IMPOSSIBLE TO ESCAPE 脱出不可能・逃げ場なし
■団体:ZERO-ONE
■日時:2002年7月7日
■会場:両国国技館
■書き手:ノリリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

ゼロワンは金があまりない。だから会場にスクリーンを用意できなかったみたいだ。おかげで会場にいた人は気がつかなかったようだが、この日の放送はかって日本で放送されたPPVの中で最高のものだった。と言うわけでゼロワンは人気があるから沢山観戦記が集まるだろうけど、儂も書く。

PPVの無料放送開始と同時に佐々木vsスパンキーが始まる。どうやら放送席のアナには秘密ではじめたようだ。リング上の試合をスパンしたカメラが花道で放送開始のトークをはじめようとするアナウンサーと三田佐代子を映す。次にカメラの向きが切り替わって当惑する二人を映す。このシーンを取りたいが為の第0試合だろう。無料の番組を見ている人にこれからも何か起きますよと印象を与える為のもので、すこしあざといがいいんじゃないかな。試合の方はどうでもいいし、よく覚えていない。スパンキーがあっさりと勝つ。試合を見せるための試合ではないので、試合がしょぼくても佐々木を責めては可哀相。
○スパンキー 3分23秒 片エビ固め 佐々木義人×

アナウンサーはさえないおっさんが二人、金沢@ゴングと、スポニチの丸井乙生女史。乙生女史は美人ではないが頭がよくて生意気そうで、ちょっとよくない妄想を懐いてしまう。儂の好みだ。暫く試合の解説があって、Mrフレッド登場。『get ready!? zero-one TWO! 』と叫んでPPV開始。
例によって選手が入場して、橋本が挨拶。『お忙しい中ゼロワンの試合に参列して頂いて有り難うございます』(本当に参列と言った)『いろんな幅のあるプロレスを見ていってください。プロレスは俺たちが守ります』

第1試合:○星川尚浩 15分41秒 片エビ固め 日高郁人×
星川も日高もきびきびと動いて、解説の金沢も絶賛。退屈な試合だった。確かにこの二人の動きは第二試合や第四試合の選手達より遙かにいい。しかし、彼らは交換するワザに意味を付与できてない。ワザを喰らうことが恥ずかしかったり、おかしかったり、辛かったりしない。ワザ→何ポイントのダメージ→ワザ→何ポイントのダメージの繰り返しにしかなってない、これじゃ格闘ゲームの実写版に過ぎない、と儂は感じた。この問題は小川の時にまた蒸し返そう。
試合は星川が水星キックでピン。若くて動けるうちはダメか?もっとコンディションが悪くなって動けなくなってからがプロレスだな。

第2試合:○佐藤耕平・崔リョウジ 14分29秒 腕固め 金村キンタロー・黒田哲広×
黒田と金村はサバイバル飛田と一緒にブリブラダンスをしながら仲良く入場。あれ?金村と黒田は仲間割れしたんでは?まあいいか。。。
試合の方では佐藤と崔がtable葬やら椅子攻撃やらをたっぷり教えてもらってそろそろfinishかと思えば・・・佐藤が立っての腕固めに黒田を切って取る。仲間割れの影響か?
金村と黒田の攻撃と佐藤・崔のやられっぷりがよかった。佐藤はひ弱っぽいのでやられる姿が情けなくてよい。しょっぱいのも味のうちと言うことだ。

第三試合:SOD提供試合。よそ見している間に終わった。しかし、それがよかった。こういう試合があるのはいいと思うよ。アクセントが付く。興行におけるピクルスのようなもんだな。

第四試合:第4試合 ×黒毛和牛太・富豪2夢路 11分08秒 ワキ固め 藤原喜明○・ドン荒川
若手でもなく、Jrの枠に入るでもなく、火祭り枠でも、ましてや天下一武道界枠でもない和牛太と夢路。ましてや日刊速報は黒毛と富豪2をフリーと書いてる。前座の重要なバイプレーヤーとしてすごみや笑いを示す、べきなんだが。どちらももうひとつふたつ。笑いは『情けなさ』で取っているだけのような気がする。立場からして藤原荒川組との対決はすごく意味が分かりやすい重要な試合だ。試合自身は面白かったが、富豪2・黒毛の力ではない。久々登場の荒川の存在感だ。みんな荒川が動くのを見たくてしょうがない。やっぱり動けなくなってから覚えるのがプロレスだ。荒川&藤原組は飽きないくらいのサイクルでまたみたいな。

