2001.6.8 全日本 日本武道館大会
■団体:全日本
■日時:2001年6月8日
■会場:日本武道館
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

カードが発表された時点でなんか乗り気がしなかった。かつては仕事を休んでわざわざ大阪迄見に行ったカードなのだが。
前の大阪では戦前あまり大きな話題にはなってなかったが(それでも府立体育館でsold outだったが)、行かないことを後悔しないで良かったという内容であった。勿論、個人的には天龍が勝ったというのもあるが。しかし、今回は結構話題になっている。これは確実にプロレスファンが勝ち負けよりプロレスの試合内容を重視するようになった顕れではないだろうか。この二人ならなんか見せてくれる。ただ、二人ともムタ戦も含め、過去4回ほどには動けないのは確実であろう。それでも、どう見せるかが注目したい点だ。

会場はアンダーカードのしょぼさもなんのそので、最終的にはほぼ8〜9割りの入り。主催者発表は、16,000人。金曜日だし頑張ったね。今回も花道を設置してあり、入り口のカーテンには巨大な馬場写真が。これだけは譲れないのだろう。

1.○渕 正信 平井伸和 バックドロップ→片エビ固め 5分35秒 キム・ドク ×愚乱・浪花

なんだかんだ言いながらもまたもキム・ドク。タッグでスタミナ切れにならないキムは結構見れる。試合はどうってことはないが、5分なら飽きずに見ていられる。だけど、平井がもう一つ芸がないな。あと2つなんか身に付けてくればと思うのだが。

2.藤原喜明 ×相島勇人 体固め 8分9秒 新崎人生 ○ジャイアント・キマラ

まずは人生・キマラ組の入場。聞き慣れた人生の入場曲で先頭が人生で後ろにキマラが。全日本の前座は寄せ集めだから仕方ないが、それでも違和感が凄すぎ。なんか異教徒コンビという感じだ。ただ、人生がいつものパフォーマンスをやっている時に、キマラがエプロンで邪魔をしないように待っているところ、なんかキマラの気遣いを感じ嬉しい。

そしてワルキュレーで組長組が入場。しかし、接点が無いという意味でここまですさまじいのも無いであろう。当然試合なんて全く期待できない。ちなみにレフリーが保永だというのも面白い。

しかし、これが意外にも無茶苦茶スイングした面白い試合となった。お互いそろそろ各人のスポットを分かって来たのか、それを自然な流れで出してくる。キマラも全く異次元の存在である人生をうまくフォローしてくれてなんかいい感じ。

そして組長は一人ファミ悪のような感じで、キマラのおっぱいを噛んだり、素足を踏もうとしたり、人生の拝み渡りの手刀を相島の代りに受けるが、頭だったので利かなかったというコテコテのギャグを見せて楽しませてくれる。

この日はもともと客のノリが良かったが、この試合で一気に場内は盛り上がる。なんか妙に居心地が良かった。

3.×荒谷信孝 奥村茂雄 エビ固め 8分40秒 ○マイク・バートン ジョージ・ハインズ

前回の武道館ではあまりのヤル気のなさが、妙に受けていた荒谷だったが、今日はなんか知らないけどヤル気満々。
試合はというと、いつもの感じだが、荒谷・奥村組のヤル気が空回りしている訳でもないのでいい感じ。荒谷・奥村組のタッワークはもともと悪くないのだが、今日を見る限りもっと進歩するような感じ。

まあ、カンナムのタッグは返上したらしいから、次はカナダより一回り大きいアジアに挑戦という所か。田中将斗にも触発されているみたいだが、身近の目標が出来たのはいいことで、どっかで殻を破れば大ブレークする予感が。

なんていうのは、私の欲目ですかね。期待しないで応援しよう。

4.○A・ブッチャー 片エビ固め 7分7秒 ×サブゥー

先に入場したサブゥーは花道をよちよち歩きをしているブッチャーを急襲。なんかブッチャーは試合前から歩くのがやっとという感じだ。

まずはサブゥーが凶器でブッチャーの頭うぃ突き、やっと形勢逆転という所で、今度はブッチャーが延々突くという感じの試合。途中サブゥーお得意の椅子攻撃もあったが、基本は凶器での頭の突きあい。

最大の見せ場はブッチャーがいざ反撃という時に、リング中央でシューズに隠していた凶器を取り出す所という恐ろしい試合だった。最後は転んだだけという感じの毒針エルボーで押しつぶして終わり。

それでダメだったかというと、たぶんこんなもんであろうと思っていたので、それなりに楽しめたし、ブッチャーへの会場の反応は凄いものだった。ただ試合らしく見せたのはサブゥーのおかげだけどね。ブッチャーの場合倒れたら起き上がってこれるのかこっちが心配になってしまう。休憩前の中締めとしては丁度いい。

花道をよちよちで帰ると、馬場写真の前でポーズ。そして観客に馬場コールをやるように促す。ブッチャーは大ベビーになっていた。


ここまでの所、試合時間も短いこともあり、サクサク進行してなかなか面白かった。長い試合だと勘弁してくれよという感じになる展開も、ダレた部分がほとんど無く、これなら十分見ることができる。そのため会場のテンションも結構高かった。ゴチャ混ぜ全日本もかなりこなれて来た感じだ。

