PRIDE17観戦記 プロレスラーよ、何処へ行く
■団体:PRIDE17
■日時:2001年11月3日
■会場:東京ドーム
■書き手:テック

娯楽の殿堂水道橋。野球に競馬に格闘技、遊園地だって揃ってる。デートスポットとしては十二分の品揃えだ。

まぁそんなことはどうでもいいのだが、PRIDEがその娯楽の殿堂の中心地である東京ドームに帰ってくるのは昨年5月以来。タイトルを創設するなどの新たな試みを持って、この大会場での勝負に来た。

雨の中を開始予定時刻まであと10分という所で入場したんだが、席はもう既にかなり埋まっている。しかし外野には客を入れてない上にグランドも席のない空間が多すぎる。用意した席が満員でも、これじゃあ行列のできるラーメン屋とやり口がいっしょ。まぁラーメンがうまけりゃ文句はないが。(主催者発表はPRIDE過去最高の53246人・・・。それ、かなり無理ありませんか?)

ちょいと長い開会式を終えて第一試合へ。ところで選手呼び込みのマイクをするおねいさんが面白すぎるんですけど。昔懐かしい電磁戦隊デンジマン並びに太陽戦隊サンバルカンの敵役、へドリアン女王を思わせる(思ったの、俺だけだろうが)その声色で、入場テーマにあわせて叫び、ノリ、時には悶える。俺の笑いのつぼを貫いて仕方ない。す・・・好きです。


第一試合 ヘンゾ・グレイシーvs小原道由 (1R10分、2・3R5分)

新日の喧嘩番長小原道由。小川・橋本戦の乱闘で一番血気盛んだった男小原道由。レスリング最強(女子)アニマル浜口ジム出身小原道由。さてさてヘンゾ相手に何をするのかできるのか。

結果から言えばなんにもできなかった。打撃が来たら両手を前に出して顔を背け、時には完全に背を向け、スタンドレスリングになればコーナーに下がって耐え忍ぶだけ。一度テイクダウンれた時にすぐ起き上がるという力強さを見せたが、それだけかなぁ。ヘンゾも消極的だった、前回のヘンダーソンとの試合で低空タックルを潰された反省と、藤田、石澤と同じ道場からでてきた男という小原に、なんらかの警戒があったんだろうか。
ロープをつかんだ小原にイエローカードなどもあり、そんな展開のまま、3ラウンド終了。ヘンゾが判定3−0で勝利。

小原はヘンゾ相手に攻め込ませなかったと言えば、それより数段格の落ちるハイアンに殴られまくっただけの石澤のNHB緒戦よりは健闘したとも取れるが、プロレスラーたる者がリングの上でインパクトを残せないのはちょっと悲しい。半身になったヘンゾのバックを取りかけた時に思わず「バックドロップ!」と叫んだプロレスファンも多いだろう(俺も叫んだ)。それだけの期待は背負ってるんだから、やるからにはもう一歩踏み込んで欲しい。石澤は次の試合で大勝利。完敗したあとだけにカッコついた。小原はどうだ、NEXTがあるならまた応援するよ。あればだけど。

〇ヘンゾ 判定3−0 小原●


第二試合 クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン vs石川雄規 (1R10分、2・3R5分)

バトラーツNKホールでクイントンに破れたアレクのあだ討ちらしいが、その日のメインで破れている貴方が何故。ちょっと意味がわからない。

クイントンは前回乞食扱いされていたが、両者並ぶと物乞いしてそうに見えるのは石川。さすがワンギャルに「やられ役にしか見えない」と言われただけはある。幸薄い。

試合は激しいぶん殴り合い。途中、クイントンがパイルドライバーの体勢に持って行くなど、目に楽しい攻防が続いた。が、悲しいかな、石川は体力で完全に圧倒されている。最後はクイントンのカウンター気味の右ストレートと返しの左で石川KO負け。バトラーツの明日はなくなったが、石川個人の明日にも厳しい風が吹く。これだけの観衆の前で猪木のアゴマネができただけで十分か?宇宙征服をサスケと共に誓ったあの日が懐かしい・・・。

