THE WARS 6〜新たなる胎動〜 観戦記 又は 素晴らしき小川英樹
■団体:大道塾 THE WARS 6
■日時:2002年7月17日
■会場:後楽園ホール
■書き手:負井
昨年の『空道 第1回北斗旗世界大会』を観て、すっかり小川英樹の名人芸のとりこになってしまった私。実に3年ぶりの開催となる今回の『THE WARS 6〜新たなる胎動〜』が、その小川選手の最後の舞台になるかもしれないという事で、これは行かねば! と足を運んでまいりました。

今回のWARSは、フランスのゴールデントロフィー勢(マッハが着ているドラゴンボール風の胴衣のアレです 以下GT)との対抗戦がメイン。
よって、試合場もリングではなく、通常の北斗旗の試合と同じ広さ(?)で50p程の高さのある舞台を使用する、GT方式で。
ちなみに、ロープ際でもつれたり、魔のコーナーワークが生まれたりするリングと、場外に出るたびに流れが途切れて、不必要な間が生まれてしまう武道場(舞台)、見る側としては好みが分かれる所だと思いますが、自分は展開が速くなる分、舞台の方がちょっと好きですね。場外に落ちると失格とかだと更に好みなのですが(笑) やる側としては、これは微妙な所ですが、劣勢な時に逃げやすいのは舞台ですね。まあ、目茶目茶印象が悪くなるんですけど。っと、余談でした。
ルールは基本的に北斗旗ルールを素面に対応させた、従来のWARSルールを応用。北斗旗ルールは、30秒の寝技制限時間、同一ラウンド内での寝技制限回数などが特徴で・・・、ああぁ、今日は天才・小川(not UFO)の試合を観に来たので、細かい話はこの辺で。北斗旗のルールも含めて、詳しくはこちらを。塾長コラムがお勧めです。押忍!

観客は6割前後の入りでしょうか。試合中の反応等から、身内率はかなり高いかと・・・押忍!

6時半きっちりに開始で好印象も、いきなり進行上のミス連発で、あららららっ。最後に触れますが、今日の興行、進行は某SG並にお粗末でした。押忍!

日本・フランスの両国歌演奏の後に、東塾長の挨拶。
「北斗旗はマスクをつける事により全ての攻撃を有効とし、より実戦に近い戦いを実現しておりますが、そのマスクがあることで見る方には判りにくいと言う事と、選手にも素面での感覚を知る事がプラスになる、という事から、このWARSを開催しております。1〜3は純粋な立ち技格闘技と、4〜5は寝技中心の総合格闘技と戦ってきましたが、今回は時代が追いついてきて、立ち技中心の総合との対抗戦という形になりました」
とかなんとか、あまり聞き取れず。塾長、もう少しゆっくり話していただけると助かります。押忍!


第1試合 北斗旗ルール 3分2R
○平塚洋二郎(延長戦2分10秒 腕ひしぎ十字固め)マシュー・ハミッシュ・マクレガー×
(大道塾那覇支部)                    (誠空会)
胴衣掴んでのアッパーや頭突き、マウントパンチでの効果奪取など、北斗旗ルールらしい場面が見られた試合。掴みはオッケーといった所でしょう。スーパーセーフに打撃がヒットした時の、あの“バコッ”って音がまた痛そうなんですよね〜


第2試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール 女子-55kg契約 3分3R
×八島有美(2R2分15秒 腕ひしぎ膝固め)デュカステル・ステファニー○
(大道塾横浜教室)               (パンザ・アンドレ)

女子ボクシング・フライ級日本王者の八島選手。たまたま観たスポーツドキュメント番組で、彼女の練習振りをみて以来注目してます。今回も「自分から素面(セーフ無し)を希望しました。相手の顔をボコボコにしたいですね」という発言で結構期待していたのですが、サバット&フルコン ヨーロッパ王者(らしい)のステファニーちゃんも可愛い(?)顔に似合わず、なかなか強豪でした。ローを中心に蹴りが上手く、パンチでもプロボクサーの八島選手とも渡り合い、首投げから腕狙いで極めにかかるなど、1Rを優勢に。2Rに入って八島選手のパンチが上回り始め、ここから追い込んで逆転か? というところで、再び首投げからの腕固めに捕まってしまいました。うーん、残念。


