激動するWWF、緊急レポート。
■団体:WWF SmackDown
■日時:2001年7月18日
■会場:マサチューセッツ州ボストン、フリートセンター
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

あの、お久しぶりです。筆者の日本一時帰国と痴話喧嘩→引っ越しでずっと休ませてもらっていたRAWレポート、今週(7/17)分から再開しようと思っていたんですが、久しぶりだったので録画するチャンネルを間違えてしまい、今週のRAWは観れませんでした(えーん)。しょうがない、来週からレポート再開しようか、とも思ったのですが、今WWFは激動の最中。前代未聞のWWF-WCW-ECWの三軍抗争が行われていて、今週末には全面抗争スペシャルPPVのINVASION(侵略)が控えています。しかもストーンコールドの再ターンや、日本代表田尻のブレイクもあり、これは一日でも早くお伝えしなくてはならない。ということで今回は、火曜収録木曜放送の、PPV直前のSMACKDOWNのレポートをお届けします。

その前に、最近のストーリー展開をざっと説明したいと思います。でも実は、俺自身がレポート休載期間中のWWFをあまり観ていないので、ウエブ上の情報等を参考にしたものになります。悪しからず。

先ほど書いたように、現在WWF-WCW-ECWの三軍抗争が行われているのですが、これは、先週月曜のRAW(7/10)でWWFが打ったビッグアングルにより成立したものです。このRAWではまず、ジェリコ&ケインのWWF正規軍と、新加入のECW勢(アッサム、ドリーマー、ヴァンダム、ストーム)とのもみあいがありました。そこでジェリコらの救援に駆けつけたと思われたダドリーズ、レイヴァン、タズ、ライノらがWWF勢を裏切り袋叩き。ここにヘイマンをリーダーとした旧ECW大軍団が成立しました。

それを見て危惧したWCWオーナーのシェーンは、WWFオーナーのビンスに共闘を持ちかけます。しかしこれが罠。リング上でWCW軍団はECW軍団と戦うと見せかけて手を取り合い団結し、WWF軍を蹴散らします。さらに、呆然とするビンスをしり目にステファニーがなんとECWの新オーナーとして登場。シェーン&ステファニー兄妹(=WCW&ECW連合)が高笑いしながら父親のWWF潰しを宣言しました。まあWCWとECWが復活したというより、両団体ともWWF必殺のマクマン家スーパーホームコメディーに取り込まれたという感じでしょうか。

それで続くSMACKDOWN(7/13放送)では、苦悩するビンスがストーンコールド、テイカー、アングル等を集めてチームWWFとして外敵と戦うよう必死に団結を説きます。しかしノーテンキなストーンコールドは、ビンスを元気つけようとギターを持ってジャイアン並の歌をがなってビンスをさらに悩ませます(ストーンコールドはいつの間にか、かつての自身の栄光のパロディを自ら演じるコメディアンと化していました。これがけっこう面白い)。それでもビンスはリングに上がりストーンコールドに面と向かって「オースティンよ、現在のお前など必要ない。チームWWFに必要なのは昔のストーンコールドだあ。私のご機嫌取りなどしなくてよい。昔の如く、私を殴って昔のストーンコールドに戻るのだ!さあ私にスタナーをかますのだあ!」とけしかけますが、ストーンコールドは寂しそうに帰ってしまいます。

そして今週7/17の(俺が見逃した)RAW、いじけたストーンコールドが町の酒場でちびちび呑んでいる中、WWFvsWCW&ECW連合軍の抗争が激化していきます。主要レスラーたちだけでなく、女子選手やレフェリーなども巻き込んでの大抗争です。数で圧倒されるWWF勢をみて、実況のJRも「昔のストーンコールド待望論」を連呼します。また、意気上がるWCW&ECW連合軍が吠える中、控え室に集まったWWF軍も車イスに座ったフレッド・ブラッシーのゲキに闘志を奮い立たせます。そして番組の最後、両軍大乱闘の中ついに「昔のストーンコールド」が車で会場に乗り込んで復活。大熱狂の中、WCW&ECWを蹴散らして終了しました。この地点ではきれいに「WWF正規軍=ベビー、WCW&ECW軍=ヒール」という構図ができています。また、PPVのINVASIONのメインでは両軍団の5vs5対決が決定(オースティン、アングル、テイカー、ケイン、ジェリコ vs DDP、ブッカーT、ライノ、ダドリーズ組)

