理想と現実の狭間に見えたもの。
■団体:PRIDE19
■日時:2002年2月24日
■会場:さいたまスーパーアリーナ
■書き手:ほいほい@爆発(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

相変わらずPRIDEの客入りは上々。
この安定感は何とも言い難い。
やはり、これはプロレス・格闘技ファン以外の層をある程度確保したからに他ならないのだろう。
しかもこのカードの並びようといったら、豪華…という言葉以外は思い浮かばない。
まさにお金があれば何でも出来る!状態か。
数ある総合の団体の中では突出している。突出し過ぎている。
この状況で、他団体が対抗出来る所は、試合内容しかないのではないか?
試合内容ではPRIDEと何ら遜色のない団体もある。
良い意味で共存共栄し、切磋琢磨してくれれば、まだまだ行く果ては上向きになるんじゃないでしょうか。



第1試合 トム・エリクソンvsティム・カタルフォ

エリクソンは、存在そのものが反則。
華がないのに強いし、なにより同体格で闘える選手がいない。
これでは使い道が皆無に等しくなる。
いくら、凄い身体をしているオバケもエリクソンの前では、ちっちゃい変なおっさんにしか見えない。
良いキャラしているだけに勿体無いオバケ。(これぞ正真証明)

オバケ、エリクソンに塩をかけられたように踊る月夜の前に圧死。

○エリクソン(1R 2分35秒 裸絞め)×カタルフォ



第2試合 ヴァリッジ・イズマイウvsアレックス・スティーブリング

スティーブリングの観客に伝わって来ない強さが際立つ。
抑え込まれてもするすると抜けていき、打撃を当てていく。
そろそろ世代交代が始まっているのかもしれない。
狂犬は噛ませ犬に成り下がってしまうのか?
ずっとファイトスタイルに変わり映えのない、イズマイウに明日はあるのか?

○スティーブリング(3R終了判定 3−0)×イズマイウ



第3試合 松井大二郎vsホドリゴ・グレイシー

入場テーマのせいもあるのだろうが、ホドリゴにはグレイシー特有の暗さや悲壮感は見えて来ない。
合言葉はひとつ、チェンジ、チェンジ、チェンジ。
グレイシーもチェンジマンのように変化の時を迎えているようだ。
PRIDE初陣という事もあってか、非常に固い動きをみせる。
松井にスイープされてしまう、という失態以外は、ほぼ完璧。
守りの堅い松井から1本を取ったという事がすべてを物語っているだろう。
闘龍門ファンの松井は、BESTから出直し再修業すべき…。
と言いたいのはやまやまですが、肝心のPRIDE本戦の方に日本人がいなくなるのは痛手。
どうにかならないものかな?

○ホドリゴ(3R 0分28秒 フロントネックロック)×松井



第4試合 カーロス・ニュートンvsペレ

立ってペレ、寝てニュートン。
両者の持ち味がうまく際立つように出来ている。
ペレの打撃をギリギリでかわしたニュートンは、グラウンドになると水を得た魚。
柔らかい動きでポジションを取り、そして逆十字で1本。
ペレはウエイトを上げてからは、動きが悪い。
元来のウエイトに戻して、シュート・ボクセUFCに殴り込み。という方が面白そうだ。
中軽量級クラスの選手はPRIDEに出ていても、未来はないと思う。
ニュートンも同様だけど…あまりにも動きがキレイ過ぎてUFCには似合わない感じがするんですよね。
色々な場所を転がるボールでいてもらいたい。

○ニュートン(1R 7分16秒 腕ひしぎ逆十字固め)×ペレ



第5試合 ヒース・ヒーリングvsイゴール・ボブチャンチン

今後のPRIDEヘビー級戦線を占うような好カード。
だが、最近パッとしないボブチャンチンには酷な相手だ。
この前に流れたシュルト戦といい、今回のヒーリング戦といい、ボブチャンチンを潰そうとしている気すら見えてくる。
1回沈みかけた船をもう一度、急浮上させるにはそれなりの大きい見返りが必要なのはわからないでもないですが。
ヒーリングのグラウンドにもうまく対応するボブチャンチン。
それを見て、あぁ、これもありかぁ。とは思うものの、やはりどこか物足りない。
技術を見せ出したが、らしさが損なわれた。
ボブさんクッキーが販売されてから、あまり良い所が見えない。
1回販売中止にすべきです。ボブさんに明るい未来は見えませぇぇん!

