彰俊が見せた「維震魂」 5/12 NOAH ディファ有明大会観戦記
■団体:NOAH
■日時:2001年5月12日
■会場:ディファ有明
■書き手:愚傾(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 前回の後楽園大会(詳しくはこちらこちら)を見逃したことがいまだに悔やんでも悔やみきれない(とはいえSHINOKI祭りも凄く面白かったんだけどね)NOAHの五月シリーズ開幕戦。

 同日に後楽園で行われる予定の、マグナムTOKYOとCIMAの初タッグ、斎藤了とビッグ・フジの決着戦が組まれた闘龍門の興行を蹴ってまでこちらを選んだのには、まぁ日付も確認せずにチケットをダブルブッキングしてしまったメモ8さんからNOAHのチケットを譲り受けたから、というのも勿論あるんだけれども、やはり前回の後楽園大会を見逃したことの無念を晴らすため、というのが大きい。

 試合開始時刻の六時を五分ほど過ぎて会場に到着。入り口の係員が「まもなく第一試合が開始しますのでチケットをお持ちの方はお早めにお入りくださ〜い」などと叫んでいるので大急ぎで中に入ると、この日が復帰戦となる小林健太が既に第一試合のリングに上がっていて、対戦相手の丸藤がテーマ曲に乗って入場する真っ最中だった。


 第1試合 20分一本勝負
 ○丸藤正道(12分28秒 不知火〜エビ固め)小林健太×

 いやぁ、珍しく第一試合から観れた。やっぱりプロレス興行はなるべくなら第一試合から観たい。

 プチ健(=小林)は復帰戦ということで、思うところがあったのか髪の毛を茶髪にしていた。これでますます女性ファンが増えるんだろうな。惚れ惚れするような若々しい肉体美も健在。NOAHはこの人のビジュアルを存分に生かすことのできるようなメディア戦略をいまのうちから考えておくべきだろう。いずれ、丸藤とともにNOAHを支えていく存在になるのはまず間違いのないことだから。

 で、このカードは目の肥えた他団体のプロレスファンにも、プロレスなんていままで観たこともないような女の子とかにも自信を持って薦められるカードなんだけど、この日はちょっと消化不良か。
 なんといってもプチ健のスタミナ不足が顕著すぎた。まぁこれについてはキャリア一年たらずで、なおかつ怪我からの復帰戦ということを考えればしょうがない部分もある。ならば、丸藤がもっとプチ健を「休ませる」ような場面を作ってやる必要があったのではないか?
 各種ラナ系の技で瞬間的に場を盛り上げるも、その後が続かないプチ健。フィニッシュ間際に最後の力を振り絞ってラッシュをかけたあたりでは場内の空気もそこそこ盛り上がったものの、最後は丸藤が不知火であっさりめのピン。

 やっぱり飛び技が持ち味のこの二人に第一試合を務めさせるのはあまり得策ではないし、二人の対戦がこの程度の盛り上がりしか作れなかったのも、このカードが一年もしくは二年後にはGHCジュニア王座の看板に、十年後にはいまの小橋vs秋山のようなNOAHの目玉カードになるであろうと確信してる者としても悔しい部分がある。

 とりあえず、半年後くらいに、もう一度このカードを見たい。


 第2試合 30分一本勝負
 菊地毅、×橋誠(13分52秒 ムーンサルトプレス〜片エビ固め)金丸義信○、青柳政司

 シュールな試合だった。ある意味、この日の裏ベストマッチともいえる。

 まずは青柳。花道の攻防で菊地と橋につかまり、ツープラトンでリングに向かってハンマースルーで投げられる。かなりのスピードで花道を走っていたが、リング手前で失速。トボトボとした歩調でリングに入ったかと思うと、花道であっけにとられる菊地と橋に向かって「なにやってんだオマエら?」と言わんばかりの表情。ここでまず一つ「プロレス文法」が崩壊。

 リングに戻った青柳は橋に強烈なキックを浴びせる。コーナーに追い込まれる橋。しかし休まず蹴りをブチ込む青柳。そこにコーナーに控えていた菊地がカットのため、エプロンから青柳にハイキックを浴びせようとする……んだけど、足が上がらず全然届いてない。またまたプロレス文法が崩壊。

