天性のベビーフェイス、本領発揮
■団体:GAEAJapan
■日時:2001年4月29日
■会場:川崎市体育館
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 ほんの少し空席あるもののほぼ満員、実数 3,000〜4,000人てとこでしょうか。ぼくは大箱のGAEAを見るのは始めて。入場したところでNEOの石田リングアナがGW3連戦のチラシを手渡ししている。
 本日は、プロレス観戦はじめての26歳♀、を帯同。知ってるのはクラッシュ、アジャのみ。十数年前のクラッシュブームの際のかすかな記憶で、デビル、北斗も名前だけは覚えているとか。早速パンフを見て「カッコイー、カッコイー」を連発してました。

 川崎市体育館、舞台に入場ゲートを設置してリングまでは花道が。その両脇にビデオ上映用スクリーン、そこに95年の旗揚げから、毎年4月の「〜周年記念興行」が流れる。昨年の有コロの映像が流れ終わり、いよいよ今日、6周年記念興行のはじまり、というときにバチバチバチ!と爆竹音(ビックリした…)、で入場式。
 おそろいの黒のTシャツに身をつつんだ青コーナー軍が先に、やはりおそろいの白ジャージのチームクラッシュが後から。挨拶は本日休場のシュガー。
 終って各選手がはけるが1人残る長与、ジャージを脱いでリングコスチュームに。???リングアナ、「これより第0試合を行います。青コーナーより前田美幸選手の入場です」!?!?2月に小川宏社長ともめて半ば一方的にアルシオンを辞めた美幸涼(本名前田美幸)の登場である!一部でどよめく場内、だが事情を知らないファンも多いようである。
 前田、ほんの少しの間見なかっただけのような気がするが、やや太ったような。表情もハツラツとしていない(悪い先入観のためか)。長与相手に体当たりで引かなかったのはさすがに大型なだけはあったが、ニールキックの思いきりの悪さは相変わらず。
 まぁエキジビションみたいな感じで長与がすぐに押さえ込んだのだが、試合後のマイクで長与「もうすこし練習、な? やりかけたことを途中で投げ出すな。どこの団体になるかは知らないけど、プロレスは続けろ」。暖かい、説得力あふれるマイクに拍手が。前田は土下座してお礼。

第0試合 ○長与千種(2分40秒、ニールキックから体固め)×前田美幸
 長与の発言通りだと、今後継続的にということでなく、あくまで今日限りのGAEA登場のようだが、どちらにしても長与の言うように、まずは練習をよく積んでほしい。素材は良いのだから。

第1試合 ○広田悪良(10分27秒、スクールボーイ[同一チーム内で決着])×ポリス vs 植松寿絵、竹内彩夏
 いつのまに広田とポリス、夫婦になったんですか(笑)? ビデオスキットで夫婦喧嘩、HHHタッグベルトを持ち出してきて仲直り。で、この試合にも勝手にHHHベルトを賭ける。
 試合でも夫婦喧嘩ネタ、広田とポリスお互いに間髪入れずハリ手を打ち合う、まさに夫婦漫才のよう。おのおの単独のネタ(広田コーナーから水泳のスタートの姿勢で低空ボディプレスしかし相手はとっくに逃げている、ポリス、ラリアットの連打から『ウィー!』)連係スティンクフェイスなどもあったが、誤爆も多く、いつしか広田はポリスを敵視、植松組に加勢しようとする(植松組は嫌がる)。植松組がWでブレーンバスターを決めようとポリスの首をとり屈ませたところに広田が勝手に乗ってきてエビスを決めたのはちょっと可笑しかったが、全体的に裏切ったり仲直りしたりがわかりにくくバタバタした印象。
 フィニッシュも、いったん仲直りしたと見せかけてポリスに自分をリフトさせ、敵にプレスを見舞おうかというところスルリとポリスの背後に降り立ちスクールボーイ、なぜかパートナー同士の間でフォールが成立して試合終了。
 試合後広田はポリスに離婚通告、チームクラッシュ復帰を宣言。いちばん下っ端の、いわばどうでもいい部分の話ではあるのだが、小ネタとしては次回へ続く展開に。

