今年最後のXPWは、長すぎてこける
■団体:XPW
■日時:2001年11月25日
■会場:カリフォルニア州ロサンゼルス、グランドオリンピックオーデトリアム
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

XPW定期興行、二度目の観戦であります。今回の会場は、前回の闘牛場と違って、ロスのグランドオリンピックオーデトリアム。こっちが本来のXPWの常設会場です。この会場の名前、プロレス小僧だった20年ほど前からしょっちゅう耳にしてる気もします。ここって、ジャイアント馬場が大暴れをしてアメリカを震撼させたり、さらにもっと昔、グレート東郷やらマス大山やらが「キル・ザ・ジャップ!」の大コールで揺れるなか、命掛けで闘った歴史的会場ではなかったでしょうか?(梶原一騎の読みすぎ?)

まーそのへんは良く分からないけど、今回俺が出かけたグランドオリンピックは、そのかつての同名会場の名だけ受け継いだ建物らしくて、4、5000人収容のホールでした。XPWらしくロスのダウンタウンのちょっとやばそーなとこにあって、客層も例によって労働者階級度&スパニッシュ度高し。そんな人達が7、800人くらいかな(つまりガラガラ)。サンクスギビングの週の休日ということもあり、いつもより少ないみたい。例によって一緒に観ていろいろ教えてくださる方とスタンドの指定席を買ったのですが、席の番号など関係なくみんなテキトーに席についている。

一応今回の興行には「Retribution(報い)」という、テロ以来こっちで散々唱えられている言葉がタイトルとしてついているのですが、まー別にあまり意味はないでしょう。いちおう(前回の観戦記でも紹介した)毎週土曜深夜のB級感漂うテレビ中継で主要人物たちがチープなドラマを演じて、定期興行に向けてのストーリーはつくってあるのですが、それで盛り上がって客を引き寄せてるという感じでもない。要するに多くは固定客で、別に特別な興行だからとかじゃなく、XPWだから見に来てるという感じみたいです。

興行は8時開始予定でしたが、例によって大幅に遅れ、(これまた例によって)行儀のいい客たちの「Start the fuckin' show!!」コールを経て、40分くらい遅れてスタート。ヘビメタな音楽に載って登場した半ズボンで長髪の(これまた)行儀のいいリングアナが「Are you fuckin' ready??」 と叫んで開始。その後ちょっと寸劇があったけど、別に説明するほどのものでもないので略。

第一試合 D vs レロイ
Dは、XPWで数少ない正統派のプロレスをできるレスラー。最近は第一試合に甘んじている。対するレロイは、これは実はレスラーじゃなくてただのリング屋のぷよぷよ親父。一度員数合わせに使われて以来「RCG=Ring Crew Guy」として、アメリカ中のインディーにいるであろうRVDのパロディーの中でも、おそらくダントツで一番質の低いモノを演じている。で、とにかく試合(と呼んでいいのかは疑問なシロモノ)は簡単にDが勝って、その後、前回Dに負けた新人レスラーが乱入して、けっこう長い時間プロレスをやって、最後はDのフジワラアームバーでタップアウト。こっちは、ベテランvs新人の育成マッチのXPW版という感じだった。

第二試合 スーパー・ドラゴン vs ディスコ・マシーン
ここでいきなり、予告もなかったのにいきなりレボリューションプロ(日本のヴィデオを観まくって真似しているマニアなレスラー達の団体)勢同士のの試合が登場。こないだ書いたMPW観戦記でも特別大きく取り上げたレボプロのエースドラゴンと、自他ともに認めるマグナム東京のパクリレスラー、ディスコの対決。ドラゴンは改めてみると、ほんとに「一人新日ジュニア」という感じ。技にしても、ただずまいにしても、ちょっとしたアピールのやり方にしても、ほとんどライガーだったり大谷だったり金本だったり。ディスコの入場は、マスクから踊りから、マグナム東京とほとんど同じ。試合はちょっとへにゃへにゃしてるけど。それなりに見応えのあるジュニア戦の末、最後はコブラツイストボム(正式名称知らない)の、ものすごい急角度で落とすやつで勝利。さすがにこんな技は、内輪相手にしか使えないだろーな。

