オースティン、遂にヒールターン!
■団体:WWF WrestleMania x−seven
■日時:2001年4月1日
■会場:テキサス州ヒューストン、アストロドーム
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

予告どおり、レッスルマニアをスポーツバー観戦してきました。しかしバーではレッスルマニア開始時刻になっても、LAレイカーズのバスケット試合中継を流してる。プロレス目当てに来てる客もレイカーズの試合には文句を言わず、一喜一憂している。そのレイカーズが一点差で負けてみんなが悔しがってるところで、場内のテレビがレッスルマニアに切り替わりました。ジェリコvsリーガルは終わっちゃったみたいだけど。ま別にいいや。というわけでさっそくの観戦記いってみましょう。これは速報も兼ねて書いているつもりなので、いつものようにほぼ全てのセグメントを紹介するわけにはいきません。また、ヴィデオもないため発言もきちんとは再現できませんので、そのへんご了承のほどを。

RTC vs タズ&アコライツ
ブラッドショーの重爆ラリアット(Closeline from hell)でケリ。中継ぎ試合とはいえ、さすがに大舞台だけあって、みんな持ち技を惜しげもなく出していた。

レイヴァン(王者)vsビッグショウvsケインのハードコア戦。
内容はいつものハードコア戦なんだけど、怪獣二人を交えたため迫力3倍になったような試合。3人で会場外にてガラス窓や壁や駐車場のドア等を次々に破壊したあと、ケインがビッグショウとレイヴァンをまとめて入場の舞台から落とし、さらに自分もギロチンドロップで落下して勝利。ケインはトップロープから場外へのフライングクローズラインもやった。グッドジョブです。

WWF New York からの中継が入る。本日のゲストはなんとなんと、スーパーフライ・ジミー・スヌーカだあ!

エディvsテスト(王者)のヨーロピアン戦。
これは90パーセント以上、エディがキャリーした試合だと思う。逃げ回ったりやられに行ったり攻撃したりして、試合をひっぱってた。サタンやマレンコが乱入して、エディ勝利。でも世界一美しいフィニッシュホールド、「エディのフロッグスプラッシュ」は不発(このように、俺のエディの試合の記述には思いきりひいきが入っているんでご注意を)。試合中テストが片足ロープ宙づりになったんだけど、レフェリーひとりの力では外せず、エディが協力して二人でやっと外れたという珍事件あり。エディが試合中こけて客に笑われる場面も。

アングルvsベノワ
試合開始から5分以上、アングルが片足あるいは両足タックルでテイクダウンし、それをベノワが切り返し、アングルもさらに切り返す、、、といった攻防が続く。攻防そのものも悪くないけど、ベノワにグラウンドで押されているアングルの魅せる興奮した表情が素晴しい。その後試合はラフあり大技あり小技ありのハイレベルのプロレスに。それなりに魅せてるんだけど、こないだのエディベノワ戦にはちょっと劣るかなあ。アングルはなんでもできるけど、技の瞬間的なスピードが足りないのが原因かな。まあ、この二人だと凄い試合して当たり前って先入観が俺にあるのかも。レフバンプ中にベノワのクロスフェースでアングルがタップ。レフが生き返った後アングルが丸め込んで勝利。

後で行われる、歴代ヒーローバトルロイヤルに出るキマラが、コミッショナーリーガルの清潔なオフィスの机の上で踊っている。戻ってきてそれを見て怒るリーガル。文明vs原始。こういう単純ギャグは楽しい。

近日行われた、USアーミーとの交流パレードの模様。これ相当長い時間、いろんな場面を流してた。やっぱ軍隊って重要なんですねえアメリカでは。

チャイナvsアイボリー(王者)の女子タイトル戦。
チャイナはソバージュ&紫のラメの入ったビキニで登場。食い込み度も高し。プレイボーイ登場で完璧にセレブリティとなりました。体全体もフェミニンになって、なんか胸のシリコンも増量してるみたいで、かつてのサイボーグフェミニストみたいなイメージは完全に消えました。アイボリーは相変わらず、自分のレスラーとしてのレベルの低さをうまく利用して、本当に小憎らしい卑近な悪投を演じています。「おびえてるのに虚勢も張る」顔も見事。RTCの役が一番はまったのは彼女でしょう。試合は当然チャイナが圧勝。この人は上がりですね。できればまた男子の戦線に絡んでほしいけど、もうそんな感じでもないなあ。長い長いリフトアップはさすがだったけど。

