2001.5.13 GAEA 後楽園ホール
■団体:GAEAJapan
■日時:2001年5月13日
■会場:後楽園ホール
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

結果的に前回の川崎大会での後ろから3試合で負けた3人が欠場ということになってしまった。昨年から熾烈な戦いが続き、ここの所選手も疲れ気味でそれが一気に出て来たようだ。

これにより、この日の欠場は、長与(左肩外傷性反復脱臼)、デビル(左ヒザ靭帯損傷)、北斗(オーバーホール)、園子(左ヒザ半月板損傷及びオーバーホール)、シュガー(右ヒザ靭帯断裂)の5人となったため、一週間前になってもカード発表が無く、相当苦戦しているんだろうなと思いきや、なる程なというカードを出して来た。

ゲストを入れず、一期生3人と飛鳥、アジャといった5人の選手に2試合させることにより、普段と大して変わらないカードとなっている。いくら頭数が減ったとはいえ、まだビッグネームは残っている訳だから、例えば飛鳥を軸にベテラン同志のシングルをマッチメークすれば目玉のカードなんて簡単に作れるだろうがそんな気配もない(飛鳥軸のシングルというのは今後あるかもしれないが)。その上で、一期生3人が1日でおのおのタッグを組むという趣向はちゃんとこらしている。

この開き直りとも思える姿勢は、左肩の手術を行い長期欠場を決定した大将長与の週プロのインタビューで良く現われており、この場に及んで妙に面白かった。

「ずいぶん欠場選手が出てGAEAも正念場?そうでもないよ。」
「ただ、選手が少なくなったからといっても、他団体から選手を借りたりはしない。フリーを含めて残ったレギュラーで回していく。」
「大体、この2年くらい後楽園が毎回のように超満員だったのが、このご時世ででき過ぎだったと思うよ。」
「それで超満員にならなかったとしても、それが現実。それをどう受け止めて、遊び心を持ってできるか。けど大丈夫でしょ。長与のファンだけで席を埋めてきたワケじゃないから。個々の選手の魅力の合計じゃなくて、GAEAという場を見に来てくれた人たちで埋めてきたんだから。むしろ、こういう時のGAEAだからこそ、何をやってくれるんだろうと逆に期待する人たちが、会場に来てくれると思うから。」

「個々の選手の魅力の合計じゃなくて、GAEAという場」という考え方は面白い。音痴なボーカリスト、3コードしか弾けないギタリスト、8ビートしか叩けないドラマーと、個々の技術は最低部類だけど、5人集るとローリング・ストーンズになってしまう例もあるから。これだけの欠場者を招いてどういう「GAEAという場」を作ることが出来るのかは興味深い。

それにしても、長与のこの発言は自信から出て来るのかもしれないが、この開き直りも甚だしい姿勢はファンとしては痛快だ。個人的には最近はブックや流れが読め過ぎて少しトーンダウン気味だったのだが、今回の興行は久し振りに何が起るか分からないという期待感を持って見に行った。勿論、大外しという可能性もあるが。


会場はさすがに人は減った。客席にも空席がポツポツと出来ている(主催者発表1700人、もう少し多いと思ったが)。まあ、いつものロビーでの芋洗い状態でなかったのはかえって良かったが。

まず、珍しく里村、永島、植松、竹内の4人がGAEAのTシャツで登場し、里村が挨拶し、こういう状態ですが、自分達が支えていきますので応援よろしくお願いしますというようなことを言う。そして4人で円陣を組んで行くぞーと(昨年の文体でセミで永島が尾崎に勝った後にやったやつね)、なんか知らないが気合いが入っている。ちなみに広田はいませんでした。この日のレフリーは全試合伊東レフリー。


1.アジャ・コング ○山田敏代(14分09秒、スタンド式羽折り固め )里村明衣子・植松寿絵×

私の今回のシチュエーションでの注目は植松。この状況でどうにかしなければ今後浮上のタイミングは無いだろうというのもあるが、ここの所植松が少し低迷していたのは、増やした体重に植松特有の早い動きがついてこれなかったというのがあったのだが、最近やっと今の体重に慣れてきて今迄のキレが戻って来たというのがある。飛び技の飛距離も伸びて来たし。ここは植松にとって絶好のチャンスであろう。

