The Game、待望の復帰。
■団体:WWF Raw
■日時:2001年1月7日
■会場:ニューヨーク州マジソン・スクエア・ガーデン
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

どうも。去年の途中からほぼ月刊になってしまったRAWレビューですが、今年も大事な大会はカヴァーしていくつもりなのでよろしくです。で、年明けにいきなり「大事な大会」があったので早速書いてます。ヒザの手術で長期欠場していたトリプルH。WWFの人気降下阻止の最後の切り札として、いつ復帰するかするかとこの数か月ずーっと話題になっていて、会社も引っぱりに引っぱって、U2の音楽に合わせた復活予告クリップも流しまくって、12月のPPVはほとんどトリプルH一本で宣伝を売っといて結局出さないという暴挙にも出た末、ついにこの今年最初のRAWで復帰です。

正確に言えば、実はトリプルHは先週末のハウスショーでケインと組んで、一足先にWWF復帰を果たしたそうです。当然ファンから熱狂的な声援を受けた模様。WWFコムは「このファンのリアクションを考えるなら、RAWに復帰するトリプルHは大ベビーフェイスとなるとしか考えられない。」と報告しています。果たしてどーなることやら?

ってことで、例によって最近の流れを説明したいのですが、まあ前回の生観戦レポートの地点からあまり状況は動いてません。相変わらずジェリコが負けそうで負けない(でもいつも泣いてる)ヒール統一王者。ベビーのエースがオースティンとロック。次いでRVDとエッジ。ヒールのトップは、ジェリコのほかにアングル、テイカー、ブッカーT(最近マネになつかしのビッグ・ボスマンがついた)といったところです。で次のPPV(ロイヤルランブル)では、ジェリコvsロックのタイトルマッチが決定。また、相変わらずビンスとフレアーが共同経営者として争っていて、ロイヤルランブルではこの二人の一騎打ちも決定しています。俺はこのカードはレッスルマニアまで取っとくと思ったけど。あと、もうひとつ特筆すべきことは、最近ステフがテレビにカムバックしたことです。来たるべき夫の復帰にかこつけて、懸命に権力闘争の中に食い込もうとビンスやフレアーに媚びを売ったり脅かしたりしては、断られています。では今年最初のレビューいってみましょう。

番組開始と同時に流れてきたのは、すでにおなじみとなっているU2 の「Beautiful Day」に乗ったトリプルH復帰クリップ(のスペシャルショートヴァージョン)。これがはじまり、トリプルHの映像がテレビ画面(タイタントロンにも)映されると同時に、場内からのわーっという大歓声も聞こえてくる。それが終わるとでっかく「TRIPLE H RETURNS TOINGHT IN NEW YORK CITY」の文字が画面を埋める。

いつものRAWのクリップ。超満員札止めのMSGからの中継開始。実況は当然JR&キング。
左目の下に痣のあるビンス、でっかいプレゼントの箱を持って登場。いきなり復帰するトリプルHに媚びを売るのか、と思いきや「トリプルHの復帰よりも、もっと大事なことを話したい。私とリック・フレアーの試合についてだ。」とスカす。そしてフレアーのかつての黄金時代の映像(vsレイス、ブロディ、スティンボート等。WCW買収で一番重要なのは、レスラーでなくこういうヴィデオライブラリーを手に入れたことにある、と言う人もいる)をヴィジョンに流し、さらに去年のフレアーWWF登場、最近のビンスとの因縁もヴィジョンで説明。目の痣は先週フレアーに殴られたものとのこと。で、持って来た箱を開けると、中には金髪のかつらとフレアーのガウンが入っていて、ビンスはそれをつけてフレアーの真似をしてリング上をステップ。