〇ジャクソン KO 1R1分52秒 石川●


第三試合 ダン・ヘンダーソンvsムリーロ・ニンジャ (1R10分、2・3R5分)

ニンジャはアマレス五輪経験者のダンにレスリングで追い込まれるだろうから、打撃に活路を見出すしかない、と思ってたんだけど、やってみたらこれが全く正反対だった。ニンジャがグランドでいいポジションを取りまくる。ポジションを与えながらも攻め手を封じるダンも流石なのだろう。横四方を取られても相手の上半身を下から抱え、肘を上手く使って膝攻撃が来るのを止める。ニンジャはそれを飛び越えて膝を打とうとするが、上手く決まらない。逆にダンがテイクダウンを奪うと、ニンジャは転がって、転がって、無理やり立ち上がる。しかも何度も。ダンに押さえ込まれないレスリング能力にはビックリ。3Rにニンジャの膝が急所に当たってのイエローカード、ダンの打撃ラッシュにニンジャがフラフラになる場面などがありつつ時間切れ終了。判定は2−1でダンに軍配。ルールはマストシステムなんだから、ラウンド毎に判定すればニンジャでもいいと思ったが。

ところで2Rのダンの投げは明らかにキャプチュードだった!彼がこの世界で知られる為の足がかりになったリングスの現状をちょっとだけ憂いて出した一発、なわけはあるはずもない・・・。

〇ヘンダーソン 判定2−1 ニンジャ●


荘厳なテーマに乗って現れたのが、ノーネクタイの痩せたサラリーマンがならそりゃ画的には十分面白い。だが別に面白がらせようとしているわけではないだろうそんな彼は、マネージャーのホリオンと袂を分かったというホイスさんみたいです。見事に風格なく、スーツには完全に着られちゃってます。その格好で「私はまだ引退していない」なんて言われたら、脱サラして夢を追ってる三十路越えのようにしか見えないです。どうやら来年に試合をしたいそうです。

●ホイス 高級感 スーツ〇


第四試合 佐竹雅昭vsセーム・シュルト (1R10分、2・3R5分)

入場道八段の佐竹は、今だそのテーマと姿だけで会場を盛り上げられる。俺も佐竹のテーマは本当に好きで、携帯の着メロを自作したほどだ。しかしいかんせん、いくら会場の華になろうとリング上での結果が出なければ・・・。

対するシュルト。パンクラスはなんだか日本人だけで盛り上がってるし、シュルトがこのままPRIDEに吸収されちゃっても誰も困らないな。と、いうか、そっちの方がお互いのためかもしれない。両者リングインすると、やはりそのデカさに目を奪われてしまう。

この試合、佐竹にとっては立ち技で思いきり闘える格好の相手かと思えば、その立ち技では何もさせてもらえない選手だったことが試合中に判明。なんせハイキックは届くわけないし、ミドルキックの位置は金的だ。ローキックを蹴ろうにもシュルトの前蹴りで距離を一瞬にして広げられ、踏み込んで蹴ることができない。完全に手詰まりだ。ああ、シュルトの前蹴りが急所に。それほど休憩も取らずに再開する意気込みはあるも、蹴った足と共に空回り。シュルトの前蹴りが今度は溝に入ったのか、うめいた所に左の突き二・三発が側頭部へ。佐竹、ゴメンナサイダウン(もうできましぇーんという雰囲気で倒れるダウン)。シュルトが追い打ちに入ろうとする所をストップされた。

佐竹のやる気は買う。戻るリングもない中、どこまで生き残れるのか。次は手の合いそうなアイブル辺りが適当か?

