いよいよ勝負に出るDDT、私感
■団体:DDT
■日時:2001年5月10日
■会場:渋谷clubATOM
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 久しぶりのDDT観戦です。前回は ATOM を会場とした興行の初回(昨年6月22日)。前回で覚えているのは、プエルトリコから帰ったばかりのMIKAMIが、ATOM の客席側(バー・カウンターのある方向)の半分以上の距離をスイシーダで飛んだことぐらい。つまりその程度に印象が薄くて、それ以降は足が遠のいていたんだけど。今回足を運んだのは、5月18日にDDT2度目の進出となる後楽園ジオポリス大会を直前に控えて、その前フリになるはずの興行であり、とりあえずは18日見に行く前提でストーリーの予習のつもり。でも今日の出来によっては18日行かなくなるかも。そんな感じでした。
 私、クラブ(アクセントが「ラ」と「ブ」)というものにそれ以外で行ったことがありません(赤坂のクラブ(アクセントが「ク」のほう)には足しげく通っているんですが)。なのでこの会場の雰囲気を客観的に描写することが難しいんですが、リングは近い。基本的にみな立ち見。リングの真上は吹き抜けだが客席部分は天井が低い。
 客層は、べつにオシャレさんてわけでもなく、他のプロレス団体のそれと大差なし。200人ぐらいかな。確かに女性が多いが、若干年齢が高め?(20代後半〜30代前半)。若い子もおとなしめ、アーパー度・ケバ度は闘龍門のほうが高いような(私感)。以前いた、パラパラを踊る女子高生、この日は不在。

 機材故障の為、開始が30分ほど遅れ(DDTでは珍しいとそばにいた客が言っていた)、7時半、リングアナの挨拶があり、設置のモニター(北沢と違ってスクリーンではないがしょうがない)で前回4月29日昼夜興行で行われた「Take to The ROYAL Tornament」(16名出場、DDT最強を決めるトーナメント。MIKAMI優勝)の模様が映し出される。けっこうドカンドカン沸いていました。
 その後映像は、元JWP代表の山本雅俊さんが、ポイズン澤田JULIE率いる蛇界軍団に拉致され、改造されそうになり、佐々木貴率いるDDT生徒会に救出され、コミッショナーに就任するまでの経緯に替わる。こちらもウケてました。ビデオの出来が良く、ポイントが押さえられてるんですよね。

 モニターの中でも三和社長の横暴をチェックすると宣言していた山本さん、実際にリング上に登場して、DDTのおかしな点を正していくと宣言。18日メインのカード、積もる因縁から 高木三四郎&MIKAMI vs エキサイティング吉田&スーパー宇宙パワー&金村キンタローが既に発表されているのだが、まずこの2対3ハンディキャップマッチがおかしいと言う。高木・MIKAMIにパートナーを見つけさせ、6人タッグに変更すると通告。ただ山本さんに「プロレス団体は金が儲かればいいというもんじゃないんです」と言われるとツライ…(涙)
 さらに山本さん「MIKAMIは梯子、エキ吉は机を試合に持ってきて使う。おかしいと思いませんか?!」三和社長「、お、おかしいです…」山本(間髪いれず)「おかしくないんです!!(場内爆笑)プロレスは、DDTは、なんでもアリなんです!これからは、梯子のH、椅子のI、机のTと頭文字をとって、“HITマッチ”でいきましょう!!(いわずもがな“TLC”のパクリ)」「最近では、ゴールデンタイムにメジャー団体が、わかりにくい、すっきりしないプロレスを放送していますが、DDTではわかりやすいプロレスを皆さんにお見せします!(場内大拍手)」 山本さんのハジけっぷりに複雑な感情をしょうじき無しとしないが、ま、彼自身の人生ですし、頑張っていただきたいと思います。

 山本・三和退場後、モニターはバックステージを映す。高木とMIKAMI、急にパートナーを探せと言われて困惑、相談。その2人の後ろで鴨居長太郎、アイアンマンのベルトをこれ見よがしに掲げながらカメラ目線でアピール。2人、まったく気付かず。