ま、そんな感じかな。レポート始めましょう。抗争の細かい内容やタジリの活躍についてはそっちでフォローすることにします。

番組開始。「昔のストーンコールド」復活までのクリップ。

会場からの中継開始。実況はコール&JR(ヘイマンもタズもECW軍としてリングでの仕事が多いから)。シェーンのテーマに乗って、WCW軍団入場。シェーンとDDPが先頭、中堅レスラー達とレフェリー達が続き、しんがりにはブッカーT。続いて、ヘイマン&ステフに連れられて、ECW軍が入場(ちゃんとかつてのECWのテーマを使っているところが泣ける)。リングに上がった両軍は団結を祝い合う。

シェーンがマイク。「この日曜のINVASIONで、全てが変わる。ステフと俺は、全ての貯金とWWFの株を投げうってこの戦いに投資した。お前ら誰もそんな度胸はないだろう。ないだろないだろ!」と会場を挑発するヒールの典型的身ぶり。続くステフとヘイマンもマイクでWWFの崩壊を予告。そのためには「汚く」戦うことを宣言。これはマクマン家の伝統であり、ビンスがシニアを葬ったのと同じことが起こるのだ、とオイディプス的父殺しの物語の再現を予告(もっともそう単純にはいかないのがWWFなんだけど)。またヘイマンは「スポーツエンターテインメント」ではない「レスリング」の復活も主張。最後にヘイマンがWWFに死の呪文を唱えて終了。

それを見ていたビンスの控え室をジェリコが訪問。ジェリコはRAWで、ECWのオーナーになったステフに対して「お前は確かにハードコア女王だよ。(ポルノ)映画の話なら。」とか「(ECWはIt's not for everyoneだったけど)お前は『お客さん誰でも歓迎(の娼婦)』だろう。」などと面白いことを言っている。昔のストーンコールド復活で上機嫌のビンスはジェリコに、それだけでなくいつもの如くステフを「汚らしく最低のゴミ虫淫売女(disgusting, bottom-feeding, trash-bug tramp)」と言ってやればよかったんだ、と語る。

DDPvsジェリコ。
ジェリコの入場、音楽は相変わらずBreak the wall down!! なんだけど、クリップはマイナーチェンジ。ターミネーター2みたいな全身金属のジェリコが歩いてくるやつに。試合はWCWでも戦い慣れている二人だけにスムースな攻防が続く。DDPは相変わらず、動きそのものはちょっと固いんだけどポイントは外さないヘタウマプロレス。WCWのベテラン勢を切って、この選手だけ取ったのはまあ妥当な選択でしょう。ひとしきり盛り上がってジェリコが優勢になったところで、この試合を裁いているWCWレフのニック・パトリックのひいきレフェリング→怒ったジェリコの暴行で反則決着。その後ジェリコはニックとDDPのふたりを蹴散らす。WCW時代からさまざまなアングルに絡んでいるニック、フレアーばりの派手なやられ方は堂に行っている。

コミッショナーリーガルが自分のオフィスに戻ると、自分のイスにヘイマンが笑って座っている。気色ばむリーガルをヘイマンはなだめつつ、自軍への引き抜き交渉。それを静かに聴いていたリーガル、笑顔で同意すると見せて、烈火の表情で怒りヘイマンを怒鳴りつけて追い出す。沸く会場。リーガルまでベビーに。

ランス・ストーム(withアッサム)vsクリスチャン(withエッジ)
これもしっかりした試合に。クリスチャンの受け身の切れが目立つ。最後は乱入合戦の末、エッジのスピアでクリスチャン勝利。

ビンスの控え室をサージェント・スローターが訪問、ストーンコールド会場入りを告げる。歓声を上げるビンス。「Yeah!! 昔のストーンコールドだあ!」

本日、トリッシュと腕相撲対決をすることになっているトーリー&ステイシーのWCW美女軍団が控え室で余裕の談笑。そこを(さきほどジェリコにやられた)WCWレフのニックが訪れ、協力を約束。