●佐竹 KO 1R2分18秒 シュルト〇 


第五試合 イゴール・ボブチャンチンvsマリオ・スペーヒー (1R10分、2・3R5分)

スペーヒーはブラジリアントップチームのリーダー的存在ということらしいが、その風貌、風格は素晴らしい。キラキラのローブを着せ、札束をぴら〜ぴら〜とばらまけば、今は懐かしいミリオンダラーマンキャラとしてムチャクチャ画になると思うぞ。

さて試合、スペーヒーが速攻の片足タックル。ボブはがぶるが、結局テイクダウンを奪われる。ボブは両腕をカンヌキで抱えてガードポジションに入る、スペーヒーはパスガードに行き、まず一本足を抜いた。が、ふとしたところでいきなりゴング。この体勢で考えられるのは肩固めだろうが、やっぱりそうだったみたい。けれどボブにしてはタップが早いし、極まるほどに力を加えられる体勢には見えないけど・・・。後で分かったんだがボブは体調不完全で、諦めタップだったらしい。う〜ん消化不良。しかしスペーヒーはこれでPRIDEでも一躍トップクラスに入るだろう。彼のキャラを育ててあげてね。

●ボブ 肩固め1R 2分52秒 スペーヒー〇


休憩、トイレが混雑。腹減ってたが売店も混雑。我慢して戻る。ステージで知らないバンドが曲を演奏し始めた。これは、と思い売店に行くと、おお、空いている。トイレもだ。

続いて猪木。パラオの詞を詠うが、オチなし。オチのない猪木の詞なんて・・・。続いてパラオの大統領なる人物がリングイン。これがドン・キングにそっくり。次は是非スペーヒーのマネージャーとして来日を!続いて客席にいた巨人の清原が無理やりリングに上げられて猪木に張られる。続いて続いて石井館長とサム・グレコがリングに上がり猪木祭関係のお話を。ところで館長やK-1選手を呼ぶのに「出て来いK-1!」は少し間抜け。

猪木はもう会場やお茶の間や東スポを賑わすだけの存在になってしまった。先日、とんねるずの石橋とサザンの桑田が猪木のものまねをして1時間番組を埋めていたのを見たが、それのみでテレビを成り立たせられる存在になった猪木は確かに凄いと思うし、実際面白い人だ。けど、もはやそれだけだ。

〇清原 インパクト K-1● (翌日のスポーツ紙上にて判定)


第六試合 トム・エリクソンvsマット・スケルトン (3分3R)

K-1ファイターのパワー系と、PRIDEファイターのパワー系。俺はハンセンvsアンドレ、バッファローマンvsマンモスマンのような力対力という構図には興奮を覚えるんだが、練習時間もないだろうスケルトンの行く先はちょっと目に見え過ぎているので、期待も何もなかった。

試合は、想像したよりそのまんまで、K−1のリングでは首相撲で相手をぶん回すスケルトンが、抱っこされて、ぶぅ〜んと投げられてひっくり返された。けどこりゃすげえ!やっぱりエリクソンはアマレス130キロ級での実績がるだけはある。格闘技においてでかい事は素晴らしき事かな、このままグランドに入って、スケルトンの喉を掌で潰しにかかった。これにはスケルトンもビックリした事だろう。一気にタップアウト。生半可な準備でK−1の選手がこういう試合をしたら、大概こんな結果になるだろうというお手本か。しかしこれだけ一方的でも1Rの時間を半分切ろうとしてるんだから、ルールにおいても問題山積み。猪木祭、早くもピンチに。

〇エリクソン ギロチンチョーク1R 1分11秒 スケルトン●


第七試合 高田延彦vsミルコ・クロコップ (3分3R)

試合前に映像でミルコのコメントを流し「PRIDEや高田の歴史なんてハッキリ言ってどうでもいい」というところを拾って強調させる。きっと本当はこういう受け取り方はされないコメントなんだろうが、相変わらず作りがあざといDSE並びにフジテレビ。まぁ真撃でのケア−の橋本豚扱いよりはましか。

