4/20リングス代々木雑感〜アブダビの忘れ物
■団体:リングス
■日時:2001年4月20日
■会場:代々木第2体育館
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 ネット通じた人間関係の構築(?)には、あまり熱心な方ではないのだが、それでも、何年にも渡って書き込みを続けていると、自然と同好の志は集まってしまうもので、ありがたいことに、オープンな掲示板では入手出来ないような情報が、ある程度は伝わってくるようになる。

 田村、リングス離脱か? という情報もそんな感じで結構前から噂されていた。「今期の契約をまだしていない」とか「他の団体にも上がれる契約にしたいんじゃないか」とか。どれだけ、信憑性があるかというと、疑問も多いのだが…。

 今回の興行、カードも異様に評判が悪く(カード自体が評判悪いのは久々のことのような気がする)、チケットが出てないらしいなどという書き込みを、ここそこの掲示板で見るにつけ、ひょっとしたら、田村のリングス最後のファイトなのかもしれないのに、見ないなんてもったいないなあなどと考えたりした。

 そんなこんなで突入したリングスの「ワールドタイトルシリーズ」は、ミドルとヘビーのチャンピオン決定トーナメントシリーズ。

 評判通りに客入り悪し。開始時は6割弱、最終的にも7割強といったところか。

 10分押しで「間もなく開始」のアナウンスが入ると、場内がちょっとだけ暗くなり、キャプチュードの別アレンジ(オーケストラ系)が流れ始めた。うん、これはいいと思う。んで、15分押しで例によっての照明ショー、カード発表、全選手選手入場と続く。選手を先導する練習生が1人増えていた。ガタイは既に出来ていたので楽しみ。

 前田CEOは、今日もノーネクタイ。紙を見ながら挨拶。トーナメント決勝となる、8/11の有明コロシアムで「世界中があっと驚く仕掛けをするつもり」だそうな。カレリンがKOKをやるとか発表してチケットを売って、蓋開けたら来てなくて、世界中があっと驚いたりして(そうならないことを祈る)。

 6/15の横浜文体に、TK、金原、ババル、アローナの参戦発表。

 審議委員は、前田CEOと藤原のみ。レフェリーは和田と塩崎と、この前のバトジェネにもいた知らない顔がもう1人。ジャッジには、和田と塩崎でレフェリーをやってない方が参加。まあ、バトジェネと同じ方式なのだが、こうやって審議委員がなし崩し的に有名無実化していくのは、よくないですなあ。


<第1試合、ライト級5分3R>
△小谷直之(3R判定、0−1)若林次郎△
(RODEO STYLE)        (SKアブソリュート)

 サンボ若林のセコンドには、おれに観戦記ネタを提供してくれる為にわざわざバイト休んでやって来てくれた悲願の専業格闘家を目指すセコンドについても何もアドバイスしない泣き虫郷野。3Rに入った頃には、阿部まで出てきて、例によってよく通る声でセコンドしていたが、修斗本隊と言っていいような若林のセコンドに、グラバカ郷野とRJ阿部がついて、修斗本隊別系列(横浜系)の小谷(兄ヒロキがセコンド)と、リングスで試合をやる時代になったわけだ。…しみじみ。

 それにしても、総合の人脈は入り組んでいて、いったいどこがどう繋がっているのか、よくわからない。みんな、お友達になってヌルくならなきゃいいけどなあ。今度、品川さん@観戦記ドットネット主宰に、総合系人物相関図ってのを作ってもらおうっと(非公開)。まあ、あれだな、アミューザ系の板族相関図を作ってみたら(非公開)、みんな穴兄弟だったみたいなもんか(シューターメモ8)。…違うな。

 グラウンドの顔面打撃がないのに、異様に修斗テイストな1戦。後の先を取るべく、若林のタックルに打撃を合わせたい小谷(結局、1発位しか合わなかったが)、グラウンドで足を狙いたい若林。2R、小谷が横スイープしたら拍手が起きたのは、うれしかったな。

 若林の足関がキレるのは当然だとして、小谷がそれにソコソコ対応していたのは驚いた。驚異の19歳と言っていいと思う。タックルを切った状態からイキナリ横三角を狙うようなムーブも見せて、これカッコよかった。例によって、無表情だが、3R終了時には、勝利を確信するかのように片手を挙げてアピール。

