AX観戦感想
■団体:女子総合格闘技AX
■日時:2001年12月26日
■会場:CCCホール
■書き手:石渡知子

今回で2回目となるAX、場所を下北沢から六本木に場所を
移しての開催となった。
六本木という華やかなイメージのある場所での開催は
やはり「女子」という事を意識してのことなのだろうか?
そして「輝きたいの」というキャッチコピーも今回の大会のイメージを
明言しているのだろうか?


試合数は5試合と少な目ではあったがどの試合も
メインをはっておかしくないカード、そして好試合であった。
しなしの総合デビュー戦での体重差をものともしない関節技や
ジェット・イズミの戦慄の膝には度肝をぬかれたが
それでもやはり注目は星野vs辻だろう。
レスリングの強豪相手にどこまで格闘技の神は、
星野に微笑みつづけるのだろう。


星野はいつも通り、気合十分で入場する。
その大きな瞳をさらに大きく見開いた気迫充分な姿は観客を一気に星野ワールドへ引き込んだ。
しかし、試合が始まれば星野の攻撃をかいくぐって持ち前のレスリング技術で
タックルを仕掛ける辻に惹きつけられたの事実だ。

2R 星野が辻を投げ、そのまま辻の腕を絞り上げた。
コレは決まったかと思われたが、セコンドの適切な指示により
間一髪逃れる。

ここが勝負の分かれ目だった。

星野は次第に体力を消耗していく。
2R終了後のインターバルでは
セコンドの指示に「ハイ!ハイ!ハイ!」とまるで自分に言い聞かせるように
大きな声を出して自らを鼓舞する星野。
それはぽっかりと待ち受けている落とし穴を予期していたかのように。

しかし、それはやはり3Rに星野を待ち受けていたのだった。

打撃、辻のタックルとそこまでは前ラウンドと同様だった。
だが、辻が星野をコーナーへそのまま押し込みバックを取るとそこから
辻はすぐさま腕を取った。コーナーと辻に挟まれた星野は動けず
もう逃れることが出来ない星野はタップを選んだ。
リングに駆け寄る辻のセコンドたちと辻の喜びようと
反面、涙をこぼしながら放心状態でリング中央にぺたんと座り込んだ星野に
いまさらながら、格闘技の残酷な部分を垣間見てしまったと思い、
素晴らしい試合ながら、胸に酸っぱいものが広がるのを感じた。

試合はどれも大変素晴らしいものであった、見ごたえ充分であった。
だが、それは女子だからこそ余計に目に映るのかもしれないが
総じて、これはこのまま燃え尽きてしまうのではないか?
そういう懸念が脳裏をかすめた。
これは、女子の、その輝ける原石を、この一瞬にすべて激しく燃やし尽くす、
そういう輝きなのではないか?
それが「輝きたいの」というキャッチフレーズの指し示すものならば
それは意味を履き違えていると断言する。
まだ荒削りな原石そのものを燃やしたその一瞬の閃光が観客の心を打つのは当然だ。
それほど眩しいものはないからだ。
しかし、それは世界の終わりであって次回に続くものではない。
まだこれから、いいや、始まったばかりの女子をこうも性急に
マッチ売りの少女が数少ないマッチ棒を擦るかのように次々と夢を燃やしつづける、
そんな大会では、マッチ棒がなくなったとき一体何が残るのだろうか。
夢の残骸だけが残る、そんなのはご免だ。そんな夢は見たくない。




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