侵略されたECWの聖地で、ロック様復活!
■団体:WWF Raw is War
■日時:2001年7月30日
■会場:ペンシルヴァニア州フィラデルフィア
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

まずは先週のSMACKDOWNについてですが、これはアングルの地元ピッツバーグで行われたため、最近ベビー化しているカート・アングルの一人舞台となりました。おそらくプロ転校以来最大のファンの声援を浴びたアングルが、オースティンに挑戦表明。「再び卑怯者」オースティンはそれをブッカーTに押しつけ、メインでブッカーのWCW王座の防衛戦が決定。これは結果は試合前から見えてました。オースティンらのさまざまな妨害を乗り越えたアングルが、足首固めでタイトル奪取。まあ、こういう地域に合わせた予定調和で大団円ってのもいいものです。あとは、次回のRAW(つまりこれからレポートする回)におけるロックの復帰が予告されました。同時に、シェーン達アライアンス(WCW+ECW軍)も、ロックへのラブコールをしました。

番組開始。ロック様一色のクリップ。かつてのロックの雄姿を、WWFビンスと、アライアンスのシェーンの双方がラブコールしている声をBGMにして。

会場からの中継開始(実況JR&コール)。意外にも最初の登場はタズ(withヘイマン&ドリーマー)。そうかここはECWの聖地フィラデルフィアだった。タズはリングに上がり、マイクでドリーマーにコールの拉致を、ヘイマンに空いた場所の占拠を指令。コールはドリーマーに連れて行かれ退場。これで実況は以前のようにJR&ヘイマンに。露骨に嫌悪感を示すJRと、高笑いするヘイマン。さらにタズはマイクを続け、本日ブッカーTがアングルからタイトルを取り戻すこと、ロックがアライアンス陣営に参加することを予告。そこにジェリコのテーマが鳴り響く。ジェリコはマイクで、いつものWould you pleeeease Shut the hell up!! (お願いだから黙りやがれ)のスキットこなしたりして、試合開始。ということで

タズvsジェリコ
タズミッションから急所蹴りで逃げたジェリコが、ライオンサルトで秒殺。ボー然としたヘイマンの顔がアップに。ECWの聖地でなんとひどい仕打ち>WWF。被征服者は辛い。

ビンスの控え室。ビンスは部屋を「お帰りロック!」のたれ幕や、ロックの等身大パネル&各種グッズで飾っている。そこにリーガル&TAJIRIが訪問。TAJIRIはロックTシャツ&サングラスで、さらにいくつものパイを持ってロック様風に微笑んでいる。ロック復帰に上機嫌のビンスは「TAJIRI(タジーリ)!お前は今日ハードコアタイトルを取るのだ!」とTAJIRIを激励。リーガル&TAJIRIは、ロックの好物のパイをもってきたとビンスに言うが、ビンスは「ロックが好きなのは違うパイじゃないのか?(ロックはよくプーンテーンパイ(おまんこパイ)のことを話す)」と笑いを取る。さらにビンスはパイがひとかけら欠けていることを見つける。リーガルはTAJIRIに、お前つまみ食いしたのかと詰問。TAJIRIはサングラスを上げて目を見せ、眉毛を上に吊り上げるロックの真似をしてごまかそうとするが、口の中にパイが残っており日本語で「すみません」と謝る。TAJIRIをしかりつけたリーガル、さっさとハードコアタイトルを取ってこい、とTAJIRIを追い出す。ビンスは「しかし、ハードコアタイトルとパイって、取り合わせ良くないかも?」

ヴァンダムvsTAJIRIのハードコア戦。
試合開始後、両者がゆったりリングを回り、キックやヘッドスプリングやジャンプで牽制し合い、さらにアームホイップで投げたりお互いの技をすかし合った後、二人でハイキックを同時に放って距離を取り、拍手を得るという、思いきりECWチックなオープニング。その後もずっとECW的な、イスを使ったり、複雑な関節技を使ったりのハードコア空中戦。二人の出す一つ一つの技に、ファンのリアクションが異様にでかい。二人は明らかに意図的に、普段のWWFスタイルのペースの早い試合と違って、ゆっくり間合いを取って試合を作っている。ヘイマンが在りし日のECWアリーナについて生き生きと語ったり、敵のはずのTAJIRIをべたほめしたり、自軍へ来るようラブコールしたりしている。大国に占領され植民地化されたこの地でも、ECWスピリットはこのように輝くのだ。しかしここはWWF、時間の制約が。試合は5分たらずで、やや唐突にヴァンダムのイスフロッグスプラッシュが炸裂して終了。20分くらい観たかったよう。

