歴史の終わり、あるいは未来の歴史
■団体:闘龍門
■日時:2002年2月24日
■会場:後楽園ホール
■書き手:リー監督(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 WWFとWCWの「月曜の夜戦争」の頃、私はこう考えていた。ありとあらゆるプロレスのパターンが出尽くされ、アートとして自己完結したプロレスはその歴史を終えビジネスに走った、と。好意半分悪意半分の意見だ。

 むろん、そのような単純なものではないが、残念ながら論理というのは単純な方が好まれやすく支持を得られやすいという傾向がある。前者の「好意」を後押ししたのは、田中正志氏の「シュート活字」なのだが、残念ながらシュート活字を語るスペースがない。何よりも私の知能が不足している。

 冒頭の思考を正しいと仮定して、闘龍門の脱歴史的な団体としての側面を見てみよう。

 まず、闘龍門の故郷はメキシコである。というよりは、浅井校長のスタイルを考慮すると、故郷はメキシコでありアメリカであり日本である。そのようなプロレス文化の地域性を一つの団体に押し込んだ、という考え方も可能だろう。

 従って、選手のキャラクターも国籍不明の流浪の民のようである。T2Pの悪のエースは、どうやらイタリアということになっているが、これもファッションかぶれの嫌味なキャラを立たせるために、イタリアという国名が付随しているだけである。浅井校長の将来構想ではさらにこのギミックを推し進めた、楽しいことも考えているらしい。

 このような地域性の排除と共に、歴史性の欠如も捨てがたい。従来の過去のプロレスの美味しいところをカードとして地面に並べ、その中からランダムにピックアップし、恐るべきスピードと濃密さでその動きをこなしている、という印象だ。その脱-歴史を展開できるもう一つの要因は選手の若さにもあるだろうし、当然浅井校長の柔軟な頭脳にも依拠しているはずだ。

 但し、プロレスは歴史を作るジャンルである。それはフェイクだろうがリアルであろうが、歴史を作る力がある。時と共に迷走する世界線に、刻印を残していくのである。

 それが今後の闘龍門観戦の楽しみでもある。

 今日の後楽園ホール、開始時点で既に立ち見が60人以上の超満員。熱気でムンムン。PRIDEや全日と同じ日の興行だというのに、この入りは凄い。いつにもまして、観客の後押しがあったような気がする。

 メインの「モチヅキ・コントラ・モチヅキ」は、すっかり「いい人」になってしまった望月成晃が、予告通り望月享をウラカンラナで丸め込んでしまった。「いい人」だけでも大爆笑なのに、ウラカンラナだよ、全く。「いい人」は「いい人」用のマイクもしっかりこなし、お客さんをハッピーにさせていた。モッチーは芸風が広くて素晴らしい。

 逆にマグナムは正規軍を罵倒。むむむ。こ、これはもしかすると……。M2KのMの字が、ええと。……確か試合前のMCでも「マサアキTOKYO」なんてフレーズが飛び出していたことからも、何かが起こっているな、これは。

 もちろん、望月享のプロレスも特筆もの。巧い。感嘆の声を上げてしまうくらい、モッチーのM2K離脱マッチに華を添えていた。この試合に敗れたため「ヨコスカ・ススム」となるらしい。

 セミのクレイジーマックスと正規軍の対戦も、見応えのある6人タッグマッチだったが、メインとのバランスを考えると、ちょっとやり過ぎかも。少しダレ場が欲しかったような。等と考えてしまうのは贅沢な悩みである。とにかく、CIMAが凄い。フジと斉藤了の絡みも凄い。今回はCIMAがアラケンの頭突きを中心にスポットを考えているような感じ。アラケンは頭に怪我をしているという噂もあり、なるほどよく考えられているものだと感心した。

 セミ前でのCIMAの喋りも特筆もの。クレイジーマックスと行くツアーの宣伝。CIMAは天才だな。なお、このツアーではメキシコにてT2P対クレイジーマックスの対決が観られるらしい。おおお。観たい。未来の先取りだ。

 その他第1試合で久しぶりに戦うSUWAを見た。相変わらず危険な場外乱闘で、違う意味での緊張感のある試合になった。しかし、SUWAはクレイジーにバンブするので上手い下手を超越した凄い試合を魅せることが出来る。プロレスとしてはいいのかどうか分からないが、それがSUWAの持ち味である。意外に対戦相手はSUWAの技を厭がっていない風にも見受けられる。闘龍門は奥が深い。試合後、何とデインジャー・

 松永光弘がサーベルと共に乱入。

 その松永はそのすぐ後、市川と試合をした。いつも思うことだが、闘龍門の中で市川の試合は絶対に必要である。今回の流れならセミでも良かった。しっかりとバルコニーまで闘いは繰り広げられ、当然市川が落ちそうで落ちない展開になる。爆笑。ハイスパート天国の中で、何をやってもパロディになり笑いをもらう市川の存在を私たちは大切にしなければならない。

 第3試合は堀口元気・ダークネスドラゴン対スペルシーサ・マグナムTOKYO。マグの入場は今でも世界一。元気の悪振りも身に付いてきたようで、ヒール・ターンは大成功だ。この試合はとにかくスピードが凄い。闘龍門ならではだと思う。試合後にSUWAが乱入しハイジャンプFFFでマグをKO。マグは担架で運ばれる。SUWAもあちこち喧嘩を売って忙しくなっている模様。

 最初のMCでM2Kから望月成晃が離脱したことに伴い、モッチーに対するM2Kのマイクを享がやっていた。プロレスの巧さに比べるとちょっと今イチなので、校長が応援に来ていた。これは今後の課題かな。

 今夜も闘龍門で幸せになってしまった。ハッピーエンドでもバッドエンドでも幸せになってしまうのだから、私はバカなのだろうが、この幸せを多くの人たちと共有したい。

○SUWA(3:07 トップロープからのエルボーから体固め)×岡村隆志
○松永光弘(5:03 凶器に対する恐怖でギブアップ)×タイガージェット市川
○マグナムTOKYO スペルシーサ(15:44 バイアグラドライバーから片エビ固め)×堀口元気 ダークネスドラゴン
○CIMA ドン・フジ TARU(25:21 シュパインから片エビ固め)×新井健一郎 ドラゴン・キッド 斉藤了
○望月成晃(16:26 ウラカンラナ)×望月享 




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