全然凄いことじゃなかったらしい、史上初の統一王者誕生。
■団体:WWF Vengence
■日時:2001年12月9日
■会場:カリフォルニア州サンディエゴ・サンディエゴスポーツアリーナ
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

今回のWWFレポート、いつものテレビ(スポーツバー)視聴記とは違って、なんと生観戦記であります。わざわざ日本からあの10アメさんが、文字どおり10万以下でアメプロ(この日のサンディエゴのPPVと、翌日のアナハイムのRAW)を観に来られるというので、運転手を兼ねてご一緒することにしたのです。昼間でロスで落ち合って、田中さんネタ等をだべりながら車で二時間くらいでサンディエゴに到着。サ店で時間を潰してから、めちゃくちゃ混雑しているスポーツアリーナに入場すると、もちろん超満員。$61の席で、二階スタンドの最前列でした。リングは観やすいんだけど、あいにく入場ゲート&タイタントロン(大ビジョン)の斜め後ろで大スクリーンが見えず。天井にあるアリーナ備え付けの小さいビジョンを見なきゃいけないんですが、照明が邪魔でこれもちょっと見辛かったりしました。ま、その分いいこと(後述)もあったんだけど。

ええと、いつものように今までの流れを説明しましょう。WWF vs アライアンスアングルを精算して以来、このPPVまでWWFは、久々にかなりいい感じでストーリーを組み立ててきていました。WWF大勝利で天狗になるビンスが「マクマーン様の尻にキスせよクラブ」をつくり、本当に尻を出して配下の者(まずリーガル)に接吻をさせる横暴を開始。それに対立する形でビンスのビジネスパートナー(WWF半オーナー)としてフレアーが登場。ストーンコールドとロックがベビーで、アングルとジェリコがヒールなのは以前のレポートでもお伝えしました。

その後も、(しょーもないことに)このケツキスクラブを中心にストーリーが回ってゆきます。まず、ビンスが(リーガルに続いて)JRにケツキスを強要したところに、救出に現われたと思ったテイカーが裏切って、JRの顔をビンスの尻に押し付けて(どっちもきたねー)ヒールターン。さらにビンスは次の週にトリッシュにもケツキスを強要。それをロックが救出し、次の週にトリッシュとロックがキス。怒ったビンスはアングルと組んで、ロック&トリッシュ組と「負けたほうが次回相手にケツキス」という世界一くだらない条件の掛かった試合をし、ロック組勝利。ロックは自分ではなく、復活したラキシの尻にビンスの顔を押しつけぐりぐりし、大泣きするビンスをシリ目にケツキスクラブの閉会を宣言しました。ということで最近は久しぶりに、ビンスの露骨な権力指向&その驚くべきアホさに、シモネタが加わったストーリーで面白さ爆発のWWFが見られました。

また、それと平行してWWF王座とWCW王座の統一がビンスとフレアーの二人の共同経営者の間で話し合われて、今回のPPVではジェリコ、ロック、アングル、ストーンコールドの4人による史上初のタイトル統一トーナメントが行われることも決定。特に、ストーンコールドとロックの二大ベビーがお互い意識し合い、あたかも二人が決勝で当たるかのような気運が高まっていました。

そんないい感じで迎えた今回のPPV、フィンケルがなんだかんだと盛り上げた後、復帰したキングが「9/11のテロは、我々から喜びを奪おうとした。だが我々は負けなかった。そしてとうとうアフガンの奴らをやっつけてやった(We kicked Afganistan ass)!」みたいなやなアピールをして大声援。キングって、いい意味でも悪い意味でもアメリカの大衆の快楽主義の代弁者みたいなもんなんだよな。

そして、アコライツvs誰か(忘れた)のheatマッチをはさんで番組開始。今回のPPV用の特別オープニングクリップが流れる。クラシックなピアノ音楽に乗って、歴代のWWF&WCWチャンピオンたちの白黒映像が次々出てきて、音楽がどんどんペースアップして行くもの。大いなるプロレスの歴史の中、本日初めて議論の余地のない(Undisputed)チャンピオンが誕生するのだ、というメッセージを自分でコミカルにしちゃってる、いかにもWWFらしいもの。終わると同時に、ぼぼーんと入場ゲートに花火が上がり、我々の席はちょうどそのすぐ裏のため、爆音で鼓膜を破壊される。

