今年のベスト興行のひとつ
■団体:JWP
■日時:2001年12月9日
■会場:ディファ有明
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 久しぶり、3ヶ月ぶりのJWP観戦。
 突如現れたアルシオンのGAMIにリングを蹂躙され、「100人や200人の会場ではなく、ディファで挑戦させろ」と挑発されて迎えたこの日の有明大会。6時半ギリギリに会場に向かうとちょうどその時、隣のコロシアムからはベイダー、秋山のテーマ曲が聞こえてきた。
 半分区切り使用のディファ、最終的に満員にはならなかったものの、500人以上は入ったかな。

 入場式の後、この日より開始される「JWP平成6年同期リーグ戦『HEART BEAT』」出場選手がリングに残り、決意表明を。
 宮崎(NEO)「京子さんから電話があって、フォトジェニック賞だけは取って来い、ってことなんで、しっかりお化粧して普通に試合します」
 天野(フリー)「誰が一番強いか決めればいいんだ!」
 倉垣「ここにいない、小林や本谷(美咲)さん(ともに元同期、引退)の分まで頑張ります」
 輝「全勝します。決勝には日向、お前が来い!」
 日向「私は無差別級チャンピオンです。今日も防衛しますし、リーグ戦も全勝します」

第1試合 ▽JWPジュニア王座決定巴戦
○米山香織(2:00 メッセンジャー)×市川狐火名
○仲村由佳(NEO)(4:39 エビ固め)×米山
○市川(8:15 腕ひしぎ)×仲村
○市川(13:38 ダイビングフットスタンプから)×米山
※市川が第9代王者に
 3人での決定戦でも、いま流行の3wayでなく巴戦にするあたり、不器用なJWPらしい。
 いちばん目立ったのは米山の元気さ。1戦目を取ったのは、闘龍門斎藤了の、股裂きと首固めの複合のような技。
 仲村は、フェースクラッシャー等、ひととおり得意技は出したがいまいち動きがバタついていた。
 思えばこの3人、一緒の大会に出場することは多いものの(米山と市川は当然)、興行数も限られお互いに当たることも少ない。試合を通してこなれない印象があったのはそのためもあったか。市川と米山、一緒にスパーリングする機会さえ少ないのかもしれない。
 市川、この面子が相手であれば王者にならなければいけない立場だったが、勝ち方があまり良くなかった。最後のダイビングフットは、足の裏というより脛から落ちてしまっていて、あれはあれで効きそうだったが。

第2試合 『HEART BEAT』
○倉垣翼(2点)(8:51 ウイングクラッチホールド)×カルロス天野(0点)
 そもそもこの「JWP平成6年同期リーグ戦」が開催される運びになったのは、10・27 板橋で倉垣・天野が好勝負を演じたことに端を発する。ここで意を同じくした2人は 11・14 鶯谷、11・21 板橋でタッグを結成、21日の試合後倉垣がリーグ戦を提唱、そして開幕もこの2人が務めることに。
 10月の試合は実は見ていないわけですが、この日も好勝負に。
 はじめやはり天野がグラウンドで押したが、スタンドで倉垣のノーモーション・ヘッドバットからペースが変わる(天野がお返しに見舞ったヘッドバットは、「ゴヅッ」と鈍い音が響いて痛そうだった)。
 逆エビ、カナディアン背骨折りと腰を攻める倉垣。
 天野、フライングラリアット。
 倉垣、頭頂部へのミサイルキック、引っこ抜くようなバックドロップ連発。
 天野、飛びつき腕ひしぎ、スピニングエルボー。
 倉垣、ムーンサルト。
 最後は、倉垣のラリアットと天野のエルボーが交錯し合い、倉垣が逆さ押さえ込みからブリッジして決めた(=フィニッシュ名表記の技)。
 倉垣のパワーと天野の斬れ味がうまくミックスされて、息の合った好勝負でした。
 試合後、天野の常套手段、握手の後の悔しまぎれの張り手を食らったが、それでも倉垣、花道を帰り際不器用に飛び跳ねて嬉しさを表現していた。

