弱くなったオースティンに、観客まだ戸惑う
■団体:WWF Raw is War
■日時:2001年4月9日
■会場:マサチューセッツ州ボストン フリートセンター
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

衝撃のレッスルマニアから一週間後のRAWレポートです。まずその間の流れを簡単に振り返ってみましょう。ヒールになったオースティンはレッスルマニアの翌日のRAWでロックのリベンジマッチを受け、何度も幻のフォールやギブアップを取られたものの、ビンスに助けられ、さらにビンス-オースティン連合に不満を持って駆けこんできたかと思われたトリプルHの救援も得て、ロックを完全KO。ここにマクマーン親娘-オースティン-トリプルHという最強ヒール軍団が結成されました。続くSMACKDOWNで、オースティンは親友だったJRをKO。トリプルHもジェリコを(いろんな乱入に助けられて)倒し、インタコンチ王者になりました。しかしオースティンはあっという間に、ルールと反則と味方の乱入に守られる弱い王者になってしまいました。まあヒールの文法に忠実な選手になったということです。ファンからはStone Cold ではなく Sold Out(裏切り者)と呼ばれ出しています。なんにしても豪華なヒール陣に対し、やや弱いのがベビー。SMACKDOWNでビンスによりロックの長期欠場が発表さ・れたので、レスラーでは現在テイカーとケイン、そして最近手を組み始めているジェリコとベノワ位しか善玉がいません。シェーンとWCW軍団、そして薬物の過剰投与から逃れた(ビンスの命令をトリッシュが守らなかったためという説明がなされた)リンダと彼女を助けるミックの活躍に期待でしょうか。そのリンダは前回のSMACKDOWNで、次のRAWでビンスを痛い目に合わせてやると宣言。ビンスがいつも自慢している二つのグレープフルーツ(でっかい金玉の象徴)を、包丁で真っ二つに斬るという秀逸なパフォーマンスを見せました。

本日のRAWはそのリンダとビンスの最近の遺恨をまとめたクリップからスタート。さらにこの日会場前に、ビンスが、目の周りに隈をつくっている不機嫌そうなJR(前回のSMACKDOWNでビンスの命令で元親友のオースティンにインタビューをし、ぼこぼこにされた)と遭遇する場面が流される。「悪かった、今日の君は仕事をしなくていいよ。そんな気分じゃないだろう。後で私のオフィスで話し合おうではないか」と話しかけるビンスを振り切ってJRは去る。

会場からの中継開始。JRがいないので、ヘイマンがひとりでJRの真似をしてオープニングの挨拶。さらに、今日は俺が一人でやるかもしれん、ストーンコールドのおかげだ、と高笑いし悪役解説者ぶりを披露。

ケインvsアングルのハードコア戦。
アングル登場。地元のボストンレッドソックスをバカにしながら、誰でもいいから私の挑戦を受ける奴出てこい、とアピール。本人はトリプルHかオースティンを想定していたのに、出てきたのはハードコアチャンピオンのケイン。なんとそのまま試合が始まる。やがてビッグショウ、テイカーも入ってきて、現在主流のストーリーから外れている大物4人が揃う。アングルが途中で投げ出して、テイカーとケインのダブルチョークスラムを食らったショウがフォール負け。ケイン防衛。短い試合で、誰一人まともな仕事をしていない。あ、アングルがケインをごみ箱のフタでぶんなぐったのを「クラシックオリンピックスタイル」とか表現したヘイマンだけはいい仕事してた。

ビンスが控え室で、不信感の塊みたいな顔のJRを「暖かく」もてなしている(いつものことだけど、偽善的なのが見え見えなのがすぐに分かるような見事な演技)。ビンス「なにか飲み物はどうだ?私は君に、正常な気分を取り戻して欲しいのだよ。そのためにもう一人ここに招待したんだ」入ってきたのはオースティン不機嫌そうに目を反らすJRの横に座ったオースティンは、静かに「俺も参加していいか。いいカーボーイハットだなあ」等と脅かす。ビンスは「JR、まあくつろいでくれ。これからヴィデオを見せよう。」

チョークスラムを食らって背中を抑えて控え室にもどるショウインタビュー。乱入してきたテイカーに怒り心頭。今夜改めてシングルを要求。

ビンスの控え室。ビンスがヴィデオを再生する。それは先週のSMACKDOWNで、JRがオースティンにインタビューしたシーン。JRの「君が心から軽蔑していたミスターマクマーンと組んだのはなぜなのだ」等の質問に、オースティンがことごとく高圧的な返答をし、逆にオースティンがJRに「お前みじめだな、ベストフレンドを失ったと思っているのか?」という質問にJRが「その通りだ」と答えたりして、最後にオースティンがJRを殴る。そこに出てきたビンスが「オースティン、なにやってんだ、もっとブン殴れ!」と煽り、その命令に従ってオースティンはJRを流血のぼこぼこに、、、。そんなシーンを、不機嫌そうに目を背けているJRと共にオースティンとビンスが楽しそうに観る。

