UFC大復活
■団体:UFC high Voltage
■日時:2001年11月2日
■会場:ネバダ州ラスベガス・MGMグランド
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

前回はせっかくケーブルに復帰して、さらに初のベガス進出だったのに、テロのせいで翌日にトリニダードの試合がシフトしてきてPPVの売れ行きが下がり、さらに長く退屈な試合が続き、地域によっては(俺んとこ含む)メインの途中で放送が切れてしまうという、もーさんざんだったUFC。しかしそんな前回の災難にもめげず、今回はMGMに進出です。前回の放送直後ケーブル会社に文句を言ったら半額返してくれたこともあって、今日も途中で切れないかなー(そうしたら半額バックもらえる)とか思いながらPPV観戦しました。

なんか今回も、放送開始時にも、会場に凄い花火とレーザーが飛びかってRAWみたいです。インタビュークリップとか、導入のヴィデオとかもいちいちかっこよく、番組制作のクオリティー高し。ま、試合の感想をさくさくいってみましょう。

ジョッシュ・バーネット(2Rグラウンドパンチでタップ)ボビー・ホフマン

いや、こんなに実力が違うんだなーってかんじ。1Rはバーネットのガードからの十字狙いを、ホフマンがしのぐ。バーネットうまいぞ。重量級の動きじゃない。テクニシャンタイプの柔術家みたいな動き。2Rは上を取ったバーネット、ずっとサイドやハーフをキープしてこつこつ殴り続け(途中ちょっと離れたとき、左右に振ってから真ん中に膝を入れての渋いパスも決めた)、最後はホフマンがいやがって亀になっても殴り続けてホフマンが「もーいや」って感じでタップ。

BJペン(1R11秒KO)宇野薫

いやもー、凄かったです。この試合観てた俺は、メモも取れず「おー! おおおー! うおおおぉぉぉーーー!!!」叫んだだけで終わっちゃいました。

まず試合開始と同時に宇野が一気に突っ込んで、前田憲作のハイパーサイクロン=右ジャンピングハイキック(これが最初の「おー!」)。
次にそれを軽く下がりながらガードしたペンが、凄い勢いでパンチで突っ込む。圧倒されるように金網際に倒れる宇野(これが「おおおー!」)。

さらに、金網に首だけよりかかる形で倒れてしまった宇野をペンが上から右でたこ殴り。完全に無抵抗になった宇野を観て、レフェリーがストップ。11秒。離れたペンはさささっと四方に挨拶すると、そのまま勝ち名乗りも受けずにさっさと花道を引き上げる(これが「うおお
おぉぉぉーーーー!!!」)。

嵐が一瞬で全てを破壊して、すぐに去ったみたいな印象でした。宇野はしばらくひっくり返ってた。スローで観たら、サウスポーの宇野に対してオーソドックスに構えたペンが、右から逆ワンツーの形で突っ込んで、3発目の右がクリーンヒットして、それ一発で宇野はひっくり返ってアウトだったみたい。その後は無抵抗状態でたこ殴り。これが柔術世界チャンピオンなんだから恐ろしい。ええと、あと書くことといえば、宇野はいつものようにちゃんと英語で自己紹介して、Unflappable(冷静な奴)と紹介されて、いつものようにギで入ってきて、オクタゴンに寝っころがって、セコンドにTKがいて、あとレフェリーがラリー・ランドレス(サブミッション・ファクトリーの師範)だったことかな。

やがて戻ってきたペンのインタビュー「ただトレーニングの成果が出ただけだよ。ジャンピングキックが来るのは分かったよ。いい選手と試合するときは、ジャンピングキックをやりたくなるもんだし。そのあとは、(スクリーン再生を観ながら)殴る殴る殴る殴る殴る。パルヴァーは立派な男だが、俺はベルトが欲しい。」次回この化け物とやらなきゃいけないパルヴァーは、実は今日の解説なんだけど、なんか黙っちゃった。