そこにフレアー登場。激昂してビンスにかつらとガウンを脱げと迫ると、ビンスはおとなしく従う・・・と見せかけて懐から鉄パイプ(?)を取り出してフレアーを一撃。倒れたフレアーをしり目にフレアーのガウンをジャンプして何度も踏みつけ(子供かよ)、さらに流血したフレアーの髪を掴み、その顔を四方に晒し(この時の苦痛で叫び声を上げるフレアーの顔、すごい懐かしい)、リングに放り捨てる。さらにビンスはフレアーに一通りの攻撃を加え、さらにリングに放り上げてから(!)音楽に乗って去って行く。引き上げるビンスと、リング上で金髪を血に染めたフレアーが、目を見開きながら、体を起こそうとしているショットでこの幕終了。

このオープニング、別に特に秀逸な仕掛けでもなかったけど、金髪を血に染め苦痛に叫ぐフレアーのやられ顔を久々に堪能できて良かった。これぞプロレスですね。フレアーの顔を晒してみせて、最後にわざわざリングに放り上げてから帰って行ったビンスも、ほんと見せ所を心得てますね。超ベタなネタで申し訳無いけど「プロレスは屈辱のスペクタクルであり、古代の十字架と晒し台の再現」っていうバルトの言葉がぴたり。

RVD vs テスト。
RVDが一人で飛びスポットをぽんぽん出して、しかもシャイニングウイザードみたいなの(相手の膝に乗って顔面蹴り)まで出して、ヴァンダーミネーターからファイブスターフロッグスプラッシュで完勝。テストはもうちょっといい扱いされてもいいと思うけど。しかし今日の観客はノリがいい。いずれ来る今日の目玉(トリプルH復帰)が楽しみでしょうがないって感じ。

駐車場でトリプルHの来場を待ち構えているコーチ(インタビュアーの名前)、アングルに「なぜ私をインタビューしない? 私には重大発表があるのだ。」と絡まれる。アングルは憎々しげに「お前の前で発表するものか。今夜は私の夜なのだ。」と吐き捨てて去る。

久々のWWF New York からの中継。なにが来てもぎゃーぎゃー反応してくれるここの客の前で、トリッシュとテリが挑発し合い「濡れ濡れTシャツコンテスト」を今夜やることを宣言。

チャック&ビリー vs スコッティ&アルバート
最近できたよく分からないチーム同士の対戦。チャック&ビリーっていうのは、パルンボとガンによる新ギミックのゲイタッグなんですよ。赤いタイツに赤いバンダナ。まさかあのDXで一世を風靡し、こないだも初めて対戦したTAJIRIに「めちゃくちゃプロレスうまくて大感動した」と言わしめたミスターアスがこんなキャラに成り下がるとは・・・とも思うけど、なんかけっこうプッシュされてもいる。今日もビリーのフェイマサーで勝った。

ジェリコインタビュー。統一王者になって以来の超ゴーマンモードで「今日はフレアーが俺とラキシの試合を組みやがった。俺のこの、被写体として完璧なピカソの如き顔(ん?)が、スティンクフェイスされるのをみんな観たいのだろう? 残念ながらそうはいかないね。」等

オースティンインタビュー。内容がどうこうよりもとにかく、完全に観客に「What!?」の合いの手を叫ばせるためのものになっている。そのためにセンテンスを短く区切り、また何度も繰り返す。例えば「俺はロイヤルランブルに出るぞ!(観客「What!?」)ロイヤルランブルだ!(観客「What!?」)ロイヤルランブルと言ったんだあ!(観客「What!?」)」とか、「俺は相手を一人トップロープから放り出す。そして次の奴だ(another)! また次だ(another)! 次だ(one another)! 次だ(another)! 次だ(another)! 次だ(another)! 放り出してやる。」とやって、いちいちanother! のところで観客の「What!?」の大合唱が入るってわけ。最後には本日ロック様と組んで、ブッカー&ボスマンを倒すことを予告して終わり。

エッジvsストームのインタコンチ戦。
一分くらいで、エッジキューション(相手をリフトしてからのDDT)でエッジの勝ち。なにを急いでる? その後リーガルがエッジを襲う。

