4.18 ZERO-ONE 武道館興行
■団体:ZERO-ONE
■日時:2001年4月18日
■会場:日本武道館
■書き手:maya(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

ZERO-ONEにはさして興味はないが、やはり小川と三沢の絡みは魅力だ。私の好きな丸藤を久し振りに見てみたいし、評判の杉浦にも興味がある。どうしてもNOAHは見に行く気がしないので、まあ取り敢えず見に行こうかなと。だけど、武道館に向かう途中で気付いたのだが、この日はノアオタに猪木・小川信者、新日本ストロングスタイル信奉者に取り囲まれるハメになると思うと、かなり気が滅入って来た。リンオタの集りよりもうっとうしそうだ。会場はほぼ満員。主催者発表は13,000人。

ほぼ定刻に開始。ライティングショウからネイティブによるDJ風のカード発表。センスがいいんだかどうか良く分からないけど、分かりにくかったのは確かだ。まあ橋本にセンスなんて求める方がナンセンスだけど。

1.○高岩竜一(13分4秒ラリアット〜片エビ固め)丸藤正道×

まずは丸藤の入場だが、この時点でノアファンは大騒ぎだ。確かに丸藤は格好いい。次に出て来た高岩よりも遥かに声援が大きいし、雰囲気も丸藤の勝ち。

前半5分は新日本風のストロングスタイルの展開。丸藤もついてくるが、まあそれほど面白いというものでもない。試合が面白くなったのは丸藤が高岩のパワーボムを切返してから。ここからは丸藤のキレのいい技とトリッキーな動きで楽しめた。最後はあんなの無いじゃないというつまらない決まり方だが、この日丸藤目当てで見に来た私は大満足。

まあ、新日本ジュニアのつまならさと丸藤の将来性を感じさせてくる試合だ。試合の勝ち負け以外は全部丸藤の勝ち。何をやりたいのか良く分からない高岩はこれから消化試合要員として、選手生命を全うして欲しいな。所詮ジュニアの力持ちなんて私は興味無い。フジみたいにコミカルで一応喋れるならまだいいが。

マルちゃんはもっと面白い相手がいるリングにどんどん上がってくれないかな。NOAHを本拠にしながら、その枠を越えて活動すれば大ブレークするであう。
後で合流するカブなノアファンは、「私は丸藤はCIMAを越えていると思います」と言っていたけど、それはいくら何でもノアオタの欲目じゃないの?

しかし、ノアファンは第一試合から熱いね。これだったら何でも盛り上がっちゃうや。電波出まくりで目まいが起きそう。

2.○星川尚浩 (8分6秒 バックドロップ〜裏十字固め) X(オリジナル・ザ・コブラ)×

星川も私のお目当ての一つだ。相手はXとして登場。まあ、最近のXは何処もしょぼいのが定番となっているが。普通は出てくれば誰か分かるものだが、このXは出て来ても客は無反応、コールされてやっと分かったというのが新しいところか。最近のXの多用というのは直前迄ブッキングする選手が手配できないからだろうが、今回は今更この名前をカード表で発表するのが恥ずかしいからかもと思ってしまったが、それは考えすぎだな。

コブラと言えば、どうしても神宮での初代タイガーとの試合を思い出してしまう。あれ程後世に語り継がれるしょっぱい試合もなかったが、あれからもう数年も経っているので試合前は考えるだけで恐ろしいというものであった。

しかし今日はあの日の何倍も良かった(あくまでも相対的なことでね)。ちゃんとムーンサルトも綺麗に決めるし、スタミナも思った以上にもったような感じだ。

しかも、昔やっていたのであろう、タイガーチックな動きのぎこちなさは微笑ましかったし、相手の攻撃をまるでピアノ線で吊っているのかと思わせるように大袈裟に受ける動きは大笑いしてしまった。ありゃ、ジョン・ウーか気功だな。笑いのツボもしっかり心得てきたようだ。だけど、再三見せる技のかけそこないや、危険な落し方を見るとジョージがあまり使われない理由が分かったな。ありゃ危ないや。

星川はというと、ただでさえ体重差25キロもあり、捉えどころのない相手に手を焼きながらも見事なムーブで、ちゃんと試合を組み立ててしまった。さすがのアドリブの利き方で、はっきり言ってタダ者ではないという感じだ。星川も丸藤と一緒でそれなりの仕事場を与えれば大ブレークするのではないか。

