DEEP2001 〜2002年のUWF〜
■団体:DEEP2001
■日時:2002年9月7日
■会場:有明コロシアム
■書き手:Dick

DEEP凄かったよー!寅板OFFも凄かったよー!つーか、始発まで飲んでたからまだ眠いや。。。。

しかしですね、誰が何と言おうとこの夏のベスト興行であったことは疑いなし。ほんとほんと。
つーことで、シュート活字ならぬKOK活字(自称)による観戦記をどーぞ!!

第一試合

大久保vs一宮

一宮は誰を偽造するのか?ヒクソンか、ガファリか、それとも吉田なのか。 注目の入場シーン、流れた曲はラストオブモヒカン! グレーシートレイン、というよりは仮装むかで競争といった感じの一団の中に、図体のでかい白人の姿が。ジョシュだ!まだ日本をウロウロしてるんだ、こいつ。おかんを交えてTKとの対談企画とかやってほしいなぁ。

試合の方はヒクソンムーブをやるひまもなく、ローを一発出したところで差し合いからグランドに、あっさり十字が決まる。一宮、ヒクソンを偽造するつもりが一戦目の高田になってしまいました。やっぱしガファリやってほしかった。。。

第二試合

長南vs臼田

小林まこと「柔道部物語」のキャラみたいなヒラメ顔の長南、最初から狙ってる様子がありあり。案の定ゴングと同時に突進し、もんのすごい飛びヒザが臼田を直撃!!崩れる臼田にのしかかってマウントパンチでおしまい。すげえー。。。。長南、やっぱりいい選手です。でも欲を言えば、ほんとはもうちょっとレスリングが見たかったな。

第三試合

滑川vs宮沢

頭にリングスのフレーズをつけた入場テーマ曲をバックに、なんか柄の悪い二ーチャンがそろった「ごんたくれトレイン」で登場の滑川。リングスイズムを背負うことにこだわる男がここに一人。

しかしスタンドでのレベルがここまで違うとは思わなかった。差し合いからあっけないほど簡単に宮沢の上を取ってボコり、鼻血を出させる。打撃の方もまったく危なげなく、ヒザを入れまくり終始宮沢を圧倒、寝ては足関でのフィニッシュを狙う余裕まで見せる。あきらめずにバック投げや決めぞりで意地を見せる宮沢だが、ラウンドがすすむごとにどんどんダメージが蓄積されていく。最後は驚異的な粘りを見せる宮沢の首をへしおらんばかりのフロントチョークでおしまい。でも、宮沢という選手の強さ、心意気も十分に見せてもらいました。

暴れ足りない滑川、試合後にとんでもない行動に出た。トロフィーだかカップだかを渡しに来たラウンドガールに対し、今日の全試合で一番鮮やかな胴タックル一閃!すばらしいテイクダウン!! ヤラレた女の子、滑川の野獣っぷりにマジでひいてました。だめだよ、ちゃんと抜かないと(笑) 佐伯さんにどこか連れてってもらいなさい。

今日の滑川、最後の最後まで完璧でした。だけど同格、格下の日本人選手とやると、結構凄惨な試合になっちゃうな。しばらくvs日本人はやる必要ないんじゃない?できれば滑川のほとばしる情熱と野獣性とを生でぶつけられるレベルの、生きのいい外人選手とやらせてあげてほしい。ブラジル人でもいいけど、やっぱりエギリウス・ヴァラビーチェスへのリベンジが見たい!!