 さらに菊地はその後、場外で橋に攻撃を加える金丸をカットするため自らも場外に降りる。ストンピングを浴びせる金丸の背後に近寄った菊地が取り出したものは何故かTVカメラのケーブル。そして、そのケーブルで中途半端に金丸を縛る。世にも奇妙な方法でカットに入られた金丸はリングに戻り、何故か片手でガッツポーズを作りながら「ヨッシャー!」と一喝。っていうか、どう見てもヨッシャーと言えるような展開じゃなかったんだけど……。またもやプロレス文法の一つが崩壊。

 最後には、菊地を場外でダウンさせた青柳が、そのまま花道側のエプロンでそのまま待機。そのとき、パートナーの金丸が橋に攻め込まれていたにも関わらずカットに入る素振りはまったく見せず。そしてそのまま花道を引き下がり、控え室に帰ろうとする。おお、仲間割れか?と思いきや、控え室には戻らずに入場ゲートのところで立ち止まってリング上を振り返る。形成に逆転した金丸がムーンサルトで橋をフォールしたのを見て、勝者金丸につっかるでもなく、「うむ。よくやった」という感じの表情で頷いてみせる。「なんじゃそりゃー」と心の中で叫ぶ観客達。数々のどんでん返しでプロレス文法を崩壊させまくった迷勝負は、ラストにも大ドンデン返しを組み込むことでプロレス文法を完全に崩壊させてみせた。

 たぶん、これがインディーのマットで行われたら抱腹絶倒の試合だっただろうなぁ。NOAHファンの多くは綺麗なプロレスばかり見てきた人たちなので、この面白さがイマイチ伝わりきらなかったようだが。

 試合後、勝者・金丸はコーナーに上がり、ヘソの前で両手で輪っかを作って「ベルトを巻くぞ」のポーズ。夏に開催予定のGHCジュニア王座争奪戦に向けてのアピールを行うが、これに黙ってないのが同タイトル争奪戦の優勝候補の一角(だよな? これまでの実績から言えば)である菊地。
 リングに降りた金丸に向かって「オレ、オレが巻くんだっちゅーの!」といったキャプションがよく似合いそうな表情と仕草でアピール。しかし金丸も「え? い、いや、オレっすよ」といった具合でアピールし返す。

 GHCジュニア戦が(別の意味で)楽しみになってきた。


 第3試合 30分一本勝負
 ×百田光雄、ラッシャー木村(9分16秒サムソンクラッチ返し〜エビ固め)永源遥、浅子覚○

 いつもなら「つきあわされる若手が不憫」だの「やっぱ百田男の野次が無いと辛いなぁ」など思いながら渋々見ているこのカード。今日は何故か楽しめた。それが自分自身が精神的に余裕があったからなのか、それとも選手それぞれの動きがいつもよりハツラツとしてたからなのかは不明。
 おそらく、ベテラン三人組につきあわされてるのが将来有望な若手じゃなくて、将来性に乏しい中堅まっしぐらの浅子だったからというのが一番大きな理由かも。


 ここで休憩。
 闘龍門後楽園大会に食われるかと思ったが、ほぼ満員の客席。立見席も一列めのスペースは埋まっていたようだった。


 第4試合 30分一本勝負
 池田大輔、×川畑輝鎮(5分38秒 450スプラッシュ〜片エビ固め)ベイダー、スコーピオ○

 今日も元気なベイダーは選手コール後、スコーピオに促されてマスクを客席に投げ込もうとする(余談だが、グッズコーナーで売られているベイダーマスクの値段は一万五千円)。
 東側を向いたかと思えば西側に振り返り、そして花道を引き返して北側の客席に向かって「こっちかなー? あっちかなー?」と観客のヒートを買う。
 さんざん煽りまくったが、結局マスクは花道すぐ横に座っていた小さな子供に手渡しでプレゼント。しかも自ら被せてあげるというサービスつき。そのまま子供を抱きかかえたりと、場内を優しく暖かなな空気で包む。が、ちょっと優しく暖かいにもほどがあるというか、ゴングが鳴っても子供を抱きかかえたまま席を立たずに子供をあやしつづけるベイダー。スコーピオとダイスケも「ったく、しょうがねぇなぁ」といったカンジで試合を始める。