最後はコブラのパワーボムのかけそこないで、星川が頭から落され一瞬ひやっとさせられた所を、これりゃいつまでも付き合っていられないやという感じで、急降下バックドロップと裏十字で簡単に終わらせる。

フィニィシュに至る一連の動きも格好良すぎだ星川。

3.○アレクサンダー大塚 (7分29秒 レフェリーストップ)杉浦貴×

杉浦の入場だけでまたも場内は大騒ぎ。
試合はアマレス出身者同志らしく、いかにもプロのレスリングという感じが続く。取り敢えずグランドの展開になるのだが、レスリングのムーブ自体がただでさえモーホちっくなところがあるのに、二人ともスキンヘッドでそれが鬼頭さんに見えて来て、しかもただでさえそもそもがそれっぽいので、なんか淫靡な雰囲気を感じてしまった。AVもこのくらい動きがあれば面白いなとか、不謹慎なことを考えながら眺めていた。

まあ、それでも第一試合のストロングスタイルよりもグランドの攻防は見応えがあったが、スープレックスの打ち合いから場内はヒートする。特に杉浦の俵返しの連発はなかなかのものであった。しかも試合をコントロールしていたのも間違いなくデビュー4ヵ月の杉浦で、この試合もまたノアの株を上げたようなものだ。ただ、私的にはあまりにアマレスにこだわり過ぎるところが鼻についたな。まあ、それしか出来無いと言えばそれまでだが。

頭突きの打ち合いでアレクが大流血し、ますます杉浦有利なところだったが、アレクの変形アームロックでレフリーストップ。試合後に杉浦はギブアップなんて言っていないとコメントしたが、確かに唐突な感じ。出血もひどかったしアレクはレフリーに助けられたなと思いきや、島田であった。

試合後に、アレクは「おい、三沢。こんなデビュー4カ月のやつに付き合わせるな!」とマイクアピールするが、そんな大口叩ける立場かという場内の雰囲気。ただ、この後に「おかげで、恥をかいたじゃねえかよ」と続くのなら理解ができる。

4.×大谷晋二郎(4分50秒 腕ひしぎ逆十字〜レフェリーストップ)ショーン・マッコリー○

前回は村上に完膚無きまでボコボコにされたから、今日は猪木が連れてきたしょっぱい金魚を相手にVTごっこをやってコブラクラッチで名誉挽回させるんだろうなとか思っていた私にとって、この日一番期待していなかった試合。

しばらく見ないうちに大谷もオヤジ臭い顔になったね。コスチュームはなかなか若いけど、これまたセンスがいいのか悪いのか良く分からないし。最近苦労したんだろうな。両者ともOFGを着用で案の定VTもどきのムーブで開始。

まずはマッコリーの打撃のフットワークに大谷は様子見というか腰が引き気味。パンチを少しもらうが有効打にはならず。しかし大谷が打ったミドルかローキックにマッコリーがもろくも崩れる。さすが猪木が連れてきた金魚、やられ方がみっともない。ただコミカルでこういう試合にはいいけどね。

大谷はなんだこんなもんかという感じで、急に元気になり今度は自分から攻めに行く。この時大谷は軽快なフットワークから「シュッ、シュッ」と言いながらパンチを出し、それを私のそばにいた客がマネをしたので、あまりに可笑しくて大笑いしてしまった。

しかし、いくら金魚でも一応はムエタイの経験者、大体LAボクシングジム主宰なんだから、調子こいてきた大谷はカウンターでパンチを食らってしまう。まるでお決まりのお笑いみたいで大谷面白すぎ。その後もみあっているうちにラッキーのように入ったハイキックを頭部に食らい大谷は伸びてしまった。マッコリーはすかさず腕ひしぎを決めてマッコリーの勝ち。大谷は腕が伸びる前に伸びていたのにね。このマヌケさもマッコリー、ワンポイント、ゲット。

最近、猪木の格闘家によるしょっぱいプロレスゴッコや、4.9のプロレスラーのつまらないVTゴッコにうんざりしていたが、この試合は出色の面白さだ。しょっぱい金魚相手にここ迄試合を盛り上げて笑わせてくれる大谷の力量を見直してしまった。恐るべしZERO-ONE。

