GAEAに新しい鼓動
■団体:GAEAJapan
■日時:2001年12月15日
■会場:川崎市体育館
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 今日の私のお目当ては、クラッシュ・ジュニアのデビュー、ラスカチョ vs D-FIX、広田 vs えべっさん、ってところ。
 5時ギリギリに体育館についたのですが、開場が遅れたのか入り口から長い長い列が出来ていた。というわけで、大会開始は5時半少し前ぐらいに延びた。
 4月の同所での大会と違って今回は花道を設営していない。その分若干増えた席数を含めても館内超満員。飛鳥離脱・欠場者続出以降、後楽園でもやや空席ができつつあったと聞いていましたが、さすがGAEA、大箱興行で底力を見せられた思い。脇澤効果もあったかな。

 その脇澤に相手の北斗(第1試合)、男子選手、デビュー戦の桜井を除いての入場式、挨拶はアジャ。アレ?所属選手じゃないのに。まあチャンピオンだからかな?滑舌のいいアジャがめずらしく噛みまくっていた。
 他の選手が引きあげてもリング上に残っていた D-FIXの尾崎とKAORU、対戦相手のラスカチョを呼びとめ、マイクアピール。尾崎のスポンサー、ダイコク電機から賞金がでるので、争奪マッチに変更しようとの提案。ルールはのちほど。尾崎の喋りはイマイチ。
 大会中通じて、欠場を続ける加藤園子とシュガー佐藤がかいがいしくセコンドを務めた。

第1試合 特別試合 ○北斗晶(フリー)(7:56 体固め)×脇澤美穂(全女)

 97年、倒産した全女を救うべく参戦した北斗、対戦相手にまだキャリア1年の新人だった脇澤を指名。脇澤にとっては、この一戦をきっかけに脚光を浴び、また自身プロレスを好きになるきっかけの一つにもなったという。特別な思い入れの対象に、直訴かなって実現する、引退前日の対戦。セコンドは盟友納見。

 試合開始、握手を離さず北斗いきなり急角度のバックドロップ、さらにフライングニールキック。そしてエグイ角度の腕固め、横殴りの張り手と、北斗の厳しい攻めが続く。
 脇澤、コーナーに上った北斗をダダっ子のように殴って落とし反撃開始。ドロップキックで落とし、場外へプランチャ、戻ってフィッシャーマンSPX、フライングボディプレス、フィッシャーマンバスターの連発で反撃。
 凌いだ北斗、独特の変則的な構えからのバックドロップ、デンジャラスクイーンボム、横殴り張り手の連打、これでもう脇澤はほぼKOだったが最後にノーザンライトボム。

 短い時間ながら、北斗の厳しい攻めの中に脇澤の華やかな反撃もあって好試合。
 試合後、北斗が大きな黄色いバラの花束を渡す。脇澤大泣き顔、土下座で礼。納見に支えられ客席四方に向かって礼。北斗退場後に、脇澤のテーマ曲も再び流れた。GAEA側も最大の礼を尽くして脇澤を送り出した。

第2試合 ○カルロス天野(フリー)(11:12 片エビ固め)×植松寿絵

 キャラクター、コスチュームを変えて以降の植松を見るのは初めて。ルックスもキャラも、そこそこ好きな選手だったのでやや不安だったが…
 短髪、黒系の上衣(ピッタリした素材で肩を出す)にパンタロン。いろいろご意見はおありでしょうが私的にはコスはOK。ただファイトが…

 脇固めに取りながら相手の腕に噛みつく。スタンドで向き合ったところからもただたんに腕に噛みつく。入場時、頭に巻いてきたターバン様の布で首を締める。さらにその布を拳に巻き、妙な振りかぶり方からパンチの連打。…
 そのたび客席からは失笑ともつかない笑いが起こる。失笑系ヒールになっちゃってる。
 この試合中に見せた、天野の飛び乗り式腕ひしぎを切返してのパワーボムの力強さ、あるいは空中姿勢の相変わらずキレイだったフライングボディプレス、それらの技を大切にして、めざすとしたらKAORUのようなカッコイイ系のヒールになって欲しいのだが…

第3試合 ○中山香里(フリー)、えべっさん(大阪)(17:42 片エビ固め)×広田さくら、タイガースマスク(大阪)