両者入場。ミルコは瞬きの回数が驚くほど少ない。表情もクールだし、ある意味シウバより怖い顔。こっちの方が人殺してそうだ(実際殺ってるだろう)。対して高田。客席からは「カッコイイ〜」ってな声がポツポツと漏れる。相変わらず入場選手権ではチャンピオンクラスだな、佐竹以上だ。この時高田が口の中に何かを入れてクチャクチャ噛んでいるのに気づいたんだが、アレは一体なんだったんだろう。ガムだったらリング上で相手に吐きかければ面白いと思ったが。

ゴング。先に間合いを詰めて行くのがミルコの方だというのが印象的だった。そこに高田がスッと片足タックルに入りテイクダウンを奪うが、ミルコは落ち着いてガードポジションに入る。このガードが様になっている。ただ足を胴に絡めるだけでなく、片足の裏を高田の足の付け根に添えて、相手が足間接を取りに動いたら途端に蹴って距離を離す。藤田戦から練習を積みつづけ、トータルファイターとして一歩一歩でき上がってきているようだ。その証拠に、その後のタックルは恐るべき反射神経でがぶって切る。一度など、高田にローキックを取られて倒されかけたのに、すぐ様体勢を戻して切ってしまう。藤田戦から3ヶ月、ミルコ、ちょっと吸収力があり過ぎ。高田の大きな動きにも最小限で反応し、運動能力の差を見せ付けるこのラウンド。高田はローキックやハイキックをみせたりもするが、それは完全に相手のお株。

1R終了間際に自分から寝て猪木アリになる高田。2R後半辺りから徐々にその動きばかりになって行く。ちょっとでも間合いが詰まったらパターン。あ、きた、パターン、の繰り返し。ミルコに攻め手を奪われたから、逆に相手の攻め手を奪ったという見方もできなくはないが、にしてもこれはどうなんだろう。犬は自分の負けを認めたら腹を見せる姿勢を取るが、それを重ねてしまった。このまま3Rまで終了。判定がないからエクストララウンドを5Rまで行うが、最後までこのままの攻防が続いて引き分け。う〜む、これは・・・。

高田にそれ程思い入れがない俺としては(紙プロ誌上等でのプロレスを見下すような発言から、ここのところ特に気に食わない)この姿は情けなく見えた。負傷の為に負けない作戦に選択し直したと言うが、ろくに動けなくなっているのなら途中で潔く負け試合を止めてもいいと思う。PRIDEは消極的な選手は干されちゃう事もしばしばなリングじゃないか。ネームバリューだけで立つには辛すぎやしないか?後輩の桜庭も松井も闘争本能は人一倍だ。高田道場、空しい看板だ。一方ミルコ、まだ総合用の練習を始めて半年にも満たない選手。もうちょっと修練すればこのリングで、同じ立ち技主体選手のチャック・リデルやガイ・メッツァー辺りをさっさと抜き去りそうな勢いなんですけど。

△高田 引き分け延長5R ミルコ△


第八試合 PRIDEヘビー級王座決定戦 アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラvsヒース・ヒーリング (1R10分、2・3R5分)

凄い楽しみにしていたカードです。ノゲイラはヘビー級にして先の2戦、驚くべき柔術マジックを披露して最強幻想を湧き起たせた魅力のある選手だ。一方のヒーリングはエリクソン、ケア−というビッグネームを食ってきた。何より試合中に見せる勢いの良さとテキサスカウボーイキャラが好感を持てる。ちなみに彼は、PRIDE会場で発売された「キン肉マン対PRIDE Tシャツ」でテリ−マンと絡んでるではないか。ううむ、ツボ(買わんが)。

1R、打撃を見せてのタックルで、早々にノゲイラがテイクダウンを奪う。フロントチョークを狙うがヒーリングはそれを切り、上になる。しかしガードポジションこそノゲイラ地獄の真骨頂。思うに、ノゲイラは握力がかなり強いのではないだろうか。ヒースの両腕をそれぞれの腕でガッチリと掴んで離さない。これでは相手の攻め手は奪われるし、隙を見てすぐ様三角なり腕ひしぎに移行できる。そしてこの場面でも当然のごとく、ヒーリングを三角締めに捕らえにいく。しかしヒーリングはその身体能力の高さと判断の正確さで見事に脱出成功!