第2試合 ○アジャ・コング、KAORU(14分16秒、裏拳から片エビ固め)×ダイナマイト関西、山田敏代
 入場式の時に感じたのだが、チームクラッシュのシュガー、加藤の欠場もあって、青コーナー側の人員が明らかに余剰している。第1試合の広田の転向もそれに関係があるのか(広田の場合はほとんど関係ないかもしれないが)。というわけで余剰人員4人のマッチメーク、さらに私見を言わせていただければ、山田は要らないほうから圧倒的に1位、関西も離れての2位だと思う(失礼)。
 ゴング前、握手を求める関西組、応じるアジャ、だがKAORUは背を向け机の上板の破片を手にコーナーへ。それを見るアジャの目が訝しげ。つまり最初から雰囲気がおかしかった。
 序盤は、アジャと関西、花道で全力疾走してラリアットで相打ちとか、照明を組んだヤグラからKAORUがムーンサルトとか、見ごたえのあるムーブもあったのだが、とにかくKAORUがかたときも机の破片を離さず、のべつまくなしに使うので、アジャが苛立っているのがありあり。相手攻撃のカットに入ってきたKAORUを払いのけたり、投げ渡された一斗缶を使わずに投げ返したり。
 KAORUもフテてアジャを見殺し、妙にキックなどのコンビネーションが良かった関西組がアジャを攻め込んだが、最後はなんとかアジャがしのいだ。
 アジャ怒り心頭マイクで「KAORUコノヤロー、なんでもかんでも凶器使えばいいってもんじゃねえんだ、そんなに机が好きなら机と心中しろ。時と場合っていうのがあるんだよ、コッチは15年もヒールやってるんだ。そんなにやりたきゃ卑彌呼にでも行ってやってろ」そして相手チームの関西、山田とガッチリ握手。発言内容からして、ややヒール色の薄いユニットができるようだ。要らない1位2位もうまく再生されればいいのだが。
 同行者(26歳♀独身)は、知ってる選手だったためか、アジャに「カッコいいねー」を連発してました。

第3試合 ○井上京子(12分12秒、ラリアットから片エビ固め)×ライオネス飛鳥
 2年前の夏、ところも同じ川崎市体育館、Jd’の大会で60分時間切れの熱戦を演じた2人(TWFかなんかのタイトル戦だったか)、時を経ての決着戦。
 スタートからいきなりトペ・レベルサ、コーナーからDDT、さらに個人的には超久しぶりに見るようなダンシングツリー(相手をダブルレッグロックに固めて踊るやつ)、動きが軽い京子。
 毒霧(!)でペースを変えようとする飛鳥、さらにいつものように机を利用しての各種の攻撃を狙うも、読んでいる京子なかなかその手に乗らず。
 しかし場外へ出てはさすがにハードコアな飛鳥のペースになり、リングから離れた薄いマットしかないフロアでバックドロップ(鈍い音がし
た)、場外の机に寝かせてポスト最上段からのフットスタンプで一気に優勢に。
 リングへ戻ってアイコノクラズム、タワーハッカーボムで追い打ち、さらに、セットした机へ最上段から雪崩式ブレーンバスターを狙ったのだが、突き飛ばされて自爆(これがまた豪快な受身だった)、机まっ二つ。
 ここからは一進一退、京子のラリアット、飛鳥のハイキックが交錯し合う。再度の毒霧は京子が躱す。デカい肉体の単純なぶつかり合い、しかしその内に高度な読み合いもあり。ナイアガラドライバーも炸裂し、勝利を得たのは京子だった。
 決着後、お互いを認め合って抱擁する2人、もともと、飛鳥に対してはともかく、クラッシュに対しては思い入れもなければその分敵対心もない京子、今後もGAEAに上がるのかわからないが、上がるとしたらアジャ軍に加勢するのかどうするのか、去就も気になるところ。
 同行者(26歳♀巨乳)は、とくに飛鳥が気に入ったようで、「ホストみたいだよね」とのこと。