第3試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -84kg契約 5分1R+3分1R
△稲田卓也(1R3分30秒 ノーコンテスト)ボナフ・ロラン△
(大道塾横浜教室)              (パンザ・アンドレ)
※ボナフ選手の左目尻の出血によるドクターストップ

00北斗旗重量級王者の稲田選手相手に、打撃・組み付いてのテイクダウンで押していくバーリトュード・ヨーロッパ王者(らしい)ボナフ選手。右ストレートでダウンを奪うと、追い討ちの回し蹴りで、稲田選手を立たせようとする主審を吹っ飛ばしてしまいました。しかし、何事も無かったかのように、平然と試合を再開する主審の方(名前失念)、素敵でした。押忍!
試合は、組際のバッティング(?)で、目尻を切ったボナフ選手の出血が止まらず、ドクターストップ。ノーコンテストになった理由は良く判らず。両者ともいまいち納得のいかない様子でした。


第4試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -70kg契約 5分1R+3分1R
△八隅孝平(2Rドロー 0−0 ポイント差なし)ディディエ・リュッツ△
(パレストラ東京/修斗ウェルター級)     (パンザ・アンドレ)

修斗から助っ人参戦のヤスミン、セコンドには中井氏が。観客席には若林氏もいましたね。対するは01GT覇者・サンボ欧州準優勝(らしい)ディディエ選手。
立ち上がり、軽い打撃の交換の後、ディディエ選手が、すくい投げ気味のテイクダウンから腕狙いをみせるも、八隅選手もこれをキッチリ凌ぐ。八隅選手、下になると片襟・片袖をとる形を見せ、胴衣対策は万全の様子。その後は、八隅選手が打撃で攻め、ディディエ選手が掴んでの投げ等で倒していく、少し意外な展開。やや八隅選手が押し気味も、ポイント差が無い為ドローに。


第5試合 北斗旗ルール 3分2R
○伊賀泰司郎(1R45秒 一本勝ち)佐藤繁樹×
(大道塾関西本部)          (大道塾東北本部)
※佐藤選手の肩関節脱臼により試合続行不可能の為

伊賀選手、開始直後の右フックから、組み付いて引き込み返し気味に投げを打ち、これが崩れて自ら下になるも、腕十字→下から上の相手の顔面への肘・膝・パンチ連打→再び十字、と怒涛の攻めを見せる。ここで寝技時間切れも、相手の佐藤選手立てず。ドクターチェックで肩関節脱臼と発表され、試合終了。
天才・小川選手に「こういう選手が育ってきて、指導者としての喜びを覚えた」と引退を考えさせたという、01北斗旗軽量級王者・伊賀選手。短い試合ながら、その実力の一端は伺えました。うん、覚えておきましょ。


ここで「第5試合が早く終わった為、次の選手の準備が間に合わず」5分間の休憩。もしかして、休憩ナシのご予定でした? いえ、何でもありません。押忍!
ちなみに、GTとの対抗戦は、時間、R数、禁止技(ヒール・アンクル・リスト・顔面への肘・膝かな)が試合毎に違うようなのですが、アナウンスが聞き取りづらかったので、きちんとは判りません。あしからずです。
GT勢、肩書きはちょっと?なものの、噂どおり中々の強豪ぞろい。柔道出身者が中心なだけあって、胴衣を上手く使っています。後半戦も楽しみです。
そうそう、BEST出場のニーノ・“エルビス”・シェンブリが、ブッカーKと観戦してましたね。


第6試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -70kg契約 3分3R
△飯村健一(3Rドロー 0−0 ポイント差なし)ファド・エズベリ△
(大道塾吉祥寺支部)               (パンザ・アンドレ)