第3試合 ○コマンド・ボリショイ(18:35 センセイ固めII)×春山香代子
 GAMI先導による“JWP改革軍”に与したボリショイと“正規軍(?)”の春山。先の11月2連戦でも春山が挑発を繰り返し、対決ムードが高められた。が…
 ボリショイ強すぎ!
 序盤から場外乱闘、ディファの壁に据付のハシゴを利用して春山ダイブするが、簡単に攻守をひっくり返され、リングへ戻っても、なんだかんだと絡みつく関節技、ボリショイのペース、卍固めもとび出る。
 春山もバタバタとローリングクレイドル(逆回転付き)、のちにはスノーボム(裏パワーボム、顔から落とす)、カウンター式のパワーボムなどで反撃するが、なんせボリショイが巧くて。合間合間に切り返しの関節技、掌底。とりわけ、要所要所で春山の技をすかしたのが効果的だった(ミサイルキックとか)。
 試合時間は長いが、ずっとボリショイが支配していた。春山の切り札オレンジブロッサム(相手の腕を後ろ手に組み持ってのジャーマン)も返され(そもそもこの技、説得力にやや欠ける。新技開発希望)、最後、コーナー最上段での掌底から雪崩式裏投げ、さらに掌底掌底掌底、10発ぐらい見舞ってほぼKOを奪っているのにその上固め技で完璧な勝利を収めたボリショイ、ダウンしたままの春山にビール瓶の水を浴びせる。息を吹き返し掴みかかる春山。…
 このカードが発表されたとき、ついに春山が、と期待したのだが。
 JWPの活動再開以降、美咲に噛み付いて始まった春山の先輩超えロード。この間、奪った勝ち星はバトルロイヤルで美咲から、ニューディメンジョンルール(時間内により多く取った方の勝ち)で輝から、の2つ。比重としては軽い。重要なところのシングルでは、結局先輩相手にすべて負け(キャリアで上回る全女の納見に勝ったけど、あれは団体内でのポジション云々とは別のことなので)。なにより、内容的にまだまだ、と感じさせることが多いように思う。

第4試合 ○輝優優(19:53 エルボーアタックから)×元気美佐恵(NEO)
 昨年2月のJWP無差別級選手権(王者輝の防衛)、今年2月の輝復帰戦でのエキジビション、タッグ結成してチャンピオンに、そして仲間割れ、以降タッグ対決、10月NEOでの一騎打ち(元気疑惑の?3カウント勝利)さらに11月ふたたびNEOで10分1本勝負シングルで輝勝ち、とライバルストーリーを築き上げてきたこの2人。この日も、いままでの闘いに勝るとも劣らぬ、たいへんな熱戦になった。
 出だしから蹴り合い、殴り合い。関節技も、切り返すというよりねじり合い。表情、気合がド迫力。
 この対決では、いつも体格優位の元気が押し気味に進むが(私感)、この日も。ノド輪落とし、ジャンピングエルボードロップ。つづいてカンパーナに行こうとするとき、輝が嫌がってなかなか腕を取らせようとしなかったのが印象的。
 場外戦。このへんで友人が思わず「本当に嫌い合っているみたい…」と呟く。そう思われるのは2人にとって本望だろう。輝とは、日向とまた違った意味で元気が、ライバルとして強い絆で結ばれていると思う。ある種の信頼関係があってこそのこの激しい試合なのだと思う。
 輝の、相手の片膝を足場にして延髄斬り→コーナー三角跳び延髄→ダイビングニーの、足技3段活用の鮮やかな反撃があるも、元気が高角度バックドロップ、ゴア(対角線を輝が吹っ飛んでいった!)、コーナー最上段からスリーパーで宙吊り、ドラゴンスリーパー状に首を極めて背骨折り。力で押しまくる。ダウンした輝を引きずり起こしてGドライバー(エメラルドフロウジョンみたいな技)!輝返す! 死力振り絞って輝エルボースマッシュ、隙をついてヨーロピアンクラッチで反撃。元気再度のGドライバーを、宙で身体を揺すって逃れる。元気もだいぶスタミナを消耗している。
 そして、コーナーにもたれかかった元気にシャイニングウィザード!(この種の蹴り技、輝や日向は武藤より早く使ってました)そして渾身のエルボーアタック! う〜ん、言葉ではちょっと伝えきれないけれども、凄い試合でした…
 タッグ王座の挑戦者指名をめぐって、そして防衛失敗して、仲間割れした2人、輝から差し出した手をしばらくためらったのち元気が握り返す。
 輝もまた、とても嬉しそうにポーズを決めて花道を引きあげた。

