3/2ZERO−ONE両国大会観戦記
■団体:ZERO-ONE
■日時:2002年3月2日
■会場:両国国技館
■書き手:ダイス
先ず前日のことから書こう。WWFは面白かった。期待通り、何も不満はない。チケット代(5000円)分は十分楽しんだ。客席のあまりのノリのよさには多少違和感を感じたものの、自分だって「If you smeeeeeell…..」は絶叫したんで、文句を言えるスジではない。
でも、やはり拭いきれない疑問がある。WWFは確かに面白い。世界最高峰のエンターテインメント・ソフトの一つろう。だけど、これって「プロレス」である必要はないんじゃないのか。

両国国技館にそんな疑問を抱えたままやって来た。多分ここには回答があるはずだ。そして結論から言うと、やはり答えはここにあった。It's true.

前半戦の試合展開は各自スポナビの速報やスポーツ紙のHPで見て貰うとして、印象に残った点を列挙すると、つまらなくはないけど、だからって18分もひっぱらせるなよノア首脳陣とか、サプライズと感じさせなかった佐藤耕平の藤原からの白星とか、成瀬よりもはるかにプロレスの上手い坂田のレガース+素手という感涙もののコスチュームとか、Good old daysを感じさせてくれたNWAvsUPWとか、高橋のコスチュームに燦然と輝く「S・O・D」のロゴとか。
正直ダブルメインイベント以外には大した期待をしてなかったけど、すべての試合がちゃんと面白くて、そしてちゃんと語るべきポイントがあることが素晴らしかった。思えば前回の後楽園大会も、カードを眺めただけではどこに期待していいものかわからなかったけれど、流して見れる試合なんてひとつもなかった。あれを越える興行(not試合)には、今年はまだ出会ってない。ZERO−ONEにはWWFに無いものがパンパンに詰まっている。まあWWFが持っているものは何一つ持ってない気もするけど。

第6試合 ジョシー・デンプシー vs ザ・プレデター
『Eye of the tiger』は誰が使ってもかっこいい入場テーマだな。掣圏道では佐山タイガーも使ってたし。対するプレデター。カーリーヘアーの長髪に、毛皮を身にまとい、手にはチェーン。そして流れるは、名曲『移民の歌』。当然のように観客はキングコングシャウトで応える。いろんな団体を見てるけど、やっぱりここの客は最高だな。
ランバージャックマッチということで、リングの周りにぐるりと屈強の男たちが・・・並ばなかった。名前がわかる人間が耕平と藤崎しかいねえよ、あとは練習生じゃねえか。(後からマッコリーとUPWのオーナーが来たが)そういういい加減なところもZERO−ONEの味ではあるが、案の定こんな練習生達に暴風雨のようなこの二人の戦いが止められるわけもなく、ランバージャックがほとんど機能しないまま、場外乱闘からノーコンテスト裁定がくだるのであった。噂されている地方巡業ではこの二人の試合を毎晩ノーコンテストのまま続けるのがいいと思う。体育館から飛び出してノーコンテスト裁定が出た後も、駐車場で殴り合い続けるなんてのがいいなあ。で、決着戦はエニウエアルールでよろしくお願いします。

休憩、大蝶野コール発生。前言撤回、ここの客は最高ではないかも。

第7試合 丸藤正道 vs 星川尚浩  
ノアにはあまりいい印象はないんだが、それでも丸藤は気になる。常識はずれの運動能力があることは数少ないノア観戦経験からもわかる。ノアとZERO−ONEの関係がどうなっているのか知りたくもないけど、それでもjrチャンプをベルト付きで送り出したんだから、三沢にしてみれば最大限の敬意を払っているのだろう。そして星川。大阪時代のテーマ曲『ハイティーン・ブギ』で入場、隣で観戦している極悪人が涙を流して喜んでいる。いやあ、実際観客の心を一瞬でつかんでしまったようだ。平均年齢高そうだな。
前回後楽園で、菊地にコケにされた星川が丸藤にどんな形でやつあたりするかがこの試合のポイントか。ケブラーダに行こうとした丸藤の足を引っ張って、そのままアゴをエプロンに叩き付けるなんてのが、意趣返しだったのか。やはり前回のいい音がしたのに、ドロップキックが空振りしていたという屈辱は重かったか。しかし、丸藤はやはり天才。去年14回闘龍門を見ているジャンキーの俺でも声を失うような、とてつもない高さのトペ・コンヒーロ。場外のフェンスを使っての不知火。マットの3/4は飛んだボディスプラッシュ。どれもこれも素晴らしかったけど、エグイ当たりをしたミサイルキックから、立ち上がるその姿がいちばん美しく見えたのは、今日この会場に降りていた、「何か」の力のせいかもしれない。