 休憩。ここまで、前田の登場、広田の裏切り、アジャ軍結成、豪快で爽快で開放的なハードコア肉体戦と盛り沢山、じゅうぶんな面白さでした。後半3試合も長与・北斗の体調面など不安もあるが、相手が尾崎・里村だから試合内容では引っ張ってもらえるだろうし、なにか仕掛けもあるかもしれないし、なんとなく興行全体がもう成功したような満足感を感じていたのですが、ここから、また意外なほうへ転がっていくのです。

第4試合 ○永島千佳世(14分12秒、レフェリーストップ)×デビル雅美
 以降3試合、広田とアジャ一派の離脱で青コーナーのセコンドはKAORUとポリスのみ。KAORU、かいがいしく働く。
 4/15後楽園大会での因縁から実現したこのシングルマッチ。この2人の取り合せとなればもう、予想されるように、永島が飛び付いて、丸め込んだり、相手の頭上で腕を取ったり、デビルが吹っ飛ばしたり、という展開に実際、途中までは進んだのですが、デビルさんの様子がおかしくなる。動けない。永島が飛びついてラナを仕掛けても回れない。とうとう場外に落ちて全く動かなくなる。古傷の右膝のようだ。セコンドのKAORU、ポリス、レフリーのトミーさんはもちろん、異変を察した赤コーナー側控え室から全力疾走で植松が駆けつけ、様子をうかがって再び全力疾走で戻っていく。ここでポリスが観客をあおって起こした“デビル”コール、ポリスたまには良いことをする。
 なんとか試合を続けようとするデビル、永島もなんとかしようと自ら場外へ降り、鉄柱へぶつけたりするが、とにかく動けないんだから。試合中にも関わらずマイクを持って永島、デビルの前に仁王立ち、「わたしはなー、そんな状態のお前に勝っても嬉しくねーんだよ!万全の状態でもう一度戦え!」ついにレフリーストップ。
 デビルさん嗚咽しながら「……ごめんなさい……身体が動きません……必ずもう一度、永島と試合をします…」大泣き。足が動かないのにわざわざリングに上がってからマイクを握ったのは、デビルさんのプロ意識の表れであろう、とにかく済まない気持ちを表さなければならないという。そして、最もプロ意識の高いレスラーの1人であるデビルさんには、試合が続けられないほど状態の悪くなった自分の膝が、どんなに恨めしかったことだろう。通常は、いくら調子が悪くても、おくびにも出さず、間の取り様や自分から動かず相手を動かして試合を成立させる人なのに。
 メモ8さんの闘龍門観戦記中で、ビッグ・フジの試合での負傷について「アクシデントは、あくまでアクシデントとして、それすらあまりに切ないエンターテイメントとして見れてしまった」という記述があったが、今日自分もそれに近いものを感じた。デビルさんの涙に、なにか貴いものす見たような。ちょっと言い過ぎか。

セミ AAAWシングル選手権試合 ○尾崎魔弓(6分16秒、変形腕固め)×長与千種  ※尾崎 初防衛
 ゴング後のにらみ合い、尾崎のいきなりの裏拳連打にも長与動じず、序盤から押す、ちょっとビックリしたのがテリー・ファンクスタイルのパンチ連打(ただし右)、80年代日本の2大アイドルレスラーが 2001年のリング上で1つになった(笑) 。早いうちにランニングフリーを出し、さらにスーパーフリークも狙ったが崩れる。古傷の左肩を徹底して狙われ、短時間でのギブアップ負け。
 まあ、こういう試合になるのか?長与をチャンピオンにするより尾崎のままのほうがそりゃあ面白いよな。チコさんファンの皆さんは大ヒートのご様子でしたが。
 試合後、勝ち誇る尾崎に、私服でリング下に現れたアジャが詰めより何やら言い争い。
 同行の26歳♀は、もちろん知っている選手の長与を応援していましたが、あまりにしつこい尾崎の肩狙いに「こわーい。ちょっと引いちゃった…」とのことでしたが。

