大日本プロレス7.29八王子みなみ野駅前大会観戦記
■団体:大日本
■日時:2001年7月29日
■会場:八王子みなみ野駅前特設
■書き手:ダイス
横浜線のトンネルを抜けると緑の茂る山と宅地造成地と建築中の家と少数の新築の家が目の前に
広がった。今日の会場、八王子みなみ野駅は新興住宅地と言えば聞こえはいいが、まだまだ街の
体裁をなしていないそんな場所だ。そんな場所のくせに駅はお台場入ったちょっと近未来風な作りで、
その駅からエスカレーターで一段上がるとブルーシートに囲まれた空き地があった。あまりの落差に
少々たじろぐと、なぜかピエロがジャグリングをしていてますますシュール。チケットを買おうとしたら
「まだ届いてないんです」と言われて不条理に拍車がかかる。そんな俺のとまどいにトドメを刺すよう
に会場前の道路でバナナ早食い大会が始まった。山川と登坂の司会でグダグダに大会は進む。
いよいよ決勝というその時に、客の後ろからいきなりピストルを鳴らす葛西。号砲一発決勝スタート。
優勝者はなんだかんだで12本のバナナを食い、賞品の「有刺鉄線グルグル巻きバット」をゲット!
葛西とバナナで乾杯する優勝者は嬉しそう。しかし、こんな大馬鹿イベント(褒め言葉)の最中にも
ブルーシートの向こうからはリングで受け身を取る音が響いているのであった。

小鹿社長自らチケットを手売り。迫力に押されながらもいつものように立ち見を購入。ダフ屋?そんな
モンいません。夏草が生い茂る会場にはリングとパイプ椅子が並び、たこ焼きのにおいが漂う。これだ、
これこそがプロレスってもんだ。なんだかむしょうに嬉しくなってくる。椅子は結構空いてるけど今日は
立って見ることにしよう。でも立ち見客が全部座れば大方の椅子は埋まりそうなぐらいには入ってた。
700人ってトコロかな。しかし興行ラッシュの中ちゃんと取材に来てる東スポは偉い。かき氷食ってた
けどな。試合開始が10分遅れるとのアナウンスあり。でもホントに10分遅れで始まったのでむしろ
好印象、他団体も見習うべし。

第1試合 沼澤直樹 vs 大作(夢ファク)
沼澤は普通に黒タイツなんだけど、大作は坊主頭なのに、タイツとレガースは青、おまけにピンクの
縁取りつきでリストバンドもピンク。そういうコスチュームはもう少し上に行くまでガマンしなさい。
試合は普通の第一試合。沼澤のダイビングヘッドバッドを食らう大作を見ていた少年と父親が
「よければいいのに」「そうだな、よければいいのにな(苦笑)」ってな会話をしていた。まあそういう段階
を踏んで、大人になっていくのだ。少年よ、大きくなってもプロレスを見続けてくれよ。試合はドラゴン
スープレックスで大作が勝利。大作のブリッジはキレイ。

大作 (7分24秒 ドラゴンスープレックスホールド) 沼澤

第2試合 アシッド vs ファンタスティック
ファンタはメヒコのマスクマン。対するアシッドはシルバーのロングコートにシルバーのズボン。
WWFのエジクリとかハーディーズあたりのストリートファッション系(半疑問形で読んでね)のコスチュ
ームなんだが、名前の通りなんかやってそうな足取りで踊りながら入場。ざわつく一般客、そして喜ぶ
マニア。両者リングに上がり、ゴングが鳴るが試合は始まらない。そうルチャでお馴染みのお約束
ネタ合戦である。メモをする手間を惜しむほど面白かったはずなんだが、すいません暑さにやられて
覚えてません。ファンタが両手を「気を付け」の姿勢でピッタリつけたままのノータッチトペで
客席を湧かすも、アシッドがアイコノクラズムの体勢で頭から落とす荒技で勝利。そしてダンス。
大日本はマニアのものというイメージが強いが地元の家族連れのみなさんも大喜びだ。

アシッド (8分37秒 片エビ固め) ファンタスティック

第3試合 MEN‘Sテイオー&関本大介&伊東竜二 vs 『神風』&保坂秀樹&松崎駿馬
テイオー組は当然ギャラクシーエキスプレスで入場。残念ながらガウンは無し。試合はテイオーの
ロープを使った手品のような腕取りから始まり、6人全員の顔見せが済んだら、予想通り伊東が
捕まる。伊東は細い。最近そういうレスラーも見慣れてきたけど、キャメルクラッチを食らうとアバラが
浮き出る程細いのはやっぱりまずいだろ。伊東なんとか反撃して、テイオーにタッチ。テイオーと関本
の「ファイト一発」(「ファイトー!」「いっぱーつ!」とそれぞれが叫びながらのラリアットとエルボー)が
出るも、なぜか再び伊東が捕まり、松崎のセカンドロープからのセントーン。『神風』のムーンサルト、
保坂の四方に見栄を切ってのビルディングボムと畳み掛けて終了。伊東が負けるのはしょうがないと
思うが、テイオーにもう少し仕事してもらいたかった。

