USAコール吹き荒れる中、かませ犬(?)金が戦慄の秒殺勝利!!
■団体:King of the Cage 11
■日時:2001年9月29日
■会場:カリフォルニア州サンハシント ソボバカジノ
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

今回も縁あってプレスパスをもらって、KOTCをケージかぶりつきで観戦したひねリンです。例によって今日も、取材にほとんど必要のないコメントをいくつか試合前に取っちゃいました(実はこのパス乱用、DSE関係者の方にバレバレだったようです。でも心の広い方で、全然気になさらないとのこと。多謝)。

まず、今日のメインでホフマンと対決するオバケ・カタルフォ。やっぱこの風貌。存在感がずばぬけている。この人の話だけは絶対聞きたかった。

「別にいつもと同じ練習をしてきただけだよ。別にスタンドでもグラウンドでもかまわない。向こう次第さ。俺は40年、いや35年これをやり続けていたからね。え、俺は本当に40歳なのかって?いや、もっと年だよ。43なんだ。ああ書いていいとも。」

「ああ、ユージ・ナガタとも一年くらい一緒に練習したよ。もちろん彼はシューターとしてもベリーストロングだ。日本でもファイトしたいねえ。プライドでもやりたいが、向こうは俺に興味はないみたいだな。プロレス団体に上がるのもかまわない。俺はゴールドバーグらと、プロレスのムーブも練習してたからね。今度ケビン・ナッシュが日本に行くから、それでつながりができればいいね。」

最後は握手してくれて、すごく丁寧な人でした。どのくらいプロレスできるのかは未知数だけど、はっきり言ってキャラ立ちだけならこの人、そのへんのプロレスラーが束になってもかなわないくらいイケてますよ。呼んでみません?>日本の団体の方

それから、本日ミドル級王座決定戦に挑む、お騒がせ男のクリス・ブレナンにも話しかけました。実は俺、一年くらい前に、ブレナン道場で彼が頻繁に開催してるギ無しルールの総当たり式トーナメント(最近、須藤元気が出場してぶっちぎりで優勝した大会)に出て、ひどい目にあったことがあって(両腕に十字取られた揚げ句、アンクル食らって膝負傷で途中棄権)、ブレナンは俺の顔を覚えててくれました。「君、いつか俺のトーナメントにいたよね?」「はい。ぼこぼこにされました。」

「今日は、グラウンド、スタンドどっちでも勝負するよ。でもグラウンドのほうがいいかな。え?ガードに引き込むのかって? いや、俺が奴のガードの中から殴るよ。そうだね、プライドでも試合したいね。相手は誰でもいいけど、サクラバやイシザワやハイアンなら特にいいねえ。君もまたトーナメント出てくれよ。(ひねリン註:もうあんな痛いのはいやです)」

あとは、本日唯一の日本人選手、RJWの光岡映二選手。一昨日こっちに来たそうで、まだ時差ボケが直ってないとのこと。セコンドの方と、金網の中で熱のこもったスパーで最終調整を終えた後に話をうかがったんだけど、それでもちょっと眠たそうでした。

「(相手は)アメリカ人がみんな、あいつは強いって言うのでちょっとびびっています。金網狭いのでやりにくいですね。(それを利用して押し付けるのはどうでしょうか?と尋ねると)前回相手を金網に押し付けたら、下に回られたんですよ。最初は立技で様子を見て、そのうち寝技で決めたいですね。」ちなみに昨日のUFCはここのカジノのPPVで観ていたそうです。でもこっちに「中尾選手の試合はどうなったんですか?」と逆に質問してきたりもしました。

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ま、そんなこんなで開会時間に。本日も超満員でした。なんか開会アナウンスで今日は「USA vs The World」だと言ってる。そんなテーマ宣伝してたっけ? とにかく、レフェリーと名物の門番の筋肉マンの人が星条旗を持って登場。さらに女性歌手が三人出てきて、国旗のもとで国家をアカペラコーラスで歌う。もうテロ以来こんなのばっか。「USA vs The World」っていうテーマもそういう国民意識を盛り上げるために作ったのかな? そのあとに出てきたリングガールのおねえさま達は文句無し。品川さんならピン勃ちでしょう。

