「もう一息でNOAHは完璧になります」 3/14 NOAH 後楽園ホール大会観戦記
■団体:NOAH
■日時:2002年3月14日
■会場:後楽園ホール
■書き手:愚傾(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 平日にばかり開催されるのでなかなか観戦できなかったNOAHの後楽園を久しぶりに観てきました。前回(だったよな? ライガーと田中稔が来た日)の後楽園も、会場前に行くだけは行ったんですよ。前売りチケットが取れなかったのでダフ屋から買おうと思って。三千円の立ち見席に一万五千円という暴利をつけてたので諦めて帰りましたけど。ちなみに今回は定価で売ってましたね。

 NOAHはあまりダフ屋にバラ撒かないらしいんですよ。顔見知りのダフ屋のお兄さんがボヤいてましたもん。配ってくんねーんだよNOAHは、とかいって。こういう話を聞くにつれ、三沢たちは本当に全日本の体質が嫌だったんだろうなぁとつくづく思います。

 空席はチラホラ程度。ほぼ満員の客席。バルコニー最前列は埋まってたので、手前は二列目からの観戦です。

▼第一試合 ○KENTA(8分18秒 ファルコンアロー → エビ固め)スーパースター・スティーブ×

 場内に入ると既に第一試合が始まってました。平日開催なんだからもう少しアバウトにして欲しいもんですけどね。まぁ試合数が無闇矢鱈に多いから進行もサクサクいかないとマズイんでしょうけど。今シリーズの欠場が決まった小橋も帯同してるとのことなんですが、挨拶はあったんでしょうか?

 久しぶりに観たスティーブでしたけど、見事にNOAHらしい動きになってましたね。以前とは全然違ってました。地味にコンパクトに二割七分くらいの打率を誇る選手というか。二年もすればシブ味のある選手になると思いますよ。”スーパースター”という冠に相応しいどうかはともかく。

▼第二試合 ○百田光雄、ラッシャー木村(7分13秒 回転エビ固め)川畑輝鎮×、永源遙

 試合中に「川畑! 今日はオマエを観にきたぞ!」という声援が北側客席のほうから飛んでました。凄いですよね。手前も相当なNOAHファンを自負してますけど、この人のように達観した境地にはまだまだ辿り付けそうにないです。

▼第三試合 本田多聞、×鈴木鼓太郎(15分24秒 キン肉バスター → 片エビ固め)池田大輔、モハメド・ヨネ○

 大輔とヨネは久しぶりのタッグ結成なんじゃないかな? 確かNOAHでは実現してなかったと思いますけど。

 ゴング前、大輔と多聞が妙にお互いを意識しあってたんですよ。胸を突き合わせて睨み合ったりして。あ、そういえばこの二人って仲が悪いんだったと、ちょっと経ってから思い出しました。試合後にもリングそっちのけで乱闘してました。

 試合は定石通り、若手の鼓太郎が先輩にボコられて、その鬱憤を多聞が晴らすというような展開になるんですけど、どうも上手くいかない。大輔もヨネも体の出来てない鼓太郎が相手なだけに思いっきり蹴りをブチ込めないし、タッチを受けた多聞の爆発っぷりも迫力に欠ける。それならば、かつてバトラーツで大暴れしていた大輔とヨネのタッグワークに注目してたんですが、さして「おお!」と思わせるものは無かった。連携らしい連携も見られなかったし。もっとも、バトラーツ時代の二人のタッグを手前はよく知らないんですけども。

▼第四試合 ○斎藤彰俊、金丸義信(13分10秒 スイクルデス → 体固め)バイソン・スミス、リチャード・スリンガー×

 こじまんりとしちゃいましたね、彰俊。いくらプロレス経験があるとはいえ、それはW☆INGや新日本で培われたもの。馬場の教えにいっさい触れてない一匹狼をひきとった以上、秋山には彰俊をオーバーさせる道義的責任があると思いますけどね。