 私としては、この日の興行中に、高木側パートナーのもう1人が姿を現すか、すくなくとも名前は明らかになると予想、それが意外な大物であったりすれば、18日への観戦意欲も盛り上がるのだがなあ、と考えていた。

第1試合 アイアンマンヘビーメタル級選手権 鴨居長太郎(王者) vs ブラックジャック・ファンク(挑戦者)

 ファンク、ハンセンの『サンライズ』のイントロにくっついてる曲+『スピニング・トーホールド』という、わかりにくいようでわかりやすい入場曲。つまりそういうキャラクター、あくまでアメリカ人という設定のマスクマンだが正体バレバレ。
 試合は、鴨居がパワー&ラフファイトで一方的に攻められているところに、なぜか森谷さんと、それ以上に意味がわからない佐野直とが乱入してブチ壊し、

 鴨居(無効試合2:50)ファンク

ということに。森谷さん、18日ジオポリスでアイアンマン王座に4wayで挑戦させろとアピール。
 いま、HHHのパクリの“MMM”をやってるらしいが、私には森谷さんに対してそんなに良い印象がない。なのでさして面白くもなく…(以前、埼玉プロレスで宮崎有妃がやった“女ニセ森谷”は最高に面白かったけど)。
 森谷&佐野退場後、鴨居の音頭で「1、2、3、ホモー!」の大合唱。前に週プロにもそんな趣旨のことが載っていたが、私は性的嗜好をネタにして笑いをとろうとするのはあまり好きでない。いえね、本当にホモで、哀しい心の叫びか何かで絶叫するならいいんですよ。ネタでやるのは悪趣味では。

 モニター映像。MIKAMIが「スーサイドボーイズのよしみで…」とかなんとか、鳥羽をパートナーに誘うが断られる。

第2試合 タノムサク鳥羽、橋本友彦 vs 「昭和」、石井智宏

 2月大会の愚傾君の観戦記の、すんごい第2試合の記述を読んで、期待していたのがこの試合。たがわぬだけのものはありました。
 鳥羽&橋本組セコンドにNEOの仲村由佳。しかしこの試合ではさしたる役割は果たさず。

 まずはじめ、鳥羽がやられにやられる。彼のやられっぷりはおそらく多くの人の知るところでしょう。石井の重げなミドルキック、サッカーボールキック、ラリアットに、薄い鳥羽の身体が何度もペシャンコにされる。しばらくやられ、ようやく橋本にタッチ。
 柔道出身、JPWA所属の橋本、スピード感あふれる払い腰、巻き投げで相手2人をつぎつぎなぎ倒す。のちにはこれもまたキレの良いSTOを披露。
 中盤以降、石井と橋本とは意地の張り合いを場内場外問わずに繰り広げる。とくに場外乱闘はド迫力。
 終盤リング内鳥羽と「昭和」、パンチを「昭和」がワキ固め、逆さ押さえ込み、卍固め(!)で切り返す、しかし最後、セカンドロープをステップにしての延髄斬り、さらに裏拳で

 ○鳥羽、橋本(片エビ固め11:29)×「昭和」、石井

 18日ジオポリスで「4WAY The Grapple」を闘ううちの3人がこの試合に含まれていて、とくに石井と橋本とが意識しあってバリバリ。
 リングが近いことで迫力がよく伝わった。

 モニター、こんどは高木が佐々木&藤沢組をパートナーに誘う。2人とも断わるのだが、藤沢の拒否のセリフはなぜか「正直、スマンかった… 」私的この日一番の大爆笑。つまりこの藤沢一生ていうのは健介の完全コピーなんですが、