シェーン&ステフ&オースティンの控え室。こっちも「お帰りロック!」とロック様グッズで部屋を飾りたてている。さらにオースティンは、ロックのブラハマブルマーク入りののアイスボックスを手にご機嫌。デブラは自分で焼いたクッキーを持って、みんなでパーティー気分。そこにロック到着の報が入り、シェーンとステフは迎えに行く。さらにブッカーTが現われ、今日の自分のリマッチをロックが邪魔しないだろうかと不安顔。お気楽オースティンが、だいじょぶだいじょぶ、ロックは俺達に付くと話す。さっきTAJIRIがパイをつまみ食いして負けたように、ブッカーはデブラのクッキーをつまんで、苦しそうにお腹を抑える。今日は一段とコメディー色が強いWWF控え室。

ビンスもロックを迎えに廊下を急ぐ。しかしそこでビッグショウに捕まる。一分でも早くロックに会いたいビンスに構わず、ビッグショウは自分の新Tシャツやら、ガンとのコンビ名やらについて楽しそうに話す。苛立ちを隠せないビンス「お前らは『串に刺さったでっかいお荷物(big trouble crap on a stick)』で十分だ!」とはき捨てロックのもとへ。ビッグショウはその「big trouble」の部分が気に入って、新タッグ名はこれだと喜ぶ。

ヘイマンとJRの実況席にカメラが。ヘイマンは、コールとJRではWWFひいきで公平でないので自分が戻ったと説明。

先週のSMACKDOWNでの、アングルWCWタイトル奪取のクリップ。

WCW王者アングルインタビュー。タイトル奪取後、長いこと行方不明のマリー・ルー・レテンが電話をくれたと吹いたり、ブッカーお前泣いたんだって?負けて泣く奴は最低だ(アングルもよく負けて泣くくせに)と言い放ったりしてすっかり傲慢モードに戻っている。さらにサマースラムでの、オースティンのタイトル挑戦を表明。アングルは、得意そうに頭を過剰に動かしながらおおげさに吹いている。

会場外。大勢のカメラマンと共にシェーン&ステフとビンスが、どっちもロックを待ち構えながら口論している。そこにリモが到着。シェーンとステフが熱烈歓迎ムードで車にかけより、カメラマンもいっせいにそれを囲む。しかし出てきたのは、WCWのUSベルト(先週ブッカーTからもらった)を持ったキャニオン。興奮するキャニオンと、白けて去るシェーン&ステフ。早まった二人を大笑いするビンス。この小ネタそのものより、多数のカメラマンをエキストラで使って演技させてるところが笑える。

マット&リタvsハリケーン・ヘルムス&トーリーのインタージェンダータッグマッチ。
トーリーの(間合いの悪い)急所打ちを食らったマットが丸めこまれて負け。本日最低試合早くも決定。

オースティンが控え室でブッカーTに気合いを入れる。ブッカーは気分が悪いと言う。オースティン「そりゃデブラのクッキーを食ったからだよ。俺は以前3、4個食べたら、その後3日腹壊した。」

テストin WWF New York。自分はWWFにつく、と。

アングルvsブッカーT(withシェーン)のWCWタイトルマッチ(反則決着無しルール)。
反則無しなので、試合開始と同時にWECW勢がカートを襲い、そこにWWF勢もまざって大乱闘。この乱闘を一回はみせるのは、抗争ぼっ発以来のお約束。試合はながながやって、結局オースティンの助けを得てブッカーがタイトル奪還。アングルは逃亡するオースティンを追っかけて去る。しかしやっぱ、こういうタイトルの短期移動は良くない。対等な会社関係じゃないんだから、律儀に一勝一敗でタイトルを返す必要などないのに。

オースティンに結局逃げられたアングル、クッキーを持つデブラに廊下で遭遇。アングル「デブラ、ミセスストーンコールド。俺はお前にあることをしてやる。お前の夫が臆病でできなかったことをな。」怖がるデブラのクッキーを取ってアングルは一口食べると「俺はお前に真実を言う。このクッキーは最悪だ。お前の夫もだ。(These cookies suck. And your hasband sucks too!)」これは笑った。その後アングルはもうひとつクッキーを取ると「これをお前の夫の足首だと思え。」とそれをぱりんと割る。

エジクリvsストーム&キャニオン
レフの隙を付いて入ってきたキャニオンのフェースバスターみたいな技で、ストームがエッジを抑える。ストームはクリスチャンの顔にばしっと高いドロップキックを入れた。この人、WWF入りして以来ずっと動きがいい。

控え室でシェーンたちが、ブッカーTの王座奪還を祝ってシャンパンを開けている。そこにアングルが乱入して、ブッカーは逃げ出す。追いかけるアングル。

控え室、アングルのタイトルは盗まれたと不機嫌なビンスに、リーガルが今度こそロックのリモが到着しますと報告。

キッドマンvsXパックのWCWクルーザー&WWFライトヘビーのダブルタイトル戦。
PPVのノンタイトル戦(キッドマン勝利)の再戦。やたら気合いの入っているXパック、トップロープ越しのトペコンヒーロを出す。ここ数年ほとんどルーティーン化した飛び技しか出さなかったのに。無茶飛びしてたライトニングキッド時代をちょっと彷彿。最後は雪崩式でXファクターを出してクリーンに勝利。試合終了後二人はしばらく倒れたままで、これは大熱戦だったという表現。カメラもリングから引いて沸く客席を映したりして、やはり「大熱戦終了」時の典型的映像を出し、さらに敵陣営のヘイマンがXパックを称えたりして、つまりこれは「いい試合」として大きくプッシュされているということ。確かに、割り振られた短い時間の中で、ふたりとも張り切って飛んで盛り上げたけど、こういう試合だとどうやってもヴァンダムのインパクトにはかなわないなあ。なんにしても、最近元気の無かった名選手Xパックの再プッシュは嬉しい。

