8/11リングス有明雑感〜幼年期の終わり
■団体:リングス
■日時:2001年8月11日
■会場:有明コロシアム
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 ジャパン勢は誰もトーナメントに残れませんでした。カレリンも呼べませんでした(みんな忘れてる)。新日には意地をはって、武士は食わねど高楊枝でした。そりゃ客入りません。入るわけないですってば。船木の引退興行よりは入ったけど。

 やたら席数が少ないアリーナは8割程度入るも、スタンドは4割といったところか。

 10分オシで、カード発表から。キャプチュード鳴って、前田CEO入場して挨拶。「10年で、多くの仲間、同志が増えてきた。確立を目指してきた総合格闘技が伝わるようになってきた。真の格闘技、スポーツを目指して」云々。んで、漢文の引用。やや虚しく響く。

 全選手入場。新人横井、結構堂々としているも、ハンに後ろから肩揉まれて恐縮してた。前田CEOが最初に挨拶したので、選手代表としてTK。エースは金原になっても、やっぱ、しゃべりはTKだな。

 今後の予定として、9/21のバトジェネ(元気参戦で、何とか帳尻合うカードになりそう)と、10/20の代々木第2。今年はKOKトーナメントやらないのかな? しかし、この時期に来て年末の発表が出来ないところがキツいねえ。ホント、どうなるんでしょう。

 レフェリーは、和田と塩崎、ジャッジは、前田・藤原・守山。


<第1試合 ミドル級王者決定トーナメント準決勝>
×クリストファー・ヘイズマン(延長判定0−3)グスタボ・シム○
(リングス・オーストラリア)     (ファス・バーリトゥードシステム)

 TKと金原を別格とすれば、恐らくリングスプロパーと言っていい選手の中で、1番見事にKOKルールに見事に対応(かつ、未だに成長)しているのは、このヘイズマン。差し負けないし、投げ負けないし、ブスタマンチに素人呼ばわりされていた頃とは雲泥の差。不自然な上半身ゆえか、スタミナがないのがたまに傷(アレク戦、思い出すね〜)。シムとも互角の勝負。これからも、ガンバって欲しい。ガンバる場所がどこかにあればの話だが。


<第2試合 ミドル級王者決定トーナメント準決勝>
×ジェレミー・ホーン(2R判定0−2)ヒカルド・アローナ○
(最初で最後のリングスUSA)   (ブラジル)

 去年のおれ的ベストバウトの再戦。しかし。アローナが勝ちに拘ったところが、悪い方向に出た。かなり固めの戦法。なまくら柔術家ホーンの足の効かせ方なんて、実に素晴らしいのだが、これが大箱で観客に伝わらないのは、しょうがない。期待が高かっただけに、がっかり。

 いったい何考えているのかさっぱりわからない風情が素敵なホーン、プライド向きの強いキャラもないし、シノシックに負けて、UFCにおける地位を圧倒的に落としてしまったし、光る場所としては、リングスが最適だと思うのだけど…。


<第3試合 ヘビー級王者決定トーナメント準決勝>
×イリューヒン・ミーシャ(2R判定1−0もタオル投入)ボビー・ホフマン○
(リングス・ロシア)                  (チーム・エクストリーム)

 OFG着用せず打撃を完璧に捨てて(と言いつつ2Rには、掌打というよりビンタを見せていたが)、タックルから押し込んで、そこそこ上になれるミーシャと、ガブった姿勢からのブンブンパンチのみのホフマン。1−0の判定で延長決定も、あっさり試合を捨てるミーシャ。何て、後輩思いなんだミーシャ。


<第4試合 ヘビー級王者決定トーナメント準決勝>
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(2R判定3−0)レナート・ババル×
(リングス・ロシア)               (リングス・ブラジル)

