新日の観戦記というのは必要ないんだ。
■団体:新日本
■日時:2001年12月11日
■会場:大阪府立体育館(PPV)
■書き手:ノリリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

新日の観戦記というのは必要ないんだ。
WWFと新日は素晴らしいHPを持っている。WWFではWAR、SmackDown、PPVに関しては完璧な報告が上がるし、新日はケロ名義でどんな小さな会場の興行でも全カード詳細なレポートが即日に上がる。というわけで、英語のWWFはともかく、新日に関しては試合経過をメインにした観戦記など全く必要ない。新日のHPを参照して貰いたい。

でも、ネットで滅多に誉められることのない新日のためにこの日の観戦記だけは上げておこう。去年もG1タッグリーグSの最終戦は大阪府立体育館で平日に行われた。新日全日の対抗戦で新日からタッグリーグ優勝の永田飯塚組、全日から代表で川田淵組が出た。去年もこの日と同じく超満員だったが、中味はかなり違う。当時まだマッチメーカーであった長州は頭が腐っていたので硬直したマッチメークを繰り返していた。去年の観戦記を参照されたい。(ここ

しかし、今年は明らかに違う。それぞれ成功失敗はあっても意味があるようにカードを並べている。

第一試合
○ジャイアント・シン&ヒロ斉藤 vs ロブ・レイジ× エル・サムライ
4分03秒 投げ捨てパワーボム から 片エビ固め

第一試合には分かりやすい、盛り上がりやすい試合を、できればその日のテーマを示す試合を。
と言うわけで、勿論この日のメーンは蝶野・Gシルバvsテンコジ。巨人を操る蝶野とテンコジの対決がテーマ・・・だったはずだった。その意味でこの第一試合でシンが圧倒的な体力でレイジをしとめるのは伏線として必然である。アクシデントでそのメインは消え結局無駄にはなったが、これが蝶野プレゼンツの骨頂であろう。
Gシンはちょっとプロレスが分かってきているようだ。無駄のない展開で短くきりっと迫力が出せていた。昔の金曜日の20時30分を思い出した。
 
第2試合
○垣原賢人 愚乱浪花 成瀬昌由 vs 柴田勝頼× 竹村豪氏 井上 亘
11分46秒 膝十字固め

ほんの少しの人しか覚えてないG1Jrタッグの遺恨と1/4のカードへのつなぎとしての試合。そして普通の意味での第一試合的な試合だった。井上と柴田は新人としては年を食ってるけど、新日の若手らしいおしつけがましさを引き継いでいてなかなかいい。成瀬や垣原と較べると較べものにならない(勿論UWF組の方が下)。試合はみんなが想像するとおりの試合。1/4では成瀬を埋めて柴田井上をオーバーすべし・・・そこまでできないだろうけど。

第3試合
○スーパーJ ジャイアント・シルバ スコット・ノートン  vs ドルゴルスレン・セルジブデ× 吉江 豊  西村 修
9分23秒 ダイビングラリアットから 片エビ固め

本来メインに出るべきシルバがここに登場。ノートン&スーパーJは存在感が絶対的にシウバに適わない。試合後シウバはトップロープを飛び越えて場外に着地して退場。Jr並の身のこなし・・・
試合でもノートンの存在感のなさと、相手全員を蹴散らした後吼えてレフェリーもひるませるなど存在感のあるシウバとの対比が目立った。これだけで第3試合としては充分。
一方日本組では近所の山田君みたいなセルジデブの印象のなさが印象に残る・・・こんなのどうするの?と言う意味で。

第4試合 G1 タッグリーグ優勝戦進出決定トーナメント
○永田裕志 中西 学  vs ダン・デバイン× 佐々木健介
14分40秒 ナガタロックII
   
休憩前に健介が出てしかもその後出てこないと言う最高のマッチメーク。
中西・デバイン・健介とそろうとどたばたするけど、それもまた新日の味。これを小柄な選手がゆっくりとしたスピードでやると腹が立つだけだが、まあ勢いがあるからそこそこの迫力だ。心配されたデバインも勉強してるのか意欲的な動きを見せる。攻め込まれた永田がデバインの技を切り返して永田ロック。健介やデバインの塩加減を敢えて無視して、動きと音に注目して見るのがこの試合を受け入れるコツだ。  

第5試合
○馳  浩 太陽ケア vs 棚橋弘至× 鈴木健三
16分44秒 ノーザンライトスープレックスホールド

7冠王とのセット販売。大阪を満員にするための補助としてのカードというよりは、必要経費の水増しといった感じ。馳とケアはいつもの馳とケアだったし、棚橋はもともとまあまあいいなと思っていた。ちょっと臭いけど。スズケンが毛の色を変えて少し変わった。表情と動きがイキイキしている。かなり成長したんじゃないかな?大会場だけじゃなければいいが・・・

