11/13T2P旗揚げ後楽園ホール大会観戦記
■団体:T2P
■日時:2001年11月12日
■会場:後楽園ホール
■書き手:ダイス
開始時間に約5分遅れてホールに着くとダフ屋は「割引!」の声。しかし場内はきっちり満員。ようするに今日ここに来た人達はほぼ全員前売り券を購入しているということだ。最近はいつもこのパターン。ダフ屋泣かせだねえ。
ロビーで松井大二郎、高木三四郎とすれちがい、会場に入るとリングサイドにはネイサン・マーコートが。国奥戦でメキシカンストレッチが炸裂したらすごいな。リングには暗幕がかけられ何か縁起でもないものを想像してたら、10分押しであらわれたリングアナのパンチ田原が「メガネ屋さんの旗揚げを思い出しますねえ」と言い出して苦笑。でもそのネタが通じる人はこの中では少数派だろうな。ナビゲーターとしてお久しぶりのウルピーも登場。場内暗転し、入場時に配られたサイリウムを振り回してカウントダウン。「ゼロ!」の叫びとともに暗幕が取れるとそこには6角形のリングが。場内どよめく。
歓声の中全選手入場式がスタート。各選手にそれぞれ拍手と声援が起こる。どう考えても身内だなってのも多かったけど。トリは当然ミラノコレクション・AT。先日のディファでT2P興行のチケットを選手が手売りしていたが、ミラノはただ立っているだけで、一言も声を出さなかった。帝王学とでも言うべきか、絶対に安売りをしないその姿勢は素晴らしい。
校長が挨拶をしようとしたらサスケが乱入。軽いブーイングが飛ぶ。しかし「このまま校長の座に納まるつもりじゃないでしょうね、みんな選手ウルティモ・ドラゴンを待ってるんです、また後輩の僕に胸を貸してください」と言うと場内は拍手に包まれた。・・・でもさ、旗揚げ戦の開会セレモニーでやる話でもないんじゃないの?
校長が「T2Pは僕の夢でした」などと挨拶。自身の復帰については触れず。個人的には永遠に態度保留でかまわないと思いますが。

第1試合 近藤修司 vs 八木隆行
 近藤は普通に第一試合っぽい入場。黒のショートタイツって闘龍門では初めて見た。身長は無いががっちりした体。特に背中の筋肉がすごい。なんとなく大日本の関本を連想させる。対する八木、ファンの振る旗の中、北島三郎の曲で入場。自らも大漁旗を振り回す。素晴らしい。しかし入場までなんだよな、キャラが持つのは。
 三島で凍った経験があるので「もしや」と思っていたら新日の前座が始まってしまった。もっとも、前座でこんな試合やったら長州にくらわされると思うが。近藤の技はスピアー(足踏みつき)、ラリアット(関節とられた後なので、殴った後痛がるスポット付き)、アバランシュホールド、ジャックハマー(未遂だったが)とパワー一本槍。悪くはないがこういうのが見たいなら田中将斗の出るところに行く。八木もルチャリブレ・クラシカの鱗の1枚くらいは見せてくれるが、関節技をやや多めに使う選手ってところか。最後も決めの形自体はオリジナリティがあったけど、デルフィン・クラッチ並みに技の入りがもたつくのは困ったもんだ。

○ 八木(13分19秒、タコツボ固め)近藤×

第2試合 ハンディキャップマッチ 三島来夢 vs TARUシート
 シートはミゼット(154cmあるんだが)なので、2カウントで勝利。対する三島は2本取るか、4カウントで勝利。トップロープとセカンドロープの間を開けた練習生に怒ってもう一段下を開けさせてシートリンイン。この前のディファでC−MAX入りを宣言したのでルードってことになるんだろうけど、なにしろこの体格では自動的にリンピオになってしまう。ってことは三島が自動的にルードってことだ。で、今までさんざん酷評してきた三島だが、今日はよかった。今まで闘龍門勢とやってきたときはキャラが薄くて、何がしたかったのかもわからなかったのに、シートとの対比で自動的にルードとなり、しかもこれがハマッている。シートが殴ろうが蹴ろうがビクともせず、逆にちょっと技をかければシートが「いたたたた」と大げさに伝える。そんなシートのキャラあってだとは思うが三島の表情もよく、そう簡単にレスラーを判断してはいけないと反省させられた。
 試合の方はナガタロック(ちょっとフェイスロックの形が違うが)で一本取った三島がそのまま帰ろうとしたが、レフェリーに止められて再開。三島の技をカウント2でキックアウトしてきたシートがついにジャーマンにつかまり。カウント3!勝利を確信し帰ろうとする三島、それを再び止めるレフェリー。そこへTARUさんが一発入れるとシートがあっという間にまるめこみ、電光石火でカウント2。勝利したシートは精魂尽き果て練習生にお姫様抱っこされて帰っていく。ミゼットというキャラを徹底したシートはお見事。