どうせ大谷もヘビーに転向しても高岩同様芽が出るはず無いし、ジュニアに戻ってももうマンネリだし時代から乗り遅れているから、このままイロモノ路線に進んで欲しいな。大谷にこれをやられたら広田も形無しだ。そういえば、昔広田がやっていたフォールを返されて「カウント2か、2か」とレフリーに聞くムーブはビデオで大谷の試合を見て取り入れたそうだ。もっとも、広田の場合トミーさんに「ワンだよ、いいから早くやれ!」と怒られるから面白いんだけど、大谷にそれをやられたらひっくりかえるな。

ここで休憩。淀みのない進行で、ここまででぴったし一時間。さすがにPPVが入ると進行が締まっていい。個人的にはここまで笑い所満載で大満足。後半はカブなノアオタクとタカハシさんと合流して見る。

休憩後にパンクラスの近藤と謙吾が登場。近藤の締まりのないマイクと謙吾が次の大阪での参戦を表明。だけど、謙吾の相手って誰?まさか大谷では無いだろうな。だとしたら必見だな。

5.橋本真也 ○安田忠夫(9分00秒 レフェリーストップ)井上雅央× 本田多聞 

まずは、井上雅央の入場。これだけで、ノアオタクは大喜び。それにしても雅央の入場だけでこれだけ盛り上がれるノアファンというのは一体なんなんだという感じ。これだったら何があっても盛り上がるはずだ。当然橋本もまあまあの人気だが、結果的に言うとこの日集った客の勢力分布図は私のように何処でもないというのを除くと、ノアファンが6割橋本、小川が2割づつという所だろう。

しかしこの4人がリング上に揃うと壮観だ。よくもまあこれだけ垢抜けないというか、野暮ったい奴等を集めてきたものだ。これに田上とウイリアムスが加われば完璧だなと思って、隣のカブなノアオタクに言おうと思ったら、彼ももう熱狂してあっちの世界に入り込んでいたので、水を差しても悪いと思って黙っていた。だけど、やっぱこれがメインだったらいくら何でも見映えが悪すぎるよな。

試合の注目はなぜここで多聞がこの大一番に抜擢されたかである。兼ねがねレッスルな極悪おやじは私に多聞最強説を主張する。確かにアマレスの実績だけを見るとそれも頷けるのだが、その片鱗すらプロレスでは見せたことがないので、私的には?であった。しかし、こういう舞台で抜擢することによりシューター多聞のヴェールを剥がすことになるのか、いやがおうでも期待は高まる。

試合は一人だけOFGを着用している安田が多聞にプライド仕込みの打撃攻撃をするが、多聞に大して利いてないみたいだ。ならばと今度はプライド仕込みの電車道でコーナーに追い詰めるが、プロレスで何の意味があるのか分からないが面白いからいいか。まあ、それでもだんだんとやる事はいつもと同じに。

問題の多聞は間合いを取る時に、アマレス的なフットワークを少し見せるくらいで、いつもの多聞であった。しかも橋本のキックを食らって「イテテテ」と叫んで笑わせてくれるように、対抗戦ムードが高まるシビアな雰囲気の中でも体に染みついたファミ悪ムーブも忘れないところは多聞らしい。しかし、過去の新日本のWARやUインターといった他団体との対抗戦で笑わせてくれることなんて滅多になかったであろう。ある意味多聞スケールが違う。

雅央も橋本をアルゼンチンで担ぎ上げ、腰がフラフラになるというお決まりのパフォーマンスや受けッぷりの良さを如何なく発揮した。

試合は受ける雅央に攻める橋本・安田コンビという感じだが、これからという所で雅央の肩が脱臼してしまい締まりがなく終わってしまった。大体安田がスタンディングのアキレスを決めているのに何で右肩脱臼なのかという疑問もあったが、まあこの4人に整合性を求める方が野暮というものだ。

ということで橋本は大して見せ場も無く終わってしまった。別に橋本が悪い訳ではないが、この締まりの無さも橋本らしくておかしい。大体締まりが無いと言えば、4人とも締まりがないけど。

それでも試合は大盛り上がりだった。常人には出来無いプロレス本来の見世物的な面白さを十分堪能させてもらった。ここに敢えてスター性のある選手を入れずに、どう見ても同じ人間には見えない野暮ったい4人でやったことにより、効果は倍増したのではないか。