第四試合

ホーキvsライアン

いやぁー、ホーキ強いわ。こりゃ村浜が相手にならないわけだ。ひとまわり体の大きいライアンに、スタンドでもグランドでも、まったく自分の闘いをさせない。柔術系の選手という知識しかなかったけれど、両足タックルも速くて上手い。ライアンの良さを完封したホーキの判定勝ち。完勝。

何も格闘技のことを知らない人がこの試合を見たら、どう思うだろう。小柄な外人二人が取っ組み合ってごちゃごちゃしてるだけだ。にも関わらず、ここでは数千人がリングの上の闘いを理解し、息を飲み、声を上げている。なぜか? プロトタイプとしてのUWFがあったからだ。佐山聡がいたからだ。前田日明がいたからだ。杉山編集長がいたからだ。そして総合格闘技という言葉のもと、そこに携わった全ての人の努力があったからだ。

自国の選手を応援するだけではなく、強いもの、美しい動きを見せるもの、最後まであきらめずに闘うものを評価し、試合が終わればノーサイド、賞賛して拍手をおくるという観戦姿勢は、勧善懲悪やナショナリズム以外の楽しみ方があるということをファンに刷り込んできた、ジャパニーズ・スタイルのプロレスと、そこから派生したUWFというムーブメントがあったからこそ成り立っている。よくも悪くもプロの総合格闘技興行のプロトタイプとしてのUWFがなかったら、おそらく僕はここにいない。

でも、それだけだ。 残念ながら今のところ、この攻防を楽しめる日本人の実数は、たぶん数万人というところだろう。たったそれだけのマーケットで、何人の選手と関係者とが、いったい何年間食べていけるだろうか? ということは、PRIDEvsK1もなんちゃってVTも、それは必要なものなのだ。けれどいつまで?いつまでそうやっていれば良い? 真摯に、総合格闘技のエンターテイメント・スポーツ化というものを、考えていかなきゃいけない。そうしないと見たいものが見れなくなる。

きっと、近道は無い。見たいなら、見たいと他人に思わせるだけの思いを自分の言葉で語れ。そして、できるならば、直接的でも間接的にでもいい。ジャンルに金を落とせ。
見たいなら、それしか無い。

第五試合

ドスvs中野

スカイハイとあしたのジョー。明らかに、肉体の質量が違う。勢いも違う。でも、崩れはしたが一瞬のスキをついたフロントフェースロックで、中野は意地を見せた。もちろん体力差は歴然、最後は簡単にバックを取ってスリーパー。何度どか腕をはずしてしのぐも力尽きてタップ。終わってみれば完勝だけど、ドスに輝き無し。恵まれた体格と身体能力に、恵まれたコーチ。なのに輝き無し。ケンゴ病が移ったかもしれないな。

第六試合

メロvsヤノタク

メロ、打撃がすげー上手い。まさに寝て良し、立って良しってやつ。アグレッシブだし、いい意味でも悪い意味でも小型アローナ。一方ヤノタクはいつものヤノタク。キカイダー柄のスパッツからサイドキック、どうにか寝技でのせめぎ合いに持ち込もうと罠を仕掛けるが、多分研究されてるんだろう、メロは思うように攻めてきてくれない。途中、立って戦おうとしない相手にあきれて一瞬背中を向けたメロに、ものすごいスピードで飛びかかるヤノタク!!残念ながらふりほどかれるも、場内大歓声。ま、サプライズはその一回だけで、結局いつものパターンの判定負け。メロは強いね。また来てほしい。

さて、ヤノタクに対する客席の反応を見てると、桜庭の闘いと少しかぶる。でも、矢野卓見の試合でステレオタイプの「ヤノタク」が見たい/見せたいなら、たまには明らかな金魚とのカードを組まないとね。

第七試合

上山vsフェレイラ

上山の生涯ベストバウトかも。
フェレイラはBTT所属だけど完全に打撃屋で、体型はぜんぜん違うが初期のシウバみたいな闘いぶり。開始早々いきなり大振りのパンチが上山を捉えた!っと思ってタイムキーパーがゴングを鳴らしてしまい場内騒然とするが、なんのなんの、上山しっかりタックルに行っている。何度もテイクダウンに成功するが、フェレイラさすがにディフェンスだけはBTT仕込み、なかなかパスガードさせない。スタンドに戻ると捕まることを恐れてフェレの踏み込みが足りないのか、何度かひやっとするパンチやヒザが入るも、上山さほどのダメージはない様子。両者どのラウンドも常に積極的に攻め続け、先にスタミナが切れたのはフェレイラの方。そりゃ下であれだけ暴れりゃ疲れるわ。後半はスタンドでの切れもなくなり十字でフィニッシュ。

