INVASION その後
■団体:WWF Raw is War
■日時:2001年7月23日
■会場:NY州バッファロー
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

ええと、RAWレポートに行く前に、前日の日曜に行われたPPV、INVASION に触れなくてはなりません。俺はちゃんとスポーツバーでみてきましたよ(途中からですが)。注目のメイン、WWF vs WCW&ECW連合軍 5対5全面対決は、最後にベビーに戻ったはずのストーンコールドがWWFを裏切り、アングルにスタナーをかまし再ヒールターンして、WCW&ECW軍(というか、シェーン&ステフ&ヘイマン連合)の大勝利に終わりました。

その他の試合で特筆すべきとしてはやはり、日本語野郎の田尻が、タズとのシングル戦で毒霧からのハイキックで(誰の援護も受けずに)きれいにピン勝ちしたことでしょう。もちろんPPVの試合で勝つだけでも凄いんだけど、ただの消化試合ではなく、以前から準備されたストーリーにのっかった上で行われた試合での勝利だということに価値があります。この試合前にも「直前のリーガルの試合にタズが乱入→怒り心頭のリーガルが子飼いの田尻にタズ撃破を命令」という流れがきちんと示されてたし。今後も、田尻がらみのストーリーが展開することを期待しましょう。また、この日のベストマッチは、文句なくヴァンダムvsジェフ・ハーディーのハードコアスーパー空中戦でしたね。ヴァンダムは試合に勝っただけでなく、空中殺法のインパクトでもジェフを上回っていた。それにジェフより表情がいい。

話は戻りますが、メインの結末自身は予想通りというか、別に驚くことじゃないですね。その証拠に、俺の観てたバーでは、このアンハッピーエンドな放送が終わったところで、観客の多くが満足げに拍手をしたんですよ。こういう現象は今年のレッスルマニアでは起こらなかった。形式的にはまったく同じ「ストーンコールドの裏切り→アンハッピーエンド」だったんですけどね。レッスルマニアの時は、ほんとうに意表をつかれたビッグ・サプライズというかたちでファンの多くはどう反応していいか分からなかった。でも今回は、あらかじめ多くのファンがこういう展開を予測し、またどこかで望んでたようで、すんなり受け入れられた。俺自身前回のSMACKDOWNレポートで「WWF正規軍=ベビー、WCW&ECW軍=ヒールという構図はまとも過ぎて面白くない。PPVでそれが壊れることを期待」と書きましたしね。このストーンコールドのレッスルマニアにおけるヒールターンと、今回のINVASION におけるヒールターンにおけるファンの反応の違いってのは「現代アメプロ=繰り返されるターンによってファンの意表を付き続けることで永遠に続く物語」の・本質に関わることだと思うんですが、書いてたらきりがないのでRAWレビューにいきましょう。

では番組開始、、、と言いたいところなんですが、実は今週もヴィデオのセットの仕方を間違えて、最初の30分ほどを見逃してしまいました(えーん)。英語のウエブ情報によると、前夜大勝利を収めたシェーン&ステフ&ヘイマン&オースティンがリングに上がって、勝利を誇り、ファンを挑発し、いまや血を流し続けるWWFがやがて苦しみ死んでゆき、WCW&ECWの天下が来ることをを予告したようです。さらにオースティンは自分が再びヒールターン(味方のアングルにスタナー)したことの理由として、ビンスが最近アングルを優遇していたことが気に食わなかったことをあげ、怒って花道に出てきたアングルを挑発して両者の遺恨ができたとのこと。まあ、PPVのフォローアップとしては妥当な線でしょう。それにしても、現在の「WCW&ECW軍」というのは、あくまで「シェーン&ステフ&ヘイマン&オースティン」のことであって、基本的にその他のレスラー達のキャラは(DDPとヴァンダムを除くと)ほとんど消されていますね。

ヴァンダムvsマット・ハーディーのハードコア戦。
この試合の終盤から、俺のヴィデオが作動して観ることが出来ました。ヴァンダムが倒れたマットを梯子にはさんで、五つ星フロッグスプラッシュ(Five-Star flog splash) を炸裂させて防衛。いい試合だったようです。

控え室を歩いているエジクリに、(昨夜のPPVメインの勝利メンバーの)ダドリーズが話しかける。(いつのまにか普通に話すようになった)ババ「昨日の勝利おめでとう。(我々のような)メインイベントでの勝利とは違うけど、それでもちっちゃな勝利だ。」対してエジクリが「お前らオースティンのお陰で勝っただけじゃねーか。」と言い返し遺恨成立。さらにブッカーTも「俺たちが勝ったのはオースティンのおかげだとう?」と出てきて、本日、6人タッグイリミネーションテーブルマッチが決定。エジクリはブッカーTに対して「質問があるのですが?貴方とミスターTのご関係は?」などとおちょくる。これは考えようによってはけっこうシュートなアングル。さっきも書いたように、現在ほんとうにオースティン以外の「WCW&ECW軍」のレスラー(特にブッカーT)は刺身のツマ扱いされていて、エジクリはそれをおちょくってるわけだから。