第8試合 崔リョウジ vs 小笠原和彦
小笠原、門下生を多数従えて入場。門下生達はそのままフェンスの外で片膝ついていつでも飛び出せる体勢で待機。極真!地上最強のカラテ!対するはゴルドーの弟子、崔!いいのか、こんなに面白くて。
1回目の崔のダウンでゴングが打ち鳴らされ、秒殺と思ったら単なる間違いで、起きあがり試合続行。ロープエスケープする小笠原、離さない崔。離すなと絶叫する客。道着を脱いで正拳突きのラッシュをする小笠原先生に甲高い声で歓声を送る子供達。異種格闘技戦、なんと美しい響きであることか。そして試合後のセコンドを巻き込んだ乱闘。ああ、古き悪しき(笑)プロレスはやはりここにある。

ダブルメインイベント第1試合 橋本真也 vs 田中将斗
ZERO−ONE事務所から強奪したNWAのベルトをぶら下げて田中将斗入場。どうしよう、本当に苦しいぐらいドキドキしてきた。関本、松崎、大谷、ゴルドー、荒谷、ブッチャー、東郷、本間。日本武道館から学園祭の体育館まで、どこで誰とやっても壮絶な試合を見せてくれた田中が、ついに橋本と両国国技館で一騎打ち。メジャーのエースとの対決という意味では、去年川田とシングルでメインを張っているが(見れなかったけど(泣))最強タッグの最中の地方興行で唐突に組まれた試合とは、注目度も、こっちの思い入れも違う。
あきらかに二周りは体格の違う橋本のチョップを、キックを、フットスタンプを、ドロップキックを、DDTを、受けて、受けて、受け続ける田中。倒れない、倒れても起きあがる、そしてひたすらにエルボーをたたき込む田中。ダイヤモンドダストもコンプリートショットもスーパーフライも何一つ使わずに、ただひたすらにエルボーを腕も折れよとばかりにぶちかまし続ける田中。これだ、これがプロレスだ。優れた運動能力も、練り込まれた攻防も、たたき込む意志と倒れない心の前には意味をなくす。「言葉のいらないプロレス」そして「逃げないことの大切さを伝えるプロレス」ここにあるプロレスが世界最高峰のプロレスだ。

ダブルメインイベント第2試合 小川直也 vs 大谷晋二郎 
「小川直也にプロレスを教える」大谷はそう言った。いまやプロレスの化身となった大谷晋二郎が、火祭り刀をふりかざして、両国国技館のメインイベントにやってきた。
大谷のセコンドについた村上にちょっかいを出す小川に、大谷がいきなりつっかける。久しぶりのプランチャでペースを握ると、小川に手を出す村上を蹴り飛ばし、小川をリングにあげる。そしてスワンダイブドロップキック。そして、プロレスの面白さと怖さを小川に教えるように、小川をロープへ振る。必死にロープにしがみつく小川を大谷はロープへ振った。この間、自分がどういうふうに感情を発露させていたのか記憶がない。多分、この喉の痛みから察するにかなり大きな声を出していたことは間違いないのだが。
結局、小川がロープから戻ってくることは無かったが、それでもこの日のこの場所で小さな奇跡を目撃したことは真実だ。
大谷は敗れた。壮絶に散った。この後リング上では村上と田中が上がり、橋本と小川を標的にした世代闘争の伏線が張られるわけだが、そこに大谷の姿がなかったことがこの日唯一の不満か。

ここには作家が練り込んだブックもなければ、アクロバティックなムーブもない。無骨な、あるいは馬鹿なやつらが、いい加減で行き当たりばったりなどつきあいを見せているだけだ。なのにそれが信じられないぐらい面白い。
プロレスはここにある。ここに帰って来さえすれば、馬鹿で、無骨で、不細工で、冗談としか思えないのに、なぜか魂を揺さぶられるものを必ず味わうことができる。

試合結果
1 ○高岩竜一(18分50秒 デスバレーボム〜片エビ固め)KENTA ×
2 ○佐藤耕平(11分26秒 ハイキック〜KO)藤原喜明×
3 ○坂田亘(3分11秒 膝蹴り〜KO)ショーン・マッコリー×
4 ○トム・ハワード&サモア・ジョー(23分49秒 No37)スティーブ・コリノ&ゲーリー・スティール×
5 高橋洋子(3分3R ドロー)久保田有希
6 ジョシー・デンプシー(7分53秒 ノーコンテスト)ザ・プレデター
7 ○丸藤正道 (17分2秒 雪崩式不知火〜体固め)星川尚浩×
8 ○小笠原和彦(5分47秒 後ろ回し蹴り〜TKO)崔リョウジ×
9 ○橋本真也(12分31秒 垂直落下式DDT〜片エビ固め)田中将斗×
10 ○小川直也(6分24秒 STO〜TKO)大谷晋二郎×




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