真の巨人(タイタン)たる為に―手作りで模索する新券勝負の場
■団体:Power of Dream
■日時:2001年7月1日
■会場:東京流通センター
■書き手:グリフォン (ex:Gryphon’s MMA HP

タイタンファイト---私は格闘オタクといっても、セミプロ・アマの試合を楽しめるほど知識や技術があるわけではない。

今回タイタンファイトへ行こうと思ったのは、日程的に丁度よかったのと木村正章(=木村プロ)が参戦していたことなどの偶然が重なったゆえだ。
まず入って思ったのは、流通センターという会場は、非常にいい選択だということ。タイタンファイトは数千人を集めるというイベントではないのだから、臨場感を集め、小さすぎるということもないここは他団体も検討してみると言いと思う。巨大モニターもあったが、あれは備え付けかな? だったらなお素晴らしい。
こういう場所の見つけ方ひとつとっても、決してハデではない入場式などの演出をとっても背伸びしない、「出来る範囲での創意工夫」を感じさせられた。
関係ないけど、プロデュースのチョウ社長は、スーツをぴしっと着込んだ涼しげな優男で、こういう人がリングに上がると選手や解説席のヤマケンとのコントラストが引き立つ(笑)。これも巧まざる演出でよし。

さて、できれば試合を一戦一戦紹介したいところだが、メモを取ってはいないので正確には紹介できない。
取り敢えず、ランダムに。

【山本高行vsサモハン竜太】
山本選手は見た目とは裏腹に、かなり動きが敏捷。そしてやはり寝技では安定感がある。この人優勝かな、と取り敢えず赤○をつけました。

【佐藤幸一vs久原清高】
空手からの参戦はひとり(中国拳法の人もいるけど)。主催者も言っていたが、「総合というより異種格闘技」という面もある以上、やっぱり期待が高まる。やっぱり本職、ローが凄い!!
おや、寝技も巧いなあと思ったら、隣の人が「真武館は大道塾の流れを組んでいる」と説明してくれた。なるほど納得。勝ち名乗りのとき小さく十字を切ったのがカコイイ。

さてと。
【宇田享vs木村正章】である。
何しろ本人から、「観戦記書いてくれ。俺のとこだけでもいいから」といわれてるからな。選手本人から観戦記を頼まれたの初めてよ、わたしゃ(笑)。

木村選手(以後「プロ」)は、入場時から気合が入っていた。
というか、プロの場合、ビビってるとか緊張しているという場面を、そもそも試合に限らず見たことがないのだが(笑)。
体は公言していた通り、かなり絞って来ている。その反面、腕の太さはやや増していたようにも見えた。
対する宇田選手も、さすが全回出場だけあって場慣れしてるし、公式発表ではプロより身長・体重とも10`10cmの差があるというが全然そうは見えなかった。39歳という年齢も、今書くために資料を見なおしてビックリしたとこである。39歳があんなシェイプを保つなら、PODはもっと大々的なフィットネスPRをしたらどうか(笑)。

さて、試合開始(記憶によるので、多少の不正確さはよろしく)。
両者間合いを計りつつ、ファーストコンタクト。
木村プロは、思いきりのいいストレートパンチを放った。そのパンチの迫力に、いやマジになったときのプロの怖さを見た。技術的なことは私は言い様がないが、とにかく、「かわされたら」とか「カウンターを入れられたら」という躊躇や恐怖心なしで行けるのが凄い。半面、本当にカウンター技術がある人に対峙したときは弱点となるのかもしれないが。

しかし宇田選手、それを態勢を低くし見事にかいくぐり、組みつく。プロも基本的には柔道(最近は相撲)だから、押し合いでは体格差も合わせ引けを取らない。
正直序盤での苦戦を予想していた私はうおーと叫んだ。一回落とせ、そうすればかなり有利だ……しかし最初は、両者転落。これはどっちが注文したのか。UWFルールは「状況のリセット」だと高山は言っていたが、タイタンも勝負論でありつつもリセットが一回は可能なのだ。ここを巧く使えば、スリリングさも増すということか。
中央から、相手は突進して胴タックルのように押してくるが、今度は木村プロは逆らわないでぐるりと円を描く様に引き、組んだ状態での膝蹴り!!

本人曰く「手応え十分」の一発だったそうだが、そのダメージかどうかはともかく木村プロの投げから両者もつれあってグラウンド状態になった。木村プロは上を取る!

木村プロと筆者は「カラオケボックス・グラップリング」なる競技を何度か闘っている(笑)が、もとよりプロは本気ではないにしても、多彩な極めを狙ったり、防御が固いというタイプではない(ただ関節自体は非常に柔らかく、第一回タイタンでヒールを逃げたのはこれだろう)。その点では寝技はやはりヤマケンの指導を受けているPODのほうが上と思われる。

しかし、場所が場所である。舞台の端、ほんの1mほどのところだったのだ。
「落とせば勝ち、落とせば勝ちだよ!」と応援団は絶叫するが、プロは上から猛然とパンチを振り下ろす。しかし宇田選手もそれを巧くガードした。そしてそのまま、攻防の末両者転落、失格。
本人は試合直後には、「やっぱり一本を狙うのが男だから!」と言っていたし、実際タイタンファイトはそういう選手の意識がないとダメなのだが、のちにプロは振り返り

「試合は作戦錬ったけどカッーと来たらダメだね
 何やったかよく覚えてない
 膝蹴り出した後の記憶が
 内股で投げるところだから!
 相手場外に落とすチャンスがあったなんて!
 また前回と同じでカッとなり負けた」

