ふたりの男 ひとつの伝説
■団体:LEGEND
■日時:2002年8月8日
■会場:東京ドーム
■書き手:青エス (ex:プロレス寅さん 垂直落下式!

会場に到着したのが開演時間を少し過ぎた頃だった。まず初めに気付いたのは、中央ゲートのところに「レジェンド」の垂れ幕(看板)が掛かっていなかったということだ。これは少し意外だった。

スイートルームの受付に急ぐ。まるでホテルの受付のような雰囲気に緊張する。品川さんの案内で部屋へ。
会場全景を見渡す。入っていない。既に開演時間を過ぎていると言うのに、会場に空席が目立つ。この時点で「レジェンド」が「伝説」になる予感がした。

まず第一試合前に、PRIDEよろしく全選手の入場式。第一試合の横井とブルドーザー、メインの小川とガファリを除く全選手が、一人ずつ紹介されて登場。特に誰かが挨拶するということもなく、退場する。

▽第1試合 5分3R
○横井宏孝(チョークスリーパー 1R1分47秒)ブルドーザー・ジョージ×

ブルドーザー・ジョージ。なんか新人のお笑いタレントみたいな名前のこの男。意外に良い体付きをしていたが、どこがどう「ブルドーザー」なのかは、結局最後まで明らかにされることはなかった。
横井は余裕の試合運びで、最後はスリーパーで完勝。ZERO−ONEでもう一回やっても、面白そうなカードだった。

▽第2試合 5分3R
×村浜武洋(判定 1−2)ジェンス・パルヴァー○

なんかキックボクシングルールのようになったこの試合。パルヴァーが村浜に付き合ったということなのか。
パルヴァーは病弱系の色白で、髪を赤く染め、サイコ映画に出てきそうなキャラ。技術的な攻防については良く分かりませんが、村浜が何時ものような「ごんたくれ」な顔付きをしていなかったことだけは、大変印象に残りました。

▽第3試合 5分3R
×アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(判定 0−3)ウラジミール・マティシエンコ○

マティシエンコは強かったなぁ。っていうより、ノゲ弟を兄と比べる方が酷なのか?
タックルでノゲを倒したマティシエンコが終始有利なポジションで試合を進めてました。兄の場合は下からでも「来るぞ。来るぞ」って感じの圧力があるんですが、弟にはそれがないっていうか、それともマティシエンコがそれを許さなかったのか。

▽第4試合 5分3R
○ジョアニー・ローラー(TKO 1R1分50秒)中村千香×

なんか訳の分からないエキシビジョンマッチでした。
最初はチャイナが一人で出てきて、対戦相手を会場の観客から募るって展開だったんですが。おれなんかは、てっきり猪木が相手すると思ってたんですけど、まだテレビ中継前だったせいか、その期待も虚しく段取り通りに用意周到な日本人女性ファイターが登場。
勘違いした男性観客がひとり、リングに上がろうとしましたが、警備員に制止されてました。チャイナは「男でも負けない。相手する」とか言ってましたが。試合は説明するまでもないでしょう。

ここでテレビ生放送に向けての時間調整に入る。休憩空け、生放送開始と同時に、猪木の登場!

この日の猪木は「人生のホームレス」バージョンで登場。どうせタイソンが来ないんだから、それに絡めたトンチの利いたコスプレを見たかったんだが、何時もと大して変わらない、あんまり斬新さはないものだった。もっと言えば、この日の猪木は全体的に元気がなかったなぁ。やはり小川と接近すると、もはや猪木の磁場も狂うのか?

▽第5試合 5分3R
×坂田亘(判定 0−3)マリオ・スペーヒー○

いったいテレビを見ていた人の何人の人が、坂田やスペーヒーのことを知っていたのでしょう?
相変わらず木戸修ばりのギトギトのオヤジフェロモンをドーム一杯に振り撒くスペーヒー。どうせならバスローブでも羽織って入場してきて欲しいところだが。
試合は当然スペーヒーが有利なポジションをキープする展開だったが、それでも坂田は上手くガードしてたと思います。1R途中で坂田の顔面へパンチを入れようとするスペーヒーの左のこめかみに、ガードで出した坂田の肘が直撃。スペーヒーは流血し、試合は一時中断。
流血してても冷静な表情を崩さないフェロモンオヤジ。生中継であることから、一瞬スペーヒーのTKO負けも考えられたが、試合は続行。坂田は最後までスペーヒーの肩固め(by船木)を防ぎ切った。坂田、良くやった。