 さてお楽しみの第一であるミックスドタッグ。
 試合前、ビデオで広田「えべっさん、神聖なプロレスをお笑いのネタにする奴は許さない!(←お前が言うな)」「(タイガースに向かって)お前のところも脱税問題で大変だろうが…」「試合前にはもちろん、仙一さんの『センロック』!」と、むか〜し星野がCMしていた胃腸薬を取り出す。タイムリーだな…
 笹で観客の頭を撫でながらえべっさんの曲で入場の中山組、コンプリートプレイヤーズ・ポーズを決める(えべっさんは田中役)。えべっさんのモノマネはほんとに可笑しい。この選手素顔のときもいろいろモノマネするのだが可笑しさでは覆面したときのほうがなぜか数段上。
 タイガースは『六甲おろし』で一人先に入場。広田は『燃えよドラゴンズ』(坂東英二ヴァージョン)で、星野仙一のお面、ドラゴンズ監督時代の背番号を背負って入場。しかしすぐに早変わり、ユニフォームの下からはシースルーのランジェリーが!(さらにその下は肉襦袢ふうの肌色水着) さっそくセクシー挑発、しかしえべっさん全く乗らず。間違えて広田に触ってしまってすぐさま中山にタッチ、「えんがちょ」で結界を張る。

 スタートは大阪プロレスの2人。ロックアップしようとして両手をかざしたままなぜかスレ違う、という大阪プロ伝統の芸をしつこく何度も披露。レフェリーのトミーさんに叱られ、なぜか隠し持っていたハリセンでツッコまれる。
 広田と中山に替わる。コーナーでダウンした中山に向かって、広田が「コマネチ!」ポーズから、顔面に股間を激突させる「セクシーアタック(DDTの蛇影が使う技。元祖はWWFでしたね?)」を狙う。タイガースが「俺にやらせろ」と広田を突き飛ばしコマネチ、なぜか味方のえべっさんまで「俺にやらせろ!」とタイガースを突き飛ばしてコマネチ。
 ついに広田とえべっさんの絡みが。はじめ、汚らわしそうに足蹴にしていたえべす、いざ組むと、2人して走り「コノヤロー」と甲高い声を上げながら広田の胸をロープに叩きつけ後ろ受身を取らせる→ヘアー投げ→カバー、広田奇声を上げながらブリッジで返す→えべっさんレフェリーに甲高い声で「スリー!!」と主張する、という大変に息の合った女子プロのモノマネ(というか全女のモノマネか)を披露。広田が攻める側になって同じ動きを再度。コレ、前に学生プロレスでも見ましたが、大笑いしました。
 やはり出たえべすのセクハラ。広田の胸を揉む。「イ゛ヤ゛アアアアアアァーッ」と広田。…
 替わってバックを取った広田、相手の股間を掴む。えべすが文句を言うと「なんだ、たいしたことないくせに」落ち込むえべす、パートナーの中山が慰めようと近づくがこれは罠、中山を押し倒す。ストンピングで救出される中山、レフェリーが注意しようとしたところ、なんとえべす、トミーさんまで押し倒す。ストンピングで救出する他の3人。
 その後も急所打ちしたりされたり、お約束で広田も痛がる。
 タイガース、投球フォーム振りかぶってのチョップ、リングをダイヤモンドに見たてベースランニング一蹴して本塁でダウンしている相手への低空ドロップキック、というネタを披露。大阪プロ同士の絡みでは、急に倍速にしたようなロープワークからのドロップキック、アームホイップの鮮やかな攻防を見せる。
 どうせ他団体で見てもらうなら、くいしんぼうでも出したほうが良いのではと事前には思っていたが、タイガースも新人としては合格。
 試合は最後、なんと中山のセクハラ攻撃、広田のランジェリーのタイツを脱がせながらのエビ固めで決まる。

 えべすマイク「GAEA最高!また呼んでください!(広田が両腕で×印を作ると)お前に言うてない。なんでお前が決めんねん。いちばん若手やんけ。このドブス!」さらに「明日16日、後楽園ホールで大阪プロレスの興行があります!こちらにも来てください!GAEA最高!」そして勝利のコンプレ・ポーズ(2段・3段ロープに乗り両手を上げる)を中山と2人で決める。
 今日の大会ではカーラ(JWP日向の変身)と対戦するえべっさん。役得だよなあ… 心配であるとともにうらやましい。