ここで休憩。会場は超満員

第6試合(60分1本勝負) G1 タッグリーグ優勝戦進出決定トーナメント
○小島 聡 天山広吉  vs 中西 学× 永田裕志
17分25秒 ラリアットから片エビ固め   

2〜3年前から、このカードが新日ではピカ一だった。今回もいい。事実上の決勝戦だし、内容的にも事実上のメインだろうと思っていた。この大きさの選手がこの大きさとスピードでぶつかり合うタッグマッチは今の日本では他にない。即席ではなくてタッグとしての歴史もあるし、各々の見せ場もある。これが面白くない人なら新日を見て楽しむのは不可能だ。
試合はたっぷり攻め込まれたテンコジが、混戦から中西に天山が天山ドライバー、小島が延髄ラリアット、肘サポーターを客席に投げ捨てての
People'sラリアートで中西をピンフォール。しかし、中西・永田は最初に永田がピンを取って次に中西がピンされる・・・二人のバランスは全く崩れてしまった。どうすんだ?>中西

第7試合
○田中 稔 B・タイガー ケンドー・カシン 獣神サンダー・ライガー vs 外  道× GOKU-DO 邪  道 金本浩二
17分22秒 ミノルスペシャルII

普通なら休憩前メインのこのカードが馳ケアvsタナケンに代わってここにあるのは、ヘビー級タッグマッチと3冠ヘビーの間のカードのつながりを考慮したもの。いわば箸休め。しかし、このメンバーだから単調にはならない。わがままなカシンとか、Bタイガーのトリッキーな動きとか、金本と田中の対立とかいろいろな小ネタを挟んで、単なる箸休めにはならないぞ!という意欲が見える。しかし結局箸休めだったか?・・・好みの問題もあるが  

第8試合(60分1本勝負) 三冠ヘビー級選手権試合
○武藤敬司 vs 藤波辰爾×  
15分32秒  シャイニングウィザードから体固め

闘竜の分析によると藤波は5分30秒以上リングに登場するとカラータイマーが点滅を始め、6分秒で赤になる。6分30秒以上リングにいることはできないのだそうだ。
武藤はドラスクから4の字という藤波のパクリを持ち技にしている。当然藤波のドラスクと4の字、武藤のドラスクから4の字の対決になる。さらに藤波がシャイニングウィザードをパクって、シャイニングウィザードの撃ち合い。最後は藤波のドラスクを武藤がシャイニングウィザードで切り返して、さらにとどめのシャイニングウィザードでフィニッシュ。武藤には三冠戦の内では楽な試合だったが、ドラスクをあんな風に切り返すスポットを作ってしまっては、後で自分の首を絞めることになるぞ! 藤波にとっては近年まれに見る名勝負でした。

第9試合 G1 タッグリーグ優勝決定戦
○天山広吉 小島 聡 vs ジム・スティール× マイク・バートン
24分02秒 ムーンサルトプレスから 片エビ固め
  
蝶野の負傷で思いもかけずにメインに出てきてしまったスティール・バートン組。誰もが心配したけど、完全に予想を裏切った。構図的には勿論蝶野シウバvsテンコジの方がきれいだが、試合的にはこっちの方がいい。
試合はフィニッシュクラスのムーブを何回も返しあって、盛り上げていく。NOAH(旧全日)の取っていた手法である。割と単純な手法であって儂としてはいつも使うのは感心しない。これは麻薬に過ぎないからだ。が、まあ1年の締めくくりならいいだろう。スティール・バートン組はもともとやられ役であって、フィニッシュへの動きを複数持ったチームであるはずもないのだが、1つの技で倍やられるのが得意なテンコジだけあって容易にヒート。天山が長く捕まるが、単調になる前に切り返していく。前々日に蝶野がアクシデントでフォールされているので、一つ一つの大技が妙にスリリングだ(儂だけか?)。最後は・・・ってどこで最後でもいいかのような展開の後、天山が最後に残っていたムーンサルトでフィニッシュ。
テンコジはヒートしにくいこのカードで年末の最後の興行の最後のカードを見事に締めて見せた。去年までであれば、お気に入りの健介組がプロレスの文法を無視して優勝するか、猪木祭りと新年のドームに向けて永田組が優勝しただろう。

試合後チーム2000軍団の再団結と蝶野&7feetクラブの亀裂が披露される。
来年の地方興行はこれを軸に展開していく予定だろう。となれば1/4でテンコジvs蝶野シンも当然かも。

意味のないカードを並べた去年に較べ、今年は見事に各試合の意義と興行の流れを考えた試合構成。しかも予定と違うメインになったにもかかわらず、最高のフィニッシュになった(その後の寸劇のふにゃふにゃ間は少し目をつぶろう)。
2001年のベスト興行は当然レッスルマニアX−VIIであるべきだ。規模と内容の両者を考えると当然だ。しかし、規模の点と演出の花火を除けば、考えられたマッチメーク、試合の質、日本でもそれに匹敵する興行が生まれたと評価したい。




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