 前田CEOのみ、若林の積極性・足関節狙いにポイントを入れていたが、待つ分ポジションを有利に支配した小谷の勝ちとしたっておかしくはないと思う。

 しかし、この試合で1番沸いたのは、ラウンドガール登場時。まあ、そんなもんだよリンオタなんて(おれ以外)。


<第2試合、ミドル級5分3R>
○滑川康仁(1R1分48秒、足首固め)今村洋×
(R・ジャパン)           (和術慧舟會総本部)

 今村のセコンドには、パンクラでデルといい勝負して、今度ネオブラ予選に出場する平山(おれ的注目株)。滑川は、リングに上がると今村に近寄って、10センチの距離でのガン飛ばし。リンオタ大喜び(おれ含む)。

 滑川に異様な安定感が出てきた。相当期待出来ると思う。最後の決り手は、サイドからのモノで、足首固めと発表されたが、膝十字だと思う。

 勝利のアピールもニヤリと不敵な笑顔を浮かべ、バッチリ決めた滑川、コーナーからバク宙するかのようなモーション見せて、実際はやらずに、またニヤリ。これまたリンオタ大喜び(おれ含む)。


<第3試合、ヘビー級初代王者決定トーナメント1回戦5分2R>
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(1R1分47秒、腕十字)ケリー・ショール×
(R・ロシア)                          (USA)

 ホフマンと区別つかないショールには、モンテとヒューズ(兄弟どっちか不明)。無表情さに味のあるヒョードルにはパコージン。

 開始早々、激しく打ち合い、26キロ差(ヒョードル103K、ショール129K)をモノともせず、打ち勝つヒョードル! 投げ勝つヒョードル! 身体ごと突き出すような左と、ガキの喧嘩のような大振りの右オープンしかないんだが、これが実にシャープ。素晴らし過ぎる! リングスはキミに任せた! ショールも、結構グラウンド出来ることを見せてくれたし(腕十字とアキレスを凌いだ)、これぞリングスという感じの堪えられない1戦。リンオタじゃなくとも大喜び。


<第4試合、ミドル級初代王者決定トーナメント1回戦5分2R>
○ジェレミー・ホーン(1R50秒、肩固め)ユーリー・ベキシェフ×
(R・USA)                  (R・ロシア)

 前の試合と双方のセコンド同じ。考えてみると、USAvsロシア対抗第2戦なんだが、前試合はロシア、この試合はUSAを応援する、おれ。ホーンはリングスの宝だからな。どこにも行っちゃイヤン。

 後ろ回しにタックル合わせて、サイド、マウント、肩固めと、あっという間。もっと長く見たいぞと贅沢な感想を持つ、おれ。


 休憩15分。


<第5試合、ヘビー級初代王者決定トーナメント1回戦5分2R>
×柳澤龍志(2R判定、0−3)ボビー・ホフマン○
(チーム日焼け)        (ミレティッチMAC)

 リンオタはホフマンが大好き!(おれ含む) やっていることは実は超安全策なんだけどね(体力差で押しまくるだけ)。

 柳澤、ホフマンにパスされてやんの。


<第6試合、ミドル級初代王者決定トーナメント1回戦5分2R>
×田村潔司(2R判定、0−2)グスタボ・シム○
(R・ジャパン)          (ファスVT)

 田村、入場して来ると、OFG着けてない。よく見ると左手の人指し指と中指を、相撲取りがやるようにマトメてテーピング。骨折でもしてるような感じ。

 田村の左ミドルと、シムの右ローの打ち合い。双方鋭い。双方入る。田村のミドルにいつも以上の気迫を感じる。何と、引き込む田村。徐々に足を効かせて三角やら十字狙い。ブレイク入って、また田村が引き込んでという展開を繰り返す。田村のガード、きっちりクローズと、左足は完全に畳んでシムの腹につけ、右足の甲を腿の付け根にあてるオープンを使い分けて、スイープを狙うもこれはシムが凌ぐ。

 2Rに入ると、引き込む勢いで上になろうとする試み数度も、全部失敗。シム固い。田村に対する野次、キツくなってくる。何故、この攻防がわからんのだ。これだからリンオタは(おれ以外)。何と、バックを取らせる桜庭戦法(リングスにおいては金原戦法というべきか)まで見せるが、やはり指の怪我はキツそうだ。残り1分ではパンチを乱打され、完全に手詰まりという感じ。場内は、失望感で一杯。