5.○スティーブ・ウイリアムス マイク・ロトンド 片エビ固め 11分37秒 小島聡×ヒロ斉藤

前回の武道館で、メインの武藤vs川田を除けば、私の一番面白かった試合は実はウイリアムス・ハインズvsテンコジだった。カードだけを見ると気満載という感じだが、これが妙に噛み合い私のテンコジに対する評価は一気に上がった。特に小島のウイリアムス扱いがなんとも上手かった。

今日は双方メンバーを変えての戦いだが、やはりこれまた面白い。ウイリアムスの絶望的な迄の間の悪さを小島は上手くリードしてスイングさせる。よ〜く見ると小島は回りを見ながら上手く試合をコトトロールしている。ウイリアムスをこれだけ見せられる選手はなかなかいない。

試合は当然のように、ヒロ斉藤が何処でつかまるかということになるのだが、ヒロも結構ねばって、いい味を出してくれる。会場のテンションはこの試合でまた一層上がった。

しかし、バグウェルの時もそうだが、こういうバタ臭い、しょっぱい外人を扱わせたら小島は今日本一かもしれない。新日本の不幸はこういうキャラクターを上手く活用できないところにあるのではないかと思えてくる。大体T2000自体外人との混合チームなんだから、小島が新日本で外人と試合をやることはほとんどない。これはいかにももったいない。
小島は全日本の雰囲気が似合うし、上がつかえている新日本よりムトちゃんと一緒にこっちに来た方がいいのではないか。

6.新・アジアタッグ王者決定戦
垣原賢人 ○長井満也 片エビ固め 12分40秒 永田裕志 ×真壁伸也

個人的に問題なのはこの試合だ。とにかく、私としてはメインで天龍がムトちゃんに勝って欲しい。ということは、星勘定の配分的には「三冠シングル=世界タッグ+アジアタッグ」ということになろう。タッグのタイトルは両方くれてやってもいいから、三冠だけは死守してくれという感じで、この試合の結果がメインのブックに大きく影響するであろう。

というものの、やはり心はカッキー・長井組に。試合は昔のUインターとストロング・スタイルを足して2で割ったような展開。やっている人がそのままなので当たり前だが、あまりに当たり前過ぎて可笑しい。ただ、試合にはスピード感がありなかなか良い。

特にカッキー・長井と真壁の絡みは異様に噛み合うし、今日のストロングスはどうしても応援してしまうような頑張りであった。今迄指摘された純プロレスに不慣れな面もあまり感じさせなかったし、連係の呼吸も前よりも良くなっている。兎に角、細かい事はスピードと勢いでどうにかしてしまったという所が好感持てる。

フイニシュになった長井のスワンダイブ式の膝蹴りも説得力十分。長井がこんなことをするのかという驚きもあるのだが、沢村忠の真空飛び膝蹴りみたいで格好いい。ただ、「ハイパーニー・空牙」という技名はどうにかならないかと思うが。

新王者組は花道から引揚げるのだが、二人とも大喜びである。あそこまで喜んでもらうとこっちまで嬉しくなって来てしまう。今日はこの二人に◎を差し上げよう。

しかし、個人的にはこれではヤバイ。あまりに嬉しそうに引揚げる垣腹を眺めながら嫌な予感が膨れ上がってくる。

7.○川田利明 片エビ固め 15分10秒 ×天山広吉

だけど、考えてみると「三冠=世界タッグ+川田のジョブ」で多少は釣り合いが取れると考えられることも出来る。川田には少し気の毒だが。

天山も最近全日本の会場では大人気。なんか天山も新日本よりも全日本の方が馴染んでいるのではないかと思わせる。小島と一緒にこっちに来た方がいいのではないか。試合は1月の再現とはいかないが、まあまあの熱戦。ただこの二人なら、こういう展開になるだろうし、これくらいは出来るだろうという予想の範疇から超えるものは残念ながら無かった。

まあ、川田は病み上がりだから仕方ないし、川田のバチバチ攻撃に打たれ強い天山のコンストラストはそれなりに見せてくれる。

だけど、川田勝っちゃったのね。2日前の新日本武道館から、全日本軍は快進撃だなぁ。なんて喜んではいられない。これで相当ヤバイというかほぼ絶望的だ。全日本側が勝ち過ぎている。

8.世界タッグ選手権試合
○太陽ケア ジョニー・スミス(王者) 体固め 18分14秒 中西学 ×吉江豊
(挑戦者)

ここまでの結果で、この試合の勝ち負けなんてもう90%予想出来た。しかも試合中にそのパーセントは限りなく100に近くなってしまった。それ
は、中西のヤル気の無さだ。いくら今日はジョブしに来たからとはいえ、客にも分かるあの態度は良くない。試合中盤は中西を非難するヤジが集中していたが、あれは受けて当然だろう。途中からは吉江にずうっとやらせて交代もしないでやんの。二重に絶望的になってしまった。