控え室で、アングルとクリスチャンが、みんながトリプルH復帰を騒いでいることに不満をこぼしている。

ブッカー&ボスマン組 vs ロック&オースティン組。
中盤にひとつ、核になる7、8分の長い試合をもってくるのはWWFの特徴ですよね。今日はこれ。オースティンがスタナーでボスマンに勝利して、ロック様と乾杯。 オースティンがストンピングをするごとに観客「What!?」。全日の「オリャ!」は後楽園っていう特殊な場ではじまり、そのうち客が飽きて終わったけど、WWFの場合は全米回っているからしばらく続くかもな。ボスマンは「ビッグ」が取れてザ・ボスマンになったよう。ブランクあるはずなのに、けっこうそつなく動いている。ちょっとしたらまた消えて、そのうち戻って来るのだろうか?

試合前のジェリコ、鏡を観て自分の美貌をチェック。

ジェリコ vs ラキシ。
ベルトでブン殴ったジェリコの勝ち。やられ役レフのニックが間違ってスティンクフェイスを食らうギャグ付き。

ビッグショウ、TAJIRI&トーリーが控え室。ビッグショウはベースボールキャップを、TAJIRIはハットをかぶっていてなんか笑える。ビッグショウが、トリプルHの復帰によって全体がレベルアップするだろうと語っていると、そこにアングルがやってきて「お前らガキか?トリプルHはみんなの頭をスレッジハマーでブン殴ってた奴じゃないか」と怒って去る。それを聞いたTAJIRI「××××(聞き取り不能)!? ヒア!? トゥナイト!? 」と喜んでなにやら演歌を歌い出す。

これからタッグタイトル戦をやるダドリーズとタズ&スパイクが廊下で言い合い。ババがタズに「お前らが駄目なのは、自分たちがどこから来たか(もちろんECWのこと)忘れちまってることだぜ!」と言うと、タズも気色ばみ「なんだって? 今日は俺がお前らを、俺ら全員がかつていた場所に連れて帰ってやるぜ!」ババ「ほう。じゃあお前これを覚えているか? Beat us, if you can. 」微笑んだタズ「Survive, if we let you!」「Beat me, if you can. Survive, if I let you. (倒せるものなら、やってみな。生き残れるなら、やってみな。)」ってのが、ECWの誇る最強王者、タズの決めゼリフだったんですね。いやあこんなやりとりされると、次の試合はもしかしたら、せわしいRAWスタイルでなく、ECWテイストのじっくりとした試合をやってくれるんじゃないかとか、ちょっとだけ期待しちゃいますね。

ダトリーズ(withステイシー) vs タズ&スパイクのタッグタイトル戦(ハードコアルール)。
まー残り放送時間を考えても、上述の期待がかなうわけもなく、試合はのっけから凶器が飛び出してちゃっちゃか進む。で、タズを誘惑するためのステイシーの尻振りにババが見入ってしまい、そこにタズがテーブルスープレックス。でもテーブル壊れず足だけ曲がる。すかさず入ってきたスパイクが、滞空時間の長い長い三角飛びフェースクラッシャーをババに仕掛け、テーブル破壊のナイスフォロー(足の壊れたテーブルをきちんと抑えてたタズもナイスだし、思い切り腹から水平に落ちて行くババの受けもよし)。カウント3入って、なんとタズ&スパイクが新王者に。短かったけど、試合前のスキット&アクシデントも合わせて、得点の高い試合でした。

事前に撮られた、テイカーのコメント。「トリプルHよ、奴らはお前をリスペクトしたりしない。奴らは俺たちを利用し、俺たちの血と痛みを求めているだけだ」等々。で、今日のめでたいカムバックは邪魔しないが、この庭(Yard)は俺のもの。ロイヤルランブルで生き残る犬は俺一人だ、と。

水鉄砲を持ったキングを司会に、テリとトリッシュの濡れ濡れTシャツコンテスト。俺あんま女の上半身には(特に人造人間のそれには)興味ないんだけど、つまりTシャツにキングが水鉄砲を発射して、どっちの透け透けがセクシーか観客の拍手で競うもの。テリが透け透けになった後、トリッシュの番のところでジャズ(新規加入の女子レスラー)が後ろからトリッシュを襲い、コンテストを壊す。上野千鶴子かお前は? でも笑ったのが、水鉄砲が射精するチンコの象徴だってことをキングも意識してて、水鉄砲をしごいてたこと(コンテスト前にちょっと発射したのがカウパー線液か?)。

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そしてCM後。待望のトリプルH入場!