「ノーチャンス」に載ってビンス登場。ラキシの巨尻に接吻を強制された屈辱をわざわざ振り返って怒ってみせて観客を笑わせ「億万長者の不幸を笑うな! お前らは、私が笑えと言ったときのみ笑えばよいのだ。いいか、最後に笑う者が、もっとも高々と笑えるのだ」等とアジる。その後フレアーもゲートに顔を出してなんかしゃべって、試合開始。

アルバート&スコッティ組 vs テスト&クリスチャン。
けっこう凝った試合の末、当然ワームも出たりして、アルバート組(ベビー)勝利。まあこの試合は、ワームの時にみんなでいっしょに「W! O! R! M! Hoo! Hoo! Hoo!」と叫べればそれで満足。テストの音楽でクリスチャンも入ってきたため、クリスチャン入場のド派手花火は無し。ちょうど頭のうえから火が降ってくるかと思って楽しみにしてたのに。

エッジ(王者)vs リーガルのインタコンチ戦。
エッジの勝ち。シングルプレイヤーとしてプッシュされて以来、けっこう人気あるエッジだけど、俺は興味無し。

WWFがけっこう長い期間をかけて組み立ててきた、マット&ジェフの兄弟確執(&リタとの三角関係)のクリップ。そしてハーディーズのバックヤード時代からの映像。

マット vs ジェフ。 (レフェリー・リタ)
兄弟同士なだけに、どれだけいつもとちがうアレンジを二人で考えてきてくれてるか、ちょっと興味のあったこの試合だけど、観客はシーン。途中でジェフが着地でこけて足を負傷するというアングルで、ヒールのジェフがそこを攻め、リタがジェフをかばうのでさらに苛立つ・・・みたいなお話なんだけど、ジェフが飛ばないためさっぱり盛り上がらない。アコライツの前座試合の方がよっぽどウケていた。最後はなんかで逆転したジェフがスワントーンで押さえ込み、マットはロープに足を延ばすもののリタが気付かずに3カウント。さらに遺恨を残す。

トリッシュとロック様が控え室。ロックは試合後(統一タイトル獲得後)、ゆっくりお祝いをしようと「民衆の股間」をちらつかせ、観客ひゅーひゅー。トリッシュとキスしたと聞いて失望したファンもいたみたいだけど、基本的にロック様キャラは変わってないです。

ダドリーズ vs ビッグショウ&ケインのタッグタイトル戦。
消化試合。ダドリーズ勝ち。10アメさんは横で寝てた。

RVD vs テイカーのハードコア戦。
これ、めちゃくちゃ面白かった。だってバックステージ(俺たちの目の前)でがんがん闘ってくれるんだもん。RVDは二階席まで昇ってきて、俺らの目と鼻の先から下にいるテイカーにダイブ!(上にいる客がどーっと最前列のこっちまで押しよせてきて、俺までダイブしそうだった)。こりゃもうお約束の「Holy Shit!!」コールで称えるしかないでしょう。最後はやっぱり我々の目の前のステージ上から、テイカーがRVDをチョークスラムで下に投げ捨ててフィニッシュ。テイカー、一応ヒールなのに全然汚いこともやらず、ベビーのように声援を浴びて帰っていった。敗れたRVDにも当然大歓声。

U2の「Beautiful Day」に乗ってトリプルHのリハビリヴィデオ。つうかこのPPVの前宣伝は全部トリプルHを主役に行われていた。出てくるのかこないのか?

