今年で3年目。DDTのお祭りプロレス
■団体:DDT
■日時:2002年10月12日
■会場:自由が丘三井住友銀行駐車場
■書き手:夏 (ex:「It's Just Another ORDINARY DAY」

自由ヶ丘女神祭り・前夜祭のアトラクション、お祭りプロレス。
今年で3年目の開催だそうですが、観戦ははじめて。当然、入場は無料で、さらにビールも無料でふるまわれます。流石、お祭り。こうでなきゃ、な。
会場は三井住友銀行の駐車場。決して広くはない普通の駐車場なのですが、中央にデンとリングがおかれ、観客は、入り口以外の三方に敷かれたビニールシートに座って観戦します。もちろん早い者勝ちということで座りきれない人は立ち見、さらに路上にまではみ出してのプロレス観戦となります。無料だしビールはタダだしお祭りだし、ということで個々に不満はあるでしょうが、ま、これはこれでアリなんじゃないの、といったところ。
そして、最大のポイント、というか違和感は、駐車場が奥から入り口方面へと全体的に傾斜があり、そこにリングを設置したもんだから、リングも傾斜しているんです。お祭りプロレス名物の斜めリング、だそうで。
これも3年目ということからか、「今年はちょっとナナめがキツいんじゃない?」などとみなさん鷹揚にしてらっしゃいます、慣れたもんです。ホントいいんですよ、ユルーい雰囲気で。ビール効果だね。

まずはチビっ子プロレス教室。先生はハリウッド・一宮・ホーガン。内容は一宮のネタ大会。長州力エクササイズ体操など、DDTファンじゃないプロレス・ファンにもアピールするネタで盛り上がる。ネタがおもしろく、アドリブもきく一宮は、マジでタレント向きですね。
で、ここで藤沢一生がメイン出場をアピール・・・というこの日用のミニ・ストーリーがはじまるのですが、その辺りは2chのスレッドとかに詳しく書いてあるんで、そっちを見てください。不親切ですみません。試合内容はおもしろかったけど、「お祭りプロレス」の一言ですんでしまうようなものではありましたから。

この観戦記で書きたかったのはズバリ、私の斜め前に座って観戦していたAくん小学4年生(推定)のことなんです。お祭りだからということで、おそらくは地元商店街関係の両親と兄弟、友人と来ていたAくんはプロレス観戦が、はじめてだったんだと思います。
そして、第1試合の藤沢一生vs坂井良宏から、野次りまくり。いや、本人は野次ってるつもりはないんでしょうけどね。でも、狭いビニールシート上だし、オープンの会場でもあり、その声はクリアーに響きます。
「どうして?当ってないのに倒れるの?」
「痛くなさそう〜」
「なんで?(よけないで)待ってるの?」
悪意はないんです・・・ちょっとはあるかな、生意気ざかりのお年頃だし。両親をはじめ周りの優しい大人たちは聞いてないふりをしています。でも、Aくんの野次、いや疑問は止まりません。
「あ、これで終わり?」
「(「昭和」子見て)弱そう」
「(三和太見て)デブ」
ごめんなさい。王様は裸なんです。大人は黄色い泡の出る液体に騙されているだけなんです。Aくんが正しいんです。ごめんなさい、ごめんなさい。
なんとなく、こんな気持ちになりながら、ボーっと試合をながめるしかない私でした。

しかし第3試合に「プロレスvs柔道」と銘打って行われた橋本友彦vs諸橋晴也の大バンプ大会あたりから、Aくんの野次は聞こえなくなりました。
おお、技の迫力に気づいて声もでなくなったか、といい風に解釈したい私ではありましたが、油断できません。飽きてるだけなのかもしれませんから。

そしてセミ。DDTにおけるタイトルマッチ級のカード、佐々木&GENTAROvsポイズン&蛇影。ポイズンとGENTAROの場外乱闘が私たちの席までやってきたりしています。酔っ払った大人たちがキャーキャー言って逃げる中Aくんの心境やいかに。
と、ここらあたりからAくんの声が再び聞こえてきます。
「おお」
「うわっ」
ふんふん。私たちプロレスファンが思わず会場で呟いてしまう、あの声のようにも聞こえます。つまりは試合に集中している声なのでしょう。いいぞ、Aくん。

メインは高木&一宮&藤沢vsMIKAMI&鳥羽&坂井(ちなみに藤沢は無事メインに出場できました)。高木組の悪党ファイトとスーサイドボーイズの華麗な技が交錯する好試合。わかりやすく正しい、お祭りプロレスです。
2002人(超満員)の場内も大盛り上がり。
さぁ、いよいよフィニッシュ。決め技はトップロープから舞い降りるMIKAMIの450°。
ここでAくんが、思わずもれたという風に、声を発しました。
「かっこいい!」

ここに新しいお仲間が誕生しました。連休明けの火曜日にAくんはクラスの友人にこう告げたに違いありません。
「この前のお祭り行った?プロレス見た?すっげぇ、かっこよくておもしろかったぜ」
友人たちのすげない返答もあったでしょう。
「見ないよ。だってプロレスってインチキなんだろ。そんなもん見るなってお父さんが言ってた」
しかし、自分の目で見て体験したAくんは負けません。
「駄目だなぁ。見なきゃ。だってすっげぇかっこよかったんだよ。迫力あるんだよ。オレもインチキかなー、ってちょっとは思ったけど、でも、かっこよかったもん。おもしれーよ、プロレス」この時のAくんの目は、かつて土曜日の朝、猪木だ、長州だ、タイガーマスクだ、と叫びあってた私たちの目と同じように輝いていたことでしょう。

そうだよ。おもしれーよ、プロレス!




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