と某掲示板[http://hyper10.amuser-net.ne.jp/~auto/b2/usr/kimurapro/brd1/bbs.cgi]で語っている。「ゲーム感覚」と一口にいうが、このゲームってやつを冷静にプレーするのもなかなか難しいものなのだ。試合後、木村プロは腰を気にしていたようにも見えたが、これは大丈夫だったようだ。実はプロはかつて腰を痛め、メスを入れている。スパッツの上からでも、背中にその跡が見えたはずだ。

とにかくお疲れ様でした。ただ、やはりプロにとっては過激すぎるとも言える。1回戦を勝ちあがっていたら、次は非常に苦しかっただろう。そういう点では、第一回大会と比べてもタイタン自体のハードルが上がっているのだ。


さて、大会に戻ろう。PODの所英男選手!!1回戦で100`の相手に勝ったのも凄いのだが、準々決勝で似田貝選手と激闘、足関節をするりと極めて逆転勝ちした試合はエクセレントの一言。
彼は。60`台の選手が活躍できる場を与えてもらえば、すぐに桧舞台に踊り出る可能性があるのではないか。他の団体にこそ、ご一考いただきたい。
ところで、似田貝選手の経歴「(慧舟会)和術1年4か月、骨法3年」の裏にはいかなるドラマが……あ、いやいや。

そしてBブロックは、石井淳選手があとの山組みに「場外両者失格」が相次いだ為に1試合で決勝という緊急事態。うーん、こういう事態も想定・覚悟ずみなんだろうけど…。やはり工夫の余地があるのでは?常識的に言うとリザーバー戦を行う、敗者復活を行うなどか。今回はそれでも格好がついたほうだが、片方のブロックが全て失格、ってのもあり得るんだし。
同じように棄権が続出した第3回UFCのなんとかってチャンプみたいには、選手たちもなりたくないと思う。


スーパーファイトのヤノタク、絶好調ですねえ。最後の締めちゅーかなんちゅーか、ありゃ何といえば言いねん。惜しむらくは入場曲が「好きか!嫌いか!!ハッハッハッ…」のアレなら完璧だったのだが、まあそりゃやっぱりマズイのだろうッ(笑)。
http://www18.tok2.com/home/gryphon/genkou/newskikuta.htm

それでも決勝。石井淳(超人クラブ)vs山本高行(フリー)は、ご存知の通り「相撲」であった。まあ、これはルールの中で予想されるし、両者とも想定しているのだから批判や非難は当たらないだろう。何しろ80万円だって掛かっていたのだから、ここで勝負論に徹するのも当然である。
ただ、感情的には「おいおい」と思ってしまうのも確かである。決勝は場外失格なし、とするか、思いきって決勝だけ10回とかにして、判定の際の考慮にするというのはどうだろうか。決勝だけ完全決着するような特別ルールってのいうのは別に珍しくない。

ところで、最後に一人乱入?したのも決勝相手のセコンドか何か?だと思ったら、この「相撲決着」が不満な一般の人だったらしい。
これも例の掲示板によると「梁(正基)選手も、彼と対峙すべく血相を変えて裏手から出て来たが、スタッフに止められていた」とある。いやそれは正解だった。さすがにゴタゴタを、例えば殴って解決なんてこともそりゃPODや梁選手なら可能だろうが、それはまずいでしょ。特に梁はネオ・ブラを控えている時期、暴力事件で警察沙汰になったらシャレでは済まない。結局。われらが木村プロ(笑)が絶妙の合いの手?を入れて、会場が笑いに包まれ、毒気をその抗議者も抜かれ事無きを得た。
とはいえ、こういう事態は極言すればディズニーランドであろうとディスコであろうと起こり得ることで、イベントとしての経験を積んで行くしかないのだろう。


演出としてはあと二つばかり。上述の通り、梁正基選手は7/29・パンクラス・ネオブラッドトーナメントに出場する。なら、ここで休憩の合間にマイクを握り「ネオブラでは優勝します!」と挨拶したら前宣伝になるのではないか。ひょっとしてネットライブ視聴者の「チャンネル替え」を防ぐ為試合を詰めたのかもしれないが、例えば時間調整(試合が長引けばカット、短すぎればやる)との企画としてやればよかった。つーかこの演出はタダだし(笑)。
そういえばヤマケンも、最初から最後まで表に出ずじまいでしたな。いくら運営を他に委任したとはいえ、挨拶や総評なんかして、ファンにもっと姿を晒したほうがいいのでは?あ、話が長くなりすぎるからダメか(笑)。

あとひとつ。最後に、『ネット中継は、遠くブラジル・カナダからもアクセスがあり・・・』とありましたが、それは多分俺のおかげだ(自画自賛)。
いや、大層な話じゃなくて、一番大きな英語の格闘技掲示板「UNDERGROUND Forum」にこんな大会のネットライブがありますって書いただけなんだけどね。
ただ、私の英語基本的にデタラメだから、この大会の沿革やルールを説明しきれなかった。場外失格ルールなんて[DRAGONBALL RULE]って書いちゃったよ。かめはめ波を使えるのかタイタンは(笑)。
これというのも英語(ポルトガル語)の説明やルールがHPにもないからなんだよね。あれば苦労しないですむ。また、興味を持ってアクセスしても、どこをどうクリックすればいいのかの説明が日本語だったので諦めた人もいるはずだ。(あっちのPCじゃ文字化けしてるよ)

タイタンファイトのHPに行ったら、最低限の情報が英語で示されている…というのは、正直費用対効果はそれほどでもないかもしれない。でも逆に考えて、ワールドワイドっぽい演出の一環だと思えば悪くないと思うが。

それから、これをやると正直席巻される危険性もあるが、もしもっと実力者を参加させたいと思うなら、募集要項にも英語版があってよい。

と、いろいろ書きましたが、非常に面白い興行であることは間違いなかった。
あとは継続はチカラなり、だ。




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