みんな悩んで大きくなった!
■団体:パンクラス
■日時:2001年7月29日(昼夜)
■会場:後楽園ホール
■書き手:リー監督 (ex:リー監督の「た・い・く・つ」

 なんとなく思い付きで、ネオブラッド・トーナメントとそれ以外を分けて書きます。

 恒例の昼夜興行だが、非常に疲れる。それでも面白かった。


○第1部 ネオブラ篇

・昼の部

 佐藤 対 長岡。最初の出場選手入場で、トップロープを超えたのはいいけど、こけてしまった佐藤。試合前にはスワンダイブでリングイン。懲りないやつだ。打撃はどちらも下手。つまらん。2Rで決着が付かず延長。長岡が上になっていたので長岡の判定勝ち。

 中台 対 岩崎。岩崎はブルー・ハーツのリンダリンダで入場。岩崎、インサイドガードからパンチでサイド。そしてバック。セオリー通りスリーパー。中台、何にも出来ず。

 ヒカル 対 三崎。三崎は大田区体育館の時とは違って、GRABAKAらしくグランドで圧倒。ヒカルは、不利な方へと動き過ぎる。面白いが実力不足。美濃輪との才能の違いをわかってない。セオリー通りのチョークで三崎の勝ち。

 太田 対 梁。梁のテーマソングはホワイト・ルーム。懐メロだ。素晴らしい。梁はパンチの1発狙いでも勝ててしまう。3-0の判定で梁の勝ち。


・夜の部

 長岡 対 岩崎。体重の軽い岩崎が積極的。しかし決め手なし。延長で長岡がバックを取ってサイドポジションへ。アームロックで長岡の勝ち。

 梁 対 三崎。三崎のセコンドは菊田と郷野。梁のセコンドはヤマケン。延長後、セコンドの差で三崎の勝ち。事実上の決勝戦だった。

 ファイナル。三崎 対 長岡。三崎、マウントを取り続けて、最後はフロントチョークで勝ち(2R1:21)。GRABAKA強し。

 三崎はよく頑張った。技術もあるし度胸もある。何と言ってもGRABAKAは強い、菊田と郷野がいるチームにいて、負けるわけにはいかない。そういうイメージが形成されつつある。また、その2人は私の思惑通り(偶然だろうが)悪役宣言をしているのだ。そのプレッシャーの中で勝ち抜いたのは立派の一言。しかも、準決勝で梁に勝っているのだから、間違いなくナンバーワン。素晴らしい。


○第2部 その他の試合篇

・昼の部

 伊藤 対 林。伊藤の曲はまたクラッシュ。キャッチルールは間合いが全然違うので、別次元の闘い方になる。何となく伊藤が上になってインサイドガード。スピードがあって面白い。新日道場伝説とは、もしかするとこのルールが一番再現に適しているのかもしれない。2-0で伊藤の判定勝ち。

 クラーク 対 高瀬。高瀬、超低空タックルから。しかし、上になってインサイドガードのクラーク。高瀬が下から攻めている感じで、このポジションは互角。高瀬「なんだよ、こいつ」と怒り出す。クラークが高瀬の髪をつかんでいたようだ。2R開始早々、高瀬が下からの三角締めを極める。試合後、國奥との再戦をアピール。この後、プライドに桜庭の応援に行くとも言う。いってらっしゃい。

 GRABAKA佐々木 対 デルーシア。デルーシアは両手を拝むように合わせて変な構え。いよいよ仏教系拳法師範への道を歩みだしたのか。インサイドガードからのボディへのパンチもサマになっていて、やっとVT対応が出来てきたのかな、という感じ。一方の佐々木は下からの三角締めやアームバーを極めかける。しかし勝ち味が遅い印象。3ラウンドに入って三角狙いからクロスアームロックが決まって佐々木の勝ち。後で知ったのだが、デルーシアのスタミナが切れるのを待っていたとのことで、3ラウンドは予定通りらしい。でも、デルーシアは頑張った方だと思う。

 昼の部のメイン。秋山 対 美濃輪。禅道会・秋山はなんとツェッペリンの「カシミール」で入場。ボンゾの心地よいリズムが後楽園ホールに響きわたる。この時点で私は秋山の応援をすることにした。人生ってそんなものよ、ってどんなものだ。対して美濃輪。相変わらず切れてます。佇まいが既に切れている。身体も切れている。頭の中は・・・見えないからわからない。秋山、ポジショニングがしっかりしている。寝技系では当たり前のことを淡々とこなす打撃系に少しビックリ。反復練習の風景が頭に浮かびはじめる。禅道会、恐るべし。まだ私の頭の中ではカシミールが鳴り響いている。あのドラムは良い響きを出すために広い風呂場で録音したらしい。