○ヒーリング(3R終了判定 3−0)×ボブチャンチン



第6試合 ドン・フライvsケン・シャムロック

思いを抱き続けた年月が長ければ長いほど人は過去を生きる糧とする。
抱き続けた思いが深ければ深いほど人は過去を美しく磨き上げる。
美化された思いはやがて絶望へと姿を変える。
ガッチリきまっているヒールホールドを耐えるフライ。
これは意地以外の何物でもないように思える。
思い続けた月日の数程、耐えなければならない理由が存在する。
それはケンにとっても同じ事。パンチで殴り倒されても、スタミナがきれても這いつくばれない。
両者の思いが激しく交錯する。
マストシステムでなければ、ドローで良い判定だが、勝利はフライのものとなる。
勝敗は関係なく、すべてを出し尽くしたと思える両者を称えたい。

○フライ(3R終了判定 2−1)×ケン



第7試合 アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラvsエンセン井上

やっぱり、今回はエンセンの出場は見送るべきだったと思う。
DSE側にしても色々事情はあっただろうけど。
ノゲイラとスペーヒーのエキシビジョンでもやればよかった。
入場からエンセンと観客の間には、凄い温度差が生じている。
ゆっくりと歩を進めながら組員との別れを言っている姿に、何やってるんだ!犯罪者!という野次も飛ぶ。
皆、一様に良いイメージは持っていない。
エンセンはヒール、そしてノゲイラが大ベビーフェイス。
それを象徴するかのように、ノゲイラの美しい技術の数々に酔いしれる観客。
そしてエンセンが落ちた時の大歓声。
すべて大和魂組が思っていたであろう、それとは逆の結果を生んだ。
一端狂った歯車はもう元には戻せない。
エンセンの自慰的なマイクも、観客には苦痛にしか感じず、飛んでくる数多くのブーイング。
それに怒りで反応してしまったエンセンのファックユーという言葉。
心が痛いまでに物悲しい。
総合の品位を落としかねないエンセンの言葉。
やはり、今回は出るべきではなかった…。

○ノゲイラ(1R 6分17秒 三角絞め)×エンセン



第8試合 ヴァンダレイ・シウバvs田村潔司

田村のセコンドには、高阪、坂田、上山。
リングスの総精算。そして、けじめをつけているように見える。
この時、初めてリングスは終ったんだ、過去のものになってしまったんだなと感じた。
久々に小太刀を掲げ決意表明、何も変わっていない田村。
すべては人の為にあらず。自分の為にだけ…。

田村はVTの現在を身を持って体感する事となる。
すべてはシウバの思うが侭。染み入るような顔面パンチ。
過去から未来へと進む姿。
リング上に寝ていたのは田村。スタンドでの右パンチ一発でKOされた。
何よりも明確な現実。残酷だがこれが現実。
田村は、自らのKO負けにより、自分に対するケジメをつけたように見えた…。

○シウバ(2R 2分28秒 K・O)×田村

桜庭が亡き今回のPRIDEを田村で食い繋ぐという…やはりキーはUインターか!!
などと思ったのは試合前まで。
田村の完敗というのは、すべての妄想を吹き飛ばすだけのインパクトはあった。
ボコボコにされ、這いつくばる姿には悲しさしか見えない。
美しいとさえ思われた、田村の姿は現実を前にして、むなしくそして切なく散った。

田村潔司、これがお前の結果だよ!!
でも、こんな所でやめてられねぇだろ?
まだやり残したこといっぱいあるだろ?
明日からまた生きろよ!




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