 *:ひねリンさんから内緒で貰った画像をみて実際にピン勃ちしてました(笑)>品川 というわけで、その貴重なピン勃ち画像はこちら。(編集者注)

試合は、一日前のUFCとは大違いで、ものすごい勢いでさくさく進んでいきました。光岡選手の出る第八試合までの7試合は、全て一本による決着で、しかも6試合が1R決着。ほとんどプロレス団体UPWを観ているようでした(ちなみに、UPW社長のリック・バスマンも今日来ていたらしい)。さくさく進むからか、客もいつもにも増してテンションが高い、というか汚いヤジが飛びまくっていました。特に俺の後方の観客席にはうるさいのが多かった。あと目についたのは、やはりこの時期、多くの選手が星条旗を身にまとったり振ったりして入場してきたこと。星条旗vs星条旗対決なんてのもあった。

そして第八試合に、すごい気合いの入った顔の光岡選手登場。「USA vs The World」の第一試合ですね。俺の後方のうるさい連中がすかさずブーイングと「USA」コールをやり出して、それに呼応する者も出てくる。この雰囲気は厳しいなー。もろ敵地。試合開始。IRは光岡がきれいなタックルを何度も決めて、強烈な右からのパンチで有利に。相手のベティス・マンソーリも巧みなオープンガードの使い手で、足の裏や立て膝を使って懸命に凌いだり、隙をみてハーフの下からヒールを仕掛けたりも。そのうち、マンソーリが顔をしかめてなにか訴えて試合が止まる。どうやら光岡のサミングを訴えているよう。試合が止まって、マンソーリには休憩時間が与えられることがアナウンス。それを受けて会場はすかさず光岡へのブーイングとUSAコール(まあそんなに会場全体でやってるわけじゃないけど)。今までKOTCでの日本人の試合けっこう観てきたけど、こういう雰囲気ははじめて。光岡が謝ってUSAコールやヤジで盛り上がる中、試合再開。またまた光岡のタックルが決まり、その瞬間USAコール消えてやんの。結局このラウンドは、上を取って・右パンチを当てた光岡有利で終了。

2R、徐々にマンソーリが光岡のタックルを切り始める。1Rかなりやられてたのに、たいした回恬ヘ&精神力。とうとうがぶられた光岡はバックに回られかけて、マウントを許す。場内大歓声の中、小刻みにパンチを打つマンソーリ。そのうちブレイクがかかるも、疲労困憊の光岡はなかなか立ち上がれず、野次が飛ぶ。うわー体力消耗してんな。試合再開。光岡はタックルに行くも力がなく、マンソーリに逆に押し倒されて、両足担ぎからバックを許し、結局マウントされる。そのままパンチを打たれている間に試合終了。マンソーリはすぐに立ち上がったけど、精魂尽き果てた光岡はしばらく倒れたまま。やがて、判定がまだ発表されてないのに、息絶え絶えの光岡はセコンドの肩に担がれるようにして引き上げる。まじ苦しそう。一人しか待つ選手のいない判定は、当然マンソーリ勝利。・・・と思いきやすぐに訂正されて1-0のドローに。会場にいまひとたびブーイングが響く。これは分かる。どっちがまだ闘えるかは明白だったから。

とにかく試合後しばらくは、光岡選手のコメントを取れそうな感じではなく、その後もメインの試合を見逃すわけにもいかなかったこともあり、結局彼をつかまえることはできませんでした。ただ疲労だけで、特に体に別状はないという話は間接的に聞きました。代わりに試合語も元気に会場を歩いていたマンソーリのコメントを。

「エージは僕が考えていたよりずっと強かったよ。(光岡の1Rのサミングは)、たぶん故意ではないと思うよ。その後も彼は礼儀正しかったから。判定には別に不満はないよ。確かに自分が勝ったと思ったけど、ヴィデオを観てみなくちゃ分からない。まあ、どっちもタップしなかったし、ノックアウトもできなかったんだ。プライドのリングで彼と再戦できたらいいね。今日の自分のパフォーマンスには満足しているよ。僕も2Rは疲れていたけど、気持ちで盛り返せた。」

さわやかに話してくれて、好感度高し。それにしても光岡選手も、まさに敵地の雰囲気で全て出し尽くすまで闘い、凄い経験となったのでは?