○ シート(7分41秒 飛び付き小包固め)三島×

第3試合 大鷲透 vs 小川内潤
 小川内、青と白のショートタイツとレガース。なんとなく成瀬を思い出す。対する大鷲は黒と黄色のリングシューズって、それは・・・。三島は永田をモチーフにしていたが、大鷲は天龍ですか。通常のシューズで思い切り小川内を蹴飛ばすさまは、まさに天龍。特に背中から腹にかけてのラインが天龍っぽい。まだ若いのにな。
 小川内は6角形リングで3方向に飛ぶこのリングならではのムーブを見せたが、体格に勝る大鷲がペースを握って離さない。体もあるし、ゆったりしたリズムの試合もそれはそれで面白いと思うが、大鷲のパワーファイトとルチャリブレ・クラシカは食い合わせが悪いぞ。最後の技もなんだかとってつけた感じ。

○ 大鷲 (11分48秒 千秋楽固め) 小川内×

 休憩明けの校長のマイク「地味な試合ですが、これがルチャリブレ・クラシカです」が少々か言い訳めいて聞こえる。新人の試合と考えれば十分及第点ではあるが、現代プロレスの一つの到達点であったあの3way6menも今日もチケット代は同じなんだよねえ。
 ヤングドラゴン杯参加者の挨拶、三島、KAWABATA、八木、近藤、岩佐、福政(は来てなかった)、大鷲、小川内。一番人気は営業で鍛えたKAWABATAかな。
 次回T2P興行は3月頃を予定。しゃちほこマシーン1号、2号の投入をほのめかしていたけど、セカンド土井はどうなったんでしょうか。
SUWA来場、記者席へ。場内今日最大の歓声。

第4試合 大柳錦也 vs TARU
 メインのミラノ以上に注目の大柳。TARUさんがシートを従えリング上で待ち受けると、そこへ突撃ラッパが流れる。軍歌で入場するのかなと思っていたら流れたのは『宇宙戦艦ヤマト』。場内爆笑の中、南側客席に敬礼とともにあらわれた大柳。フルコーラスきっちり使って敬礼しまくると匍匐前進でリングイン。沸き立つ客席。
 ゴングが鳴っても敬礼をやめない大柳、なんとかその手を下げさせようとするTARU。しかし魂のこもったその腕は額から離れない。しかも敬礼式エルボーや、敬礼式スタナーなどの技でTARUを追い込んでいく。そしてグラウンドでTARUをとらえると、逆にTARUに敬礼をさせ「愛国精神注入!」と絶叫する。俺の脳裏に『ケンペーくん』とか『愛国戦隊大日本』といった、いらん言葉が浮かんでくる。
 ダウンしたTARUに一段目のロープにあがった大柳は「万歳」と叫んでボディプレス。続いてセカンドロープから、今度は2度「万歳」を叫び再びボディプレス。そしてトップロープで万歳三唱を。そう米帝を震撼させたバンザイアタックだ。大戦はまだ終わっていなかったのだ、行け大柳、神国日本の魂を今こそ呼び覚ますのだ!!
 ・・・・・しかし、卑劣にも膝を立てたTARUによって大柳の渾身の技は玉砕してしまった。ああ、歴史は繰り返すのか、物量(体格)に優る者に我ら大和民族は無惨に散ってしまうのか。否、断じて否。必殺ドリラーの体勢に入ったTARUの慢心を我らが大柳は見逃さなかった。見事に体勢を入れ替え、乾坤一擲の敬礼式逆さ押さえ込み!そう技でも力でもない。最後にものを言うのは魂だ。大柳の勇姿をこの日会場に詰めかけた1898人の観衆は末永く語り継いでいくことだろう。
 「TARUさんも日本人だろ」というツッコミは不可です。