保坂 (18分38秒 エビ固め) 伊東

第4試合 シャドウWX&ウインガー vs 大黒坊弁慶&アブドーラ・小林

弁慶&小林は「スキンヘッダーズ」のおそろいのTシャツで入場。そのまんまかい。中盤、軽量の
ウインガーが捕まり、弁慶と小林から「これで終わりだ」と言われながらパワーボムや喉輪落としなど
を食らう。なんとかキックアウトするも、倒れたまま起き上がれないウインガーに「本当に終わってる
じゃねえか」と言い放ち、笑うスキンヘッダーズ。しかし、ストレッチボムを空中で切り返し、裏DDTで
返し、WXにタッチ。WXはあらかじめリング上に用意していたイス攻撃から、バックドロップで反撃
開始。最後は説得力十分のラリアットでピン。
試合後、横浜での対CZW対抗戦に出てくれとWXにアピールする小林。しかし、WXは「大日魂」と
描かれたTシャツを小林に叩き付け、無言でリングを降りる。小林は大阪での一騎討ちで必ず説得
するとアピールを続けるが……お客さん、引いてるんですけど。

シャドウWX (13分5秒 片エビ固め) A・小林

休憩、向かいの山からのタダ見客発見、ドームのスタンドよりは近いかな。機材トラックの上からは
CZWのレスラーが第一試合からずっとカメラを回しながら見てる。試合再開前に、テイオー、関本、
葛西、ザンディグがリングに上がり横浜文体での対抗戦のカード発表。ザンディグの相手Xは日本人
大物レスラーと発表したところに…

第5試合 葛西純&ザンディグ vs ワイフビーター&ネイト・ヘイトリッド

ワイフビーターとヘイトリッドが蛍光燈で葛西とザンディグに後ろから殴り掛かった。破裂音と共に
飛び散る蛍光燈の破片。葛西とザンディグはそろってロープに振られて、そろってパワースラムを
食らう。見事なシンクロ。そして戦場は二手に分かれて場外へ。「レスラーの周りは危険です、
お下がり下さい」とのアナウンスが流れるが、そんなもん知った事ではない。葛西を追って走り出す。
葛西はヘイトリッドと共に機材車前で乱闘。コンテナ部分にヘイトリッドを叩き付ける葛西。既に両者
血まみれである。戦場は機材車上へ移動。コンテナでDDTを決める葛西。そこへザンディグと
ワイフビーターもやって来た。葛西、ワイフビーターを目掛けてダイブ!狂ったように葛西コールを
送る。すげえ、本当に葛西はすげえよ。椅子を蹴散らし、戦場は再びリングへ。機材車や椅子には
しっかりと血痕が残っていた。場外の攻防もすさまじかったが、リング上にはボブワイヤーボードが
4人を待っていた。後は4人の中で、誰がいちばんクレイジーなのかを決めるだけだ。俺を見ろ、
俺こそが最もクレイジーなのだとの4人の美しく刹那なバンプを敬意を持って見続ける。試合は葛西が
ネイトリッドにみちのくドライバーを食らって沈んだが、そんなことは些末なことだ。
葛西を見ろ。今ならまだ間に合う。葛西を見ずにプロレスを語るなかれ。真夏の屋外会場に足を運ぶ
価値が、葛西には確かにある。

ヘイトリッド (10分5秒 片エビ固め) 葛西

メインイベント 画鋲&ガラス&蛍光燈デスマッチ 松永光弘 vs マットマン・ポンド

俺はセミで大分消耗したが、松永ファンは強い。「松永さーん!」と絶叫を繰り返す男にポンドは
「ファッキンジャップ!キルユー」とか叫びかえす。いやあ、俺は英語は全然駄目なんだが、悪口って
ちゃんと伝わるねえ。ポンドは交通標識のプレート、松永はバットに両面テープを貼り付けて、山盛り
の画鋲の中に突っ込む。あっという間に画鋲バットのできあがり。リングアナが「この試合は大変危険
ですのでリングサイドのお客様はお気を付けください。どう気をつけたらいいのかという疑問もあるで
しょうが、とにかく、お気を付けください」とイカれたアナウンスをして試合開始。
松永、ポリシーにのっとり上半身裸、対するポンドはグランジ系の結構厚着なコスチューム。ずるいな
と思ってたら、松永蛍光燈をコスチュームに突っ込み、回し蹴り一閃。会場に響き渡る破裂音。
しかし、こんなもん序の口でしかない。ポンド、ホチキスを取り出し、松永の顔に針を打ち込む、
さらに画鋲をひとつかみ口の中に放り込み、ホチキスで閉じてからラリアット!ひいい。
でもこの試合もテーマは最強ならぬ最狂決定戦。ガラスも画鋲もヤグラに組んだ蛍光燈も敵を
倒すアイテムではない。自分が目立つために使うアイテムなのだ。
椅子を組んだ上に蛍光燈をセットし、同体どころか、仕掛けた松永が先に落ちていく雪崩式ブレン
バスター。コーナーに逆さ吊りにした松永にガラスを立てかけ、バットで一気に叩き割るポンド。
場外の椅子の上にポンドがセットしたヤグラ蛍光燈の上には、切り返しの末ポンド自ら落ちていった。
実は、道具のセッティングに時間がかかるので、リング上は少々間延びした展開になるのだが、
ある意味そういう余裕があっても逃げずに立ち向かう姿は狂気を越え崇高さまで帯びてくる。
最後は画鋲の上に蛍光燈の破片まで乗せて、その上でのWING式サソリ固めで松永が勝利。
両者の体に刺さった画鋲が夏の陽射しを受けてキラキラと輝いていた。

松永 (12分59秒 WING式サソリ固め) M・ポンド

WINGリストバンドをポンドに手渡す松永、横浜のXは松永か?と思わせたところでザンディグ対
CZWの乱闘が始まるのだが、これはちょっと蛇足だったかな。でも葛西のマイクがいい味出して
たのでよしとしよう。

この日試合を行なったこの空き地もおそらく数年後にはマンションでも立つのだろう。ここでこんな
ふうに血が流れたことも知らずに暮らす人達のことを考えながら満ち足りた気持ちで帰路についた。




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