試合はアジャと里村からだったが、里村のいつにも増してのヤル気が妙に可笑しかった。まあ、自分がやらなきゃ仕方無いだろうという感じなのだが、こういう時は逆に気負ってしまってしょぼくなるものだが、里村の場合気負いながらも逆に溌剌としていて、アジャと互角以上にやり合っていた。大した娘だ。

植松もスピードでアジャを撹乱。永島並みとまでは行かないが、今日の植松は動きが早いしキレも良くなっている。アジャに例の変形コブラ・クラッチなんて決めたりしてなかなか。

いつものように山田と植松の一騎討ちモードになるのだが、二人とも心なしかいつもより動きが良く見え、会場は第一試合なのにセミ、メイン並みの盛り上がりであった。結果はどうであれ、里村と植松の生き生きした動きが印象的な好試合。


2.○ライオネス飛鳥(6分42秒、フリーバードボムから片エビ固め)竹内彩夏×

前回の対戦では飛鳥はガウンでなくクラッシュTシャツ、マイテーブルなしで入場したが、今日はいつものガウンに机を持って入場。

竹内の場合こういう先輩と試合をする時は、試合前の握手で必ず「お願いします!」とお辞儀をして始まるのだが、この日もお辞儀をしていきなりエルボーを入れる。なかなかやるじゃん。

前回、飛鳥は竹内に何もさせず、いたぶるだけいたぶったのだが、今日は竹内に攻撃させる。腕ひしぎの時に一瞬顔色が変わったくらいで、あとは余裕で受けていたが。最後はフットスタンプ・ウィズ・机からフリーバードボムで少しあっさりとピン。まあ、あのフットスタンプが相当利いたのだろうが。

飛鳥がフットスタンプを出す時、会場からなにも竹内にそれを出さないでもいいのにという感じのどよめきが起きたが、これは飛鳥が竹内のステップアップを認めた証なのであろう。

試合後に起してもらって張り手を一発食らう。竹内はすかさず張り替えし、その後握手。まあ、最近の竹内の試合に外れはないな。


3.尾崎魔弓 ×KAORU(12分秒9 ドラゴンスープレックスホールド)○植松寿絵 永島千佳世

この日、私が一番注目していた試合。第一試合でも言ったが、この日の注目は植松。特に最近直線的な山田との絡みが多かったので、同じくらいの体重で、どちらかと言うと技巧派のこの二人とやるとどうなるか。そしてもう一つは当然KAORUのニューコスチューム。あれは近くで見てみたい。

試合は場外戦から。御丁寧にKAORUお姉さんは会場中にニューコスチュームを披露してくれるサービス振りでした。だけど、あのコスチュームは反則だな。試合中も気になって仕方ない。もしKAORUがミクスド・マッチに出たら大変な事が起きるかもしれない。

リングに戻ると、もうとんでもないスピードの展開。まず一回見ただけでこの展開を書ける人はいないでしょうという感じ。2試合目の植松も全然スピードは落ちないし、永島は相変わらず。兎も角4人とも動き回る。基本的に永島は誰と組んでも上手いんだけど、植松とのコンビもかなり相性がいい感じだ。ベテラン勢に思うようにやらせない感じ。試合中の凶器の使い方もひねりが利いていて高水準な攻防であった。

最後は机片に気を取られていたKAORUに植松が渾身のドラゴン・スープレックスでピン。場内はこの日一番の大歓声で、セコンドの里村も入って3人で大喜び。

試合後にアジャ、関西、山田がリング下に来てアジャが、「おい、尾崎、KAORU。お前ら凶器ばっかに頼っているから凶器にもてあそばれるんだよ。仲間が減って、二人だけになってお前らも終わったな。」「植松、今日はおめでとう。これで少しは面白くなったな!」
すると植松が「アジャ、関西、・・・山田。どうもありがとう。でも次こうなるのはお前らだからな。待ってろよ!」
試合中も良かったけど、マイクでもやってくれたね。今日はマイクも説得力十分。だけど、いくらなんでも山田を忘れそうになるのは酷だな。

