2001.11.3 PRIDE17 東京ドーム
■団体:PRIDE17
■日時:2001年11月3日
■会場:東京ドーム
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

PPVがあるから時間通り始まるからかもしれないが、試合前からほぼ超満員。入れるべき席はほぼ入っている感じである。個人的には今回は結構地味なカードだと思っていたのだが、そういうことは関係ないみたいだ。確かに最近のプライドは試合は面白いからだけど、高田や桜庭を見に来た人以外に、私のようにプライド自体を見に来たという人はどの程度いるのだろうか。結構多いような気もするが(主催者発表53246人 )。

定刻通りに始まり、まずは選手入場。MCのバイリンガルのおねえさんがやたらテンション高い。特にブラジル勢には一層高くなり、英語発音なのに「ぶらぁぁぁぁぁじぃ〜る〜」と巻き舌でコールするところが凄い。こういうのは乗れないとただうるさいだけなのだが、この日は妙にはまってしまった。観戦記ネットの年間アワーズの特別賞にエントリーしたいくらいだ。

1.○ヘンゾ・グレイシー 判 定 3−0 小原道由×
11月3日といえば文化の日。戦後生まれの人たちは憲法公布日を連想するが戦前生まれの人たちは明治天皇の誕生日である。というわけで、君が代で入場する小原。さすが国士館大学出身だ。

最近の新日本での小原の動向には、”小原は何がしたいのか?”という疑問があったが、その答えがこの日の試合ということなのであろう。しかし今日再び新たな疑問が”小原は何しに来たのか?”

試合はスタンディングでの様子見に終始し、やたら小原の引けた腰が目についた。たまに来るヘンゾのパンチには目をそむけるし、あれじゃあ素人丸出し。首相撲になっても何も出来ず。相手が攻撃したスキを狙おうという魂胆なんだろうが、あそこまでミエミエだと・・・ロープを掴んでイエローを切られ、ネガティブ・ファイトでもう一つ追加され、2R、3Rとだんだんブーイングの量が増え何も起こらず無事試合終了。

柔道出身の小原はグラバカで練習していたらしいが、まさかタックルやTDまでは教わっていなかったとでも言いたいのか。寝技に持ち込めばどうにかなると思っていたのだろうが・・・

ヘンゾもいくらテクニックがあってもマグロのねえちゃんはいかせられないというところなんだろうが、小路と30分ドローだったり、菊田とも50分かかったようになんか決定力不足でマッタリした感じ。大体ヘンゾの試合で面白いとか、凄いとか思った試合はあまり記憶に無いけど、なんとなく納得。

取り敢えず小原はもう来ないでいいな。タチやヤツは撃沈されたけど、あっちの方が向かっていっただけ負けてもまだ潔さがあり価値がある。散り方の美しさを研究しないと、これじゃ明治天皇も泣いているよ。

2.○クイントン・ジャクソン K O 1R1分52秒 石川雄規×

何しに来たのと言えば、石川も良く分からない。バトNKでアレクが負けたから仇を打つということだが・・・興味の焦点はこの試合はワークなのかシュートなのかに移ってしまう。

しかしそんな不安もなんのそので、前の試合で無かった攻防が見られたので場内は湧く。石川やる気満満。またもジャクソンのパワーボムが見れるかと思ったら、さすがにそれは石川が阻止した。だけど、この二人VTの戦い方を知っているの?と聞きたくようなトリッキーな攻防であったが、クイントンのパンチがカウンターに入ってそれでおしまい。この方が小原より負け様がいいので良し。

まあ、大企業のぶら下り社員と、中小企業でも社長をやつていた男の違いかなという感じもするが、この手は2回は使えないな。中小企業の社員であるタチは何度も使っているけど。

3.○ダン・ヘンダーソン  判 定 2−1 ムリーロ・ニンジャ×

私は密かにこの試合が前半期待の一番だったのだが。柔術や立ち技といった概念を越えて単にケンカ屋を育成しているとしか思えないシュート・ボクセと正統的なアメリカン・レスリングが絡むとどうなるか。

結果的には両者ポジショニング合戦に終始したマッタリした感じ。決定力が無いのか相手のディフェンスが巧妙なのか分からないけど、KOK決勝
トーナメントのような退屈な試合展開。TVで見ればそれなりに楽しめたのかもしれないが。判定は2−1でヘンダーソン。私はニンジャだと思ったのだが、こうなるとどうでもいい。

なんかダンもそろそろいらないな。ヘンゾ同様。えっ、二人とも第一回KOKトーナメント決勝大会の立て役者?だからつまらないんだろうな。


ここで、ホイス・グレイシーが登場。私はまだ引退していません。またここのリングに戻ってくると。どれだけ通用するのか分からないけど、次回は前のようなわがままは言わないんだろうな。