先日の大阪プロレスでは、ライガーも他団体にジョブをしに来たのに、ここ最近見たことのないような動きで、会場を大爆発させてくれ、改めて高いプロ意識を感じさせて貰ったのだが、中西はその正反対。この人は観客やファンとかよりも現場監督にしか目が向いていないのかと思いたくもなってくる。まあ、これで評判が落ちたのは確か。今迄中西・永田とテンコジならば、私はどちらかというと中西・永田側だったのだが、ここ数ヶ月で完全にテンコジ側になってしまった。

まあ、それでもチャンピオン側はどうにか吉江相手に格好をつけようとするが、如何せん吉江では限界がある(ただ、吉江は中西と違って彼なりに頑張っていたけどね)。締まりのないまま終わってしまった。しかし、前回もそうだし世界タッグの防衛戦は少し内容がしょぼ過ぎるな。ただ、セミ前迄のところ会場も結構ヒートしていたので、お客さんも少し休むのには丁度いいかもしれなかった。

この日の試合内容だけで言えば、アジアタッグの方が遥かに権威のあるベルトに思えてくる。ただ、ここに吉江の名前が出てくる時点で何だかなという感じだが。

まあ、これでメインの結果もほぼ読めてしまう。なんかもう帰ろうかな。

9.3冠ヘビー級選手権試合
×天龍源一郎(王者) 体固め 23分24秒 ○武藤敬司(挑戦者)

ここまでの客観事実を積み重ねた上で考えれば、まず天龍の勝ちは無いだろう。
しかも過去の武藤との対戦成績は3勝1敗で、これを4勝1敗にするのはあまりに虫が良すぎる。まあ、敢えて言えば秋山とのシングルを三冠王者で迎えるということであるが、これは可能性的には低すぎる。という訳で、座して死を待つ心境である。

セミで若干冷えかかった場内も、武藤の入場でまた大歓声。声援は7:3で武藤という感じだが、前回の新日本大阪よりも天龍への応援は遥かに多
い。それにしてもお互い雰囲気プンプンで、これぞ横綱同志の対戦という感じだ。

試合はというと、過去の3戦に劣らないボルテージ。まあ、そりゃあ昔に比べれば天龍の動きはかなりしょぼくなったが、気なる程の事でもない。武藤の方も一昨日の馳戦を見た人の感想では鉛のように重かったということらしいが、全くそんな事を感じさせないメリハリの利いた動きであった。というか、手の内を知り尽くしている同志がお互いの動きのしょぼい部分を補完しながら試合を組み立てている感じだ。

だからと言って、この二人の場合単なる予定調和的な動きになるなんてことはない。お互いを補完しながら常に高度な裏の読みあいみたいなものが行われており、そこが勝負のアヤとなっており、二人とも前とは同じ試合をやらないという感じだ。天龍は前回のスパイダー、雪崩フランケン、
ノーザンライト・ボムに続き今回は低空ドロップキックで来た。
ムトちゃんは相変らずの膝への集中攻撃だが、低空ドロップを片足をちょこんと上げて避けられるので、この日はオーバーヘッド・キックや逆回し蹴りを多用していた(これはマジ)。

それとこの二人の戦いで感じるのが、プロレスで良く言われる相手への信頼感である。相手がどの程度攻撃を耐えることが出来るかであるが、これは言葉の聞こえはいいが、信頼が高ければ高いほどその代償はえげつない攻撃で帰ってくる。まあこの二人はよっぽどお互いの信頼感が高いのか、手加減に無しでやってくる。天龍から雪崩のフランケンを食らことが出来るのは武藤だけだし、エプロンでのドラスクには全くの躊躇もないし、日本でラウンディング・ボディー・プレスを使うのは天龍にだけであろう(私としては、そこまで信頼してくれなくてもいいという感じだが)。

まあ、試合は終盤いつもの総力戦となり、紙一重の差で武藤の勝ちという所だが、しかし後半はただ指を加えて見ているしかないという感じだ。20分近くになっても双方ほとんど動きが落ちることもなく、23分の間全く飽きる所がなかった。最後の結果が逆になれば、私としては最高の興行になったのだが、こればかりは仕方ない。

しかし、終盤どうせ今日はジョブ濃厚なのに、天龍は全く手を抜くこともせず、なぜあそこまでとことん試合を作り上げるのか見ている時は少し不思議であった。何ももうそこまでやることはないのに。天龍のプロ意識のなせる技なのか、三冠王者としてのプライドなのか。今後三冠戦を名乗るタイトルマッチを行なうのなら、このくらいのボルテージの試合を維持するか、それ以上の試合をやってくれというメッセージであったのか。

メッセージを意図していたのなら、いかにもミスタープロレスらしい。

あと、今後の天龍の去就なんて私には聞かないで下さい。私には分かりません。もういいかなと思いながらも、やはり秋山戦も見てみたいし、川田も三冠を取るなら天龍から取って欲しい気もする。武藤や小島の動きも含め、今後の元子劇場に期待しましょう。

あと、これならば分裂前の全日本武道館と全く遜色無いのではないか。




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