第九試合、パンクラスファンにはなつかしの金宗王登場。「USA vs The World」の第二試合。資料によるとこの試合は無差別契約で、金の体重は210パウンド(95キロ)となってて、対する相手のジェイソン・ランバートは240パウンド(108キロ)。戦績は金が3勝17敗で、ランバートは3戦全勝。これを見る限りでは、金はかませ犬として呼ばれたようにしか見えないぞ。とにかくちょっと異様な雰囲気の中、金登場。これがまた、気合い入りまくりだった光岡と違って、平常心というか、ほとんどなにも考えてない顔してる。俺は、金は間違いなく一方的にやられると思ってたから、のほほんとした顔で登場した金が、なにも知らずに公開処刑場に連れてこられた羊かなんかに見えました(失礼)。もっとも体重はどうみても250パウンドはありそうだったけど。次に登場してきた、豆タンク体型のランバートより明らかにでかいし。

再びUSAコールのなか試合開始。なんと金が怒涛の突進。前蹴りからパンチのラッシュでランバートを金網に釘付けに。そのうち金の近距離からの右ストレートが強烈にヒットし、さらに右アッパーがクリーンヒットしランバートが崩れ落ちる。おお! そして金網に座り込むような体勢からしがみついてきたランバートに、金は(かつて國奥を問答無用で失神させたことのある)フロントチョークを仕掛け、ガードの体勢に入り絞め上げる。さっきまで羊みたいな顔してた金が歯を食いしばって、渾身の力で絞り上げてる。それでもランバートの頭が抜ける。あれ? と思ったらランバートの体がそのままなんかかくかく痙攣してて試合終了。後で聞いたところ、痙攣を起こしてたから金が離してあげたとのこと。すげー。

そんな金を追ってバックステージまで言ってみると、なんか日本人スタッフに囲まれて「アー!イタイ!イタイ!」と言っている(金はいくらか日本語を話せる)。グローブ取りたいんだけどなかなかはずれないらしい。ハサミを使ってやっと取ると、右手の甲が張れ上がってる。骨折の疑いもあるとか。そして試合について周りの人にジェスチャーで説明している。

「(前蹴りのジェスチャーで)こうして。(パンチを連打するジェスチャーで)こうして、あー手痛い!(チョークでしめあげるジェスチャーで)手、痛かったけど、こうして、、。そうしたら、相手がこうなってたから(と顔を痙攣させる真似をして)、離しました。」

だそうです。つまり自分の手が壊れるほど相手を力任せにブン殴ったうえ、痛む手でギロチンで相手を絞め落としたってことですね。恐ろしいですねえ。ちなみに金は試合前も、アップもなにもしないで、あののほほんとした顔で金網に向かったらしい。USAコールもなにも全然気にならなかったと。もしかしたら、とてつもない大物なのかも知れん。

その後のメイン4試合をざっと。

第十試合は、リングスUSAでの活躍でおなじみの半ケツ男エリック・ペレが、前回のスーパーヘビートーナメントの覇者のクワイ・クピヘイアのタックルをがぶって動けなくしてパンチを打ち込み、タップアウト勝利。昔田村もほめてたけど、この人本当にタックル切るの上手ですね。ちなみに今日は半ケツはなし。

