6/10コンテンダーズM1雑感〜GCMは、総合の暗い未来に新しい夢を見るか
■団体:GCMコンテンダーズ
■日時:2001年6月10日
■会場:Zepp Tokyo
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 豪華な参加選手で盛り上がるライト級トーナメントに加え、みのる&伊藤のパンクラス勢の参戦、さらには、タイトルマッチ直前の五味を、パンクラスと対決させてしまう(と言うとやや語弊があるが)、素敵過ぎるマッチメークを組んだ、コンテンダーズ、当然のごとく行ってきました。

 会場のゼップTOKYOは、超満員で立ち見まで出るほど。まあ、前回のディファよりはキャパが随分小さいので、当然と言えば当然なのだが。

 レフェリーは、前回と同様、平、梅木、塚本。ジャッジには木口と朝日。

 10分ほど押して、ルール説明からスタート。

 当日からはもう随分たってしまい、雑誌系のメディアでも、既に報道されている興行なので、試合内容より、それ以外の部分に力点をおいて書いていくことにする。

 オープニングの映像は、ドラマ仕立て。かわいいねーちゃんが、得体の知らないカードゲームを一式もらって、「いったいこれどうやって遊ぶのよー」とか言っていると、カードをばら撒いてしまう。すると、カード1枚1枚が、選手に化けていき…、という流れで、そのまま映像で、全選手紹介。こりゃ作り込んでいる。アイディアは大したことないと思うが、とにかくカットの編集がよく出来ていて、テンポよく、カッコいい仕上がりになっていた。

 紹介のトリは、鈴木みのる。おお、さすがに気をつかってるなー。

 ここで、終わりかと思いしや、まだまだ続く映像。

 床に伏せられてバラ撒かれたカード(神経衰弱状)。2人のねーちゃんが、「えー何これーメクってみますかー」とか言いながら(メチャ不自然で苦笑)、それぞれ1枚づつカードをめくると、選手に変身し、それが対戦カード発表となって、そのまま試合に雪崩れ込むという演出。


<ライト級トーナメント1回戦 5分2R>

○山本“KID”徳郁(判定40−38)小室宏二×
(PUREBRED大宮)         (RJJ)

 アマレス代表クラスのKIDと、柔道代表クラスの小室の対決は、実にマニア好みの一戦だったが、KIDがスタンドレスリングで圧倒。内股系の技を果敢に狙い、2R終盤には、カニ挟みで、KIDの足を破壊した小室も、意地は見せたか。


 ここで再び映像。第1試合と同様に、ねーちゃんがカードめくって…。というカタチでドラマ仕立ての映像で、カードを発表しながら進行(以下全試合同様)。


×阿部裕幸(2R4分5秒、アームロック)若林次郎○
(RJW/C)               (SKアブソリュート)

 スタンドではレスリングで圧倒した阿部だが、再三、ビクトル投げ風の技からグラウンドに何とか引きずり込もうとする若林が、最後は、後ろ三角絞めみたいな体勢から、アームロックに移行して。


○戸井田カツヤ(判定39−38)矢野卓見○
(和術慧舟會東京本部)      (烏合会)

 期待の一戦は、その期待を裏切らないものだった。ポジションをまるで考えないヤノタクに対し、上から十字を狙うトイカツだが、センタク挟みで応戦するヤノタク。最後まで動きの止まらない素晴らしい一戦だった。


×五木田勝(1R1分26秒、三角締め)バレット・ヨシダ○
(木口ワークアウトスタジオ)       (グラップリング・アンリミテッド)

 うーん、チーム品川のサネハラ選手のご師匠筋にあたる、五木田選手。がんばって欲しいのだが。うーんうーん。三角の逃げ方知らないとしか思えない。


<第5試合 DOUBLES1 10分3本勝負>
△廣野剛康(和術慧舟會東京本部)漆谷康宏(RJW/C)
     (時間切れドロー)
石井俊光(タイガープレイス)阿部正律(RJW/C)△

 今回2戦組まれたタッグのその1。前回は村濱・門脇と役者が揃い、そこそこ見れるモノに仕上げてくれたが、今回はどうだったかというと…。

 前回の感想として、おれはこう書いた。『今後の課題としては、タッチの攻防を洗練させて「面白い競技」を目指す方向と、技術をもっと見せる為に、ハイスポットをきっちり練って、演武にしてしまう方向が考えられる』。結果は、どちらにも振り切れず。タッチの練習なんてしてないだろうし。ちょっと厳しいな。