お互い立ち上がり今度は無酸素ラシッュとでも言うべき打撃の連打を行き交わせる。ヒーリングが体全体を振り回し、ガムシャラにぶん殴って来るのに対してノゲイラは視線をそらさず、直線的なパンチで迎え撃つ。驚くべきことに打ち勝つのはノゲイラ。ヒーリングは先に息を切らしてそこから逃れるようにタックルに入りテイクダウンを奪う。しかしそここそノゲイラの巣。腕をキャッチすると共に機械のように両足がパックリ開いてさあ来た三角!ヒーリングも凌ぐ凌ぐ!ここからノゲイラの巧みなグランドトラップが次から次へとヒーリングの足を手を、首を獲ろうと起動する。下になったヒーリングに肩固め、マウントを取ってのパンチ、フロントチョーク、それをヒーリングに凌がれ立たれると、打撃で距離を潰して再びグランドへ。ノゲイラの罠は、スリーパー三角十字と再び絶え間なくヒーリングを攻めたてる。

1Rを凌ぎぎったヒーリング。2Rも打撃で間合いを詰められて足を取られてテイクダウン。ノゲイラは横四方から肩固め、続いてアームロック。それをヒーリングは逃げる逃げる。ノゲイラがマウントになるのをヒースは亀になって返すと今度はチョークがやってくる。ノゲイラはヒースをひっくり返し、胴締めで身動きを取れなくした所をフルネルソンのような形で相手の両腕を開いていき、とっさに腕を刺しかえチョークを狙う。ヒーリングはそれさえもこら〜〜〜えて・・・凌ぐっ!!

何度極まると思ったことか、幾度もうだめだと思ったことか。攻めるも攻めたり守るも守ったり。ヒーリングに攻め手をほとんど与えずに次から次へと捕獲に入るノゲイラも流石だが、これまでの試合を圧倒的な極めの強さで勝ってきたノゲイラに食いきらせないヒーリングも大したものだ。しかし今日この日は、ヒーリングは完全に自分の持ち味に蓋をされてしまった。過去の試合で発揮した底無しの体力にも疲労の色が見える。ノゲイラの穴に飲み込まれんと必死になりながらも3Rに入っても形勢は逆転できず、試合終了のゴングを耳にすることとなった。

もちろんジャッジは3−0でノゲイラ。ちょっとコイツは揺るがしがたいな、と誰もが思うであろうチャンピオンが生まれたなぁ。この顔でまだ25歳だし。一方ヒーリングも23歳、まだまだ強くなりそうだ。会場もかなり熱が入った。是非また再戦が見たいと思ったナイスカードだった。

〇ノゲイラ 判定3−0 ヒーリング●


第9試合 PRIDEミドル級王座決定戦 桜庭和志vsヴァンダレイ・シウバ (1R10分、2・3R5分)

前回の同カードも会場で観ていたんだけど、その時の桜庭敗戦により吹きこんだ空っ風は凄いものだった。39Tシャツを着ている人もそうでない人も含め、会場全体を放心状態に陥いらせたんだから。そこまで桜庭の影響力が大きくなっていたのには正直ビックリした。故にこのリベンジマッチに向けられる視線は相当熱いものであることが容易に想像できるし、桜庭のみならず、PRIDEという興行の今後を左右するビッグマッチであることも確か。DSEはどっちが勝っても美味しいというマッチメイクを良く組むが、こればかりはそうも行かないだろう。

桜庭はグレートムタのニンジャマスクで入場。やはり声援の大きさもひとしお。そのマクスを脱ぎ取ると下にはキツネのラインをしたお面を被っている。正中線から左右に赤白と色分けされていて、それぞれの頬に「炎」「コマ」の文字が。踊り場でそれも取り、毒霧噴射。対するシウバ。いつもより表情に落ち着きが見える。リングインしてからの睨みもそれ程ガンたれムードではない。逆に気合の程が伺える。