 前田CEOのみ、ドロー判定で、観客、一斉に大ブーイング。

 しかし、おれ的ジャッジなら、20−0で田村の勝ちだ。文句あるか。

 一旦リングを降りた後、再度上がって、丁寧に四方に礼してから退場。何か言いたげのまま。


 席を立つ観客に、不満の声、多し。勿論、田村に対してのモノ。メインイベントの結果イコール、その興行の印象となってしまうことは、しょうがないと言えばしょうがないのだが、まったくリンオタは何見てるんだかな(おれ以外)、という感じだ。観客の理解度の低さに腹が立ったのは初めてのこと。

 出来自体は、今回も間違いなく、いい。まるで修斗みたいなオープニングマッチから始まって、滑川の成長を見せてから、リングスでしか見られない大味勝負を連発し、重量級の面白さ、リングスの面白さを再認識させてくれた。


 そして田村について。

 水道橋博士が、日記に引用してくれたのでご存知の方もいるかもしれないが、先の田村のアブダビ参戦に関して、おれのHPの板に書かれた、我が師匠、スパンキーさんの文章を全文引用する。


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『アブダビは田村のために…』


○ヒカルド・リボーリオ(1分02秒アームバー)田村潔司●

「大ショック!」「カッコ悪すぎ」「一本負けは無いと思ってたのに」「秒殺なんて」

この結果を聞いて上記のように思った人は多いでしょうが、おれの脳裏にはどこからともなく聴き馴れたこのメロディーが…。

「これで〜いいのだ〜♪チャラチャチャ〜ン♪これで〜いいのだ〜♪」

そう、これでいいのだ!
今の田村が無自覚のまま求めて止まなかった『何か』が手に入ったのだから。
自身のファイターとしての有様にジレンマを抱える彼が、もう一段の高みを目指す為にどうしても必要な『何か』。
それは、決してリングスマットでは手に入れられないモノ。

だから、アブダビまでやってきた。


判定負けじゃダメだった。ポイントのせいにできるから。
長期戦でもダメだった。ルールのせいにできるから。
善戦してもダメだった。よくやったなんて評価されてしまうから。
無名相手でもダメだった。ただふがいないだけに見えるから。
優勝者相手でもダメだった。相手が強かったという言い訳ができるから。

「リボーリオ相手に秒殺一本負け」という結果でしか得られなかった『何か』。
それは『救いの無い敗北』。

そんな求めて得られようはずもない『救いの無い敗北』なんてモノを、遠く中東の地で手に入れてしまう田村潔司という男の運の強さはどうだ。

考えても見て欲しい。いくら天才・田村とはいえ、後輩相手にどんなにスパーを繰り返したところで、経験の裏付けのある指導の下、選手層の厚い環境で切磋琢磨している連中のトップクラスと対峙したらどうなるかを。
そう、勝ったらオカシイのだ。
これは、田村に限ったことではなく、仮に桜庭が出場したとしても結果に変わりはないであろう。

逆に必要に迫られてるわけでもなかった数年前の時点でも、ひとりで勝手に強くなっていた田村を我々は評価すべきではないのか。

計らずも、日本で最もワクにとらわれる事なく活動を続ける菊田が今回結果を出した。
『救いの無い敗北』は否が応にも田村に目覚めを迫るハズだ。
アウトボクサー・田村も悪くないが、田村の才能を考えると、そこで終わってしまうのはあまりに惜しい。

今回苦渋を舐めさせられた柔術修行か、KOKでの体格差克服に必要不可欠なレスリング力を強化するのか、はたまた気狂い藤原道場か…。

田村潔司のファイナルアンサーに期待したい。
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 現在の田村が、出すべきファイナルアンサーは2つある。

 ひとつは、1選手として。答えは明確に出たとは言えないものの、アブダビに忘れて来た物を、田村は確かに今日、シム戦において、探し続けていた。

 我々ファンは、もうしばらく待っているだけでいいんだと思う。

 そして、もうひとつは、総合格闘技の未来を考える立場の人間としてのもの。これは、実は数年前にヤマケンに突き付けられた問題でもあるのだ。田村は、数年かけて、答えを明確に出したと言っていい。コンテンダーズ、ディープへの上山の参戦。U−FILEのアマ選手の積極的なアマ大会への出場。そして遂にパンクラス・ネオブラットトーナメントへの派遣。100年に1回位しかファイトしないヤマケンと違って、あれほどハードな相手と戦い続けながら、リングス契約選手という立場のまま、これだけのことやってのけたのだから、指導者レースという意味では、現時点では、田村の圧勝だと思う。

 田村の出した答えに対し、今問われているのは、前田CEOの器量である。

 前田CEOのファイナルアンサーに期待したい。




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