見終わった後、オースティンはJRに「あの時、お前は本当に弱くて惨めな奴だと改めて分かったぜ」と言って去る。ビンスは悪魔の笑いを見せながらJRにささやくように「JR、これで正常な気分で働けるか?」JR「ああ。気分はいいよ。私は私の弁護士と話をした。裁判に持ち込むこともできる(ここでビンスの顔色がちょっと変わる)。だがそれは私の流儀ではない。それより今日で(WWFを)やめるほうがいい。」再び笑顔になったビンス「そうか、やめるのか?」JR「ああ、私は今日やめるとするなら、そして明日から私は君の息子のシェーンのWCWで働こうと思うよ。」再び顔色を変えたビンスをしり目に、JRは「では、仕事があるから」と出て行く。おお、アナの異動までアングルにするのか? 「WCWの新番組のアナは誰がいい?」アンケートでは、確かECWのジョーイ・スタイルがダントツだったけど、JRという線もあるのか?

CM後、JRが音楽とリリアンのアナウンス付きで入場してきて実況に復帰。不機嫌そうに座るJRに対しヘイマンは両手を広げて「おお我が友よ!相棒よ!良く戻ってきた!」今日のヘイマンは面白すぎ。

クラッシュ&モリーvsライノのハンディキャップマッチ。
クラッシュとモリーは前回、揃ってライノのスピアでやられている。どうでもいいんだけど、先週モリーがトップロープからライノに前方回転アタックをした際、ライノの手がモリーのタイツに引っかかってめくれて、もうちょっとでハンケツが見えそうだった(俺はスロー再生したけど尻は見えなかった)。ええと、で今日の試合は、クラッシュとライノが小気味いい攻防を展開した末、ライノがスピアでフォール。さらにライノがモリーにもスピアを狙ったところで、ハードコアが入ってきて豪快にライノを蹴散らす。見事。やっぱりECW系というか、スピードがあってハードコンタクトのスタイルの彼らは手が合うみたい。

廊下で、ビンスがステファニーと話している。JRの離脱を心配するビンス(最近シェーンがWWFのレスラーに親しげに話しかけているので、引き抜きに過敏になっている)に対し、ステファニーが、大丈夫よ心配しないで、となぐさめる。やがて、近くにあるモニターが会場入りするリンダを映し出し、ビンスはさらに頭を抱える。

CM後、会場入りするリンダ、駐車場近くでたむろってる(笑)アコライツや、スチール撮影をしているセレブリティ・チャイナとにこやかに挨拶。

(前回のHeatで不覚にもリタにフォールを取られた)スパイク・ダドリーインタビュー。
そこにXパック、ジャスティン、アルバートの悪役軍団が来て、お前は女に負けたとバカにする。スパイクは立ち向かおうとするがあえなく返り打ちに。

自分のオフィスにインタビュアーを呼びつけたコミッショナーリーガル、最近ジェリコとベノワが仲良く成りかけているのを憂慮して、二人のシングル対決を組んだことを宣言。

ショウvsテイカー。
豪快な殴り合いを1分くらい見せた後、コーナーに詰めて二段ロープからパンチを連打したショウに対し、テイカーが下からすくってパワーボムでフォール勝ち。これは短かったけど、フィニッシュもそれまでの過程もいい試合だった。マニアでトリプルHにも勝ったテイカー、ここにきて上昇か? ちなみに俺は個人的に、テイカーの大きなフォームからの各種のパンチをすごく評価しています。豪快でメリハリもあって、観てて飽きない。

リンダ登場。なぜか、ここ数年レッスルマニアの幕間等で使われている明るいテーマに乗って。笑顔がなんかまぶしいぞ。でもしゃべりはじめると、相変わらず声量も抑揚も表情もなくて、だめだこりゃ状態。でもいままでのストーリー作りが効いて、ファンはリンダの一言一言に大きく反応している。リンダは自分の完全復調とシェーンの勝利を称えた後、ビンスを呼び出す。

余裕の表情でビンス登場。リングに上がるなり、笑顔で妻にハグしようとするが、リンダは手を伸ばして止める。握手も拒否。それでもめげずにビンス「分かっているよリンダ。お前は、自分がレッスルマニアでやったことを私に謝りに来たんだろう?」リンダはそれを「シャラップ!」と一喝。その後、離婚宣言から、薬漬けにしてトリッシュと目の前でいちゃついたりした等、ビンスのひどい仕打ちを一通りヴィジョンで振り返り、ビンスを責める。ビンスは「わ、分かったよお前のしてほしいことは。私のほうがいつも引いてきた。今回も、あ、謝るよ。」さらにリンダの顔色をうかがったビンスは改めて両膝を付いて「34年前に君に(結婚を)頼んだのと同じように、私は君に頼むよ。本当に、謙虚に心から、謝るよ。」そう言って笑顔を作るビンスに対してリンダは「私が望むのは謝罪ではない。離婚よ!」と言い放ち、呆然とするビンスを残して去る。うーん、先週グレープフルーツざっくり切ったんだから、もっとすごい展開を期待してたのに。しかしやっぱリンダのマイクはひどいなあ。それに反応して、いちいち表情を作り替えるビンスの芸でなんとかこの一幕は見れた、という感じ。