さて、遂にゴング。刹那、シウバのローをキャッチして桜庭早速テイクダウンから上へ。前回とは違い、桜庭の領分から試合が展開されたことに観客が喝采。モンゴリアンチョップのポーズにも大きい声援が飛ぶ。やはりこういう空気が作れる選手は桜庭だけかもしれない。

桜庭、足関節を狙うが取れず、両者立ちあがって今度はシウバがもろ差しでロープへ押し込む。シウバは膝をコツコツと重ね、機を見てフック、次いで顔面を狙った膝!桜庭は懸命になってくっつく。両者が転がり、もまれ、離れて立ちあがる。シウバがバックを取りにかかるがと即座にサクラバポジジションからのアームロックで対応。しかしそれは十分わかっているだろう。シウバはすぐに離れる。

今度は打撃で近づいた桜庭がテイクダウンして上になる。シウバはガード。桜庭、数発パンチを下ろしながらパスを狙う。シウバは三角や十字を狙っていく。入らず。離れ際、桜庭はとっさにフロントチョークに取る。しかしシウバは桜庭の股間に手を入れると、そのまま持ち上げてパワースラムの体勢で桜庭をマットに叩きつけた!このパワーには正直驚いた。マットに刺さるように桜庭の体が沈む。チョークは外れてシウバが上に、桜庭がガードポジションの形になる。桜庭は三角を狙うも入らず、シウバが離れて猪木・アリ。桜庭はシウバがけん制のローキックを打ちきった瞬間を狙って飛び上がるタックル。飛びつき十字をねらうも、入らずに1R終了のゴング。

両者コーナーに分かれて束の間、急にゴングが打ち鳴らされ「勝者、ヴァンダレイ・シウバ!」のコールが会場を包む。誰もが何事か判断つかない状況だったが、桜庭の肩が脱臼しているとの説明が。パワースラムの時に外れたらしい。PRIDEブームと同じくして、桜庭への追い風も費えてしまうかのような瞬間だった。

試合後、桜庭はマイクを持たされ観客に謝ると共に涙を見せて言葉を失った。そして「もっと練習してきます」と。対してシウバは満面の笑み。総合ファイターとしてグランドでもそつのないところも見せた。結果はこうなったが、いい試合だった。最後の不意をつく桜庭のタックル(肩は外れている!)に勝ちへの執念が見えたし、シウバの力強さはインパクト大だった。


さて、今日のPRIDE、5時間半という長時間興行ではあったが、いい試合も多かったし俺は十分満足できた。しかし大きな課題が残った。それは「プロレスラー」という存在。

この日の声援の度合いを見ても、PRIDEの会場の大多数を占めるのはプロレスファンだろう。自動的にプロレスラーという存在の必要性は重きを占める。だが、今回の小原のような試合をされてはちょっとかったるい。彼は試合後に「死に切れない」と言ったらしいが、やったのは「死ぬ気のない」試合じゃないか。かといって「死にに」上がった石川を誉めるわけでもない。そんなことを続けていたらプロレスラーはただのピエロだ。高田に対してはちょっと言葉がない。PRIDE1から試合をしていていつまでも勝ち目のありそうな闘いができないのなら、忘れ物ってやつを拾ってそろそろリングから降りる決意をした方がいい。このリングでプロレスラーであろうとすることは相当ハードルの高い話だと思う。インパクトを見せ、かつ強くもなければ生き残れないのだから。桜庭は常にそんなプロレスラ−であろうとしている。そこがプロレスファン並びに総合ファンや一般客も引きつけている理由なんだろう。

プロレスラーはこの先このリングで闘っていけるのだろうか。プロレスラーなくしてPRIDEは興行を打てるのだろうか。けれどもそんな問題を抱えた状況がを返って面白がってみちゃう俺はひねくれもんですか?




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