11/21キングダム後楽園ホール雑感〜UWFがここにあった
■団体:キングダム・エルガイツ
■日時:2001年11月21日
■会場:後楽園ホール
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 キングダムである。偉大なるUWFである。入江である。泣くんである。

 特リンの2万円を当日で購入し(大馬鹿)、18時半丁度に後楽園ホールに入ると、もうアマチュアバウトが始まっていた。果てしなくこれが続く。計7試合。何試合か、グラップリングバウトとかU系柔術ってのがあって、これはOFGとレガースなしで(後者はギも着て)やるのだが、ルールの説明がないので、何だかよくわからない。

 総合系の興行で、ルールの説明が入ると、ウザがる人が多いし、実際おれもウザく思うことが多いけど、あれはやっぱり必要なんだと思う。って、おれが入る前にやっていたのかもしれんが。

 で、やっと休憩。19時5分過ぎ(思ったより時間経ってない)。

 10分後に、北側にデカいスクリーンを吊るしていて、そこでのビデオ上映から(結局あまり効果的には使えず)。続いて、今時の若者のダンス。女の子3人、男の子4人。ブレイクダンス系で、そこそこウマいとは思ったが。こういうことをやりたいのなら、アマチュアバウトは、18時くらいから始めて、ここでまるっきりムードを変えるような作りにすべきだと思う(ってそのつもりで失敗してただけかも)。

 ちなみに、パンフレットによると、このダンスは「第1回キングダムエルガイツ DANCE BATLE」だそうだ(笑)。どこがバトルなんだよ。

 選手入場式(いきなり入場テーマ間違える)。身内選手のみ。入江、いきなり入江らしくリキみまくりのマイク。

 「4年前、キングダムは活動休止になりましたあっ。その翌日に僕は入団会見をしましたあっ。しかし、キングダムは実際にこのリングに立ってますうっ」とか。

 隣にいる足関節十段の今成、それ聞いて笑っちゃダメだろ。

 観客の入りは、最終的には、6割強くらいか。当日は4千円の席から売っていた。バウレビ担当者様がいらっしゃったので「嘘書いちゃダメじゃないですか〜(バウレビ様、安いチケット売り切れと報告)」と言うと、「あれ、入江が言ったそのまま書いたんですよお」と言い訳。

 観客席は、異様に身内が多い。超人クラブなんて、100人近く応援団がいたんじゃないかな。あと、おれの座った特リンだが、何故だか若い客が多い。して見ると、ホントに2万払って特リンで見てたのは、5人くらいしかいないかも。そのうちの1人であることを誇りに思う(単に馬鹿なだけか)。

 アマチュアキングダムの決勝戦が4試合。ライト、ミドル、クルーザー、ヘビー。特に思うところなし。アマの試合で入場テーマ付きってのはどうなんだろな。テーマが間違って入場してこない選手とかいるし。アマに脚光を当てるのは、悪いことじゃないけど、当て方はプロと違う方法を取るべきだと思うんだが。

 レフェリーは、昔からやってる奴(名前知らん)と、ストライプル平が何試合かづつ(片方はジャッジに)。スタンド、グラウンドとも、ブレイクが異様に早いんだが(最初の頃のKOK以上)、平、自分がレフェリーやってない時も、ブレイクのタイミングを下から指示出してました。

 んで、もう1人のジャッジは、埼玉プロレスとかによく出ている、何とか館長。DDTの最早伝説となりつつある番組「コニカマン」にも、チョイ役(って、番組自体がチョイ番組だが)で出てた人。この人、アマ大会とかでも、時たま見に来ているのを目撃したことがある。


<ファーストバウト ミドル級ランキング戦>
×小池秀信(2分42秒 TKO)太田和博○
(グラバカ)           (真武館)

 太田が、キャプチュードで骨折勝ち。小池は、押し込んでねちっこく倒しに行くんだが、倒す前にブレイクがかかっちゃうのが敗因。このルールだとあの戦法はキツい。


<セカンドバウト スーパーヘビー級>
○石井淳(6分5秒 レフェリストップ)岩崎隆勇×
(キングダム超人)          (EAGLE)

 タイタンファイトを優勝して、修斗のクラスB(判定負け)にも出た石井、キングダム超人と名乗る以上は、修斗は諦めたのかな。んで、修斗の時と同じで、押し込むんだが倒せない(倒さない?)。膝を打っていくんだが、あまり上がらない。ジャイ落みたいな髪型の岩崎も、最初は元気一杯で打ち合いに行くが、徐々にヘロヘロになって、最後バテ負け。


<サードバウト U系柔術オフィシャルマッチ>

△稲野岳(2R判定ドロー)アンドレ・カリオカ△
(キングダム・エルガイツ) (マリオ柔術)

 そもそもU系柔術って、どういうルールなのか、よくわからないまま。シューズを履いている以外は、普通のB柔術なんだが、どうもポイント制とかは、違う模様。

 固いカリオカを攻めきれない稲野。お互い腰引いてアタマ付け合い状態で延々。稲野1Rで1回引き込んだが、下からは得意じゃないみたいで、その後はまた膠着。カリオカ、やる気なし(勝つ気なし)。

 これ、プロなのか? なら、カネ返せ。


<特別試合 第二次UWFルール>
○藤原喜明(6分33秒 脇固め)荒井修×
(藤原組)            (国際プロレス青葉道場)