この試合の後、XPWヘビー級チャンプで、ブラック社長子飼いのレスラー、ウエッブがエルビスになりきるギミックでアピール。ホンキー・トンク・マン以来のアメプロの伝統ですかね。それでコナンらメキシコ軍団と喧嘩に。社長は「Beaner(豆ばっか食ってるメキシコのビンボー野郎)」という差別語を多用。

第三試合 XPW・TVタイトルマッチ ケイオス(王者)vs ポーゴ・ザ・クラウン(挑戦者)
ケイオスは、この団体ではめずらしくレスラーらしい体をしている若きヒールのエース。対するポーゴはめちゃくちゃ肥ってて、身長もある殺人ピエロ。ポーゴはFMWに来日してデクノボー呼ばわりされたらしいけど、俺はかなり好き。バンバンビガロ登場以来、俊敏に動く巨漢が増えてきたけど、やっぱデブはデブらしくなきゃ。その点このポーゴは、動きは超トロいし、感情表現などゼロだし、殴られてもあまりセルしないし(別に「効いてない」というアピールでなく、単に怠惰だから反応しないだけ)、しかもその丸々肥ったブロイラーのような雰囲気はこの団体の安っぽいカーニバル感を見事に体現している。試合はケイオスの子分たちが乱入してケイオスの勝ち。負けても、別に怒りの表現とかもしないでただゆっくり帰って行くポーゴ、素晴しい(は褒めすぎだけど、この選手マニアから必要以上に批判されてるみたいたから)。

第四試合 GQマネー vs エンジェル vs プレストン・アスコット3世
(たぶん)新人三人による練習お披露目会みたいな試合。みんな楽しいイロモノキャラを割り振られていて(説明は略)、しかもそれなりに派手なスポットをこなすプロレスをやる。少なくともその意思はある。ふにゃふにゃして見てて危なっかしいけど。試合はアスコットの勝ち。三人とも、XPW以外のインディーにも出て経験積んでほしいな。XPWじゃ一か月に一回しか試合がない。

ここで「短い休憩」。そうアナウンスされながら、なんと30分近く続く。まーそんなもん。いまのところ、なんだかんだでけっこう楽しい。
Mother F***'n Tシャツ買っちゃった。

第5試合 ビック・グライムス vs シコシス
グライムスは巨漢で、ここのデスマッチ王の一人。でも普通に試合させてみるとけっこう動ける。ジュニアのシコシスの試合に長々付き合って、最後はパワーボムの体勢で高々持ち上げてダイヤモンドカッターで勝利。見応えあったというか、観ててちょっと疲れた。間合いがゆっくりで長いんだもん。

この試合の後、ニュージャックがギャングスタラップ(?)に載って登場し、XPW登場当初からの抗争相手のグライムスに喧嘩を売り、デスマッチスタイルの番外戦が始まる。延々と二人が凶器でゆっくりゆっくりお互い殴ったり殴られたりしている間、ずっとラップが流され続けるという、ライブ版のプロレスミュージックヴィデオ状態。俺はこれ、けっこういいなと思った。最後は悪役のグライムスが堂々とニュージャックをノシて、去って行く。この人よく働くなー。

第6試合 コナンvs ダミアン・スティール
このへんからこっちの集中力が切れはじめた。ダミアンは、一緒に観て下さっている方のお気に入りで、きれいな80年代アメプロ的な試合をやって、恰好もいいんだけど。コナンがなんかで勝つ。