ビンス、ステファニー、トリッシュ、そして車イスに乗せられた無表情のリンダが控え室に。ビンスはトリッシュに、今日の試合で自分がシェーンが完全に動けなくなるまでやっつけたら、リンダの車イスをリングまで押してこい、と命令。

ビンス(withステファニー)vsシェーンのストリートファイトマッチ。(レフェリーミック)
これはもう、ほとんどキャラとストーリーだけで魅せる試合ですよね。試合内容とか動きじゃなくて、基本的にキャラたちの人間関係がどう動くか、だけが注目の試合。ステフが裏切るか、トリッシュが裏切るか、はたまたミックが裏切るか、リンダの甦生はあるのか、WCWレスラーズの乱入はあるのか、、、どう転んでも面白いんだけど。とにかくこの試合はストーリーを追うことが大事なので、細かく書きます。

試合前にシェーンが二階の来賓席で観戦するWCWの選手たちを紹介。これで彼らの乱入は消えたか。試合開始。最初に奇襲をかけたビンスだけど、彼のパンチやキックのへぼさは相変わらず。モーションが極端に小さいし迫力も異様にない。天才の唯一の弱点か、それとも本職のレスラーと差別化するためにわざとやってるのか? すぐシェーンが逆転。こちらはスピーディーかつ大きなモーション、様々なやりかたで親父を殴る。この試合一つ目のハイライトはすぐ来た。親父を放送席に寝かせたシェーンが、トップロープからものすごい距離を飛んでエルボー。ステファニーがビンスを寸前でどけたので、シェーンは一人で机を破壊。これ、完璧にミックを超えてます。シェーンのは飛距離と躍動感が違う。

この自爆でシェーンが完全グロッキーになったのを見て、トリッシュがリンダの車イスを押して登場。トリッシュは、同じくグロッキー状態でふらふらしているビンスをリンダの前で優しく介抱すると見せかけて、ビンスに張り手一箋! それに怒ったステファニーとキャットファイト開始。観客大喜び。このキャットファイトを、無表情な仏像のような表情で眺めるリンダっていう構図もすごいものがあった。ともあれトリッシュここに来てベビー化です。トリッシュとステフは、乱闘したまま会場外に消えて行きました。

さて、トリッシュの張り手で倒れたビンスはそれでも立ち上がり、動かない無表情リンダに悪魔の顔で迫ります。それをミックが間に入って止めて、リンダを安全なところまで運ぼうと車イスを押していったところに、追っかけたビンスが背後からイス攻撃。ミック倒れる。そこでビンスはリンダの車イスを再びリングサイドに戻し、さらに力の入らないリンダをリングに運び上げ、自分の持ち込んだイスに座らせる。そこでさらにビンスは、自爆のダメージでまだ倒れているシェーンもリングに担ぎ上げ、さらにアルミのごみ箱をいくつもリングに投げ入れる。

そしてビンスは、相変わらず無表情のリンダに、「よく見ておけ!」とかなんとか毒付きながら、彼女の目の前でシェーンをごみ箱で殴りまくる。二つのごみ箱がぺしゃんこになったので、さらに三つ目をふりあげたところで、いきなりふわりとリンダが立ち上がり、ビンスに近寄る。ごみ箱を振り上げたビンスが振り返って、立っているリンダを見て仰天して金縛りみたいになっていると、リンダはそこに急所蹴り。崩れ落ちるビンス。そこにシェーンが甦生してきてビンスに反撃を始める。リンダはそのまま正気の顔になって、息子の試合を見守る。しかし、誰より男根的なビンスが急所を蹴られる姿というのは、本当に絵になりますね。

最後も圧巻でした。コーナーに崩れて座っているビンスの顔にごみ箱を押し付けて固定したシェーンは、そのまま隣(対角線ではない)コーナーまで行き、ロープ最上段までのぼりました。WWFのリングはでかいので、ビンスとの距離はリング一辺分、ものすごい長さがある。ここから飛んでも届くわけない、いったい何する気なんだ、と思っていたらシェーンはロープの上をちょっと歩いてビンスの正面に立つと、そこから本当に正面ドロップキックの形で飛びました。そしてその正面ミサイルキックは、ものすごい長さを飛んでビンスに押し付けてあるごみ箱に見事ヒットしたのです。そしてぺしゃんこになったごみ箱につぶされたビンスをカバー、ミックがカウント3。シェーンはリンダと抱き合い、WCWの面々も客席で拍手。

いや、ここまで凝ったストーリーを二転三転させて、さらに仰天スポットとフィニッシュで魅せる試合なんてなかなかお目にかかれません。シェーンの跳躍力ってやっぱりおそろしい。俺、この試合観終わったとき、今年の年間ベストバウトは決まりかなと思ったんですが、、、