▼第五試合 ○志賀賢太郎(10分56秒 腕ひしぎ逆十字固め)泉田純×

 前シリーズを最後にスターネスを離脱、復帰した小橋とともに歩んでいくことを決めるも、そうした矢先に小橋の再欠場が決定。坂上二郎ならずとも「なんでこ〜なるのっ! トホホ」と言いたくなる状態に余儀なく追い込まれたシガケンですが、タイツをイエローを基調としたものに履き替えるなど気分は一新。長いことうだつの上がらなかったシガケンにようやく訪れた浮上のチャンスとあって、後楽園の観客は皆、大歓声で迎え入れてたんですが……やっぱりシガケンはシガケンでした。泉田の憎々しげな表情や力強さが目立つばかり。

 手前は「技の失敗」にはある程度目をつぶることができるんですよ。相手もあることだから、その選手だけの責任とも限らないですし。でも「技のロジックの失敗」というのはいただけないんです。点の失敗は許せても線の失敗は許せないというか。志賀の欠点はいつまで経っても太くならない体つきでも、オドオドした性格でもないです。技を組み立てるセンスが致命的に欠落してることだと思います。最後の腕ひしぎで「喜んでくれた」観客に感謝するべきですよ。手前は「けっ」という顔をしてたので感謝してくれなくて結構ですけど。

 試合後、敗北におさまりのつかない泉田に、同じ田上軍の多聞がつっかかります。試合中も盛んに志賀に声をかけてたし、これから一緒にやってくことになるのかな。

▼第六試合 三沢光晴、○佐野巧真(11分22秒 ノーザンライトボム → 体固め)マイケル・モデスト、ドノバン・モーガン×

 こういう試合巧者揃いのカードを中盤にもってこれるあたりがNOAHの強みですね。四選手ともダウンしてから立ち上がるまでの動き一つとっただけでも「違い」がありますよ。直前のシガケンの試合が鬱憤たまりまくりだったので余計にそう思えたのかもしれませんが。

 三沢とモデストの絡みって珍しいんじゃないかと思って注目してたんですけど、残念ながらこの絡みは殆ど無かったです。というか三沢の出番じたいが極めて少なかったんですよね。ちなみに三沢、この後の試合ではTV解説を務めてました。

 最後は働き者のドノバンさんを佐野がキッチリとピン。

▼第七試合 秋山準、○橋誠(17分12秒 雪崩式ブルーサンダー → エビ固め)小川良成、丸藤正道×

 なんでこの試合がセミ前? と思うほどの好勝負。ゴング直後にヨシナリが秋山にバックドロップ三連発を決めたところで「すわ! 秒殺か?!」と思わせてから、攻守がめまぐるしく入れ替わり、大熱狂のうちに橋が雪崩式ブルーサンダー(バックドロップ式に抱えあげ、そこから半回転してのジャンピングボム)で丸藤をピン。この一試合だけでチケット代の元は取れましたね。

▼第八試合 ×力皇猛(7分34秒 反則)スコーピオ○

 最初に簡単な試合の流れを。

 タックル合戦 → コーナーに貼り付けた力皇にスコーピオがボディアタック → レフェリーが巻き込まれ、ダウン → 場外乱闘 → 力皇がイスでバッコバコ → パートナーのピンチに怒ったベイダーが青コーナー花道から乱入 → 二人がかりで力皇をリンチ → ベイダーいつのまにか下がる → パートナーのピンチに怒った森嶋が赤コーナーから乱入 → スコーピオにダブルインパクト → フォールするもレフェリーはダウンしっぱなし → レフェリーを起こす力皇 → そのうちにエキサイトしてくる力皇 → 蘇生したスコーピオも混じって収拾つかず → レフェリーがゴング要請、力皇の反則負け

 海外(特にアメリカ)のプロレスでよくある展開ですよね。手前は嫌いじゃないです。というか、NOAHももっとこういう「演出」を取り入れて欲しいと常々思ってます。両陣営はシリーズ最終戦前日の名古屋大会でGHCタッグベルトを賭けて闘うわけですから、こういうアオリは大歓迎なんですよ。だから手前は支持します。