全試合が終わった後に、レッスルな極悪野郎にこの日の興行のことを電話で伝えてあげたら、気になるのかやたらと多聞の事を聞いてくる。答えているのに、なおも聞いてくれるのだけど、一体何を期待しているのかね。所詮多聞は多聞としか言い様がないじゃない。今の多聞は、アマ時代のレスリングの実績よりも、ファミ悪を横目にしながらのプロのパフォーマンスが染みついていることを認識した方が良さそうだな。

6.小川直也 ×村上一成 (6分40秒 バックドロップ三連発〜そのままホールド) 三沢光晴○ 力皇猛 

まあ、一応私の最大のお目当てだけど、ここまでであまりに楽しませてもらったので、なんかどうでもいいという気分にもなってしまった。まあ、どうせこの面子でまともなプロレスが行われるハズがないという感じだし。

予想は出来たけど、三沢の入場で場内は大炎上。結局第一試合の丸藤なんて単なる序章だと思わせるノアオタの熱狂振り。なんかやっと市民権を得た迷える難民という感じだな。

試合はまず村上が力皇にいつもの打撃を打つが、力皇は全然利かないぞというパフォーマンス。この力皇の最初の動きで小川・村上組の心を折ったような感じだ。それにしても村上の打撃に何もないように振る舞う力皇は凄すぎる。

数少ない小川と三沢の絡みも、グランドでは完全に三沢優位。小川の打撃も有効打にならず、エルボーでやられる所が小川も少しは勉強したのかな。

最後は力皇が小川につッ込みその間に三沢が村上を子供扱いのようにバックドロップを連発しNOAH組の勝ち。なんかノア勢のいいとこだけで終わってしまった感じだ。橋本・小川戦なんて見ていると、小川がとてつもなく強いと思わせるのだが、力皇がある程度互角でやっているところを見ると、力皇ブレークという感じで見せてもらった。いくら小川が付き合ったとはいえ、場外で小川相手にマウントを取っていたのは少し驚き。

試合後に小川が三沢に突っかかると、ここぞとばかりにノアのセコンドが大挙して出て来て小川を袋叩きにする。なすすべなく小川はやられるだけという感じだが、これにも笑ってしまった。そして橋本が小川救出という感じで出て来るのだが、ブーイングと、「お前は関係無いだろう、引っ込め」という罵声を浴びる始末。いくら何でも今日のホストである橋本がそんなこと言われる筋合いはないとは思うが、確かに関係無い。この不条理はシチュエーションも妙に可笑しかった。

終わってみるとノア大ブレークという感じ。力皇のオーバーはいいとしても、今更という感じもするが三沢までもが大オーバーしてしまった。旧全日本、ノアの三沢から全国区の三沢になったような感じだ。橋本はまだしも、小川の場合今迄戦った相手をオーバーさせたことなんて無かった。そこが私の小川を評価できなかったところだったが、ある意味この日初めて小川は一流のプロレスラーになったと言えるのではないか。

どうせZERO-ONEなんて猪木かぶれの橋本や小川による自意識過剰なナルい興行だと思って大して期待はしていなかったのだが、実際は想像もつかなかった全く違う面白さであった。私が考えていたものと全然別のであったと言えるただ、純粋にプロレスの試合という意味でまともだったのは第一試合くらいで、冷静に考えるとあとの試合は水準的にはお寒いものである。それでも面白かったのは、セミの箇所でも書いたが、キッチュな見世物小屋的な面白さである。昔映画「スター・ウォーズ」でエイリアンの集る酒場のシーンでワクワクしたものだが、それに似た楽しさがあったが、これというのは初期の新日本にも同じようなものがあるかもしれない。

これだけの役者が集って、これをやられたらFMWなんてふっ飛んでしまうという感じがした。今後のZERO-ONEの方向性なんて考える方が野暮だと感じた。このまま面白おかしくやって欲しい。

ただ、皮肉なのはこれを支えているのは、ノアの選手というよりも、箸が転んでも喜ぶウブな女の子のように、何をやっても喜ぶノアオタである。ノアのファンがZERO-ONEを支えているという事実もこれまた意義深い。今のプロレス界は言わば足りない頭の頭脳合戦という感じがするが、ここまで何も考えないでやっている橋本はかえって清々しい。

今後のこともたぶん言うだけバカを見るだけだと思うよ。この行き当たりばったりが妙に可笑しい。




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