<ライト級トーナメント2回戦 5分2R>

○山本“KID”徳郁(本戦39−39、延長判定)若林次郎×

 スタンドで圧倒し、バックには回るものの回るだけのKIDと、多彩な関節狙いを見せた若林。

 本戦で、若林の勝ちにしなかったことが、この日の興行をすべてぶち壊したと言っていい。次試合の顔合わせみれば、その位のことわかるだろうに。まあキッチリ判定したら、ドローが妥当だとは思うんだがね(笑)。ジャッジも興行を勉強すべきだな(ガチ)。


×戸井田カツヤ(判定37−40)バレット・ヨシダ○

 つーわけで、KIDと練習して、妙に上を取れるようになったバレッドが、ポジションを制して判定勝ち。期待したほどの、関節合戦にはならなかった(ヤノタク戦に比べればという意味であり、充分面白かったのだが)。


<第8試合 ONE MATCH1 5分2R>
△上山龍紀(時間切れドロー)石川英司△
(U−FILE)       (パンクラスGRABAKA)

 差し合いは互角も、押し込んで印象点を稼ぐ石川、そこから何もなし。かと言って、上山も散発でバカ正直なタックルを2、3回見せただけで。窪田戦や、前回の星野戦のような意地がほとばしるようなファイトを見たかったんだが。元々上山、無表情で淡々と戦う傾向があるので、やっぱ自分から攻めていかないとなー。

 エンディングで、前回ポツンと1人佇んでいた上山。今回は、みのると談笑しながら、強引に中央の方に押し出されていた。そこに、さらにフォローを入れて、さらに中央に、上山を引っ張り出す高瀬。おれは、この光景を見ただけで、充分、満足して会場を後にすることが出来たのだが。


<第9試合 DOUBLES2 10分3本勝負>
△宇野薫・高瀬大樹(和術慧舟會東京本部)
     (時間切れドロー)
鈴木みのる・伊藤崇文(パンクラス横浜)△

 軽量の宇野をフロントチョークの体勢につかまえ、絞り上げながら、まさにプロレスラーとしか言いようのない表情を浮かべる、みのる。まるでルミナ戦のような、裂帛の気合で向っていく宇野。プロレスラーと、プロレスオタクの対決だ。

 いやー、素晴らしかった。プロレス万歳。

 10分じゃどうせ極められないだろという、もどかしさが、「ああん、もうすぐ終わっちゃうじゃないか、もっと見たいよー」感を煽りまくり。前述の2つのベクトル以外に、このルールを面白くする方法があったとは(タッチを巡る攻防も見せてくれた、チョークを極められた伊藤が、そのまま必死にコーナーに戻ってタッチするとか)。

 つまりは、人間力だ。みのるの人間力。ルミナを倒し、修斗を抜け、自興行を続けることで、さらなるオーラを纏いつつある宇野の人間力。人間力の対決。

 人間力があれば、何でもできる。面白くなりようのないコンテンダーズルールでも面白く出来る。そういうことだ。


<第10試合 ONE MATCH2 5分2R>
×星野勇二(判定37−40)五味隆典○
(RJW/C)        (木口道場レスリング教室)

 立ち上がり、スタンドレスリングでは、明らかに星野の方が強いように見えた。しかしだ、五味はすげえや。一瞬の瞬発力でタックル取っちゃうんだもん。2Rには、パスまでしてみせ、結果は圧倒的優勢。「待ってろよー三島」と絶叫してたそうな(おれは聞き取れなかったが)。


<ライト級トーナメント決勝戦 5分2R>
×山本“KID”徳郁(1R26秒TKO、タオル投入)バレット・ヨシダ○

 KIDがタックル取ったところで、セコンドがタオル投入。

 まあ同門だからしょうがないとしてもだ。バレットがカメラマンに向けてポーズを取っているところに、KIDまで隣に並んでポーズを取っているのを見て、アタマに血が上る。ふざけるな。