会場を去ろうと駐車場を歩くリンダに対して、リタが駆け寄って来て「さっきの態度は素晴しかったわ、ありがとう」と激励。さらにリンダがリモに乗り込んだところにビンスが追っかけてきて「リンダ、窓を開けろ!」リモは構わず出発。取り残されたビンスは、怒りの表情でやはりその場に残っていたリタを睨み付ける。そして「あれが素晴しいって?じゃあもっと素晴しいことをさせてやろう。」と言って、メインにリタ&ハーディーズ組vsステファニー&オースティン&トリプルH組の6人タッグを命令。なるほど、善玉不足の中、今日メインに抜擢されるのはハーディーズ達か。俺は個人的にこのリンダとリタのやりとりみたいな「男性の権力に立ち向かう女性の姿が別の女性に勇気を与える」という構図はけっこう好き。まあ、メインの理由づけのためにはさまれた会話に過ぎないんだけど。

ダドリーズ(ババレイ、ディヴォン、スパイク)vsXパック、ジャスティン、アルバート組。
なんかXパック達には自分達の新テーマが作られている。しかし試合はジャスティンが3Dを食らって負け。いかにも員数合わせ的に作られた新中堅ヒール軍団だなあ。試合後、アルバートがババをネックハンギングボムで机破壊。アルバートは常に迫力のあるいい仕事してる。いかにも凡庸な悪役キャラをなんとかすれば、プロレス能力的には十分上にいく力はあると思うんだけど。

控え室のビンス、(メインの組み合わせに不満のある)トリプルHとステフが待ってくれと言うのも聞かず、荷物をまとめて会場を出ていく。
もう一方の控え室。マットとリタが過酷なメインにめげている。しかしジェフはこれぞチャンス、トリプルHとオースティンは息が合っていないとやる気満々。それを聞いて、残りの二人もやる気に。

ベノワvsジェリコ。
リーガルは自身でレフェリーをやるために出てくる。そのリーガルが横暴を働き、両者が切れてリーガルを二人がかりで攻撃。リーガルをやっつけたジェリコとベノワは互いに睨み合うものの、ますますお互いを認め出している模様。

JRが、今度行われるXFLプレーオフの宣伝。最初で最後のプレーオフかもしれないので要チェックかも(って誰もしないか)。

会場前、RTCのヴァルとスティービーがレイヴァンに洗脳を試みた映像。レイヴァンは「定め(fate)がお前らを俺のところに導き、宿命(destiny)はお前らの信念の偽善性を暴き、痛み(pain)はお前らの懺悔となるであろう。」と言い返す。さらに「お前らの信仰体系に囚われるのはまっぴらだ」とも。俺的にはレイヴァンには、こういう謎めいたセリフをもっといろいろ言わせてほしい。

エジクリinWWF New York。七度目のタッグ王座返り咲き(凄い!)を祝している。

控え室で、オースティンとトリプルHが(ステフをのけて)二人で作戦会議。

ヴァルvsレイヴァン。
RTCがいっぱい乱入して、ヴァルの勝ち。RTCに入って得したのはスティービーとアイボリーくらいで、ヴァルなんかはずっと今日のような意味のない仕事をやらされててさすがに気の毒になってきた。そろそろこの軍団自体終わりかな?まあビンスをセンサーすれば面白いんだけど。

リタ&ハーディーズ組vsステファニー&オースティン&トリプルH組。
はじめての(?)RAWのメインで張り切るハーディーズの動きがいい。序盤は彼らが一方的に攻めて、それをヒール化して感動的なくらい弱くなったオースティンと、もともとヒールなのでやられ役はお手のもののトリプルHが受ける。序々にヒール組の攻勢も目立ってくるけれど、基本的には「ハーディーズが正当派の技で圧倒して、ヒール組が反則とラフ殺法でなんとか反撃」という展開が続く。特にオースティンはおもしろいようにやられまくってて、客もどう反応していいのか分からず戸惑ってる感じ。そしてなんと最後は、男子達が場外乱闘する間に、リタがステフを捕えてムーンサルトでベビー組勝利。やられてばっかりいるオースティンって面白くねえなあ、むしろ圧倒的に強いヒールにしたほうが良かったのに、、、と思っていたら、試合後オースティンはイスでリタも狂気のめった打ち(背中に加えてお尻も何度も叩いていた)。さらに無理矢理立たせてスタナーで女性を完全破壊。このへんはタイガージェットシンの現代版みたいで、ちょっといい感じだった。絶対的なベビーの切り札をヒールにしたんだから、どこか突き抜けた部分を作らないとしょうがない。─uタu・オかし今日は、全般的に低調でしたね。やっぱ善玉がいないからメインのカードは弱いし、今日の最大の見せ場のマクマーン夫婦劇にしても、リンダの絶対的な演技力不足に加えて、シナリオそのものもインパクトが無かった。さらに、過去のヴィデオ上映の量も今日は多すぎた。WCW買収大アングルとレッスルマニアというものすごいものを続けて見せた後、なんかしぼんでます。




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