まあ、僅差だけどこの日のベストバウト。

ここで休憩。ここまでの所、いつもと変わりないというより、いつもより遥かに面白い。


4.○ライオネス飛鳥(6分59秒、ライガーボムからエビ固め)×広田さくら

前回の川崎では、GAEAに復帰すると言っていた広田だが、チームクラッシュの控え室には入れてもらえず、廊下をウロウロしていたらしい。名前も一応、さくらに変えたみたいだけど。

まずは、スクリーントーク。ギを着た白覆面が登場。
いきなり「昨日、闘龍門ジャパンのストーカー市川に先を越されてしまった」と悔しそう。「飛鳥、今日お前に言うことは3つ。私はこれからローンウルフとしてやっていく(結局、何処にも入れてもらえなかったんだろうな)」
「今日はHHHの2冠を期待していたようだが、私は100%勝てる相手としかやらない」
「今日、私に負けたら改名しろ」といってスケッチブックが映り、”ライオネル飛島”と書いてある。ライオネスからライオネルにしろということかと思ったら、「らいおねる、とびしま!」だって。

この日はコスプレでは無いのだが、ピンクの羽毛みたいなのがたくさんついているコスチューム。なんだか良く分からないけど、とにかくこれが試合中に飛び散るのでリングサイドのお客さんは手をパタパタやっていた。ありゃ、大迷惑だな。アトピーの人がいたら大変なことになるだろう。ただ少し可愛かったけど。ちなみに広田は今迄レスリングシューズで試合をやっていたのだが、今日から新調のリングシューズに。ピンクの桜のマークが入っていてこれもなかなか似合う。

試合前に、飛鳥「マジで少し可愛いよ」
広田「最近、良く言われるんですよ!」だって。図々しい女だ。

試合は握手と見せかけて広田が裏拳をハードヒット。今日の飛鳥は2試合ともこのパターンでスタートだ。いきなり飛鳥がジャイアントスイングをかけようとすると、いつもの足のバタバタで逃げるがそのまま”レ”の人文字を。調子にのって伊東レフリーに”イ”をやれと強要。仕方なく伊東レフリーも”イ”をやったが飛鳥は笑って見ている。それに対し伊東レフリー「おい飛鳥、恥ずかしいからお前も早くやれ」と言うと、飛鳥は「イメージがあるから」と断るが、会場のリクエストで”ク”をやらされるハメに。以前、長与は広田に試合中に「お前、気付いて無いらしいがお前ももうイロモノになっているんだよ」と言われ、飛鳥に「お前もそのうちな」と言われていたが・・・

ただお笑いはこのくらいで、あとは意外に普通の試合に。まあ、飛鳥を怒らせちゃったんだろうけど、当たりもいつもよりきつめ。ほとんど飛鳥の一方的な展開だったが、広田は腕ひしぎやパワーボムを切返してヒザ十字なんかを出す。まあ、相手が油断しているというのもあるかもしれないが、この入り方はなかなか大したものだった。

試合後リング上はピンクの羽だらけに。そしていつものように植松と竹内が広田の後始末をやらされるハメに。
中島リングアナ「リング清掃を行いますのでしばらくお待ち下さい」これまた毎度のことだけど。


5.アジャ・コング ○ダイナマイト関西(11分07秒、グリーンフォールから片エビ固め)里村明衣子 ×永島千佳世

この日、関西以外は全員2試合目。だけど、そんな雰囲気はほとんど感じられない。だけど、里村の場合ただでさえ1日2試合はきついと思うが、2試合ともアジャが相手というのも大変だな。しかもパートナーが関西。これって園子をボロボロにしてクラッシュとやったチームではないか。