4.×佐竹雅昭 KO 1R2分18秒 セーム・シュルト○

最近猪木劇場に付き合わせれていた佐竹だが、私が思うにもう少し金魚とやらせて少し自信が付いたところで強敵と組ませてあげればいいのにと思うが、この久し振りの相手が強敵のシュルト。

お互い立ち技出身なので、打撃の間合いを取るが、いかんせんシュルトは強い馬場という感じで、懐が広く中に入っていけない。ローとかで揺さぶろうと思ってもなかなか崩せない。この間合いの雰囲気はなかなか緊張感があり見せてくれる。結果的にはシュルトに捕まって体格差で押しつぶされて終わりという感じ。なんかゴジラに踏みつぶされたモスラの幼虫という感じだが。

ただ、佐竹の立場で言うと小原のように逃げていたわけではないし、果敢に挑んで玉砕された訳で、単時間で終わったとはいえ評価できる。案の定、負けた佐竹にもねぎらいの声援があった。結構この日の客はこういうことに敏感でなかなか分かっているという感じ。
佐竹はまた頑張って欲しい。

5.×イゴール・ボブチャンチン 肩固め 1R 2分52秒 マリオ・スペーヒー○

ボブはストライカーだが、レスリングでのグランドでのコントロールも知っているので、勝ち進んでいる。ただ、今回はどうであろうというのが私の興味。ノゲイラやブスタマンチが弟子らしいから師匠はどうなんだ。

ところで、ブラジル贔屓のバイリンガルねえちゃんは、マリオ・スペーヒーが静かな曲で入場したので、いつもの巻き舌ではなく、スキットで
「まぁりお、すぺいしいい、あは〜ん」だって。ちょっとすご過ぎ。この時点で、
○バイリンガルねえちゃん TKO 全観衆×
という感じ。

試合はというと開始早々でスペーヒーがタックルからTDを取り、こつこつパンチを打ちながら相手のスキを作って極めてしまうというブラジリアン柔術の教科書みたいな試合であった。まあ、相撲で言えば四つ相撲の人が押し相撲の人をつかまえて料理しちゃったという感じかな。ともかく、師匠強し。ボブは今回相手が悪かったな。

ここで、休憩。
休憩後になんか知らないバンドがロック歌謡を1曲披露。誰も聞いていなが、ギタリストのレスポールがやけにいいのが目についた。

続いてお決まりの猪木登場。
パラオ大統領、清原、石井館長、サム・グレコをゲストに猪木劇場を行なうが、最終的には12.31の猪木祭りの宣伝。なんかてめえのことしか考えてないのがミエミエな所が猪木らしい。所詮商売気だけで毒の無い猪木なんて見ててもねえ。やたら長いし。長与劇場の方が面白いな。

だけど、何でプライドに猪木だと思ったのだが、ここが森下クンの全方位外交なんだろうな。森下クンに取っては猪木イズムなんてどうでもいいし、知りもしてないと思うのだが、猪木を出せば客が喜ぶ。猪木に対してもこういう場を作ってあげると喜んでくれる。みんな喜べばそれでいいという感じなんだろう。

6.○トム・エリクソン ギロチンチョーク 1R 1分11秒 マット・スケルトン×

マット・スケルトンなんて知らないよと思っていたら、k-1の人なのね。ここから2試合はk-1対プライドということだが、これまた初期UFCのように立ち技系の選手にこうやれば勝てるという典型的な試合。スケルトンはタックルの切り方やグランドの練習をしてきたのかと聞きたくなるような感じだが。

試合後のスケルトンのコメント。「ディフェンスの仕方がわからなかった。立ち技でいきたかったが、エリクソンの力が強く、グラウンドに持ち込まれた。チョークのようなPRIDEルールに対応できなかった」どうりでね。こいつも”何しに来たの?”の類いだな。

まあ、だからk-1対プライドなんて時代遅れだと思うのだが。

7.高田延彦 引き分け 延長5R ミルコ・クロコップ

まずは高田の入場。やはりオーラがある。入場だけでも見せてくれる。なんだかんだ言っても華があるね。高田は。

1R。高田が果敢にタックルに行きTDを取る。立ち技系の選手とやるならこの戦法しかないだろう。なんかいい感じ。だけど、せっかく相手を転がしたのに自分から立っちゃうんだろうか???それでも高田は攻めていこうとして序盤としてはいい感じ。終了間際に自ら寝てアリ・猪木状態になったのが気になったが。

2R。高田はいきなり寝てアリ・猪木状態を誘う。だけど、ミルコは乗ってこない。そりゃ、自分が攻撃して来たスキを狙おうというのなら付き合うはずないな。それでも、下から高田が何か仕掛ければそれはそれでいいのだが、何も起らずブレークで両者スタンディングの繰り返し。高田のあまりの芸の無さに場内は大ブーイング。