再び屋外。ビンスの用意したリモが来たので、ビンス&リーガルはこれは間違いなくロックだと笑顔で出迎え、カメラマンがまた囲む。しかしリモからはリングアナのハワード・フィンクルが。こけるビンス。今度はシェーン&ステフが大笑い。シェーン達もビンスも、今後はリング上でロックを待つことに。

先週、テイカーのDDPへのイス攻撃が、妻のサラに誤爆したシーンと、その後のDDPの変態コメントのクリップ。

ダドリーズインタビュー。本日のテイカー&ケイン組とのテーブルマッチで、サラをテーブル刑に処すことを予告。二人ともどもりが消えて、すっかり普通の人のしゃべり方。

会場近く。ロッキー(スタローン)像を眺めている人物が映される。彼が振り向く、そうそれはロック。恍惚の表情のロック、カメラに向かって黙ってサングラスを取り、眉毛を吊り上げる。大歓声。つうか、髪の生え際がますます上がってるなあ。

ダドリーズvsテイカー&ケイン(withサラ)のテーブルマッチ。
DDPが入ってきて、サラがテーブル刑にかけられそうになるも寸前でテイカー&ケインが救出。テイカーがババをテーブルに叩き付けて勝利。変態レイプ魔ペイジが、いやがるサラを抱き上げたところが唯一の抜きどころ。

ロック様、とうとう会場に到着。

ビンス入場。さらにシェーン&ステフ、腕を組んで入場。リング上で言い合う父と息子。そこにロックの音楽イントロ"If you smeeeeeell!!"と鳴り響く。大歓声の中、ロックは入場してきてロープに昇って恍惚の表情。最初にマイクを取ったのはシェーン。ビンスが今までどれだけロックを裏切ってきたか、とくに今年のレッスルマニアでのストーンコールドとの結託のことをロックに思い出させようとする。それに対してビンスはロックに、過去の過ちを認め、お前を裏切るつもりはない、と。また、「確かに私はお前の知るとおり悪魔だから、今後も必要があればお前を裏切らんとも限らない。でも私はお前のよく知っている悪魔だ。対してこいつらは、お前のよく知らない悪魔どもだ」と、ある意味潔いアピール。さらにビンスはロックに詰め寄り「私を信じなくてもいい。しかしロックよ、自分を信じなくてはならない。そしてこのファンの一人一人を!」ここで大歓声。さらにビンスはいかめしい顔でロックに拳を振り上げ「ロック、お前の未来は、このWWFにあるのだあ!!」相変わらずのビンスの、この意味のない過剰なパワー、面白すぎる。

シェーンも負けずに割って入り、アライアンスこそがロックの未来だとロックを説得。さらに負けじとビンスがロックをくどこうと詰め寄ったところ、今まで沈黙+無表情を貫いてきたロックがいきなりビンスにロックボトム。ビンスは失神し、シェーンは飛び上がりリング上を走り回って喜ぶ。そこでロックと目があったシェーン、ちょっと焦りの表情を見せるが、ロックが100万ドルの笑顔(古い)を見せたので喜んで握手。そこでロックの表情が笑いから怒りにぴたっと変わり(こういう機械的+様式的な動きこそロックの真骨頂)、ロックボトム。さらにピープルズエルボー。大歓声の中ここではじめてマイクを取ったロックは「Finally The Rock has come back to.............WWF!!」とためにためてWWF入りを告げる。大歓声&JRがYES!! YES!! を連呼。さらに「If you smeeeeeell!! What The Rock is cooking!!」と締め、ロックが歓声に答えて拳を振り上げるところで終了。

今日はきれいに決まりましたね。「ロック様復帰」のテーマ一つに絞って二時間番組を持続させ、まとめる手法はお見事。最初からずっとロックに沈黙をまもらせ、最後にお告げみたいな型どおりのフレーズだけ話させる、というのも超越者ロックのキャラにふさわしい演出だったでしょう。今日の最高試合は文句無くECWテイストを貫いたTAJIRIvsヴァンダム。その他にXパックの奮闘もあったし、かなり満足度の高いRAWでした。いい試合はもうちょっと長くするよう時間配分を変えて欲しいけど。ヘイマンが解説席に戻って「ベビー&ヒール」の古典的実況図式が復活したのも個人的には歓迎。ヘイマンはいい試合をするレスラーに関しては、露骨に立場を超えて褒めるのが良心的です。




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