メイン ○里村明衣子(21分30秒、KO)×北斗晶
 いや、こっちこそがオソロシイ試合でした。
 4月に入ってからチャンピオン尾崎に狙いを定めていた里村が、対戦拒否され、4/14川越、15後楽園と北斗に標的を転換、ストラングルホールドを決めるなどして挑発、実現に持ち込んだシングルマッチ。
 出だしから大振りのフック張り手を振り回してくる北斗、これが後楽園で里村を沈めた技らしい。そして先に里村の得意技デスバレーボムを決める、試合前あおりのVで「ひとの技を盗むってぇのがどういうことか云々」と言っていたのはコレを指していたのか。
 里村もエルボー、ミドル、ローキックで応戦するが、腕を痛められて以降は蹴り主体に。
 北斗がふだん使わない技、ウィッチクラフト(でいいんですよね maya さん? 尾崎の技。)、フライングニールキック、バックドロップで攻め込む。
 ストラングルホールドをめぐる駆け引きも、虚々実々というよりはむりやり力ずく、という感じで繰り広げられていたのだが、こちらを先にガッチリと決めたのは、デンジャラスクイーンボムを放った後の北斗。
 里村も決める、あんまり深く入りすぎてセコンドの尾崎が半分以上リングに身を入れて介入しようとしたほど。

 これら、お互いの得意技をめぐる攻防がちりばめられてはいたが、なんといっても試合の流れの基底を形作っていたのが、北斗の大振りの張り手。思い切り里村の顔面に入る。見ていて、わりと早い段階でもう脳が揺れて試合できないんじゃないかと思わされるほど。しかし里村立ってくる。
 里村の反撃は先に書いたように蹴り主体、とくに北斗が座り込んだ状態の時に放つミドルが顔面を直撃!しかも何度も何度も。
 中盤以降、北斗はほとんど張り手一本、なんどもヤバイと思った、里村はなぜ立ってこれるのか。里村はミドル、オーバーヘッドキック、デスバレーも交えて反撃、顔面直撃合戦、北斗もフラフラ、耐久レース、いつ果てるともしらないキックアウト合戦の応酬に、ついに終止符を打つかに思われた北斗のノーザンライトボム、しかし放った北斗もダウン、両者ダウン!先に立ったのは北斗だったが、カウント10の時点で崩れ落ち、後から立ちあがった里村の勝利!!
 北斗はほんとうによくやった、北斗のスタイルが今まで好きではなかったが、今日はすごかった。
 里村も正直そんなに好きではないのだが、あの化物じみたタフネスさ、狙った獲物は必ず捉える執念深さ、認めざるを得ない。
 同行の26歳♀独身、ここまででおわかりになったかもわかりませんが、巨人ファン体質というかたんなるミーハー、試合開始時里村にとんだ大量の赤テープを見て「この人、人気あるんだねー」と言って応援していたのだが、それどころでなく試合の白熱ぶりに熱中していた。それに、里村には天性の“ベビーフェイス性”があるようにも思う、初観戦の客、くわしく知らない客ほどよく引きつけるものがあるのかも。
 ま、ぼくはヘソ曲がりなんですが。

 ここまで何ヶ月かの決算の興行でもあり、軍団再編も匂わせる今後の展開へのスタート地点でもあり。
 そんなこんなで興行全体としても大満足、やっぱり会場全体の盛り上がりも、受ける印象にとって大きいですね。




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