 ほどなくして、ベイダーがようやくコーナーに控える。このあたりでダイスケの「イナズマ!」が炸裂。「あ、こりゃ五分で終わるな。ダイスケも『今日は早く終わっちゃうから今のうちにやっとけ』って思ったんだろう」などとと思っていたら、案の定その通りで、スコーピオのタッチを受けたベイダーは大暴れ。川畑を腕パンチで、ダイスケをショートレンジラリアットで吹き飛ばし、最後はベイダースプラッシュで虫の息となった川畑を、旋回式ボディプレス〜450スプラッシュ(ファイヤーバードスプラッシュと同じ技……というかもともとこの技はスコーピオが新日時代に「スコーピオスプラッシュ」として使い出したものなんだが)でピン。

 まぁいつものVADER TIMEといえばそうなんだけど、ちょっと不満が無いでもない。
 というのも、ベイダーが子供の席からリングに上がるタイミング。このときベイダーは「普通」に戦いの輪に加わっていったわけなんだけど、手前はこれが気に入らない。せっかくの良いシチュエーションなんだから、せめて「スコーピオがダイスケと川畑に二人がかりで攻め込まれる」→「しかしベイダーは子供に一生懸命でリング上のピンチに気付かない」→「さらにスコーピオが攻め込まれる」→「それでもベイダーは気付かない」→「いよいよスコーピオがピンチ」→「ようやく気付いたベイダー、リングに入ってダイスケと川畑を蹴散らす」というスポットを設けるべきだ。
 そうすれば、ベイダーの「子供好きな優しい大男、しかし暴れ出したら止まらない」というキャラクターだってもっと明確になると思うんだが。


 第5試合 30分一本勝負
 佐野巧真、×杉浦貴(13分45秒 アックスボンバー〜片エビ固め)大森隆男○、高山善廣

 さて、PRIDE参戦まで二週間あまりとなった高山だが、シリーズを欠場して総合格闘技の練習に専念するでもなく、いつも通りにプロレスラーとして巡業に参加し続ける。
 これについては賛否両論あるだろうが、個人的には「二足のわらじを同時に履く」のはあまり好きじゃないので、ここは「勝ち」を目指して練習に専念して欲しかったというのが正直なところ。「オレの中ではどっちも区別なく、両方ともプロレス」と言えば確かに聞こえはいいが、手前は高山のそういう「プロ意識」よりも「勝利」をファンとして観たい。まぁ、高山自身の決断なのだろうから、手前としてはそれを見守るしかないのだが。

 で、この試合。
 先発を買って出る高山の姿を見て、「俺が行く」といった具合に杉浦をコーナーに下げる佐野。客席の一部から「Uインター」という声が飛ぶ。そういえばNOAHのリングでは初対決か? まぁインターとかキングダムでこのカードが実現してるのかどうかは知らないが。
 個人的にも旗揚げ興行のセミで垣原と対峙したときのように、両者アップライトで構えたり、掌底やローキックから探りあうといったムーブが見たかったが、二人とも「現在」に拘ったのかそこまでコテコテの「U」は見せず。グラウンドの展開を若干見せた程度にとどまる。
 これに大森も触発されたのか、よせばいいのに佐野相手にグラウンド勝負を挑む。が、即座に「俺のキャラと違うし」と悟ったのか、いつも通りにスタンドでのエルボーを打ち込む。

 レスリングといえば、高山は杉浦にも相手の土俵で勝負を挑んでいく。スタンドとグラウンドで「試す」ようにやりあったあと、杉浦が「プロレスリング」に引き込む。強烈なスピアーで高山を倒してインサイドへ。張り手を見舞うも高山はあっさりとスイープ。逆にマウントを奪ってエルボーを叩き込む。
 この後にも高山は下から腕ひしぎをしかけたり、お返しとばかりに杉浦も腕ひしぎから三角締めと「あっち」のほうを意識した動きをチラリと見せるが、三角をかけられた高山がそのままの体勢で杉浦を持ち上げ、そして前に落とすという、先のGHC決勝戦でも見せたムーブを皮切りに、「こっち」のほうの試合へ。

 終盤、杉浦が「中年ズリフト(俵返し二連発)」で大森を投げる。杉浦は一つ一つの動き、技、たたずまいは素晴らしいものがあるが、やはり技のつなぎは甘い。もっとも「デビューして四ヶ月かそこらの若手(Copyright by アレク)」にそこまでの注文をつけるものではないと思うが、そういうことを言いたくなるほど杉浦の存在感が新人離れしてるということ。
 ちなみに、杉浦はこの日は白のショートスパッツを着用。青の吊りパンや黒のショートスパッツよりも手前はこっちのほうが似合ってると思った。

