全日本武道館大会:7・14
■団体:全日本
■日時:2001年7月14日
■会場:日本武道館
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

ここのところ全日本の武道館大会を連続で観戦し続けている。これは「観戦記ネット」のためだけという
ワケではなく(別にレギュラーといってもチケット代は自腹なんですよ)単純に満足度が高いからだ。
NOAH勢離脱前には三沢対小橋の最後(このままでは本当に最後になりそうだが)の対決やシングルマッチ
5試合あたりからご無沙汰だった事を考えると自分でも不思議な気がする。
まぁ今月27日のNOAH武道館の三沢対秋山一本売りのラインアップに全く興味を持てないところから
察するに、それこそ三沢対小橋クラスでもない限りは、期待値の平均点の高いカードが少しでも多く並んだ方
がチケットを買う気にさせるのだろう。ドーム型ラインアップというか・・・。
「全日本は(近いうち潰れるから)今のうちに見ておかないと」とよく言われるが、最近はラインアップでも
非常に刹那的というか行き当たりばったりなカードが並び、自分のようなヒネたファンには結構楽しめる感じだ。
チケットには新しいキャッチコピーである「明るく、激しく、楽しく、新しく」。NOAHが外側から見る限り
において新機軸を打ち出せない印象がある分、単にヤケクソになってるだけのようでも楽しめる興行に足を
運びたい。
20分前に会場入りすると閑散としか表現のしようのない客足。せめて船木の引退興行くらいは入って欲しい
ものだ。6時の時点で4割の入り。
「これでもメジャーのプライドから時間通りに始めるのか?」と思ったが・・・ちゃんと始まってしまいました。

<第一試合>
「渕正信対愚乱浪花対平井伸和」
もう6年位前になるのだが当時注目を集め始めていたECW(当時は「EasternChampionshipWrestling」と
称していたが)について、自分のアメプロの師匠に「一番ECWらしい試合って何?」と聞いた時に帰ってきた答えが
「テリー対サブゥー対シェーン・ダグラス」だった。多分これがオリジナルの3WAY DANCEなのだと思われるが、
その時は説明されても全くイメージが沸かなかった。
今ではアメリカでは当たり前の様に各団体で行われているものの、意外と日本では手を付けている団体は少なく
自分も生で見るのは2年前の全女ガレージマッチでしか見ておらず、男子プロとしては始めて見るので楽しみ
にしていたのだが・・・残念ながら「バトルロイヤルの3人残り」程度の認識しかないようで、新しいものを
提供するという意識は感じられなかった。まぁだからこそ第一試合で行われたという事か。
試合はコミカルなスポットを断ち切るように渕が最近多用するバックドロップを平井に決め、浪花をコーナーに
逆さ吊りにする事で1対1の状況を作り三発目のバックドロップでピン。次の闘龍門のメインに期待しよう。

<第二試合>
「タイガーマスク&MEN'Sテイオー対グラン浜田&西田秀樹」
みちのくプロレス提供プロレスとして行われるこの試合。浜田がマイティと組んでジュニアタッグトーナメント
かなんかで優勝したなんて事もあったなー、などと思いつつ
まぁ全日本に弱小団体の選手が上がると自団体の文脈とズレたカードを組まれる可能性もないではないので、
あくまでバイト、宣伝活動と割り切るなら「提供試合」とした方がベターかも知れない。
この試合は正直言えばスポットを4等分するような試合になるかと思ったが、自らの原点でもある全日本初登場
にテイオーがいつも以上にクラシカルな試合の組み立てで会場を沸かせた。もっと色々な舞台で実力を発揮して
もらいたいと思う。試合はタイガーのタイガースープレックスで決着。みちのくの標準レベルですね。

<第三試合>
「藤原喜明&相島勇人&土方隆司対ジョージ・ハインズ&ショーン・フェルナンデス&ケイシー・ガイヤー」
ルックスはともかく試合内容と会場人気だけは全日本の外人#1と言えるハインズだが、この日は一時は川田
との対戦という記事も出たものの結局は収まるところに収まったという感じだ。
試合についてはハインズがコーナーポストに頭を打ちつけると、藤原は金具に自ら打ちつけ「さぁ、どうぞ」
とやるとサスガに困っていたのが笑えた。藤原はここ1月で01、全日本、リングスとフットワークの異常な軽さを
試合でも見せ、まだまだ現役である事を証明してみせてくれた。
試合は相島への高角度ジャーマンで決着。ハインズはもっと上で使って欲しいな。

<第四試合>
「マイク・バートン&ジム・スティール対新崎人生&モハメド・ヨネ」
ファイト紙によるとWWF転出の予定があるというスティール。ようやくスティールの試合の楽しみ方が
わかってきただけに残念だ。一方のバートンは長くWWFタッグ王者として君臨していたのに、全くお呼びが
かからないようだ。ヨネはイキの良さが特に空回りする事なく、そつなくこなしていた。
フィニッシュは人生の念仏パワーボム。川田風に持たれかかるように抑えていた。
バートンはルックスもいいし技も豊富と申し分ない。
そろそろバートン・シフトを組んでやってもいいんじゃないですかねぇ、元子さん?