セミ ポイズン澤田JULIE、蛇影 vs 佐々木貴、藤沢一生

 まずは蛇界軍、ジュリーの『TOKIO』に合わせてヘビ踊り。
 
 佐々木、私の以前の印象では一所懸命なだけのなんでもない若手だったのに、いまや生徒会(DDTをギミックに頼らない“マジメ”な団体に正常化することを目的とする)の会長としてキャラ立ち。
 さらに藤沢、健介だけだった持ちネタが増えている。この日の出だしは長州から。ゴング前コーナーにしゃがみこみ両ヒジに手をあて引っ張って気合入れ、さらにロープを掴んでブルブル揺らす!爆笑。ストンピングも似てたな。願わくば、相手と「変な間」をとって組み合わない、ってとこまでやって欲しかったが。他には中西のアルゼンチンに行く前の地団駄、小島の「イッちゃうぞバカヤロー!」も見せた。
 
 とはいえ「キャラ立ち」ではこの人ポイズン澤田に敵うものはいないでしょう。これも以前見た際の印象では、折原についたり篠さんの反DDT側についたり、中途半端なヒールだったんですが、いまや“蛇界転生”。パートナーとともに小走りしてキャイ〜ン・ポーズ、「蛇イ〜ン」を見せてくれました。
 ネタがちりばめられた試合のなか、技がキレていたのが蛇影。この人も前は折原昌夫の弟・昌彦だったり、その前は黒影だったり(その前は誰でしたっけ?)あまり目立っていなかったのだが。
 彼らに限らず、鴨居や「昭和」も、人の出入りが激しいDDTの苦しいやりくりの中から、よくキャラクターが作られてきているなと思う。

 沢田、○蛇影(キャトルイミテーション10:56)佐々木、×藤沢

 フィニッシュ技は、ポイズンの得意技キャトル・ミューティレーションの偽物。
 決着後マイクアピールのやり取りで、佐々木とポイズン、お互いの軍団の存続を賭けてジオポリスでシングルを闘うことに決定。こうして次々18日のアオリが進んでいく。
 
メイン 高木三四郎、MIKAMI vs スーパー宇宙パワー、エキサイティング吉田

 エキ吉はスーザンと、宇宙は、この日出場は無くセコンドのためだけに来場の金村と、入場。それぞれMIKAMI、高木に襲いかかる。
MIKAMIはスーザンの平手打ちでダウン、高木と宇宙、金村は客席になだれ込み客を巻きこんでの乱闘。
 そのままリング上、MIKAMI持参の梯子を逆用され、2人がかりで高木に襲いかからんとするところ、甦ったMIKAMIエプロンからスワンダイブ式ドロップキックを梯子に打ち、両端を掴んでいた敵2人をフッ飛ばす。
 試合はこの後も梯子が中心。梯子はもちろん脚立式のものなので、エキ吉が脚の間に閉じ込められてドロップキック食らうとか、いちばん上からMIKAMIがダイブ狙おうとしたところスーザンが下から揺すって自爆させるとか、昇りかけた高木の股の間に頭を突っ込んでエキ吉が肩車式バックドロップをかけるとか、MIKAMIと宇宙お互いハンマースローで対角線コーナーに立てかけた梯子に相手をぶつけようとして切り返し合うとか。MIKAMIは流石に上手く使っている、しかし他3人は研究はしているんだろうが、いまいちコナレていないような。
 MIKAMIはそれだけでなく、初代タイガーがロープワークで使ったフェイント(ロープ間のくるりん)を利用してのキック(ブーメランていうのだとか)、宇宙の投げ技をつぎつぎ着地しての切り返し、当然飛び技、など動きが素晴らしい。私より少し背が高い(闘龍門のドラゴン・キッドよりやや背が高い)ぐらいなんだが… それに特に宇宙とはよく手が合っている。
 高木については、昨年、6月のDDT観戦時から比べ12月のみちのく観戦時に、身体も絞れ、動きも落ち着きが出たように感じたのだが、この日の印象もその延長線上。さらに良くなっていると思います。
 エキ吉とスーザン、かつての三四郎の友人たちで現在は敵対、私はこの2人特にスーザンが好きなので、試合内容よりはスーザンそのものが見れてよかったというアレもありました。
 ま、試合は、ジオポリスへの引っ張りで