 と、まぁ話が高山と杉浦に集中してしまったが、後の二人も存在感が薄かったとかそういうことはまったくなく、この日から中途半端なアレじゃなくて完全なモヒカンにした佐野は勿論、入場から退場まで尖がった空気を放出し続けた大森も、その動きの良さで沸かせていたことは付け加えておきたい。

 最後はフルネルソンバスターを外してロープに飛んだ杉浦をカウンターのアックスボンバーでぶっ飛ばした大森がピン。


 セミファイナル 45分一本勝負
 秋山準、泉田純、×志賀賢太郎(20分16秒 アメーズインパクト〜片エビ固め)斎藤彰俊、森嶋猛○、力皇猛

 この試合が凄かった。もう空気の熱いこと熱いこと。
 入場は「たけし軍団withアキトシ(個人的仮称=以下TwA)」が先。リキ、森嶋、アキトシの順番で一人ずつ。
 続いて秋山組がシガケン、泉田、秋山の順に入場。

 先の後楽園大会メイン終了後に乱入、下克上宣言ともいえる行動を取った(んだけど突如の大噴火した田上火山のアオリをモロに食らった)TwAに対し、シガケンと泉田は敵意を剥き出し。入場するやいなや、シガケンは森嶋に、泉田はリキにそれぞれつっかかる。そんな二人を横目に一人クールな秋山をアキトシが睨みつける。いいねぇいいねぇ。スポーツライクなプロレスも勿論良いけど、「いい汗」だけを見たいのならプロレスなんか見ないほうがいいんだから。

 先発はリキと泉田。体格に勝るリキがタックル合戦を制すが、泉田はヘッドバッドをゴツンと入れて反撃。リキは最後の一発が効いたのか、すぐにコーナーに下がって森嶋にタッチ。
 ひょっとして泉田、マジで入れたか?
 そう邪推してしまうほど、泉田のリキに対する表情は厳しいものがあった。

 森嶋とシガケンの張り手合戦。いつものシガケンなら、ここで一方的に攻め込まれて「しっかりしろよシガケン!」という声が場内から飛ぶところなのだが、この日のシガケンは一味違った。体積が三回りくらい違う森嶋相手にもビビらずに(まぁ先輩レスラーなのに「ビビらずに」も無いもんだが)張り手とエルボーを叩き込む。
 シガケンのヒジが鋭角に入ったのか、森嶋の顔面に鼻血がにじむ。しかし森嶋もこんなことでは引かず、意地になってシガケンの顔面を張ってみせる。
 三番目のからみはアキトシと秋山。おお、試合前の睨みあいで作った一人一人の対立構造の図式をちゃんと成立させてるじゃないか。初めてのトリオ編成にしては「六人タッグ」をわかってるじゃないかTwAよ。

 それにしても、この三つの意地の張り合いはとにかく凄まじかった。ハードヒットな打撃は勿論、「負けられない」という意地が強烈に浮かび上がっていた表情に、会場のボルテージは上がりまくる。この日は天気も良く、為念としてリュックの中に忍ばせておいたトレーナーにも袖を通さずに半袖Tシャツ一枚で過ごせたほど気温が高かったのだが、この試合が行われてる最中はそのTシャツすら脱ぎたくなった。たるんだ腹と汚らしい胸毛と腹毛(ギャル語で言えば「ギャランドゥ」)を人前にさらすのは気が引けるのでやめといたが。というかそもそもプロレス会場で上半身裸になる客っていうのもあんまりいないし褒められた行為じゃないし。

 そんな感じで、五人が五人とも凄まじい「意地」を見せ付けるなか、後輩(実はアキトシのほうがプロレスデビューは早いんだが)相手にムキにもなれない秋山は、一人クールに、それでいてエゲつなさすぎる角度の締め技で存在感を醸し出す。
 圧巻だったのは、秋山の顔面を執拗に狙うリキの張り手に対し、それを最後まで受け続けながらも倒れず、根負けしたリキがロープに走ってタックルを見舞おうとしたときに、それをカウンターのニーパットで迎撃、リキを倒したあとに両手で自分の顔面を涼しい表情でパンパンと払い、「効いてねぇよ」といった仕草を見せたところ。元力士が手加減せずに打った張り手が痛くないはずがない。それを最後まで倒れずにこらえた上で、格の違いを誰の目にも明らかに見せ付けた、このアピール。
 秋山のレスラーとしての充実度は、もはやNOAHという団体の枠を出かねない、というか、ひょっとしたらもう出てるのかもしれない、と思った。