第五試合:○高岩竜一 12分55秒 片エビ固め ディック東郷×
乙生女史は無料放送中から高岩膝負傷を伝えていた。高岩はいつも評判が悪いが、膝の故障のおかげで観客の焦点と高岩の意識が絞られていい試合になった。高岩の悪い点は何か攻撃を受けてもそれが散漫だった。どんな試合であってもラリアット、餅つき式パワーボム、デスバレーをやって勝つか負けるかして終わり。そんな規定演技だけのサラリーマンだった高岩が初めて真のプロレスラーになった。道場主の責任感かも知れないし東郷のおかげかも知れない。やはりコンディションが悪くなって動けなくなってからがプロレスだな。

第6試合:×石川雄規・臼田勝美 5分50秒 レフェリーストップ ジョシー・デンプシー○・ショーン・マッコリー

未だに一人だけバトラーツに怒っているショーンが先陣。暫くバトのいいところを引き出すが、デンプシーが出てくると2発で石川をKO。唐突さがすばらしい。悪が狂に滅ぼされた。

ここで、5分休憩。勝ったデンプシーに三田がインタビュー。ここでゼロワンの新兵器炸裂。どう見てもプロレスラーサイズ、スキンヘッド・ヘルスエンゼルスタイルの外人がエネルギッシュに翻訳。放送禁止用語満載のデンプシーの叫びを台本通りに、叫びながら(しかも下手くそに)翻訳・・・と言うか翻訳じゃなくて吹き替えだ。

次はアナウンサーがNWA側(コリノ・ファイアー・フレッド)にインタビュー。ひとしきりコリノがしゃべった後、MrフレッドがUPWをバカにすると、アナ『ちょっと待ってください。貴方何故ここにいるんですか?レフェリーでしょ?公平にやってください』。Mrフレッド『Two!』と見事なコンニャク問答。
対してハワード・ネイサン組には三田がインタビュー。ハワードが静かに答えるが、ここもゼロワンの対PPV新兵器外人通訳炸裂。翻訳ではなくて、悪役マネージャー代わりにがなっているようにしか見えない。

第7試合:第7試合 スティーブ・コリノ・×ラピッド・ファイアー 9分11秒
アルゼンチン式背骨折り トム・ハワード・ネイサン・ジョーンズ○
コリノ組はネイサン・ハワード組相手に小ネタを繰り広げる。コリノ組にとっては相手がコワモテの方がボケが効いていいんだろうけど、UPW組の方には本領が発揮しにくい相手だ、ちょっとたるいか・・・と思っていたら、フィニッシュの大技でそんな印象を一掃。ダブルダイヤモンドダストが炸裂。場内声もなし。ハワードやバグウェルの得意技・トップロープから前転しながらやるネックブリーカー=ダイヤモンドダストをネイサンが抱え上げた二人に同時に賭ける大技。ダブルダイヤモンドダスト、略してDDDか? 当然危険だ。コリノは首の骨がずれたそうな・・・・う〜〜ん。OH砲の新必殺技天の川とDDDの激突が楽しみ。でも流石に橋本と小川に掛けるのは難しいか?
試合後ハワードはインタビューで、『NWAもUPWもない。互いに尊敬している』と方向転換を示唆する。この方向転換がその日のうちに示されるとは思わなかった。

第8試合:○大谷晋二郎・田中将斗17分43秒 体固め 坂田亘・横井宏考×
高田vs越中(UWF出戻りの頃の面白かった方)を思い出した。横井・坂田はもっと意地悪な攻撃を入れた方がよかったと思うけど、それはキャリアからして仕方がない。この田中大谷組を持ってしてもロードウォリアーズはどうしようもなかったことを考えると、キャリアよりも、動けるってことの方が重要なのかと思ってしまう。多分それは誤解で、大谷・田中組にとってはそうだということだろう。横井坂田の強さも見えて、最後はドラゴンスープレックス連発で仕留めた。いい試合だった。
ただ、予想の範囲を一歩も出てないのが大谷・田中の弱点か?

第9試合 異種格闘技戦 ○橋本真也 8分44秒 三角絞め 小笠原和彦×
いやあ、ここまで引っ張った引っ張った。総集ビデオも素晴らしい。しかし、リング上で相対してしまうと両者の体格に差がありすぎる。ガチならともかく橋本と技の交換は不可能だ。途中から完全に橋本が圧倒。最後は3角締めで落として終了。ストレッチャーを出す若手を制して橋本が小笠原を立たせて両者座礼。橋本が感極まってないている。
『同じような境遇で、すべてを捨てて向かってくる気持ちを感じた。一時期の自分を見ているようだった。』アングルと現実とがごっちゃになって泣くのは橋本の神髄だが、儂も同じ心境だ、泣くぞ。
と、ここまで見るとすごく面白い。最初に橋本の言ったとおりプロレスの幅が見えるし、金澤の間抜けた口調や厳しい言葉で責めて欲しい乙生女史の解説。迫力ある大技や名人芸、醜いアヒルの子だった高岩の変身があった。笑いどころもある。さらには新喜劇張りの涙まである。
こんなに素晴らしいPPVはかってスカパー!で行われたことがない。
これでメインが心配になる。最後までうまくしてめくれれ、と最後までプロレスを守れと祈りが頭の中でこだまする。金網設営まで長くかかって、しかも試合ももう一つだと、寄席のトリを崇徳院にするようなものになってしまうのでは・・・と懸念がわく