第7試合 フーヴェントゥ・ゲレーラvs エンジェル&クラック
本当はこれ、本日唯一の楽しみだったフービーvsNOSAWA戦だったんだけど、23日、25日と日本のFMWで働いてたNOSAWAが来れず(その埋め合わせにレボプロ勢が出たのかな?)。変わりに前述のオカマの新人エンジェルと、その夜のパートナーのクラック(こっちはオカマじゃなくて男役)が相手になって、二人が愛の力でなんかずるいことして勝利。興味ないんでよく覚えてない。ちなみにNOSAWA欠場を説明しに登場した、マネージャーのポールさん(英語まじペラペラの日本人)はマイクは苦手と言う割には、いきなり客席に「俺をオカマだと思っている奴らこの野郎」みたいなことを言って喧嘩を売り、沸かしてた。

もう12時近いのに、次の試合の準備で再び休憩。俺だけでなく、明らかに会場全体に疲労感が漂う。XPWの客ってのはとにかく威勢がよくて、なんか失敗があってもすかさず「You fucked up!!」コールを合唱して盛り上げちゃうんだけど、もうその元気もないみたい。

第8試合 XPWキングオフデスマッチタイトル戦 
シュープリーム(王者)vs スティーブ・コリーノ(挑戦者)
有刺鉄線とか、蛍光灯とかを並べてのデスマッチ。シュープリームは顔のかわいいバンバンビガロ(をもっとデブ小学生体型にした人)で、なんでか俺には分からないけど一番人気。コリーノはよく知らないけど塩。ゆっくりゆっくりデスマッチで一通り準備された器物を破壊。客席はみんな疲れてる。シュープリーム防衛。深夜だし冬だし寒いよー。

第9試合。XPWヘビー級戦 ウエッブ(王者)vs ??
前回に続き挑戦者未定の試合。もう25日になっちゃったのに、恐ろしいことにここに来てさらに段取りが悪くて試合がなかなか始まらない。説明するの疲れたからやめるけど、結局また簡単な相手をウエッブがやっつけて防衛。

そこに出てきたのが予想どおりサンドマン。今日は(観客席から現われず)ふつうにゲートから入場だけど、それでも冷えきってた館内が一瞬暖まる。今日はサンドマン丸刈りで、病人みたいだった前回よりはちょっと肥って体調もよさそう。それ故に、試合はつまらない(前回くらい動きが悪けりゃそれだけで注目に値するけど)。会場が再び冷えるなか試合が続き、なんの盛り上がりもペースチェンジもないまま、突然サンドマンがフォールを奪って王座奪取。こんなに寒い試合なのに、それでもサンドマンが3カウント取った瞬間、多くの客が脊髄反射のように万歳したのにはびっくり。お前らパブロフの犬かよ。それはともかく、その裁定を社長がいちゃもんでひっくり返して結局王座はウエッブの手に。あー終わった終わった早く帰ろう。もう1時近くだよ。サンドマンは試合後、例によって客席に入っていくけどさすがに反応鈍し。「サブゥーを呼び戻せ!」と怒鳴ってる客もいた。いいじゃん、そんな無理言ってないで今日はもう帰ろーよ。

そんな感じで、後半は非常に辛かったXPW観戦記でした。終わったときには、とにかく疲労感と寒さで、こんなひどい興行も珍しいと思ったけど、いまこうやって観戦記書きながら全試合振り返ると、けっこう前半の試合は楽しめてたことに気付きます。だから、とにかく段取りが悪く、興行を長引かせ過ぎて後半客を疲れさせたことが問題でしょう。前回はやはり同じくらい遅かったのにもかかわらず、ニュージャックとサンドマンの客席突入でメインまで盛り上がったわけだけど、ふつうこうはいかないでしょう。やっぱもっとペースアップして、客がいい状態のうちにメインまで突入しないと。試合そのものがしょっぱくても、元気な客の言いたい放題の野次やノリで、ライブの雰囲気を楽しめるのがXPWだろうから。全てのプロレス興行は生の客のリアクションに支えられて成立するものだけど、客のライブ参加度がことさら高いXPWでは、客を疲れさせない、白けさせないことは特に重要でしょう。この団体なんて、試合だけみたらつまんないに決まってるもん。




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