 最後はノド輪落としからアメーズインパクトと畳み掛けた森嶋が、カウントワン、ツー、スリーの大合唱のなか、先輩・シガケンをピン。熱戦に終止符を打った。

 しかし、本当にテンションの高い試合だった。先の修斗後楽園大会で買った三島ド☆根性ノ助Tシャツ(このTシャツは最近のお気に入り。ReMix代々木大会にも着ていった)も汗でびっしょりである。
 手前は先の有明大会観戦記の中で、「コンビ結成はまだ早い」というようなことを書いたが、この日のようなテンションを維持できるのであれば、その言葉は喜んで撤回したい。チームリーダーを務めるであろうアキトシが二人を上手く使い、また三人での連携プレーなどがこなれてくれば、これは大当たりするかもしれない。
 アキトシには、是非ともかつて自分が所属した軍団の大将、越中詩郎のチームリーダーぶりを思い出して欲しい。ビデオ等で改めて振り返って欲しい。外様に厳しいNOAHのリングで軍団を一つ任されるということは、それだけ期待が大きいことの証拠なのだから。

 ところで、泉田は先の後楽園大会で田上とともに行動する姿勢を見せたようだが、この日も秋山と組ませてしまうのはいかがなものかと思ったが、どうやら今後はリキとのライバル路線を敷いていくものと思われる。というのも、翌日のスポーツ紙によると、試合後にシガケンが森嶋との一騎打ちを三沢に直訴したとあったからで、それならばもう一つのライバル関係も作っておく必要があるからだ。
 ならば、確かに前回からの流れを無視してでも、このようなカード編成にする必要があったのだろう。それを無駄にしないためにも、今後はそれぞれのライバルストーリーを大事に育てていって欲しい。選手も。ブッカーも。


 メインイベント 60分一本勝負
 三沢光晴、×小川良成(9分45秒 ルビーフロウジョン〜体固め)田上明○、本田多聞

 18日の札幌大会で組まれたGHCタイトルマッチの前哨戦。
 所謂「田上火山」が噴火するときには必ず「新必殺技」がシリーズ開幕戦で披露されているので(96年の奈落式ノド輪、97年の怪物ジャーマンとダイナミックボム)、この試合でもそれが見所だと思っていたし、そして実際に出た。

 試合展開そのものはあっさりめで、前の試合に比べると特筆することは無し。三沢はまぁ、いつも通りの三沢だし、多聞もいつも通りの多聞。注目は「新必殺技」を披露する田上と、それを食らうことになるであろうヨシナリ。結局、終わってみればこの二人の絡みが一番多かったのだけど、やはり田上の気合の入りようのほうが目立っていたか。個人的にヨシナリの髪の毛がいつもと違って濡れていなかったためパーマがゴワゴワだったという極めてミクロな点については「おや?」と思ったが。

 で、その「新必殺技」なんだけど、解説するとこういうもの。
「相手をアトミックホイップに入る体勢で抱え上げ、そこから横に放り投げてノド輪で落とす」
 なるほど。そんなややこしいことしないでも、そのまま右腕に体重をかけてガツンと落とす正調ノド輪落としのほうがダメージありそうじゃん、という疑問も無いでもないが、見映えは明らかにこっちのほうがいい。奈落ノド輪やダイナミックボムの神通力が落ちた今となっては、奥行きが一つ深まった。

 セミと比較したら明らかにあっさりめではあるが、それなりに余韻を残してメイン終了。


 では総括。
 この日はとにかくセミに尽きるんだが、ハズレのカードもなく、最初から最後までテンションの保てた興行だった(第一試合にしても「この二人にしては」というだけで、決してダメな試合ではなかった)。
 しかし、興行が終わって日の空いた今となっては、印象に残ってるのはやっぱりTwAだ。早いところ、NOAHはこのユニットに正式名称をつけてあげてほしい。

 なんといっても、新日本で冷や飯を食い続け、挙句の果てにはクビまで切られつつも、NOAHで見事に復活したアキトシに、「上を食ってやる」「正規軍(=本隊)をぶっ潰してやる」という、越中が、木村健悟が無くした心意気、すなわち「維震魂」を持ち続けていたことが、なによりも嬉しかった。




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