ここで金網設置のために休憩。カメラは楽屋へ。小川は調整のために出てこない・・・これはいかんぞ。両国でブロディーなんだから小川陣営が来襲を警戒しているところを映さないと・・・対してプレデターは三田がインタビュー。例のヘルスエンゼル通訳がとばしまくる。しかしプレデターは予定調和をぶっ飛ばし、スタッフのビデオを蹴って暴れる。キャアーと逃げる三田。外人通訳も逃げる。役立たず。
それでも、長い40分。やっと金網完成・・ふうやっと出来た。今度作る時にはもう少し時間を短縮する工夫をするか、なんか余興をするかしないとな。
しかしプレデターの入場と同時に会場の雰囲気は休憩前の状態に一気に復活。プレデターはいつもの入場。小川はプレデターを一点に見つめて客を相手にせずに入場。試合はチェーンなしで普通に始まる。プレデターはタックルから上を取ると一気に攻勢。投げまくったり、金網にぶつけたり大攻勢。だが、小川がおかしい。リアクションが全くない。ただ単にワザを喰らっているだけだ。これではダメだ。プレデターのワザに意味がなくなってしまう。プレデターが強いように見えないし、小川もワザを喰らった苦痛見合うだけの効果が客に伝わらない。昔の高岩状態だ。プレデターがチェーンを持ち出しても小川はやられるまま。でも客も悪いぞ。ちゃんと小川コールをしてやれ。試合は次第に(意味なく)小川が盛り返してSTO3連発からチョークスリーパーでフィニッシュ。試合の方はもう一つだった。懸念が当たったね。 小川は一皮剥けるためには、コンディション最悪の時に試合をする必要があるな。

しかし、小川の動きに序盤生彩がなかったのは、単にしょっぱいからだけではなかったのだ(いや、しょっぱいからではあるのだが・・・)。この後が長すぎて小川の意識が前半に集中してなかったのだろう。
スリーパーで負けたはずのプレデターはすぐ復活してチェーンを持ち出し、また小川をチェーン葬。若手を蹴散らして退場。
小川は橋本をリング上に呼び上げる。『橋本さん、上がってくれ。俺たち二人がいる限りゼロワンは絶対つぶれません。俺は政治力には絶対負けないから』とがっちり握手。笑い・迫力・マスターワーク・男の涙に加えて、友情まである。ゼロワンのリングには全てがある。ないのは場内スクリーンを設置する金と地上波放送だけだ!
大団円と思っていたら、退場する橋本と小川をネイサンとハワードが急襲。再びリング上に。ネイサンは金網を乗り越えてリングイン。しょっぱさを補ってあまりある迫力だ。ここで初めて会場の客の前にゼロワンの秘密兵器通訳が登場。外人勢の結束をアピール。会場では唐突だから観客はもう一つ引いていたがTV的には素晴らしい。会場の客の為に『お前誰だ?』くらいのツッコミがあってもいいのに・・・
外人レスラー全部とゼロワン全部が乱闘を繰り広げる。果てしなく続く乱闘は次のシリーズからの日本対アメリカのアングルに集結した。これはMrフレッドとかNWAvsUPWとか中途半端になっていた路線をまとめ上げて、すっきりしていい展開になるかも。

と、小川vsプレデターで危うくなったが、面白いPPVだった。ベスト興行かどうかはともかく、ベストPPVは間違いない。
考えてみればゼロワンPPVが面白いのは当たり前だ。ガチとは名乗りながら、キンピラ爽快屋で千に107足らない奴と試合後握手することを最高の目的としている男芸者になってしまうか、脱出不能・逃げ場なしの極限状態でそれと闘うか、どちらがかっこいいかを考えたら、どちらの男たちに乗れるかは言うまでもない。ゼロワンこそが真剣勝負なのだ。もっともこういう考え方をしている奴はいるまいし、橋本だって何時仲直りしてしまうか分かったものではないが・・・ それもまたよし。




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