○ 大柳 (12分05秒、敬礼式逆さ押さえ込み)TARU×

第5試合 吉野正人&STEVIE”brother”TSUJIMOTO vs 森ken太郎&岩佐卓典
 岩佐はAKIRA風のペイント、キャラはよくわかりません。森は王子スタイル、リング中央で4方に向けて王子風挨拶。辻本(めんどいので漢字表記します)は日本語のラップで踊りながらリングイン。最後に吉野が「アーアアー」とターザンシャウトで入場。辻本と岩佐のからみはいい新人のレベルだが、吉野と森(以降会場での声援に従って王子と表記)の攻防はキッドとススムのそれのようによく練れていて目を引きつける。吉野が攻で王子が防だがスポットの質量ともに今日一番の組み合わせだ。ただタッグマッチなのに吉野−王子と辻本−岩佐の二つの組み合わせばかりで、逆の組み合わせがあまり見られなかったのはちょっと気になった。だけど、やっと
ルチャリブレ・クラシカが見られたというカンジ。闘龍門の誇る通常の団体の3倍のスピードでオリジナリティ溢れるジャベの数々が展開されていく。特に王子組の繰り出した吉野と辻本の足を絡ませた上で、それぞれの上半身をさらに決める合体関節技はT2Pでしか見ることができないだろう。いつしか20分を過ぎ、そしてそれだけの時間が過ぎたことを感じさせない濃厚な攻防の中、吉野が岩佐を捕らえてフィニッシュを迎えた。イメージだけが膨らんでいたT2Pだが、そのイメージに全く劣らない試合を見せてもらえた。

○ 吉野(22分19秒 ソル・ナシエンテ)岩佐×

メインイベント 61分3本勝負 ミラノコレクションA.T. vs 斉藤了
 NWAウエルター級チャンピオンの了が、いつものように自転車にまたがりベルトを持って入場。そして「ミッラーノ!」の歌声の中、男性モデル二人、女性モデル一人、さらに透明犬ミケーレを引き連れてついにミラノが登場。ミラノの足は信じられないぐらい長い。リング上でファッションショー風にモデル歩きをする四人。そしてセコンドにミケーレを預けると(預かったセコンドの手を焼かせていたが)ゴングが鳴った。この試合はただの3本勝負ではなく、1本とる前に5回ロープエスケープをするとその時点で試合終了というUWF風ルール。
 さすがに上陸前からエースとして喧伝されていた男。どれ一つとして他に真似のできないジャベの数々。特筆すべきは、技に入る動作のスムースさ。まさに流れるような動きに了はなすすべ無くロープエスケープを重ねていく。追い込まれた場面すらなく、1本目はミラノ完勝。

○ ミラノ(7分18秒 結び目固め)了×

2本目、了にも意地がある、しかしミラノは変わらず快調にロープエスケープを奪い続ける。次第に場内の了への声援が罵声に変わっていく。「それでもチャンピオンか」「そんなんじゃ闘龍門に帰れないぞ」「藤井さんに会わせる顔がないぞ」・・・。了にこんなに厳しい声が飛んだのは初めてじゃないだろうか。そしてその声が届いたかソバットの連打がミラノをとらえた、そして
「行くぞ!サイクリングヤッホー!」しかし、それすらもミラノはあっさり切り返す。既に4度のロープエスケープをしていた了はタップすることしかできなかった。

○ ミラノ(7分19秒 ATロック)了×

試合後のインタビューで「チャンピオンと言っても、こんなもんですか。対抗戦と言われてもこれじゃあ興味がわかないな」と憎々しげに語るミラノ。場内のフラストレーションが頂点に達したとき、一人の男がリングに向かった。SUWAだ。一斉にSUWAの名を叫ぶ観客、しかしSUWAはミラノに右手を差し出した。訝しみながらもその手を握り返すミラノ。だまし討ちもなにもなく、ニヤリと笑って握手をするSUWA。果たしてその真意は?

・・・こんな引きされたら、次も行くしかねえよなあ。

 さて総評。当然のことではあるが、試合全体のレベルで言えば闘龍門には及ばない。選手それぞれもいろいろなキャラクターが付けられてはいるが、八木の漁師や森の王子も結局入場までで試合中は生きてこないのは不満だ。シートと大柳はキャラをまっとうしていて、実際試合も面白かったが、DDTの蛇界や埼玉プロレスなどそっち方向に針を振り切っている人達は既にいる。
 たしかに客席は沸いていたが、試合展開にあわせてか、声援や野次や盛り上がり方が普通のプロレス団体のそれだった。「闘龍門とはちがうやり方で」とT2Pについて校長は語っていたが、裏の裏は表になってしまうなというのが正直な感想だ。
だが、セミとメインで見た物を、その方向性をとりあえずは指示する。少なくとも損をしたとは思わない、面白かった。けれども闘龍門というブランドには既に大きなプレミアが付いている。T2Pは常に偉大な兄達と比較されていく。ハイスパートジャンキー達の底意地の悪い視線に常にさらされる。不満はある、だけれどもしばらくは見守っていこうと思う。底意地の悪い視線だけれど。




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