ここ数年はムエタイに挑戦している、ベテラン飯村選手。相手のファド選手もキック系らしく、そのほとんどがスタンドでの打撃の展開に。さてこの試合、なんとも不可解だったのが、1R前半、数度の打撃の交換の後に、プレッシャーをかけながら前に出る飯村選手に対して、間合いを取っていたファド選手が、そのままフラフラと後退して、場外に後ろ向きで倒れこんでしまった場面。自分からは、ファド選手が瞬間的に失神したようにしか見えなかったのですが(後頭部から本部席に突っ込んでますし)ドクターチェックの結果「問題なし」という事で、そのまま続行。確かに、その後もファド選手、いい動きをしてはいたのですが。なんだったんだろうなぁ? あれ。


第7試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -87kg契約 3分3R
○藤松泰通(3R ポイント差1−0(右フックによる))デニス・フランソワ×
(大道塾総本部)                     (パンザ・アンドレ)

21歳にして、01空道世界大会重量級王者・02北斗旗超重量級王者という、新世代のエース藤松選手。開始早々、01サバット世界王者(らしい)デニス選手から、もの凄い右フックで後ろを向かせてダウンを奪い、客席から大歓声。その後も、組倒して腕十字を極めかけ(なぜか自ら解いてしまう。タップしたと思ったか?)、首投げで投げては締めを狙い、打撃でも圧倒するものの一本を奪うことは出来ず。う〜ん、すっきりと勝って欲しかったですね。いや、充分強かったんですけど。


第8試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -82kg契約 5分1R+3分1R
○山崎進(2R ポイント差3−0(パンチ))パトリック・フォートリー×
(大道塾総本部)               (パンザ・アンドレ)
前回のWARS5では、美濃輪と熱戦を繰り広げた山崎選手。非常にプロ志向の強い選手です。対するパトリック選手は、柔道のフランスナショナルチーム出身で、99〜01GT優勝、修斗の竹内・須田にも勝っている強豪。しかし、流石は山崎選手、投げでも互角に渡り合い、寝技ではキレのい動きで相手をコントロールして、再三バックや関節を脅かしていく。もちろん打撃では圧倒的に攻め、1Rにはカウンターの左フックでパトリック選手を吹っ飛ばして完璧なダウンを奪い、このポイントが決め手となって見事な勝利。このダウンを奪った時の客席の煽り方や、2Rに場外なのになかなか離れようとしない相手に向かって「なんだ、このやろう」と凄んでみたり、アピールも抜群でした。今後はパンクラスに挑戦を考えているという事で、胴衣ナシでどこまでやれるか楽しみです。


第9試合 グラントロフィー対抗戦 WARSルール -67kg契約 3分3R
○小川英樹(2R2分40秒 ヒールホールド)ブノワ・ドゥロ×
(大道塾中部本部)               (パンザ・アンドレ)