控え室でDDPとキャニオンが昨日の勝利を喜び合う。DDPは、先週のSMACKDOWNでのデブラ誘拐も、全部オースティン達が持ちかけたことを明かす。キャニオンは表に「INVASION MVP」裏に「Who (is) better than Kanyon(キャニオンより強い奴がいるか?=彼のWCW時代からのキャッチフレーズ」と書いたTシャツを着ていて、自分が昨日のPPVのMVPだと喜んでいる(もちろん、んなことあり得ない)。

アルバートvsストームのインタコンチ戦。
WCW&ECW勢乱入により、ストームがタイトル奪取。その後WWF勢(含む海援隊)もはいってきて大量のレスラーでめちゃくちゃに。おお、今日これ以外仕事のない人間がこんなにいるのか。やっぱ選手多過ぎるって。

控え室で、シェーン&ステフ&ヘイマン&オースティンが、ストームのタイトル奪取を喜んでいる。ヴァンダムのハードコア、オースティンのWWFタイトルに加え、これで三つ目。そこにキャニオンが現われて、Who better than Kanyon Tシャツを見せてオースティンに自己紹介。オースティンが「それはこの俺様に決まってるだろう!」と怒るとキャニオンは焦って「もちろんです!これからは『オースティン以外に、キャニオンより強い奴がいるか?』にします」と。

昨日、ブラ&パンティーマッチで負けて下着姿にされたトーリーとステイシーin控え室。トーリー「トリッシュは私の胸のほうが奴のより美しいから嫉妬してるのよ。今日のスパンキングマッチで思い知らせてやる。」

コミッショナーリーガルと田尻がオフィスに。リーガルは田尻に、WWFは危機にある、レイヴァンを倒せと命令。田尻は「◯◯ですかあ!よしやってくるぜい!(◯◯の部分、日本語なのに聞き取れなかった)」と気合いをいれて出陣。

エジクリが控え室で、アングルに今日のダトリーズ達との6人タッグに加わって欲しいと依頼。アングルはにやりと笑って「ああ、やってやろーじゃんか。(You bet your sweet ass I'm in.)」アメリカ人の模範を自称してたアングルは、今までこんなくだけた言葉は使わなかった。エジクリもうれしそうに驚いている。いま彼はベビー化して、キャラが変わってきているってことかな?

田尻vsレイヴァン
会場には田尻のプラカ[ドもちらほら。試合は田尻がタランチュラ(ロープを使ったボストンクラブ風ストレッチ)からハイキックであっさりピン勝ち。プッシュされてるなあ。まあ今日の試合はそんなにインパクトがあったわけではないけど、タランチュラの他にも、跳ねかえりエルボー、トラースキック、フルコン空手風ラッシュといった見せ場でそれなりにファンを沸かせてる。

控え室、ヘイマンがライノにテイカー殺しを指令。

控え室のアングルをアコライツが訪れ、オープニングでオースティンを蹴散らしたことを称えてビールをふるまう。アングルは「俺は酒飲んだことないんだ」と言って一口試してみた後「旨いねこれ」と一気飲み。

テイカー(withサラ)vsライノ
試合はテンポ良く進み、テイカーがチョークスラムで勝利。その後DDPが出てきて、テイカー&サラにやられるも最後、テイカーのイス攻撃がDDPがサラを盾にしたため誤爆。この試合後の寸劇は間延びしてて、しかも結末が読めたのでしょっぱかった。

会場裏。テイカーは失神したサラを抱き上げて、なぜか救助隊員には触らせないでうろうろしている(謎)。一方、車で逃げようとするDDPをジョナサンが捕まえ、インタビュー。DDPは変態モードで「おお!あの彼女の目に映った痛み、あの怒り!俺はマジ興奮したぜい!」JR「狂ってる。」

ジェリコvsキャニオン
ジェリコは入場時にマイクを持って、リングサイドの客に名前を尋ねては「◯◯(その観客の名前)is better than Kanyon!!」とキャニオンの真似をしながら叫んで遊ぶ。試合はまずまずの攻防の末、ウォールズ・オブ・ジェリコで決着。キャニオンはいろいろオリジナル技があっていんだけど、試合全体をいつも同じ平坦なペースで動いて、めりはりや緩急がないのがちょっと難点。WCW時代からそうだけど。

決然とした表情のビンス、リモで会場入り。

前夜のINVASIONのメインのフィニッシュのおさらいクリップ。

ビンス入場。昨日の敗北を一応認め、確かにストーンコールドのターンは原爆みたいな衝撃だったと言いながらも、「これは核戦争だ。私も今日、一つ爆弾を落とそうではないか。あの一人のWWFスーパースターの出場停止を私は今日、解除する。そうだあの男を復活させるのだ。」ここで観客はすでにロッキーコール。ビンスはそれに応えるようにロックの処分解除を宣言。大歓声。さらにビンスは、ロックがリングに復帰するかどうかは決定事項ではなく、あくまでロック次第だと説明。それでも以下の如くロックを挑発。