第十一試合のKOTCミドル級王座決定戦は、クリス・ブレナンが、試合前に話していた通りの展開で、スティーヴ・バーガーを終始圧倒。バーガーも去年11月に修斗の中尾受太郎と引き分け、今年8月の修斗大阪大会では池本誠知から一本勝ちしている強豪なんだけど、ブレナンがテイクダウンで上をキープし、バーガーの下からの腕狙いを確実にさばきつつ、ハーフマウントやインサイドからのパンチで攻撃する場面が3R続く。結局、バーガーをパンチで大流血に追い込んだブレナンが文句なしの判定勝ちで、王座に返り咲き。しかしブレナンって、敵も多いけど本当に味方も多く、今回もいつものネクストジェネレーション大軍団に加え、桜庭と闘った偽ホームレスのクイントン・ジャクソンや、前回のKOTCのメインを勤め、一本勝ちで絞めたミレニア柔術もハビー・バスケスもセコンドについていた。前試合に登場したクピヘイアも所属がネクストジェネレーションになってた。

第十二試合のKOTCライトヘビー級タイトルマッチは、王者のヴァーノン・タイガー・ホワイトが、序盤ジェームズ・リーのタックルに苦しむものの、徐々に盛り返して3Rにヒールホールドで勝利。ヴァーノンのセコンドはケンシャム、ピート、ボーランダーと豪華版。

そして本日の目玉、最終第十三試合のKOTCヘビー級タイトルマッチ、ボビー・ホフマン vs ティム・"オバケ"・カタルフォは、期待通りのものすごい試合になりました。先制したのはカタルフォ。ド迫力のオバケパンチラッシュでホフマンを追いつめ、その中で右フックがクリーンヒット。ホフマンの体勢が崩れる。さらにカタルフォは怒涛のパンチ連打からマウントを奪う。それでも必死でしがみついて守るホフマンは、なんとかガードに戻す。そのうちダメージが回復したらしいホフマンの大逆襲が。カタルフォを突き放して立ち上がると、雪崩れ込むようにオバケを押し倒し、マウントを奪い、パンチと肘で逆襲。たまらずオバケが後ろを向くと、バックから超重いハンマーパンチをごんごん打ち下ろす。特に一発ものすごい勢いでヒットしてオバケが戦闘不能となり、レフェリーストップで試合終了。暴風雨のような試合でした。

ということで、KOTC観戦記でした。結局13試合中11試合が一本かKO決着。メインの迫力も圧巻ってことで満足度の高い大会だったと思います。UGフォーラムでは、昨日のUFCとの違いを強調する声多し。もっとも、「UFCは実力の拮抗した一流選手同士を当ててるから、ああいう判定決着が多くなる危険性は常にある。それに対してKOTCは技術の未熟な者同士の試合や、実力差のあるマッチメークをするから派手な決着が多いだけ」という意見もある。それも確かだけど、それだけでなく、KOTCはとにかく選手に膠着させることを避けて、ブレイクを早めに取っているっていうこともあるでしょう。ちょっとでも試合が膠着すると、レフェリーがマットを叩いて選手たちにムーブを促すし、すぐにうるさ型の観客達が野次を飛ばし「立たせろ!(Stand them up!)」と叫ぶ。

しかしテロ以降、とにかくUSA! USA! な社会の雰囲気は、確実にKOTCの会場にも反映してますね。 個人的に今まで、アメリカのMMAのファンってのは、(マニアは特に)いい選手なら日本人でもブラジル人でも惚れ込んで、ナショナリズムみたいなのをほとんど感じさせないなあと思ってたんだけど。いや実際そういう人間はいっぱいいますよ。にわかっちのUFC生観戦記でも、ブスタマンチの判定負けに大ブーイングが出たとあるし。ただこの時期、とりあえずアメリカ人が外国人とやると脊髄反射でUSA! USA! が出てしまう類のファンもけっこういるんだなーって実感しました。逆に日本人選手等にとっては、こんな時こそこっちに来て試合すれば、経験値のアップ度はいつもの倍かもしれませんね。ということでまた。




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