 スタンドでは大振りながらシャープなパンチを振り回し、ババル相手に差し負けず、投げ勝ち、とにかく下にならないヒョードル。なんつーバランスのよさ。最近VT系で流行り中(?)の中腰からのパンチの連打でポイントを稼いでいく。佐山掣圏道理論の理想みたいな戦い方。しかも、ヒョードル、グラウンドも出来るんだぜ! ババルにあまり覇気が感じられなかったことを差し引いても、これは凄過ぎるのではないか。

 途中からヒョードルコールも惹き起こし、観客も見方につけ(それほど、ババルの強さも浸透しているということか)、文句なしの判定勝ち。


 休憩15分。んで、ロシア、グルジア、ブルガリア、オーストラリア、イギリス各代表への、感謝状。リングスファンには心温まる風景も、虚しさがつのることもまた確か。


<第5試合 エキシビジョンマッチ10分、旧リングスルール>
ヴォルク・ハン(エキシビジョン)藤原 喜明
(リングス・ロシア)       (藤原組)

 暖かい観客に囲まれ、そこそこヌル目(に見えてしまうよなー、そりゃやっぱり)の打撃なしスパー(とは発表されなかったが)。組長、益々衰えが目立つ。ロープエスケープが見れなかったのが、ちょっと残念。


<第6試合 ヘビー級オフィシャルマッチ>
○横井 宏考(1R2分34秒)リカルド・フィエート×
(リングス・ジャパン)     (リングス・オランダ)

 今までのリングスの新人デビューの中では、破格の扱いの横井。まあ、フィエート相手なら、こうなるかという感じなんだが…。タッパあんまりないんだな、横井(178C、97Kと発表)。TKと同じで中途半端なところだなあ。ヘビーを100キロ以下に限定して、TKや横井用の階級作った方がいいんじゃないか。


<第7試合 ヘビー級オフィシャルマッチ>
○ヴォルク・アターエフ(1R1分9秒、KO)アーロン・ブリンク×
(リングス・ロシア)           (チーム・パニッシュメント)

 バックスピンキック一発かと思ったら、WOWOW見たら、すんげえシャープな左のショートフックがその後入ってましたね。


<第8試合 ミドル級王者決定トーナメント決勝>
○ヒカルド・アローナ(1R1分29秒、KO)グスタボ・シム×
(ブラジル)             (ファス・バーリトゥードシステム)

 アローナももっとやりたそうだったが、あんだけキレイに吹っ飛ばされていたら、KOと判定されてもやむなし。塩崎レフェリーの毅然とした態度、なかなかグッドでした。

 しかし、もうちょっと見たかったな。


<第9試合 ヘビー級王者決定トーナメント決勝>
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(不戦勝)ボビー・ホフマン×
(リングス・ロシア)         (チーム・エクストリーム)

 ホフマン、出てくる前からやる気なし。プライドとの話が既にあるみたいです。んまっ、それはいいんだけど、自分の商品価値にこだわって、ゴネゴネ、それはちょっとな。


 表彰式が始まる合間に、ちょろっと外に出てみると、ドンと鳴った花火がキレイだな。空一杯に広がって。しかし、花火と同じくらい、ヒョードルの笑顔、最高だった。アローナも心底うれしそう。この笑顔をもうリングスでもう1回見たい。


<セミファイナル ヘビー級オフィシャルマッチ>
○高阪 剛(1R2分17秒)グロム・コバ×
(リングス・ジャパン)   (リングス・グルジア)

 最後は、立て膝状態のコバへの、膝で吹っ飛ばすTK。あれっ? リングスのグラウンドって3点以上だったっけ? まあ、TKがやるんだから、そうなんだろうな(パンフのルール見ても、書いてない)。たまには、こういう楽勝もいいか。しかし、コバ、相当強いですね。こんなのが、ゾロゾロいるんだろうなあ。どうすんのかね、これから(があるとすれば)。


<メインイベント ミドル級オフィシャルマッチ>
○金原 弘光(3R判定0−2)マット・ヒューズ×
(リングス・ジャパン)  (ミレティッチ・マーシャルアーツセンター)