場内の明かりが落ち、いつもの入場曲が鳴ると共に、大歓声のスタンディングオベーション。ジーンズ&ジャケットの私服で舞台に立ち、水を頭からぶっかけて髪を振り乱し、いつもの恐い顔のトリプルHがゆっくりエプロンに上がる、ためにためて口に含んだ水を吹き上げ、吠えてリングイン。四方のコーナーに昇り、また吠える。JRがトリプルHのカムバックへの賞賛の言葉を並べ、キングが「でもこいつは悪いヤツだ」とへらず口を叩く。つまりこの地点では、トリプルHは公式にベビーということになっているということ。

やがてマイクを取ったトリプルH、大歓声を浴びながら、スポットライトの感触を確かめるように時間を書けて四方を見渡してから「万一俺のことを忘れた奴のために、俺が誰だか教えてやる。I AM THE GAME!! そして俺は間違いなく帰って来た!(And you can bet your ass I'm back!!)そして俺は今夜、正式にロイヤルランブルに参加を表明する!」

ここでアングル登場。音楽に合わせて観客が「You suck!」と合唱。入場しながらしゃべるアングル「お前は何様のつもりだ? 足の怪我で8ヵ月欠場だって? 私なんか首が折れた状態で金メダルを取ったのだぞ。私はお前の復帰なんかよりもっと重大な発表がある。私も今年、初めてロイヤルランブルに出場するということだ!」(トリプルHのアピールにはいちいち大歓声だった観客が、今はいちいちあざけりの「What!?」を合唱している)。アングルは続けて「なぜ今年が、私にとってはじめてのロイヤルランブルになるか分かるか?去年はお前をピンするのに忙しかったからな!」

ここでトリプルHがアングルにスピア。上に乗ってパンチ、そしてストンピングのラッシュ。おお、いつもの大きなトリプルHプロレスだ。でグロッキーになったアングルをしり目に、トリプルHは吠えてTシャツを脱ぎ捨てると、さらにアングルに攻撃。すごい体に仕上げてきてる。筋肉はかつてと同じだけど、以前より脂肪が取れてる。アングルも少し反撃するけど、トリプルHが再びタックルで逆転し、両手を上げて吠えてからペディグリー(いつもより一層高く飛び、思い切り両膝から落ちた)。これで大の字になったアングルになにやら吐き捨て、大歓声の中トリプルHが引き上げていって本日は終了。しかしトリプルH、なんか全然怪我の跡が感じられない。100パーセント近くに戻ったという本人の言葉、あながち嘘じゃないのかも?

ってことで結局本日トリプルHの復帰は、ごく普通にベビーとして大歓声の中、無事に行われたのでした(いやま、怪我した地点では彼はヒールだったんだけど、会社がその怪我したこと自体を使って、欠場中にベビーにしちゃいましたから)。今日は全体的にサプライズが少ないという意味では平坦なRAWだったけど(ステフも出なかったし)、オープニングのフレアーの苦痛の顔、ECWアングル、最後のトリプルHの元気な姿など、個人的に好きなシーンがいっぱい観れて満足度は高かったです。また本日は、オースティン、テイカー、トリプルH、アングルと4人をロイヤルランブルに参加表明させたので、ランブル本戦はけっこう面白くなりそうですね。でもまだ、トリプルHが今後どう動くかまったく不明。WWFは去年、映画撮影からのロック様の復帰フィーバーを見事に数週間でしぼませた前科があるので、ちょっと恐いものもあります。ま、お手並みに注目ってことで。




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