さて、いよいよ本日のメインイベントです! 天才・小川(not GHC王者)です! その戦績は、93〜97、01北斗旗軽量級優勝、98〜99北斗旗中量級優勝、01空道世界大会軽量級優勝ともはや伝説の領域。その神業的な技のキレは、世界大会の外国勢の中においても、一人だけ別の競技をやっているかのようでした。相手が01パンクラチィオン フランス王者(らしい)でも問題ありません。今日もまた小川スペシャル(パンチからそのまま胴衣を掴んで、投げ 又は 崩して、締めで極める連携技)で華麗な一本勝ちを見せてくれることでしょう。
メインという事で両選手、南側観客席から入場。GT勢・ブノワ選手がリングインして、さあ、流れてきた小川選手の入場曲は・・・なんと「忍風戦隊ハリケンジャー」主題歌! 大の戦隊モノ好きの小川選手、さぞやいい気分だった事でしょう。しかし、モロ特撮ソングに乗っての入場も、やはり雰囲気があります。心なしか曲もカッコよく聞こえます(笑) いや〜入場だけで鳥肌ものだ、と思ってたら、ちょうど自分の見ている位置は小川選手の背中側。しまった! 日本勢みんなこっち側なんだから途中で気が付けよな。と後悔しても後の祭り。リングイン時のイイ顔を見逃してしまいました。しかしながら、舞台の上で四股を踏む姿ひとつ取っても決まってます。しっびれます。う〜ん、ここまで選手に入れ込んで観戦するのも久しぶりです。
1R、その独特の構えも決まってる小川選手、小気味良く打撃を入れていくが、これを嫌ったブノワ選手が組み付いていく展開。ブノワ選手が引き込み気味にくるので、小川選手、上から襟を取って締めを狙っていく、これに対してブノワ選手は徹底したヒール狙いに。襟を狙う小川選手の足が前に出がちな事もあって、これが上手く形に入ってしまいます(後で知ったのですが、この選手ヒールが得意技で、ルールも希望により前日夜にヒールありになったとの事) 一回目は潰して、立ったままのアキレス腱固め、更に逆エビ狙いと客席を沸かせたものの、二回目のそれは結構がっちり入ってしまい「いくら天才・小川でも、その形になったらヤバイだろう」と思っていたら、クルクル回って場外へエスケープ(!)して何とか難を逃れました。流石に膝を傷めた様子ですが、それをモノともせず、ハイからミドルを効かすと、パンチのラッシュで追い込むも、惜しくも場外に。ここで1R終了。2Rに入ると、組み倒してマウント取っての十字狙いからの締め、モノ凄い右ストレート等で、一方的な小川選手のペースに。更に、組み倒してハーフからの締めで決まりかと思って見ていたら、ブノワ選手、するすると小川選手の足を手繰り寄せて、またしてもヒールに。これも結構がっちり入り、まさか! と思った瞬間「いいかげんにしろよな」(空耳)といった感じで、逆に小川選手がヒール一閃!  見事に一本で切って落としました。さすが天才・小川、足間もお手の物だったのね、とか思っていたら、なんと“見よう見まね”だったそうで・・・いやはや、素晴らしい。最後はセコンドの後藤龍司選手も加わっての、一部の方にはおなじみのガオレンジャーポーズでキメ(ゴッチャン、も少し練習しましょう) あ〜かっこいい! 天才・小川(not 娘。)最高!!


正直な所、興行としての点数ははっきり言って赤点です。進行上のミスは大きいものから小さいものまで、挙げていたらキリがありません。おそらく、運営スタッフのホトンドが道場生とか身内ばかりで、要するに素人の集団が犯しうるミスを余すとことなくやっちゃった、という感じです。
特に本部席に座っている進行係のスタッフ、大声で身内の選手に声援を送っているのは、ちょっといただけません。まあ、空手の大会とかだと、ありがちな光景なんですけどね。演出的にやりたい事も、なんとなく判るのですが、レベル的に学芸会レベルを脱してないので、スベってると言うか、そこまで達してないと言うか・・・(例えば、OPで全選手入場後のフラッシュを点滅させながらの、選手によるシャドーの演出。キッチリやれれば相当かっこいいでしょうが、段取りが悪いのと、外国勢に上手く意図が伝わっていないのとで、サムい出来に。勿体無いです)
あまりの凡ミス連発に、自分がスタッフで本部席とかに座っていたら、東塾長のプレッシャーに耐えかねて職場放棄していたに違いありません、押忍!

真面目な話、興行としての成功をどのくらい考えているのかが不明ですので、どうこうとは言いづらい所ですが、選手たちをクローズアップする、更なる活躍の場を、という目的があるのなら、最低限、試合を気持ちよくやらせてあげる、ストレス無く見せる、事はクリアして欲しい所です。
選手には魅力があり、試合も面白いです。内容は素晴らしいのですから、過剰な演出は必要ありません。出来る事をキッチリやって、最低限、その選手たちの素晴らしさがストレートに伝わってくるように、と願います。

ですが、今回は、そんなことは今日の自分には些細な事、と言うかなんとなく許せてしまいました。試合が面白かったですし、何よりも小川英樹が観れましたから。試合後のインタビューによると、とりあえず引退も撤回したようで、喜ばしいかぎりです。今回の試合では小川選手の魅力は出きってないと思います。また観れるかと思うと、嬉しくてこんな長ったらしい観戦記を書いてしましました(笑)
ただし、皆様方にどれほど楽しんでいただけるかは、あまり自信がありません。自分はガチ馬鹿ではなく、只の“馬鹿”のようですから。押忍!!




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