<第五試合>
「長井満也対奥村茂雄」
リングス出身の長井とIWA志塾出身の奥村が対決する舞台が全日本の武道館というのもスゴい話だ。この試合
は打撃戦で展開したが、ハイパーニー空牙をドロップキックで迎撃するなど、相手の土俵で互角に戦う奥村に
ついつい感情移入してしまう。途中コーナーにもたれさせてのニーで半失神させられるがその後エクスプロイダー
を見せたり、張り手合戦でも互角に打ち合ったりとこれから注目したいところだ。
試合はこの組み合わせでは想像以上に盛り上がったが、特筆すべきは長井がプロレスが上手くなってきた事。
「好きこそ物の上手なれ」なのかなぁ。

<第六試合>
「川田利明対荒谷信孝」

最近出た秋山本では「僕が後輩相手にやっている試合と川田さんの試合では意味合いが全然違う」とあった。
付き人にさえ置いていかれた川田だけに秋山の言葉は間違いではないんだろうけど、ファンの立場からすると
川田の試合の方が心に残るし、語り草になるものなんだよな。
試合は早々に放ったムーンサルトを2発立て続けにスカす川田の性格の悪さ(確かに組み立てに問題もあったが)
や荒谷の意地などそれなりに見所は多かった。4発目でついに当てたムーンサルトがますます川田の怒りを買い、
フィニッシュは拷問式ストレッチプラム。最後に握手を交わす事もなくさっさとリングを去る川田はやっぱり
面白いなぁ。

<セミファイナル>
「世界タッグ選手権:太陽ケア&ジョニー・スミス対天龍源一郎&安生洋二」
そう言えば高山の全日本初登場も武道館での世界タッグ挑戦試合だった。天龍との絡みは確かに新鮮だが今後
続いていくものかは甚だ疑問なタッグチームだ。対する王者組も「サスガにもういいだろ!」という観客側の
空気が漂うようになってきた。取りたてて接点のない2チームに「グーパンチ」というテーマを与えて焦点を
作ったのはいいが、安生の巧い小技が退屈な動きと捉えられていたのは残念だった。2チームともコンビプレイ
らしきものを全く見せず、気が付くと安生がスミスを変な回転エビ固めであれよあれよという間にピン。
意外な結末と世界タッグの歴史に安生の名が刻まれる事に驚いていたが、他の観客は想像以上にヒートしていた
ようで、ある女性客は本部のマイクを奪い取り「こんな勝ち方で嬉しいのかよ!」と絶叫し、イスをリングに
向けて投げ込む観客もいたのには驚かされた。リング上では天龍がケア達にトロフィーやベルトまで投げつけて
いるし、いったい何が起こったんだ?といった雰囲気だった。
その中で安生が「もったいない」とばかりにベルトやトロフィーを拾い集めていたのが、観客の空気を和らげて
いたのが面白かった。
それにしても安生が世界タッグ王者ねぇ・・・。

<メインイベント>
三冠王者、武藤の初防衛の相手がウィリアムスと言うのはかなりキツイ相手と言えるだろう。これは勿論その
強さにではなく、筋金入りのバッド・ワーカーであるからだ。三沢や小橋相手だからこそ武道館のメインを
任せられてきたが、現在の武藤がその役をこなし切れるのかが自分のポイントであった。
ところがわからないもので、序盤の5分は予想をはるかに超えて名勝負の予感さえあった。しかし5分過ぎに炸裂
したシャイニング・ウィザード(以下SW)が武藤自身のヒザを痛める事になり、セルというレベルを超えた
痛がりように会場は不安感に包まれた。それでもムーンサルト(6万人以上の会場限定ではなかったのか?)や
SWを繰り出すなど他団体のメインを勤める事への責任感を感じさせる仕事ぶりだった。
その事を差し引いてもウィリアムス相手に武道館のメインの重責をキッチリ果たした武藤のセンスとプロ根性には
心底敬服する。全日本のエースというのもあながち冗談ではなくなって来たのかも。
天龍が宣言した「三冠物語の第二章の始まり」は武藤により最高の幕開けを見せたと言えるだろう。

<総括>
何しろ今日は客入りの悪さに尽きる。新鮮な顔ぶれと思い切ったマッチメークが必ずしも観客動員に繋がらない
のはこのビジネスの難しいところだ。原因を分析した上で、できれば今の「新しさ」を活かす方向で突き進んで
欲しい。今日も内容には満足させてもらいました。




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