ウエルター級タイトルマッチ
マット・ヒューズ(2R・パワーボム?)カーロス・ニュートン

タイトルマッチだけあって、入場時の両者のクリップがかっこいい。ニュートンのは、実写のニュートンのカメハメ波とアニメ版ニュートンのカメハメ波が交差する秀逸なクリップ。さらに美人をはべらせて、ジャイ落みたいなアフロのかつら&サングラスで踊りながら入場。俺的には100点ですね。

1R、ニュートン引きこんでガード→見事なヒップスローでスイープしマウント奪取。ヒューズがうつぶせになり、バックにつこうとするニュートンを振りほどいて立ち上がる。スタンドに戻って、今度はヒューズが組み付いて、相撲の切り返しみたいな形で豪快に叩き付ける。ガードに戻したニュートン、バタフライガードから潜って片腕で膝裏をすくっての、超かっこいいスイープ。スイープされざまにすぐに、ギロチンチョークを狙うヒューズ。それを抜くニュートン。うーんこれを最高と言わずしてなんと言えばいいのでしょう。さっき静かだったパルヴァー(ヒューズのチームメイト)も大喜び。

2R、組み付いたヒューズが持ち上げてばーんとテイクダウン。プロレスラーになってくんないかな、この人。ガードを取ったニュートンは片足の裏を、ヒューズのひじの裏から腋につけたと思ったら、すっと腕を超えて三角の体勢に。ちょっとあなた見事すぎ。そしたら、それをすぐに高々と持ち上げて、まるでカール・ゴッチかボブ・バックランドのように持ち上げたまま金網際に歩いてゆくヒューズ。そのまま金網にニュートンを押し付けたから、ニュートンは、持ち上げられたまま金網の一番上に頭をのっけた状態に。その状態で金網のてっぺんを枕にして目を閉じ、三角を締めるニュートン・・・と思ったらヒューズがいきなり前のめりになりがら、パワーボムのようにニュートンを落とす。そのままちょっと両者が動かず、レフェリーが二人を分ける。俺はてっきりヒューズが落ちたんだと思ったけど、ヒューズは座り込んでて、倒れてるのはニュートン。ヒューズのパワーボムで失神したらしい。おおお、前田と藤原の、スリーパーとレッグロッグの掛け合いのようなフィニッシュだ。でも、ヒューズもビッグジョンが割って入ってきて、しばらくぼけー座ってて、自分の勝ちぁuセと言われて初めて、びっくりしたように立ち上がって喜びアピールはじめてた。これ、ヒューズはニュートンを叩き付けたんじゃなくて、三角で落ちて(落ちそうになって)前に崩れただけなんじゃないかなあ?

そう思ってヒューズのインタビューを注目したけど、とくにそのことにはコメントなし。でも、その後のニュートンのインタビューで、最後のシーンをスクリーンで見たニュートンは「僕が彼を締め落としたんだと思った。だから彼は僕を(下に)落としたんだよ。で、僕は頭から落とされた。両方とも失神してたと思う。(スクリーンを見て)そう見えるよ。」それ聞いた観客はブー。でも俺にもそう見える。ま、ニュートンが完全失神だったのに対し、ヒューズは半失神くらいにみえるから、まあヒューズの勝ちでいいのかな。しかし、相手を落とした故に自分がもっとひどいダメージを食らったとしたら、なんちゅー不条理な・・・。

なんにしてもここまで、きょうのUFCは史上最高レベルで面白い。

リコ・ロドリゲス(2R・バックからのグラウンドパンチ)ピート・ウイリアムス

「大ノゲイラをアブダビで極めた男」vs「かつてコールマンをノックアウトした男」なんだけど、全然最強対決には見えない試合。リコがテイクダウンしてインサイドから主導権を握り、そのうちハーフから必殺の「大ノゲイラの膝を壊したニーバー」を完璧に極めるも、なぜかピートは平気な顔で脱出。それでもリコ有利で終了。インターバルにセコンドのティトも喜んで「お前さいこーだぜ、完璧だぜ!ほら深呼吸するんだ、フー、フー。見ろよあいつ、ヘロヘロだぜ!」とリコに話してる。