▽第6試合 5分3R
×村上和成(TKO 2R3分3秒)ヴァリッジ・イズマイウ○

はっきり言って残念だ。総合からプロレスラーに転向したもの同士の、お茶の間に届く「凄い闘い」を期待していた。村上には例え敗れたとしても、ゴールデンのお茶の間に「プロレスラー村上和成」のトンパチさを見せ付けて欲しかった。試合後のアピールも虚しかった。試合で見せて欲しかった。村上には放送コードとガチンコしてもらいたかったのだ。
それに引き換え「ブラジルの荒井注」ことイズマイウは、すっかり猪木軍の一員気取りでノリノリだ。試合後リングサイドの猪木とガッチリ握手。猪木の真後ろに座っていたヒクソンの嫌そうな顔が印象的だった。

▽第7試合 5分3R
×菊田早苗(KO 2R29秒)アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ○

「寝技世界一決定戦」として煽られ続けたこの闘い。1Rでは寝技の攻防をねっちり展開した両者。しかしこの時、既に勝負は決していたのか、見切ったノゲイラは2Rに入ると打撃勝負へ。
開始ゴングが鳴ってすぐ、ノゲイラの右ストレート一閃。菊田、壮絶KO負け!勝負が決した瞬間、終始「ノゲイラ」と叫び続けていたモナーさんが狂喜乱舞したことは言うまでもありません。
ちなみにおれが思うに菊田が負けた理由は、チャイナのおっぱいに見とれ過ぎたせいだな。開始前にはバックステージの模様が、ルームのビジョンに映されていたのだが、菊田、チャイナに熱視線でした・・

▽第8試合 5分3R
○藤田和之(肩固め 1R2分46秒)安田忠夫×

藤田の一連の怒りはガチだったのでしょうか?注目された「レフェリー猪木」も実現せず、猪木の試合前のマイクもイマイチでした。
試合は予想通り、藤田が圧勝。藤田はテレビのインタビューを受けることもなく、さっさとリングを後にした。結局期待されたメイン終了後の、小川への挑発行動もなし。期待した通りの展開にならなかったことで、逆にプロレスファンとしてはより一層妄想を膨らませる結末となった。

▽第9試合 5分3R 
○小川直也(TKO 1R1分56秒)マット・ガファリ×

マット・ガファリ・・お前はいったい何しに日本に来たんだ?観光か?
最初っから期待なんかしてなかった。誰がどう見ても不摂生な生活が原因としか思われない体重増。それでも日テレ番宣では終始「より一層巨大化し、強力になったガファリ」と煽っていた。ランディ・クートゥアやダン・ヘンダーソンと練習していたというのも、番宣用フィルムに収めるためだけの、所謂「体験入学」程度のものだったのではないだろうか?総合格闘技を侮辱するようなあのビールっ腹。すべてが完璧すぎた男、マット・ガファリ・・ZERO−ONEで待ってるぞ!

この日の小川に対しては賛否両論あると思うが、おれには何時もの小川と何ら変わりないように見えた。試合後のマイクアピールについても、何時ものような確信的なものでなかったことに対して、様々な憶測が飛んでいるようだが、小川は小川で何時もと同じだった。
小川はガファリに勝利し、リング上での一通りのインタビューに答えた後、リングを降り、猪木に挨拶した。この日の小川には「親友」である橋本がセコンドに付いていた。橋本の存在に気付いた猪木の方から、橋本に歩み寄り握手。橋本の表情から笑みがこぼれる。

小川はこの東京ドームで、橋本を相手に「伝説」を築いてきた。「新日本プロレスのファンの皆さん、目を覚ましてください!」も「橋本真也、負けたら即引退スペシャル!」の時も、場所はここ東京ドームだった。
猪木の手により、猪木の間で、凄まじい愛憎劇を繰り広げてきた二人。そんな二人が今、肩を組んでドームの花道を引き上げる。ZERO−ONEのリングの時と同じように。リングサイドに猪木を残して、肩を組み、花道を引き上げる二人。小川の勝利を自分のことのように喜び、肩車までして見せた橋本。そんな橋本に身を預ける小川。決して言葉にしなくても、この日のラストシーンが小川と橋本の「政治力には負けない!」発言に対する答えだったのではないだろうか。

「プロレスと格闘技の区分けはしない」・・東京ドームで「伝説」を築いてきた小川直也が、あの時と同じ東京ドームで初めて挑んだ、総合格闘技のメインイベントで、小川は遂にプロレスラーになったのか?




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