「ロックよ、お前は今でもピープルズアイブロー(眉毛)を吊り上げられるか?お前は今でもピープルズエルボーを落とせるか?お前は今でもピープルズチャンプか?お前は今でもこの世界で最もエレクトファインな男なのか?ロックよ私の声を聴け!いや、私の声ではない、、、(ここで観客はすかさず応えて大ロッキーコール)このバッファローのファンの声を聴け!ファンはお前の名を叫んでいるのだ!ロックよ、millions (ここで会場も大合唱)and millions of Rock's fans を代表して言うぞ、我々が望んでいるのは 、、、Smeeeeeeel what The Rock is cooking!!」 自在に観客をコントロールする、ビンスの一人舞台でした。

機嫌の良いビンスの控え室を、アングルが訪問。ビンスはアングルに顔を近づけて「お前、飲んでるのか?」それを流したアングル「ロックの復帰は歓迎するが、WWFのリーダーは私だ。私はメダリストで、3Iを持っていて、、、」と主張。ビンス「そうかもしれんが、言葉より行動が全てを語るのだぞ。」その言葉に納得したかにみえたアングルはいきなりビンスの胸倉を掴み「おおやってやるよ。アメリカンヒーローにしかできん行動をな!」うーん、アングルのキャラが変わって来てるのは確かだけど、ただのベビー化じゃないですね。いつもと同じように傲慢だし。

ビッグショウ&ビリーガン in WWF New York。昨日も不当な負け方をしたりして、ここのとこ落ち目の二人が、なにやら愚痴を言いながら食べ物をオーダーしてる。この二人はWCW&ECW軍入りか?

トーリーが控え室のジェフを訪れ、色目を使いながら、ジェフの昨夜の激闘をねぎらう。そこにトリッシュがやってきてトーリーにつかみ掛かり、ジェフがひっぺがす。

トーリーvsトリッシュのスパンキングマッチ。
コーナー上に吊してあるパドルを取って、先にペンペンしたほうが勝ちという極めてアホな試合。トーリーが四つんばいになったトリッシュの尻を叩いて決着。俺、WCW時代にトーリーがプロレスやってるところって記憶にない(WCWをあまり観てなかったから)んだけど、彼女は素人にしてはけっこうよく動く。

控え室で、シェーンがダドリーズ&ブッカーTに気合いを入れる。

ダドリーズ&ブッカーT vs エジクリ&アングルのイリミネーション・テーブルマッチ。
(テーブル刑にかけられたものから退場してゆく試合)

最近、強さを見せつけるシーンの増えてきたアングルが序盤から攻める。ラリアットを使って力をアピールする場面も。その後はエジクリとダドリーズが慣れた調子で試合を引っぱり、まずクリスチャンが3Dをテーブルに食らい退場。次に、エッジが(今一つ客のリアクションを貰えていない)ブッカーTにスパインバスターで机に叩き付けられて退場、1vs3に。
ひとしきり捕まった後復活したアングル、場外でDヴォンをスロントスープレックスで机に思いきり叩き付けるも、机割れず(Dヴォンめちゃくちゃ痛そう)。しょうがないのでもう一回食らわせ、やっと割れてDヴォン退場。リングに戻ったアングル、ブッカーに机オリンピックスラムするも、こんどはテーブルの足だけ壊れる不運。ここでババがすかさず入ってきて、もはや足の効かないテーブルをコーナーに立てかけてゆくナイスフォロー。そこでアングルはブッカーをハンマースルーしてテーブル破壊に成功(確実に壊れるよう思いきり突っ込んだブッカーも偉い)。これで一対一。アングル逆転勝利目前、というところでレフバンプ→WCWレフのニック登場。アングルの、この日二度目の机オリンピックスラム炸裂寸前で、ニックが机をどかす。怒ったアングルは場外に逃げるニックに足首固め。ここでストーンコールドが駆けこんできてアングルに暴行。リングに上げてスタナー葬し、ババの机パワーボムにつないで試合終了。その後すぐにWWF勢が駆けこんでくるものの、オースティンは脱兎のごとく逃げ出す
(JRは本当に「オースティンはウサギのように逃げた」と言っていた)。終了。

ということで、アングルのベビー化、オースティンの再ヒール(典型的卑怯者)化が進み、ロック様復帰が予告されたRAWでした。今日の番組全体(全部みてないけど)としては、まあまあだったのではないでしょうか。ビンスのマイクは決まったし、机が壊れずに苦労したメインも、全員グッドジョブでした(結末はまあ、いつものパターンって感じだったけど)。

今のところWCW-ECW勢が完全なヒールを演じているのに対し、(ベビーのはずの)WWF勢には、根っから悪者のビンスや、最近勇敢なベビーと化しているんだけど、同時に傲慢でもあるアングルがいて、いつ対立が起きてもおかしくないところが面白いです。アメプロの大前提に「とにかく明確で分かりやすいこと」っていうのがあるんだけど、同時にファンを飽きさせないためには、単純にきれいに区分けされたベビーvsヒールという構図はもう通用しないでしょう。分かりやすさと、予測しづらさの微妙なバランスが今のWWFはうまく取れている気がする。




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