 高木、MIKAMI(両軍リングアウト12:38)スーパー宇宙パワー、吉田

 ゴングが打ち鳴らされても終わらない乱闘、高木組の助っ人に現われたのは、ナント大刀光!ン?大刀光?う〜ん、タチか…
 といういわけで18日は 高木&MIKAMI&大刀光 vs 宇宙&吉田&金村 に。
 宇宙がタチに宇宙語で「オイ、オレとヤル意味、ワカッテル? 最近、プロレスとカクトウギ、一緒ラシイカラ、ガッチリイクヨ〜」
 金村「お前ら汚いぞ。ええか、俺も吉田さんも木村さんも(お約束。本名を出されて宇宙が金村にツッコミ。後は何しゃべったか忘れた)…」で、ブリブラダンス。私も雰囲気に乗せられ踊ってしまいました。大刀光もつられて踊り、MIKAMIに注意される。

 興行シメに“三四郎集会”と呼ばれるものあり、前来たときは ATOM が入ってる建物の横のコンビニの前でやってたような気がするが今日は会場内で。この時点で9時過ぎだったが、この日10時からPPVがあるので急いでたらしい。PPVって? スカパーですよね中野ケーブルTVじゃないですよね。そこで、6月、北沢タウンホールの代わりにジオポリス大会を行うことが発表される。

 いよいよ月1回、1,500 人規模の会場を常打ちにするということだ。PPVの話とあわせ、DDT勝負に出始めている。
 PPVにあたって一般視聴者に契約したいと思わせることができるのかどうか、ニワトリとタマゴのようだが、はじめ選手の知名度の低さなどからなかなか思うようにはいかなくても、たまたま一度見てしまうと引き続き見たくなるもののような気もするし、採算点もどのぐらいのものなのかよく知らないが、時間帯や料金、契約料によっては案外うまくいくのかもしれない。
 月1回の 1,500 人にしても、意外と大丈夫なのかも。(このあたり、何も言っていないに等しいな…(汗))
 ただすくなくとも、ATOM はDDTに相応しい会場である、という気はした(DDTは ATOM に… でなく)。間近の迫力と、ストーリーをよく咀嚼している観客の心地よいノリとが、よくマッチしていると思った。

 そして私自身が、18日のジオポリス大会に行くかどうか、という問題だが、… たぶん行かないと思います。メインのもう1人が大刀光だったという、微妙な「ナーンダ」感があるのも大きいんですが …
 かつてはよく指摘された、ギミックに試合内容が追いついていないという指摘、これはいま必ずしもそうでもなく、この日も、内容がほとんど無かった第1試合は措くとしても、第2試合は優に合格点を上回る。セミとメインも、ネタ・ギミックとハードヒッティングがそこそこマッチした楽しく激しい試合。
 しかし、特にセミ・メインを見て、私にとっては“そこそこ”でしかない、って気がするなあ。
 やはり私感ですが、おそらくはDDTに影響を受け、同様にギミック満載+ハードヒッティングな試合内容を売りにしようとしている女子団体、NEOのほうが私には面白いんですね。感情表現の真に迫るということひとつとってみても、「女はみな天性の女優」と田中正志さんもおっしゃったとおり、あくまでも私にとってですが、女性のそれのほうがグッとくるんですよね。男性の場合、いまのDDT程度ではまだまだ、ウソや照れがあると逆にそっちをクローズアップしちゃいます。たんなる必死さや一所懸命さでも、男子より女子のほうに惹かれるし。身体表現の拙さも、男子レスラーに対しては「だらしない」が女子に対しては「微笑ましい」になっちゃうこともあるし(自失笑)。
 ごく個人的な感想ですが。DDTはたまに見に行くぐらいでいいかな、って感じです。




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