第4試合 ○ダイナマイト関西(フリー)、山田敏代(14:48 エビ固め)井上京子(NEO)、×長与千種

 大型ベテラン選手たちによるドタバタ豪快タッグ。見所は「クラッシュにまったく憧れを持たなかった女」「長与の誘いを唯一断った女」京子と長与のコンビネーションか。

 京子を攻撃しようとポストに上った敵の、足にしがみついて阻止した長与に「ありがとう!」と大声で礼を言う京子。観客沸く。
 4人連続ポスト最上段から舞い降りるダイナミックなシークエンス。ここで私は一服しにロビーへ。
 戻ってくると長与が捕まっている。「ナガヨチグサー」と大声で檄を飛ばす京子。観客沸く。
 最後は関西が、通天閣スペシャル、ダイハード関西、スプラッシュマウンテンと得意技の乱れ打ちで長与をフォール。GAEA内におけるリストラ筆頭候補であろうところの関西を生かすには、勝たせるしか、こうしてただ強さを前面に出すしかないのかな。

 私的には、GAEAにおいても京子の個性が尊重されているところが見られ、満足です。

第5試合 ▽500万円マネーボウル争奪ラダーマッチ
○下田美馬、三田英津子(フリー)(賞金奪取20:20)尾崎魔弓(フリー)、KAORU

 ラスカチョ久しぶりのGAEA参戦。
 ダイコク電機が提供した500万円を、アクリルかなにか透明なボウルに入れてリング上空に吊るす。2本奪取するかボウルを取るかすれば勝ち。試合経過5分、10分でそれぞれちょっとずつ、マネーボウルの位置が上がって取りにくくなる。登る道具であり凶器にもなるラダーを、両チーム1脚ずつ持って入場。
 D-FIXの尾崎・KAORUは、お揃いのコスチューム、胸を覆う面積が大変小さく、腰にはジーンズ生地のパレオ、ブーツにはブロディふうの毛皮があしらわれている。いよいよ本格的にエロの道へ進むのか。

 5分までは、ボウルの位置が低いので、跳びかかって掴もうとする攻防がほとんど。位置が高くなってからラダーをめぐる攻防が。
 高いところから飛び降りたりするのはさすがにラスカチョ、金網戦で手馴れているのか、少なくともこの試合では相手より上回って見えた。下田の飛び降りざまネックブリーカーとかラダー雪崩式の投げとか。ラダーの上で向き合った相手の顔に絶妙のタイミングで毒霧とか。(KAORUも相当できるはずなのだが… この試合では、両端を椅子に、寝かせたラダー上の相手へのムーンサルトを痛恨のミス。)
 そんなわけでラスカチョが押し気味に進めるが、ことごとくセコンドのポリスが妨害に入り、観客の大ヒートを相変わらず買う。D-FIX側にはいつのまにか黒づくめのデビル雅美も現れるが、まったく介入せず。逆に不気味なのだが試合中ずっとそのまま。今大会後の展開に含みをもたせる。
 途中フォールを1本ずつとり合って、最後は、D-FIXの持ち出したチェーンを逆用、ロープ越しに尾崎とKAORUを繋ぎ、尾崎がラダーに近づこうとするとKAORUが引っ込み、KAORUが出ようとすると尾崎が… というドリフのコントのような状況を創りあげ、手も足も出なくさせて下田がボウルを奪取。ラスカチョ完勝。バタバタ、というかハチャメチャな、ラスカチョらしい激しくも楽しい試合でした。

 この日の勝ち、そして休憩時に発表された次回24日後楽園のカード(対アジャ・長与組、メイン)を考えると、GAEA側はラスカチョを完全に主役として迎え入れたということなのだろう。全女でのラスカチョは、契約切れをめぐってこのところ(特に選手達から)カタい対応をされていたし…
 まったくの引き立て役にまわったD-FIXもこのまま大人しく引き下がるわけはないし、この500万が行ったり来たり、転がされるような展開になるのでは…?

 休憩。
 ここまでは、脇澤、えべっさん、京子、ラスカチョと、レギュラーを食ってしまう主役級のゲスト、初登場だったり久しぶりだったり、が多かったことから、いつもの良く練りこまれたGAEAというより、バラエティに富んだ楽しさだと感じた。ふだんなら、よく仕込まれ寝かされた具だくさんのシチュー料理、という感じが、すこし軽めのアラカルト料理が並んだ、とでも言おうか。大舞台に大観衆で役者も大物になったNEO、とでも言おうか(京子も出てるし。他にもミックスドタッグや、大道具小道具使ったラダーマッチにNEOを感じた。厳密に言えばあんな大掛かりなラダーマッチ、NEOでは出来ないんですが。雰囲気がね )。

セミ ○永島千佳代(11:50 羽根折固め)×桜井亜矢(デビュー戦)