まず関西が「里村出て来い!」と要求すると、案の定永島が出て来る。ならばと関西がアジャに交代すると里村が出て来て、組み合う前から頻繁にタッチを繰り返す小癪な作戦で相手を翻弄する。まあ、これでデビルさんをキレさせたんだろうけど、実際頭来るんだろうな。里村と永島なんて相手にしてみれば顔見ただけで腹が立つだろうから。

しかし、一度組み合うといつもの展開になる。パワーとトリッキーな動きの応酬で里村・永島組は互角以上の攻防を。この日アジャも結構永島にやられていたような感じがする。
後半は永島・関西と里村・アジャの2試合をやっているような感じになるが、永島がスプラッシュのハイジャック・バックブリーカーの体勢からウラカンに切返した所は芸術的であった。最後は里村がアジャの裏拳で半失神状態になり、アジャもその後ほとんどグロッキー状態になる。

その間に、永島がグリーンフォール(みちのくドライバーみたいなやつね)を食らってピン。まあ、この日1試合だけの関西が最後にスタミナが残っていたということだろう。みんな2試合とも良く動いたもん。

試合後に、セコンドの植松が上がって来て「こんなもんで終わったと思うなよ!」
アジャ「望むところだ。こんなもんで終わってもらったらフリーの私たちは商売上がったりだ。」
するとフラフラの永島が「お前らみんなカマしてやるよ!」
アジャ「いいね、その言葉、気に入った。言ったからには肝に銘じてカマしてみろ!」
だけど、カマしてやるって何だろうね。シュガーの骨抜き以来の可笑しさだな。いつものようなやり取りだが、いつものようにギスギスした雰囲気でなく、どちらかというとアジャが彼女達にエールを送っているという感じで、いつもと違う何となく明るい雰囲気だった。

しかし、アジャ・関西が引き上げようとすると、いきなり通路から尾崎、KAORU、ポリスが乱入しアジャ缶を奪い取り、アジャとリング上の里村を急襲し、KAORUが「これからはうちらが回していくんだよ!」とマイクアピールし、とっとと撤収するが、これは少し説得力が乏しかった。でもこれで3軍抗争ということが明確になった。

最後に永島が「GAEAはこの3人で守って行きますので、これからも宜しくお願いします」と言うと、客席から「竹内は?」という声が。慌てて竹内も呼び寄せて4人でまた円陣を組み、四方に挨拶をして終わり。GAEAらしからぬ爽やかな終わり方だけど、昨日の闘龍門もそうだけど、最近ごちゃごちゃした展開が多かっただけで逆に新鮮な感じだった。

まあ、守るという言い方が少し気になったが、この日に限って言えば、実際はこの人たちに守ろうなんて意識はあまり感じられない。多少の気負いはあったとしても、危機感から来る悲壮感なんていうのは全く無く、それよりこのシチュエーションを楽しんでいるかのようで、4人とも実に生き生きとしていたし、今日の試合はどれも高水準であった。それよりも新しい「GAEAという場」を作ろうとしているという感じだ。
それとここに来て、一期生の3人がベテラン勢に対して名前負けしていないのもいい。

ところで、チーム・クラッシュはどうなったのであろうか。今日はチーム・クラッシュという名前を出していないし、あくまでもGAEA正規軍という感じで戦ったようだが、飛鳥抜きというところがかえって彼女たちを引き立たせた。

実はこの日の一期生のタッグのセコンドには飛鳥は付かなかった。里村達4人も今日は全員GAEAのTシャツを着ていたので、GAEA正規軍ということで飛鳥は入らないということなのだろうか。そういえばもう一人一匹狼とか言っていた人がいたけど、その人と組むのかな。組んだら凄いと思うけど。京子と組むというのは勘弁だな。いずれにしても次のカードに注目といったところだろう。

冒頭に引用した長与のインタビューは次のように締められている。
「前から一度やってみたかったんだけど、ちゃんと自分でチケット買って、客席からGAEAを見てみたいね。客席からお金を払って見たGAEAは、自分の目にどう映るんだろうって。」

この貪欲さがGAEAを支えているのだろうけど、その精神はこの日も感じられた。取り敢えず底値は打ったという感じで、次への期待は高まって行く。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