試合服姿の田尻、リーガルとともに彼のオフィスに(田尻はWWF登場以来ずっと、リーガルの付き人?をして気に入られている。田尻はほとんど日本語しか話さないのに、なぜかコミュニケーションが成立している)。田尻は月曜のRAWで、リーガルを裏切りタズと共にECW勢に加わると見せかけて、逆にタズを蹴散らしていて、リーガルはそれを絶賛。褒美として今夜、テイカー&ケインと組んでタズ&ダドリーズとの試合を組んだと告げる。田尻は「すげえ!アンダーテイカーとケイン?本当に俺と組むの?すげえよそれ!」と日本語で大喜び(以下田尻の言葉は全て日本語)。そこにテイカー&ケイン登場。田尻は「本物!ホンモノが来たあ!」と大はしゃぎ。「なんだこいつ?」といぶかしがるテイカーをしり目に、田尻は一人興奮。リーガルがテイカー&ケインに「あいつらにダブルチョークスラムをかませてやれ」と気合いを入れている間も、田尻は一人で机にのっかって「こっちから手が伸びてと、こっちからも伸びて、上に、どーん!」とダブルチョークスラムを食らった真似をして喜んでいる。それを唖然として見ていたケインがは一言「Freak」と言って・去って行く(これはストーンコールドに「ハゲ」と言われるようなもの)。

ストーンコールドとデブラ、ビンスの控え室に到着。昔の無愛想に戻ったオースティン、ビンスとの抱擁を拒否。ビンスは仕方なく、水を取りにいく。

前回のRAWからのクリップ。モリーに愛を告白しWWFに残留を決めたスパイクを、ダドリーズ&ヘイマンがいたぶる。最後はロープにくくり付けたスパイクの目の前でモリーをテーブルパワーボム葬。

ダドリーズ&タズvsテイカー&ケイン&田尻
テイカー達より先に自分のテーマで出てきた田尻、リング上で待ち受けるダドリーズ達を前に花道で立ち止まってなにやらアピール。そこにテイカー&ケイン入場の爆発音。派手に飛び上って驚いた田尻は、登場する二人に大喜び。そのまま気合いでリング上に飛び込んでいってやられる。その後試合がはじまって、ケインがタズを攻めると田尻は「俺に代わってくれよ!」と集音マイクに思いっきり入る大声(当然日本語)で叫び、それがケインに通じてリングイン。切れのあるキックやチョップで攻めるもすぐに捕まり、全身でダドリーズたちの技を受け、痛がり、またマササイトーのごとくガッツを見せて復活して反撃してつなぐ。最後はタズミッションに捕まるも、テイカーがカットしてチョークスラムで勝利。田尻大喜び。いや田尻、かなりいいです。思いきりのパフォーマンスが目立ってます。まあ「ちっちゃなバカ子供日本人」って点では海援隊と同じキャラなんだけど、リング上での存在感は海援隊より上だと思う。

腕相撲を控えたトリッシュをリタが激励。同じWWFチームとして、INVASIONでトーリー&ステイシー組とのブラ&パンティーマッチでは、あいつらを恥辱にまみれさせてやろうと誓い合う。まあいやらしい。そこにWWFレフのアール・ヘブナーが訪れ、本日の試合に協力を申し出る。

ブラッドショー(withファルーク)vsショーン・オヘール(withチャック・ポルンボ)
崩壊寸前のWCWが、どう考えてもまだ準備不足なのに無理矢理売り出した大型新人コンビの片割れオヘールは、体格の割に身軽なだけで攻撃も受けも相当しょっぱい(特に基本的なパンチや膝が全然なってない)んだけど、とりあえずでかいので、ブラッドショーが思いきり技を叩き付けることができるという点で便利。おかげでこの試合ではブラッドショーの攻撃の豪快さが堪能できた。最後は当然クローズライン・フロム・ヘルで決着。
しかし今日は、各試合の内容が充実している。ブラッドショーはなと、ラ・マヒストラルまで出した。乱入したときの動きや殴り方をみた感じでは、オヘールに比べればパルンボの方がだいぶいいみたい。

リタの新発売ヴィデオサイン会inWWF New York での模様。リタに会って泣きだしちゃう女の子も。今後も戦う女の子に勇気を与えろリタ。

ここでうちのテレビでは、CMの中に北野武の「Brother」の宣伝が。今週金曜からロードショウ開始。しかし、こんなメジャーな局&時間帯で宣伝されるなんて、相当売り込みに力入ってますね。たけしの入れ墨姿が映ったり、「あらかじめ自分の運命を知っていた男」なんていうナレーションが入ったりして、ちょっとオリエンタルテイスト。ちなみに俺の愛用しているヴィデオレンタル屋には、北野武の映画はJapanese cult というコーナーに「みんなーやってるか」以外の全作品が英語字幕版で入っています。でもまあ今のところ、たけしの名はよっぽどのマニアしか知らないでしょうが。