 クラッシュジュニア桜井、セコンドに長与を従え入場。170cmの長身に、スッキリした黒系のセパレーツの水着。背筋がクッキリと見えてよいのだが、長身選手にありがちでやや猫背気味に見えてしまう。表情も緊張からか少し硬い。

 いきなりモーションの大きいドロップキック2連発。コーナーに飛び乗っての反転式ボディアタックは足を踏み外し失敗。
 序盤、その道の大先輩と言っていい永島と、グラウンドでのバックの取り合い、押さえ込み合い、関節の取り合いを演じる。
 その後も、関節技に加え長州流の前方ストンピングを主武器に闘い通常の得意技を温存した永島に対し、長身を生かしたキレイなブレーンバスター、チョークスラムを2度ずつ出し、観客をどよめかせた桜井。大外刈からクリップラークロスフェースにつないだところでは「あわや」と思わせたが、永島の新技(うつ伏せの相手をフルネルソンにとり、相手の頭方向へブリッジして固める)でギブアップ。むしろ永島が、よく相手の大技を引き出して耐えきって、大切なクラッシュジュニア・デビュー戦を成功させたと言うべきだろう。桜井と握手、セコンドの長与とも握手。

 正直、「脅威の新人」というほどのレベルではない。例えばT2Pのミラノコレクションみたいな。しかしミラコレがメキシコで実戦を積んでまったくの新人ではなかったのに対し、桜井はプロレスは初めて。ただ、先に述べたように、猫背気味なのと表情については早く直したほうがいい。雰囲気というか、醸し出すオーラを学んで欲しい。それこそ先のミラコレや、浜田文子など、その点で参考になる対象は多いと思います。
 将来大変有望な新人であることは間違いない。楽しみです。

メイン ▽AAAWシングル選手権
○里村明衣子(挑戦者)(26:38 片エビ固め)×アジャ・コング(王者)

 この間チャンピオンも何度か交代、因縁関係も移り変わっているが、2年間でアジャへ3度目の挑戦、里村。

 開始から、側転着地ぎわのニードロップ、早くも踵落としと変則的な足技で攻める里村。アジャ動じない。エプロンから場外へ吹き飛ばすラリアット、吊り天井ふうに自らの足を支点に相手の腰を攻める、逆エビなどで反撃される。
 普通に正面からのエルボーアタックではまったく動じないアジャに、下からすくい上げるようなエルボースマッシュでようやくダウンを奪うが、アジャの動きは衰えず。2度のオーバーヘッドキックもペースを変えるには至らない。
 場外戦もアジャリード、里村を引きずりまわす。やっと逆転してエプロンから踵を落とす里村、さらに場外デスバレー。しかしアジャすぐに復活、灯油缶攻撃、リングに戻っても灯油缶から垂直ブレーンバスター。
 里村がこの日の為に編み出したシャイニング式の踵落としも受け止められ、掟破りの逆デスバレーを食らう。
 これを返して以降は消耗戦。スタミナをなくし、アジャは裏拳、里村はデスバレーを連打するが、疲れから両者とも素早いカバーには行けず。ついに決まったシャイニング踵落としで里村戴冠。

 この試合、どうしても昨年12月アルシオンの、浜田がアジャに勝った試合と比べざるを得ない。そのときは序盤圧倒的にアジャが押し、手も足も出なかった浜田が耐えに耐え、疲れの見えたアジャを逆転したのだが、勝利の説得性に薄さがあり、あまり納得いくものでなかった。この日の里村は、体力的にはアジャに並ばんとするほどであり、よく凌ぎ、反撃も合間合間にはさんで、浜田より“健闘”はしていたと思うが、全体的な印象としては似たような感じがあって、アジャの強さを里村が完全に上回ったかというと微妙さが残る。
 しかし、書いたように里村、体力、耐久力はバケモノ級に近づいている。5月の北斗戦でもそれは痛感させられた。今後の防衛戦で王者らしさを身につけて欲しい。

 里村マイク「“女子プロレス”を手に入れた!もう離さない!」と叫ぶ。個人的には里村1人に手に入れられるのはちょっと嫌なのだが…


 途中、「いつものGAEAらしくない楽しさ」と書きました。GAEAの大箱というと、それまでのストーリーの集大成と、それからの新しいストーリーの始まりが、よく計算されて提示されてきたと思いますが今回は、後者の性格が強く、それも計算されきれない、新しい何かをGAEAも必要と感じ、模索しているように思いました。新チャンピオンの誕生、クラッシュジュニア。ラスカチョ登場もそうかもしれないし。




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