トリッシュ vs ジャッキーの女子タイトル戦。
トイレタイム。トリッシュ防衛。得意技がブルドッグっていうのがなんかやらしくていい>トリッシュ

オースティン vs アングルの統一トーナメント一回戦(WWF戦)。
よく覚えてないけど、いつものようないい試合だったと思う。観戦記を書くためにテレビでWWFを観てるときはけっこう冷静に試合を観察するけど、会場で観るときは周りのノリに合わせてコールしたりひゅーひゅーいったり拍手したりジェスチャーしたりしてるので、試合展開そのものはあんま記憶に残らない。だいたい、オースティンとアングルが試合したってフィニッシュ以外にたいして目新しいものなんてないんだから、ライブ空間に参入して楽しんで時間を過ごせればいーや。10アメさんは序盤は寝てた。最後はスタナーでオースティンが順当勝ち。アングルが、ヒットマン式の鉄柱四の字を出して、オースティンがジャーマン5連発くらい出したのが珍しかった。

ロックvsジェリコの統一トーナメント一回戦(WCW戦)。
基本的に前の試合と同じ感想(=別に変わり映えもなく、いつものようにいい試合)。盛り上がってきて、これもロックの順当勝ちかなあ? とか思ってたら、ビンスが乱入してきて、そっちにかまっているロックにジェリコが急所攻撃→ロックボトムで勝ち(ヒールジェリコは、他人の技をよく使う)。はれー。決勝はオースティンvsジェリコ? こりゃまた珍しい・・・

オースティンvsジェリコのタイトル統一戦。
いくらなんでも、史上初の統一王者がジェリコってこたあり得ないよなあ? ひねリン「やっぱオースティンですかねえ?」10アメ「いやージェリコが行っちゃいそうな雰囲気じゃないですか?」と勝敗の行方にが然興味が出てきた決勝戦。前の試合にジェリコが勝ったと同時にオースティンが走り込んで攻撃するも、カートがやってきてオースティンにオリンピックスラム。さらに敗れたロックもジェリコにロックボトムして、アングルを追いかけて二人は退場。オースティンとジェリコがダブルノックダウン状態で試合開始(これは流れが良くて印象的だったので鮮明に覚えてた)。

(中略)そのうち試合が佳境に入ってきて、レフバンプ。ジェリコ急所打ちからスタナー(また人の技を盗んだ)。すかさずビンスが再登場し、悪役レフのニックを連れてきてカウントを取らせようとするも、フレアーが来てニックを引きずり落とす。ビンスがフレアーを殴る。乱入が乱入を呼び盛り上がる(場内のトリプルH登場への期待も高まる)。そのうちオースティンがジェリコにウォールオブジェリコを仕掛けてジェリコがタップするも、レフはまだ倒れたまま。ここで万を持して登場したのが、トリプ・・・じゃなくてブッカーT。この人もアライアンス敗戦以来しばらく休んでたんでした。ブッカーがオースティンにブーツ攻撃。ひートリプルH出てきてくれぇー、ロッキーでもいいぞ・・・との会場の願いも空しく、ジェリコが抑えて復活したレフが3カウント。記念すべき世界初(?)の統一王者は、なんとヒールジェリコさんでした。そんなの予想できるかよ。いいのかよそんなんで。また騙された。ちょっと嬉しい。

ってことで、大団円ではなかったけど、見事に意表を突いたエンディングのPPVでした。間近でRVDをたっぷり観れたし、満足度けっこう高し。でもこれ、昔のWWF(レッスルマニアのメインでは必ずベビーが勝っていた頃)だったら絶対ジェリコを初代統一王者にしてないですよね。ロックとストーンコールドで乱入なしの試合できれいな決着を付けて(どっちが勝つにしても)世界初のタイトルの出発点にふさわしい権威付けを行うはず。でも今のWWFにとっては、史上初の統一タイトルの意義とか、歴史の重みなんてあまり重要なものではないんでしょう。「史上初」とただ表層的に煽っただけで、実は別に特別なことをはじめるわけではなく、単に観客の裏をかき、驚かせ続けながらどこまでも展開してゆくストーリーの一部に過ぎなかったと。ま、WWFらしいという気はします。そんなこんなで、観戦記は次の日のRAWに続きます。




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