メイン ▽JWP認定無差別級選手権試合
○日向(王者)(21:24 みちのくドライバーIIから)×GAMI(挑戦者)
 9月の登場以来、いきなりタッグ王座を奪ってその後も勝ち続け、JWPを翻弄してきたGAMI。エース日向は最後の砦である。そして日向にとっては、アルシオンでのトーナメント ZION 決勝の雪辱戦でもある。
 バックの取り合い、マウントの取り合いのせめぎ合いから闘いがスタート。GAMI優位に見えたが自らブレイク、レフェリーに何やら耳打ち。
 日向が攻めかかろうとするとトラースキック、フルネルソンに捕らえて股裂きとの複合技などで切り返す。
 日向、ニーを多用して反撃するが、ことごとくGAMIの変幻自在な締め技・関節技に捕獲される。まるで力を吸収されるように。変形コブラ。コウモリ吊り。相手の腕を交差させ自らの足でホールドしてロメロスペシャルのように宙吊りにする。余談ですが、闘龍門T2Pの選手はGAMIを見るといいです。それほどこの日のGAMIは見た事もないルチャ系の技をいくつも出し、同じ技をほとんど使わず、キレもコクもあった。
 ロコモーション式、だるま式の両ジャーマンも、日向の技はどれも単発。
 GAMI腕ひしぎ。二上式首固め。相手をはぐらかすのもやっぱり巧い。日向がコーナーに上ったところすぐ横のロープに突進して落としたり、ミサイルキックはもちろんすかす。ビクトリースタードロップ(雪崩式後方回転エビ固め)はポストにしがみついて防いだり。
 日向Wアーム式シュミット背骨折り(これは効いたように見えた)。さらにストレッチボムを掟破りに先に出したが、直後にお返しされる。
 ひっきりなしに両者への声援が飛び、終始ザワつき、どよめきが起こっているようで、観客の雰囲気はいかにも対抗戦。セミの 輝 vs 元気 もそんな感じではあったが、このメインに限っては日向までも敗れればJWPっていったい何?という危機感からかこの団体らしからぬ熱いムードの客席であった。
 GAMIたたみかける、ムーンサルト!ドラゴンSPX!やっとのことで返す日向。一方的にGAMIの強さを見せつけられる展開。
 そいてついに決め技アディオスアミーガ(足を組み持って投げるノーザンライトボム)!日向返す!もう一発!日向返す。
 最後の最後に同じ技を2度使って返されたGAMI、手の内は尽きたか。日向がダイビングニーアタックからみちドラIIで息も絶え絶えのタイトル死守。
 GAMIは試合に勝って勝負に負けた。あくまで私が観戦したなかでだが、アルシオンではまったく見たこともない姿であった。苦しまぎれの負け惜しみを言えば、それを引き出したのは日向であり、実力を存分に発揮させたのはJWPのリングであり、日向はよく多趣多彩な攻めを凌ぎきった、とも言えるのだが… この日はボリショイといい、JWP改革軍、元ジャパン平成元年組の底力を思い知らされた。

 試合後、JWPの会場でも「まいど!」とGAMI。「日向くん。今日はお客さん300人も入ったし(笑うところ。本当はもっと入ってた)、負けを認めよう。でもワタシはタッグの3冠チャンピオン(JWP、アルシ、ReDRΛG認定偽ベルト)いわば女子プロの武藤敬司。ホナさいなら」日向「今日はお客さんに力を与えてもらって勝てました。ありがとうございました!」

 この日、やや低調だった第1試合をのぞいて、今年後半からのさまざまな流れを総決算する、現時点で考えられる最上かつ「コレしかない」マッチメークが並んで、手の合った好勝負、先輩が圧倒的に鮮やかな力の差を示した試合、限界ギリギリの死闘、チャンピオンが強い挑戦者に徳俵まで追い込まれて土俵際で逆転するタイトルマッチ、と、たいへんに充足度の高い興行でした。NOAHの有コロと掛け持ちした友人によれば、JWPのほうが何倍も面白かったそうです(自分はいちおうNOAHファンでもあるので、やや複雑ですが)。
 性格は違うが、7月同じディファでの美咲引退興行と並ぶ、今年のJWPのベスト興行。
 これで来年もしばらくのうちは、なんとか団体もやっていけるのでは、と、余計なお世話の安堵をいたしました。




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