシーンとなる。手四つで両者に声援が送られる。
その後志賀に交代するも相変わらず秋山は志賀を格下扱いする。それに突っかかる志賀だが秋山は微動だにせず、志賀の技を全て潰しに掛かる。そんな志賀の頑張りに観客志賀に声援を送るが秋山は我関せず。逆に客のヒートを煽っている。その後秋山は完全にヒールなり客をヒートさせる。志賀も客に押されてって訳じゃないだろうが王者組を攻めるもイマイチダメージを与えるには至らず。特に秋山などは全く聞かないそぶり。
その後小橋も出て、独特のブレーンバスターなどで応戦するも王者組に慌てた様子もない。
10分過ぎ。ここから志賀のローンバトルが始まる。秋山のえげつない攻め、斉藤の蹴りなど技を10分以上1人で技を受けまくる。秋山がニードロップを落とすと客からブーイングが起こる。その客に向かって怒鳴りつける秋山。これが又素晴らしくかっこ良いのである。秋山は絶対ヒールになるべきだ。
20分過ぎ10分以上のローンバトルを耐え抜いた志賀が小橋と交代。ここから10分以上のハイスポットが始まる。とてもここでは書ききれない。
正直これほどの激しい攻防は余りお目にか掛かれない。正にノアの真骨頂、底力を見た。
秋山はエクスプローラー(だったっけ)を何度も出し、小橋はハーフネルソンの高速スープレックス(スイマセン技名を知りません)を連発。また、小橋のラリアットや秋山の蹴りなどが繰り出される。正に息もつかせぬ攻防が続きカウント2の連発。志賀も何度も何度も追い込まれるがその度にキックアウトや小橋のカットでカンウト2で返す。
兎に角4人が4人ともノンストップで動きまくる、凄いの一言。
最後は秋山がデスバレーボムのような技(またまた技名がわかりませんスイマセン)で志賀からカウント3を奪う。この間会場のボルテージは最高潮。観客の多い新日に決して引けを取らない盛り上がりと声援。
試合後、勝利者インタビューを受けていた秋山がおぶさって退場し様とした志賀に『立て!志賀!立って帰れ!!』と怒鳴りさっさと引き上げた。この日唯一のマイクアピールだった。
本当にこの試合の秋山は良かった。ヒールとして抜群だ。今後彼がどのようなキャラで行くのかわからないが俺は断然ヒールを薦める。それも冷徹に相手にえげつない攻めをするヒール。絶対彼なら日本一いや世界有数のヒールになれると思う。
兎に角凄いの一言に尽きる。最後の10分以上のハイスポットには感服した。これぞノアの底力を見せ付けられたような試合だ。正直セミまでだるかったのが一気に吹き飛んだ。十分満足どころかゲップまで出る試合だった。

っとまあここで試合は終了するのだが・・・
まさにノアワールドを見せ付けられたと同時にノアヲタの空間というものも味わった。
新日の客とは明らかに違う。悪く言えば閉鎖的だし良く言えば自分達の楽しみ方を良く知っている。
これは予測だが今日来た客の殆どは前回の新日には行ってないだろう。雰囲気が全然違う。
観客の数は新日には及ばないまでも客の熱は新日以上かも知れない。ノアヲタの力を見た。っと同時に彼らの空間には容易に入り込めそうにない。『ノアだってワークじゃねーか』なんて言おうもんならぶち殺されそうな雰囲気だ。
前回の新日の観戦記で『名古屋は新日が大好き』と書いたが、数は少ないがこう言った客もいるのだ。新日ファンだけじゃない。あの空間とは別の空間で喜びを得るプロレスファンもいる。
ノアヲタ恐るべし。




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