 組長、自分のテーマが鳴ってないのに、前フリのUのテーマで出てきてしまう。飲み過ぎだ。困るリンアナ(笑)。

 荒井は、入江とトーナメントで普通のプロレスやってるとこ見たことあるが(異様にしょっぱかった)、今回も似たようなもん(というか同じ)。組長、しっかりお仕事というより、流している感じで、STOとバックドロップで2回ダウン奪われてから、一瞬の脇固めなんだけど、このSTOとバックドロップが、また唐突(荒井の勝どきがまたヘタクソ)で、いやんなっちゃうなあという感じ。

 こんなのUWFじゃない。


 休憩10分。

<セミファイナル グラップリングバウト>
×今成正和(3分45秒 チョークスリーパー)バレット・ヨシダ○
(キングダム・エルガイツ)       (グラップリング・アンリミテッド)

 バレットのセコンドには、黒ずくめでどう見てもチャイニーズマフィアのイーゲンと、KID。たまたま、おれはそのコーナーのすぐ側で見ていて、これまた側にいた、4千円で入った癖して、マスコミ関係者席に堂々と陣取っている品川主催に「KID、実原と闘え〜! って挑発していい?」と聞くと、「ダメダメダメ、まだダメ〜。でも打撃ナシならいいかなあ」だってさ。「まだ」に期待しよう。

 いきなり引き込むバレット。今成も敢然と足関節狙いに行く。今成の見せ場はここだけだったか。あとは、バレットに翻弄されてた。しかし、バレットに寝技で勝負しに行った心意気はよし! って、グラップルルールだ、当たり前か。


<メインイベント キングダムvsパンクラス キングダムルール>
○入江秀忠(判定ポイント4−0)稲垣克臣×
(キングダム・エルガイツ)      (パンクラス大阪)

 パンクラスのテーマで入場の稲垣のセコンドは、渋谷と國奥。窪田と伊藤も側まで来て応援。稲垣って、いい奴なんだろうなあ。

 そして入江だ。バレットvs今成も、かなり楽しみだったが、やはり、これを見に来たのである。しかし入場でおれは不安になった。泣いてないのである、入江(泣いてるフリはしてた)。逆に言えば、ここでシュートになることを確信持てたのだが、やはりプロレスと同じ感情の作り方が出来ないのだろう(入江はホントに泣きながら入場してくる)。

 寡聞にして、入江がキングダムに入ってから、シュートをやったというのは聞いたことがない(やってるのかもしらないが、話題にもならないし、知らない)。で、相手はパンクラスである。U−FILEと違って、真撃だろうがガッチガチのパンクラスである。いやー楽しみだ。

 まあ、それでも見えるんだがね、オチが。入江、勝てば勝ったで泣けばいいし、負ければ負けたで泣けばいいのである。「パンクラスにも勝てなかったけどおっ、キングダムはこれからもおっ、上を目指してえっ」とか言いながら、泣くのだ。つまり、シュート興行においてすら、予定調和を作り上げる男、それが入江★涙色、なのだ。

 実際、入江はそんなに弱くなかった(かなり腰は軽い気がしたが)。まあ、パンクラス最弱と言っていい稲垣(例によって偏差値25位のファイト)が、あまりにあまりなので、よくわからないんだが。上になれば、簡単にパスしてみせたし、下になっても立ちあがる技術を使ってた。

 まったく危なげないと言ってもいいと思う。完勝と言っていい。だからこそ余裕なのかもしれないが、入江は、さらに凄いことをしてのけた。

 入江、打撃はさっぱりのようだ。というか、序盤でそう見せていた。稲垣の打撃をかいくぐって、すぐに抱きつく。

 そしてだ。そういうアングルを打っておいて、その上で、入江は自分から寝てみせた。高田vsミルコで高田がやったあれである。つまり、UWFの象徴と言っていい高田へのオマージュを、入江はシュートのフォーマットの上でやってしまったのである(ガス欠だから仕方がなく寝たのではなく、この戦略があるからこそ、前半からブンブン行けたのだ)。これが、偶然でない証拠に、2度目に寝た時、入江は、微笑んだのである(というか笑ってしまっただけだが)。

 この行為の素晴らしさに比べれば、「あと2つクリアすれば、隣のドームでの興行が叶うところまで来ています」と言ったマイクだとか(勿論、2つとは、対戦相手と資金だろう、つまりは重要なことは何もクリア出来てないというわけ)、その後で一旦感情を作り直してからの観客アピールだとか(リングに押し寄せた観客、およそ30人)、興奮のあまりリングサイドで「入江〜!!!」と絶叫しているヤノタクだとか(ホントだよ)、熱狂せずにそそくさと家路につく観客達もそんなに不快感は感じなかった筈だとか、キングダムの予定調和を作るに至ったそういうすべての要素は、すべてオマケに過ぎない。

 つまりは、シュート興行においてすら、予定調和を目指そうとする強い意志を入江が持ち、現実に、シュート興行において、予定調和を生み出してしまっていることは、前田の「おれ達の戦い常勝はあり得ない」というUWFが残した最大のアングルを逆・裏から、正確に補完するという意味で、キングダムエルガイツこそが、現在のUWFであることの証左であると言えるのではないか。

 最早、UWFはギャクやオマージュとしてしか存在出来ないなどとは言ってはいけない。存在していること自体が奇跡なのである。

 そして、それが現在の総合・プロレス界にどんな意味を持つのかと言われたら、我々は、胸を張って答えればよい。

 前衛とは、実験とは、前衛であることに、実験すること自体に、意味があるのだ。

 入江こそがUWFの未来である。




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