3R以降も終始同じ様な展開で、最終的に引き分けになったが、判定があったら10-4くらいでミルコの勝ちだろうな。

結局、1Rで相手を転がしたのに、グランドで何も出来ずスタンドに戻ってしまったことが、この試合のすべてだな。あとは悪あがきにしか思えない。結局のところ、高田はVTの技術はほとんど無いんじゃないか。桜庭と比べても仕方無いが、桜庭の場合もし自分が寝転んでも相手が乗ってこないと分かったら、次の手を打っていくだろうが、高田にはそういう機転も技術も根性もない。

もう高田はプロレスに戻った方がいいのでは。WAR軍なら安生もいるし。

8.PRIDEヘビー級王座決定戦
○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ  判定 3−0 ヒース・ヒーリング×

唐突に組まれたヘビー級王座決定戦だが、この二人だったらまあいいかなあという感じがする。なにげにノゲイラの人気が高い。恐らくリンヲタだけではないだろう。ノゲイラはスタンディングでも互角以上で、TDを取りいつものようにグランドで攻勢となる。ただ、いつもと違うのは防戦一方のヒーリングが寸での所でかわすところだ。野球では言えば終盤にリリーフを総動員して1人1殺しているような感じかな。

だけど、この試合が面白いと思ったのは、ノゲイラはなかなか極められず、普通なら攻めあぐむものだが、懲りずにいつまでも攻め続けるし、ヒーリングも根負けしないで最後迄防戦していた。二人とも良くやるよという感じ。

一瞬ヒーリングがマウントを取り上からパンチを打つという場面があったが、すぐにパスガードされてしまうところ、ヒーリングの数少ない勝機であったが、ノゲイラのグランド・コントロールの上手さを改めて見せつけられた。

結果は文句無しでノゲイラだが、極めさせないだけでもヒーリングの実力が分かった。普通の相手なら2分で終わっていたであろう。再戦になったらヒーリングは少ないチャンスをどう生かすかということだろうな。それにしてもノゲイラは完全にプライドの顔になってしまった。

9.PRIDEミドル級王座決定戦
×桜庭和志 TKO 1R終了 ヴァンダレイ・シウバ○

普通階級別の王座決定戦というのはヘビーが後でミドルが前というのが通例だがミドルがメインである。これは桜庭人気だな。だけど、桜庭がドームのメインを張るというのは初めてではないか。それにしても、二人ともVTの基本的な戦い方なんかやらないどうしだからかえって可笑しい。

試合はまず、ガキのケンカみたいな感じ。さすが、シュート・ボクセvs高田道場のセオリー抜きの凌ぎあいに見えた。それでも二人とも芸があるので、なかなか緊張感のある展開で見せてくれる。

桜庭がマウントを取り、パンチからフロントネックロックに持っていったのでこれで終わりかなと思ったら、シウバが強引に持上げ投げを打ち、ここで桜庭は肩を脱臼したみたいだ。1Rだけで言えば、桜庭のほうがやや優勢だと思ったのだが、脱臼させられてドクターストップではやはり完敗であろう。

それにしても、シウバはあまりVTの基本的な動きなんてほとんど見せないので、本当に強いのかどうか良く分からないが、それがかえって面白い。次にホイスあたりを当ててどんなものなのか見てみたい。


今回は試合的には少ししょっぱい試合が多かったが、なんとか演出等で見せてしまった。5時間半興行だが、個人的にはほとんど飽きることは無かった。

それにしても良くこのカードでこれだけ入ったものだと思うが、桜庭人気に負う所が大きいのは確かだろうが、桜庭が峠を越してプライドも下り坂になるのであろうか。

私はそう思わない。これは最近のプライドの試合が単純に面白いからではないか。DSEの目指している戦略というのは、”PRIDE”という名前とか大会に権威を持たせることであろう。やり方はどうであれ、”PRIDE”という名前を売り客とスポンサーを呼び、選手に他のプロモーターより高い報酬を与えることにより、世界中の強豪が集まり、同時にプライドに上がることがシュート系の選手目標になってしまった。

また、最近の傾向として猪木絡みのカード以外ではほとんどワークを行なわない。ワークとシュートがはっきりしてきた時代、プライドでなら
シュートが見ることが出来るという権威ができ、これが選手に浸透したのではないか。

一方で、選手には勝ち負けをこだわらせるが、負けても見せた選手はまた使い、ネガティブ・ファイトを行なった選手はオファーを出さなくなる。そういう流れの中で今のプライドがある気がする。その意味ではこの日で言えば、小原、高田はもういらないが、佐竹、桜庭は負けても次をという気にさせてくれる。石川はどうでもいいけど、今度来るなら練習してきてねという感じかな。

今回の大会を見ても、ブラジルの選手はやはり面白いし、まだ未知の面白い選手はいくらでもいるだろうし、アメリカの草VTにも、また変な奴がいるであろう。

VTのトップがシュートで闘う場として今後も続いて欲しいな。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