試合後はU-FILEのセコンド連中が「冷やし中華はじめました」、もとい、「挑戦者求む!」の横断幕を広げてDEEPミドル級のベルトをアピール、アマチュアチックな芸はほほえましいが、上山よ、こういう試合をした時はマイクアピールしてもいいんだよ(笑)。

第八試合

ホジェリオvsTK

TKはスタンドでの弱点を強化できていない。コンパクトに中心線を狙ったパンチが打てる今のノゲイラ兄弟を相手にするには、そのガードの甘さは致命的だ。テイクダウンからグランドへの攻防でも、8:2でホジェリオが上にのる。途中見事な払い腰も出たし、再三狙っていた七色のTKシザースから、一度は変形ヒザ十字などが極まりかけるも、終始上にいたホジェリオの勝ち。金的アクシデントでイエローがホジェに出てたから際どい判定になるかと思ったが、結果は順当に3−0。変に言いがかりをつけられるネタを作りたくなかったか。

悲しい試合だった。でもそれはTKが負けたからじゃない。自分が弱いから負けた、本人はそういうだろう。でも、それは違う。

「殴ればボクサーを、投げれば柔道家を、蹴れば空手家を、極めればサンビストを上回るような、レスラーはそういうものであるべきだ」という言葉から始まった日本のプロ総合格闘技だが、現時点ではまだ「柔道家を蹴り、空手家を投げ、サンビストを殴り、ボクサーを極める」という世界から抜け出ていない。世界レベルの技術を持つ二人の試合であってもそうなのだ。総合格闘技には、柔道家がサンビストを極め、キックボクサーがボクサーを殴り、プロレスラーがアマレスラーを投げ飛ばすシーンがあってもいいはずなのに。

グランド顔面パンチのある競技では、絶対に下になってはいけない。下から返す、極めるといった技をいくら持っていても、そこでのしのぎあいより、ポジショニングという絶対の法則下での争いのほうが、このルールでは上なんだ。TKもホジェリオも、そんなことはわかっている。だから、実力の近い選手同士が100回やったらそのうちの95,6回はこういう試合になる。どっちが上になるかは知らないが。

これは北海道の海沿いの旅館で、夕食にマグロの刺身を出すような試合。カニやホタテやドンコを食べに来たと言うのに。脂ののったマグロは確かに上手い。でも、どんな時でも常にそれが一番の、究極の御馳走か? それがグローバルスタンダード? 嘘だ。
二人にしかできない試合を望んでもそうならないのは、選手のせいだけじゃ無い。格闘技の、そして人間の可能性を引き出すためのトライアルをしていかない限り、VTというルールの限界が総合格闘技を縛り続ける。

セミファイナル

三島vs伊藤

ド根性ノ助、初めて見た。すげー強い。最初の突進でコーナーにつめ、真下に落とす決めぞりを完璧に決める。あっというまに上を取るとそのまま十字、伊藤すぐにタップ。まさに圧倒的な実力差。コッパ(木っ端みじん)にされたというか、チギられたというか。地団駄を踏む伊藤を尻目に、大喜びでふざけたようなパフォーマンスをえんえん繰り返す三島。こりゃやられたほうは悔しいよ。これでも意地が悪くないって言うの? 本人が嫌みじゃなくて天然でやってるならば、さらにタチが悪いと思うんだけど(笑)。

伊藤の再戦アピールには失笑がもれた。だってそこには明らかな嘘があるんだもん。あれだけの実力差があったら、組み合った瞬間に自分の無力さを思い知らされたはず。そんなところで人目気にするのがプロ意識だと思ってるなら、それは勘違い。いいから黙ってね、勝つための練習をするしかないんですよ。どうしても言いたいんだったら「いつかもう一度やってください。」とすべきところだね。数カ月で縮まる話じゃないってことは、自分が一番わかってるはずでしょ。