2Rも上を取ったリコがこつこつパンチを当てて、ピートがうつ伏せになりかけるところ、腋を差してピートを万歳状態にさせたまま両足を完璧にフックしてバックを取る。さすが元マチャド、堅実でうまいなーと思ってたら、そのまま体を伸ばされて完全に動きを封じられたピートを殴ってストップ。なんなんだ今日は。全然期待してなかったこの試合まで面白い。

ヘビー級タイトルマッチ
ランディー・クートゥア(3RTKO)ペドロ・ヒーゾ

あんま楽しみじゃなかったこの再戦、なんかやっぱ前回とおんなじような感じで、「タックルを狙うクー」vs「それを切って右ローを狙う(でもなかなか打たない)ヒーゾ」の構図に。1Rも2Rも、クーが中盤でタックルを決めて、インサイドガードからヒーゾを金網に押し付けて動きを封じ、上から体重をかけてヒジなどの細かい打撃を入れていく展開。ヒーゾ流血。3R、やっとヒーゾが一発ローを入れるも、その後パンチの交錯でなんとクーの右フックが当たり、ヒーゾがぐらつく。すかさずクーが組み付いて倒し、一気にまん中から金網際まで運んで上から打撃の雨。そのままビッグジョンがストップ。途中までつまんなかったのに、最後に一気にラッシュが来たので面白かった。寝技の攻防の後、クライマックスで一気に盛り上げるプロレスの試合みたい。今日はクー、スタミナに気をつけて戦ってたみたい。試合にメリハリがあった。

試合後のインタビュー。ヘビーメタルにアレンジされた米国国家に乗って入場し、試合中もUSAコールを浴びてるクーはなんか応援したくねーなー、と思ってたんだけど「ここに来て、僕に戦う動機を与えてくれたペドロに感謝したい。前回ものすごいきつい試合だったし、ここに来るのが恐ろしかった。挑戦を拒絶しようかと思ったよ」と笑う38才の姿を観たら、やっぱすげーなーと思ってしまった。だいたい前回の対戦から、若いペドロより全然早いスピードで進歩してるし。次はバーネットかな。

いや、今回は全試合早期決着で、しかも異様に面白かったぞ。さらに早く終わったもんだから、放送前の前座試合まで見せてくれた。

マット・リンドランド(3R判定3ー0)フィル・バローニ
この日唯一の判定試合だけど、力vs力の凄絶な攻防。バローニってビルダーでレスラーでキックボクサーらしいんだけど、全然力負けしてなかった。リンドランドのタックル切って、ギロチン極めかけたり、パンチでは圧倒したり。

エヴァン・タナー(2R十字)ホマー・モーア
ガードから。これはダイジェスト。なんかこないだのKOTCでモーアは、金網に上がって紹介され「誰でもやっつけてやる」とかいばってて、この人誰なんだろう、とか思ってた。

フランク・ミアー(1R十字)ホベルト・トラヴェン
柔術世界チャンプのトラヴェン、地元の紫帯に十字取られてんの。というか、トラヴェンの試合でもファンが涌くとは、今日はいったいどーなってんでしょう? でもこの試合はなんか「ほんとかよ?」って感じがしないでもなかった。ふたりともパンチとろいし、こけたトラヴェンは簡単に腕を伸ばして取らせるし。ま、どーでもいーや。

ということで、前回逃げていった興行の神様が束になって戻ってきて舞い降りたような、すさまじく面白いUFCでした。次回はコネチカット。ペンvsパルヴァーのバンタム級戦と、メネーvsブスタマンチのミドル級戦だそうです。




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