 ただ、観客全員が手前と同じように、この試合を支持したかといえば、それはNOですね。まったく支持されなかったのかといえば、それもまた違うという気もするんですけど。

 ようは反応が鈍かったんですよ。「乱入」っていうシークエンスじたい、これまでのNOAHのリングには少なかったじゃないですか。手前が見た限りでは、ベイダーも森嶋も乱入するタイミングは間違ってなかったと思います。ただ、観客が見慣れてないシーンに対してどう反応したものか困ってたというか、そういった印象を受けましたね。

 NOAHはこれにめげずに、こういう「キレイじゃないプロレス」もドンドン取り入れて欲しいですよ。繰り返すうちに、最初は戸惑ってたファンも反応の仕方がわかってくるはずですし、そして受け入れてくれるはずですから。

▼セミファイナル ×森嶋猛(5分15秒 ラリアット → 片エビ固め)ベイダー○

 というわけで、GHCタッグ前哨戦のシングル対決第二弾です。ベイダー相手に玉砕する展開っていうのはベイダーが試合をする団体の選手ならばおさえておかなければならない必須項目ですけど、森嶋のソレは出色の出来だったんじゃないでしょうか。

 ワイルドIIは下手に「間」だとか「受け」なんて考えなくていいと思うんですよ。まだまだキャリアは少ないんだし、イキの良さだけを突き詰めていくこと。それが「今のポジション」を保持する最良の手段だと思います。「今のポジション」さえ死守できれば、場数なんてのはイヤでも踏めるわけですから。

▼メインイベント 田上明、井上雅央、○菊地毅
           (14分17秒 腕ひしぎ逆十字固め)
                       杉浦貴×、高山善廣、大森隆男

 シリーズ最終戦有明大会で次期挑戦者決定戦を行う田上と大森の前哨戦ですね。でもなんでこれがメインなんだろう? いやノーフィアーや田上軍がメインイベンターであることに異論なんか毛頭無いんですけど、今日のところは意味合いから考えても「秋山組vs小川組」をメインにするべきだったんじゃないですかね。結果論じゃなくて、カード発表の時点でそう思いましたもん。後だしジャンケンみたいで不本意ですけど。

 ちょっと今日の田上は元気が無さすぎましたね。挑戦者決定戦で大森が勝つのは(田上には悪いですけど個人的に)既定事項なので、むしろ大森をボッコボコにするくらいの動きを期待してたんですが。

 やっぱりノーフィアーはNOAHにとってまだまだ必要ですね。入場時の客席の一体感は、ヘタすりゃ三沢にも劣らないですよ。コンビネーションも健在だし、切望された天山・小島組との対決が事実上水泡と化した今でも、やっぱり見てみたい顔合わせはいっぱいあります。シルバ・シン組なんて観たいなぁ。

▼総括

 ここまで書いたところで本稿を改めて読み返してみたら随分と辛口な口調で書いてますが、やっぱり選手のレベルは高いですよ。段違いに高いです。でも興行のレベルは残念ながら高いとはいいがたいですね。手垢のついた表現だけど「点が線になってない」んですよ。「秋山組vs小川組」がセミ前のさらに前なのが、その象徴じゃないですかね。シリーズの今後を占う開幕戦で「ヘビー、ジュニアヘビーの両王者と挑戦者の前哨戦」が「次期挑戦者決定戦の前哨戦」より前に置かれるっていうのはどう考えてもおかしいですよ。

 ただ、救いなのはセミ前の「乱入劇」があったこと。NOAHはまだまだ進化の途中です。小橋の再欠場で、秋山のいう「完璧」になるのは当分先の話となったわけですが、その完璧になる途中の道程でNOAHと一緒に試行錯誤できるんだから、手前のNOAHへの興味関心はまだまだ尽きることは無さそうです。




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