メインイベント

田村vs美濃輪

長い長いペンギンの話って本が昔あったけど、長い長い前振りのあとでノボリの間を巫女さんライクな赤白衣装の美濃輪が入場。たっぷり二分はかけてたな。田村はいつもどおりで、四方に礼のあとコーナーに戻る前に、美濃輪に「キッ!」と目を向け一秒間。会場の期待感と緊張感、一気に高まる。

ゴングが鳴るといつもの左ミドルを狙う田村に、美濃輪はいきなりあびせ蹴りの奇襲! どよめく観衆。しかし田村は慌てずに組み合う。最初にテイクダウンを取った美濃輪、自分のコーナーちかくでグランドの田村にパンチを落とそうとすると、パンクラスセコンドから耳を疑うような指示が飛ぶ。「目と鼻狙って!」たぶん、みのるだ。セコンドは二人とも身を乗り出して、エプロンに半分乗るようにして指示を送る。
「パンクラスのセコンド、前に出過ぎだよ!」セコンドが邪魔で攻防が全く見えずに怒った観客を振り返り、ガンをとばすみのる。でも今日は、お前の「プロレスラー」ごっこを見に来たんじゃないんだ。

格闘技の試合でのセコンドの重要性っていうのはよく分かる。だけど、選手がセコンドのあやつり人形のように動くところなんか見たくない。戦っている自分一人にしかわからない皮膚感覚っていうものがあるはずだから。しかも今回の試合は、ルール上での勝ち負けよりも、もっと大事なものがたくさんあると知っている選手同士の闘いだというのに。セオリーの向こう側にあるものを内面から絞り出すことで全ての強敵たちと渡り合ってきたのが美濃輪で、それが楽しみだからこそ田村が試合を受けたと言うのに。そのあたりの機微がわからないみのるを、僕はプロとして認めたくない。

スタンドに戻ってからは、田村が危ないと思わせる場面はほとんどなかった。とにかく何度も何度も左ミドルが入る。グラウンドでは十字、スリーパー、パンチ(顔面/ボディ)、何度か足関で美濃輪が切り返しかけた場面があったが、落ち着いて全ての攻撃を受け流していく田村。どこか余裕を持って、闘いを楽しんでいるようだった。しかし、徐々に消耗していく美濃輪。田村は顔面にパンチを入れながら、もう良いだろう?と問いかけるようにレフリーを見る。最後の力を振り絞って態勢を入れ替え、美濃輪が上になったところでタイムアップ。明らかに田村の勝ちだ。でも美濃輪は最後まで負けなかった。

試合後リング中央で美濃輪と語り合う田村。なかなか相手コーナーに挨拶に行かない。さんざん焦らしたあげく、しょうがなくコーナーに向かった田村をみのるが出迎え、ボトルの水をかける。何か言いたそうなみのる。田村はさらっと受け流し、とっとと戻るとマイクを握る。

「何とかU-FILEも僕も生き残れたので、皆さんも辛いことがあっても負けないで頑張って下さい」

選手一同がリングにのぼって来た。ホジェリオもTKも上山も、ヤノタクも滑川もドスJRもいる。三島もいる。メロもフェレイラもいる。
佐伯代表のあいさつ、そしてながれるUWFのテーマ。人は変わっていても、それはいつかの風景。
なんて心地よいんだろう。UWFは負けてなんかいない。ここにあるじゃないか。
もちろん課題はある。けれど、それはまだ夢の途中、通過点だからであって、ムーブメントが終わってしまったわけじゃない。
そしてU-FILEの若手が、リング下におりた田村の肩にRINGSのバスタオルをかけた。

昔、佐山が藤原にこんなことを言ったらしい。
「たとえ今挫折したとしても100年後、必ず僕たちのプロレスになってますよ。僕たちのやっていることは正しいから。」




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