トーリー(withステイシー)vsトリッシュ(withリタ)の腕相撲マッチ。
お約束の有利になったり不利になったりの腕相撲。WCWレフのニックが先に手を出して、キャットファイト&レフブロウル開始。ニックはヘブナーにぼこられ、さらにうらやましいことにトリッシュとリタにもいたぶられる(もっともいいオンナ度だけならWCW軍が圧勝なんだけど)。今日二度目のやられキャラを見事に演じたニック、拾い物かも。

オースティン&デブラ&ビンスin控え室。浮かれるビンス、自分の離婚手続きが保留になったと、白けきってるストーンコールドに喜んで報告。さらにオースティン、君を喜ばせるものがあるから待ってろ、と楽しそうに出て行く。

前回のRAWのクリップ。ヴァンダムのもの凄いミサイルカラテキックとフロッグスプラッシュがハーディーズに炸裂。すげえすげえ。

ジェフ・ハーディー&Xパック組vsヴァンダム&キッドマン組
こりゃ凄い夢のカード。PPVでシングル決定しているジェフとヴァンダムが派手に飛び合う。リング直下のハンディカメラからのアップ画像をふんだんに使って、がんがん動く4選手の躍動感を伝えるカメラチェンジ技術も見事。最後はキッドマンがXパックをフェースバスターみたいなので料理。しかしこのなかでは、以前から精彩を欠いているXパックが動きでも存在感でも一枚劣るなあ。がんばれ。

ギター片手に部屋に戻ってきたご機嫌のビンス、一週間前にオースティンがビンスを元気づけるために歌ったお返しに歌を披露。それを無表情で聴いていたオースティン、今度は自分が歌ってやるとギターを掴むと、それでビンスを一撃して去って行く。ビンス失神&ファン大歓声。JR「これぞ、オースティンが帰って来た証明だ!」

MTVで、このSMACKDOWNのすぐ後にやっている番組Tough Enough の今週分の紹介。これは、一般から募ったレスラー志望者を合宿させて鍛え(コーチはアルスノー)、一週ごとに成績の悪いものを脱落させてゆき、最後まで残った者がプロへの栄光を得るといういわゆる「リアリティTV」。たしかBig Brother という、やはり一般視聴者を生活させて脱落者を追い出し続け、最後に残ったものが勝ちという番組が大ヒットして、アメリカではこの手の番組が増えたんじゃなかったかな。メジャーなものの手法を、露骨に真似して取り入れるのはプロレスの王道。

ステフ&シェーン&ヘイマンがWCW&ECW勢を集め、汚く戦うことを誓う。DDPはもちろん、正統派王者だったブッカーTまで、ステフたちのコメント軍隊のごとく頭悪そうに繰り返している。

オースティンに殴られた頭を冷やしながらぼけーとしているビンス。話を聞いて駆けつけてきたアングルに対し、うつろな声で「私は気分がよいのだあ」とへらへら笑っている。

ここで再び、オープニングにも流した「昔のオースティン」復活のクリップが。二度やるなよ。

ブッカーT&ライノ組vsアングル&オースティン組。
アングルが入場と同時にやられる。そこにストーンコールドが大歓声の中入ってきて、ブッカーTとライノに早くもスタナー二連発。そこで女性の悲鳴が聞こえたかと思うと、ヴィジョンに、駐車場でデブラを車のトランクの中に押し込んで笑っているDDPの姿が。オースティンはすぐに駐車場に走ってゆく。駐車場では他のWWF勢やWCW、ECW勢も加わって大乱闘。DDPはデブラを拉致した車で逃げ、オースティンはそれをリモで追っかけて消える。その間リング上では、カートがWCW&ECW勢にやられて、ステフ、シェーン、ヘイマンが勝ちどきを上げて終了。

というわけで、緊急に現在のWWFをレポートしたわけですが、もう状況全然変わっちゃってるでしょ?選手もレフェリーも女子も加わってメンバーが倍増して、こんなにいっぱい使いこなせるんかい?って疑問はどうしても出てきます。膨れ上ったメンバーを吸収する新番組はできないまま、今後、超シビアな生存競争が展開するのでしょうか? しかし現在の「WWF正規軍=ベビー、WCW&ECW軍=ヒール」という構図は個人的にはまとも過ぎて面白くないです(マクマン家ストーリーが絡んでいるのは大歓迎だけど)。どう見てもヒールの選手がベビーで、ベビーの選手がヒールだったりするんだから。はやくもっと分裂してしっちゃかめっちゃかにならないかなあ。とりあえず今週末のPPVに期待。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