 1ラウンドでは美濃輪の下からのアームロックが極まりかけていた。というかほとんど極まっていた筈だ。しかし、秋山は耐えて逃げ、インサイドガード。美濃輪のスタミナは一度ここで切れたと思う。秋山の上からのパンチは、フックではなく真っ直ぐ落とすストレート。なるほど。ガードの上から根こそぎ叩き落とすパンチではバランスを崩しやすいということもあるし。

 2ラウンドは美濃輪が足を狙う。全く無謀だ。逆に秋山にマウントを取られてしまう。それでもまた上になるのだから美濃輪は凄いし面白い。まさにプロレスラーだ。試合そのものは秋山が有利な展開。

 3ラウンド。美濃輪はタックルを切られようがマウントを取られようがフロントチョークを狙われようが、ほとんど「偶然」の動きで返していく。これは近藤もそうだな。全然理詰めではない。これが面白いのだが、それでいいのかパンクラス。それでいいのだパンクラス。って、どっちやねん。揺れ動く乙女心のような私の心。最後は、ブレイク後、美濃輪がスタンドで突然秋山の身体に巻き付いてフロントチョーク。げっ。極まった。3R2:52。

 会場大爆発だ。いつものオイ!オイ!。でも、私の頭の中にはずっとカシミールが流れていた。


・夜の部

 河崎 対 山宮。パンクラスの中では唯一と言っていいほど、自分の戦術に忠実に闘ってそれなりに結果を出している山宮。彼の復帰によって良い風が吹くことを期待。試合は打撃で山宮が圧倒。河崎の方が寝技のテクニックがあるような気がするが、河崎はそう思っていないようだ。ということは、もしかすると山宮は強いのではないか。アマレスの実戦的知識がないのでよくわからないし、強い弱いにはあまり興味がないからどうでもいいことだが。4:04山宮のKO勝ち。

 GRABAKA石川 対 鈴木みのる。さて、本日の鈴木は白のガウンに黒のタオル&金髪。一体何者なんだ、と普通は思うのだが、鈴木だから当然の風景。ある意味、鈴木ワールドの復活か。キャッチルールは実に楽しい。この楽しさを理解できるのは、欧州プロレスに幻想を抱いた人間だけだろうか。うーむ。この試合は、スタンドでのフェイントの掛け合いに終始。最後の方で、鈴木の飛びつきフロントチョークがずるずると抜けて、石川がインサイドガードからサイドポジションを取ったくらいかな。それでも面白いものは面白いから仕方がない。判定はドロー。

 鈴木が、PRIDEよりパンクラスに来た観客に礼を言っていた。そして、突然、元リングス田村への対戦要求。不覚にもゲラゲラ笑ってしまった。雑誌でもそんなこと言っていたらしい。実に、鈴木らしさが復活しつつある。素晴らしい。

 ショーン・シャーク 対 國奥。とにかくこの試合は國奥がパンチからタックル。それを返してシャークのインサイドガード。それだけ。何も面白くない。3ラウンドになって國奥が、ガードをやめて立とうとするが、今度はシャークがスタンドでバックをとる。それだけ。何も面白くない。全く面白くない。判定0−0のドロー。つまらない。責任者出てこい(と言いながらも、膠着が大好きだから、楽しんで観ていたのは秘密)。

 GRABAKA佐藤 対 オマー・ブイシェ。突然スピードアップしてクルクル回り出し、不利なポジションへと移行するブイシェ。なんとなく旧ハイブリッド・レスリングの面白さを満喫してしまった。田村とやるべきなのは、オマー・ブイシェだ。2R1分ジャスト、GRABAKA佐藤が三角締めで勝ち。

 グラバカ決勝の前に行われた無差別級の一番。ティム・レイシック 対 渋谷。渋谷の低空タックルは、レイシックが必死で両足を後ろに伸ばして防ぎまくる。太ったウルトラマンのようだ。シュワッチ。約90キロの渋谷と102キロ台のレイシック。打撃では倒せそうにないので、タックルしかないようだ。しかし、ずっとそれしかやらないというのも、ある意味頑固な大バカ野郎だ。そんな渋谷が好きだな。ことごとくタックルを切られて上から殴られる。それでもめげない。逆にレイシックのスタミナがなくなる。3ラウンドには、寝技をしなくなってしまう。判定は3-0でレイシックだが、一途に積極的に仕掛けたのは常に渋谷。偉い。



 というわけで、昼&夜。それを英語にしてさらに日本語的に読むと「悩んで」となる。パンクラスの若い選手たちはもっと悩んだ方が良い。プロになるまでが勝負なのではなく、プロになってからが勝負なのだ。いわゆるハイブリッド三銃士の後の世代で、前向きさとひたむきさを感じさせるのは美濃輪ぐらいのもの。本当のことを言えば、そう見せかけるだけでもいいだろう。それがシュート興行のプロ選手として求められているならば。逆にGRABAKAは勝利至上主義を続けていただきたい。その対比で見えてくるものがきっとあるはずだ。




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