 しかし、宇野商店の観客は大人しいんだよねー、誰もブーイングしないんだもん。


 さて、放火でもしてやるかと燃え上がったメモ8さんだが、全カードが終わったというのに、再び始まる選手紹介映像。今度は、カードではなく、登場人物の2人のねーちゃんが、消えてしまうと…

 スクリーンの脇から、激しく噴出すしゃぼん玉。その中を、映像の登場人物だったおねーちゃん2人が、舞台から現れて、リングに上がって、にっこりポーズ。続いて、全選手入場。

 いやー、やられたよ、納得させられちゃったじゃねーか。ちょっとクドいと感じた選手紹介映像を、こうやってエンディングに効かすとわねー、お見事です。


 総合の未来は暗い。かなり前からそういうことを書き続けている。

 打撃のないコンテンダーズを総合といえるかというと、かなり疑問なのだけど、総合格闘技興行における問題点の多くが、コンテンダーズには凝縮して現れる。いい機会だから、ちょっと持論をまとめておこう。

 総合の未来が何故暗いのかといえば、それは、総合がつまらないからだ。総合格闘技という競技を、競技として見せているだけでは、面白くないからだ。

 リング上で行われていることと、観客の理解に間に広がる、深い深い溝。技術を理解しないまま楽しめるほど、総合格闘技は、面白くないのだ(この部分が、派手に打ち合うだけで、ズブ素人のイチゲンさんにも充分楽しい打撃系とは事情が異なるところ)。

 格闘技を含めた「競技」は、元々、やる側のものだ。

 それを、見る側の為のもの、つまり「興行」として成立させるには(あくまで継続的な興行として成立させるには)、どうしたらいいか。

 総合格闘技という競技を、競技であるという前提を壊さずに、興行として成立させるには、競技自体以外の何らかの幻想を、付加するしかない。この「幻想」という言葉を、誤解をさける意味で補足すれば、「価値」と言い替えてもいい(さらに補足すれば、「競技」という価値観自体が、近世以降に発明された「幻想」なのだが、ここまで言い出すとキリがないので、ここではやらない)。

 他の競技を見てみれば、いい例はオリンピック。普段は見る気がしない、アマレスだって、柔道だって、オリンピックならば充分楽しめる(退屈さに耐えられると言った方が正解だが)。そして、オリンピックのない総合、日本の総合格闘技界は、ここを、基本的には「最強」という幻想と「プロレス」という幻想によって、この10年を持たせてきた。


 私見だけで言えば、今回のコンテンダーズは、実に実に面白いのだ。おれの見る目レベルが益々上がっているというのを差し引いても、前回より、外れマッチは少なかったし。ライト級トーナメントが、豪華な出場メンバーだったこともあり、ネットでも興行前・興行後とも、前回より、注目度は高かったように思う。

 ところがだ、だからこそ、出てくるんだな「つまんなかった」と言う奴が、ザクザクと。

 だから、前から言っているだろ『コンテンダーズは、このルールじゃ絶対に面白くならないことを度外視すれば、滅茶苦茶面白い』って。

 宇野商店とGCMが持つ、限りなくオシャレなイメージ。イベントしての練り込み具合(五味戦で音響が大シクジリをしたが)。総合界のここそこに、まるでエサが飛び込んでくるのを待つ蜘蛛の巣のように、派閥横断的コネクションを、張り巡らせつつある、GCMの組織としての成熟度。

 それらを持ってしても、このルールでは面白くならない。

 勿論、可能性は、垣間見せた。宇野とみのるの人間力。

 しかしだ。例えば、美濃輪の試合は、どんなルールでも、どんな興行でも面白くなる(と思う)。だからといって、誰もが美濃輪になれるわけじゃないのだ。だから、今回の、みのるや宇野の気合を、すべての選手に求めるのは、現実的には無理なのだろう。


 すべての総合格闘技興行は、興行主がどんな幻想を作り上げるかによってのみ、その興行の質と未来が決定する。

 コンテンダーズには、今のところ幻想がない。いい意味でも悪い意味でも。

 UWFを出自とするリングスやパンクラス、プロレス内格闘技としての路線をひた走るプライド、プロレスへのアンチテーゼをヒステリックに内包することでルミナやマッハを生み出しえた修斗。

 さて、コンテンダーズは、これから、どんな夢と幻想を見せてくれるのだろうか。




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