 カチカチヒューズ、ポンポン、スープレックス(起上り小法師式!)を出すなんて、ダテにアブダビでベストスロー賞を取ってない。というか、こういうプロ意識こそ、1年しか続かず、既に有名無実となった(らしい)リングスUSAの置き土産なのだと思いたい。のだが、それすら、森下の「ウインボーナス制」の前には吹っ飛んでしまうよな。

 金原は、メインの重圧というのもあるんだろうけど、メネーとかヒューズみたいな回らせてくれないタイプだと、持ち味が生きない。これも厳しい現実。

 守山さんだけは、ドロー判定。さすが気遣いの慧舟會。


 日本の総合格闘技における幼年期が終わった。そんな興行。

 総合はつまらない。残念ながらつまらない。多少の語弊を修正するならば、数万の観客を集めてエンターテイメントとして成立させるには、という注釈が必要だが。

 現行MMAの中では、最も見せることに徹底したKOKルールをもってしても、この日のような興行になってしまうことがあるわけで。恐らくKOK開始後、最も低調であった前回と今回、何もリングスがこういう状態である時に、たまたまこうならなくてもいいじゃないのかと思うのだが、これ、よく考えて見ると、たまたまだとは言い切れない。

 世界でもトップクラスの外人勢に対して、現在のリングスは「プライドへの切符」程度のモチベーションしか与えられず、ホフマンなんて、元々ない自分の商品価値を気にしてトーナメントを愚弄する始末。守るべき立場を与えらえれてしまった金原はコチンコチン(その点、あくまでマイペースのTKは大したもんだが)。

 主催が変わったUFCが、どの程度のギャラを出せるようになったかは知らないが、恐らくプライドを唯一の例外とすれば、リングスは未だ「世界中でトップレベルのギャラが出る数少ないプロモーション」の筈なのだ。ならば、やりよう次第では、いくらでも作りようはある筈であって。

 しかし、前田CEO本人が言うように、さらなる「競技化、スポーツ化」を推し進めようとするのならば、プロモーションとしてのリングスは、間違いなく、その使命を終えたと言っていい。

 ヒョードルがヘビーのチャンプになろうと、アローナがミドルのチャンプになろうと、残念ながらそんなことには誰も興味はないのだ。「各国ごとのランキングの制定」てなことを前田CEOはクチにしたようだが、ベルト自体がマトモに機能しそうもない現在(パンクラスを見れば一目瞭然)、何の国別ランキングの制定だと言うのだろう。

 恐らく、リングスがプロモーションとして生き残ろうとするならば、年の1度のKOKトーナメントで多額の賞金を用意しながら、契約等で微妙なしばりをかけ、あくまで「魅せるイベント」として生き残っていくしかないように思える。つまりK−1方式だ。いや、その方向しかないと言っていい。

 前田CEOが繰り返す「競技化、スポーツ化」という言葉。自分のように前田CEOを見続けた人間にとっては、この言葉より「ドールマンと約束したんだよ、いつかアメリカで天下取ろうってね」にこそ、1人の人間が格闘技に向かい合う上での、確かな動機を感じる。

 前田CEOが進めた「競技化、スポーツ化」が進めば進むほど、リングスに育てられた総合ファンは「リングスでなくてもいい」ことに気がついてしまう。その時、ファンが見たいのは、前田CEO個人の野望の王国ではなく、総合というスポーツ興行であり、リングの上で躍動する選手なのだ(勿論、自分のようなモノ好きな前田フリークは、必ず残るだろうが)。前田CEO最大の自己矛盾。

 地味なところで繰り広げられている、慧舟會と修斗の覇権争いの挙句、気がつけば、前田道場がGCMのオフィシャルジムになっているなんていう未来が、もうすぐそこにまで来ているのかもしれない。

 だけど、これだけは間違いない。前田がいなければ、総合格闘技なんて見なかった。




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