ダドリーズ、エジクリ、ハーディーズのTLC(テーブル、梯子、イス)2。
去年のマニアのベストバウトが、全く同じ試合形式で帰ってきました。基本的には去年と同じ様な破壊マッチだったので、詳しい内容は略しますけど(去年のレッスルマニアの生観戦記も投稿しておきますので、よければそれを見てください)、去年よりもさらに新しい危険スポットを追加して、さらにリタ、ライノ。スパイクらが乱入して破壊スポットに加わったので決してマンネリになっていなかった。最後はまたもエジクリの勝利。俺は嬉しい。

伝説のギミックヒーロー達によるバトルロイヤル。
かつての英雄たちがぞろぞろ出てくる。アースクエイク(テンタ)、キマラ、スローター、コーネット、ドインク、ブッシュワッカーズ、ワンマンギャング(髪薄いのにちゃんとモヒカン)、ダグボート、リーボマン他(まだいたけど、あとWWF観戦歴の浅い俺にはよくわかりません)。そしてなにより、ニコリボルコフとアイアンシークまで登場(ああ、ヨコヅナが生きていれば彼もここにいたんだろうなあ)。特別実況にはミーンジンとボビーヒーナンが。ボルコフもすっかりおじいちゃんだけど、凄いのがシーク。膝がしゃれにならないくらい悪いようで、ほとんど歩けない。極端なガニ股でぐらぐらしながら入場してきて(ちゃんと凶器シューズ着用)、試合中もロープにつかまってやっと立っていた。こうなると、このバトルロイヤルの勝者を推測するのは簡単。シークに決まっている。足の悪い人を場外に落せるわけないもん。果たして結果はその通りに。試合後、スローターがシークに襲いかかってコブラクラッチで落とす(これなら足にもそれほど負担はかからない)。なつかしの米イ対決、束の間実現。こういう国/民族/人種対決のアングルってのは最近はすっかり消えつつありますね。そういや、少し前に発売された「ジャガロウ・チャンピオンシット・レスリング」というインディーのヴィデオにも、足の悪いシークのプロレスが入っています。その試合は俺的にはすごいインパクトがあるものでした。ぐらぐらしているシークの一挙手一投足は、それだけで異様で、かつてのシークの数倍もの他者性を帯びています。生きのいいインディーの若手がレスラーが歩けない老人にやられまくるのは不条理そのものなんだけど、なんか納得してしまう。

トリプルHvsテイカー。
長くなってきたんで、重要性の低いこの試合は略。この二人なので、重厚なセミでした。当然内容はメイン級。最後はテイカーがラストライドで勝利。

ロック(王者)vsオースティンのタイトル戦(なぜか反則裁定なしルール)
ベビー同士の堂々一騎打ちムードをさんざん煽ったこの対決、それでも俺の見てたバーでは、試合前からロックにブーイングする人多し。試合の最初の20分くらいは、ひたすらハイスピードで殴り合い、叩き付け合いを続ける流血戦になりました。まあストーンコールドプロレスですね。会場ものすごいテンション。凶器での殴り合い等でお互い見せ場をつくったあと、最初のヤマはシャープシューターの掛け合い。まずロックが決めて、ストーンコールドが必死の形相の腕立てでロープに逃れる。次にその逆。これって、長州藤波戦が元祖のスポットですね。そのうちロックの逆スタナーが入ったりしてカウント2の攻防が盛り上がっているとき、ビンスが本日二度目の登場。正々堂々一騎打ちのムードが一気に怪しくなる。そしてロックのピープルズエルボーが炸裂すると、とうとうビンスがカウント3寸前で乱入。ロックがビンスを追っかけまわすところに、オースティンがロックボトム。カウント2。オースティンスタナー。終わりかと思ったらまたもカウント2。ここでオースティンはビンスにイスを要求。おお、本当にストーンコールドがヒールターンするとは!オースティン、ビンスにもらったイスでロックを痛打。今度こそ終わりと思ったら、またカウント2。おおお。オースティンあきれている。ここでバーの客からロッキーコールが。でもオースティン、さらにイスでロックをめった打ちのたこ殴り。すげえ、ヒールターンするにしてもオースティンは桁が違う。ビンスもすぐ横でエキサイト。むちゃくちゃやった上で、とうとうカウント3。ビンスとオースティンが握手。うちのバーでは、どう反応していいのか分からないで多くの人が静かになっちゃった。へへへ去年の俺みたいだ。それでもテレビで観るかぎり、会場には単純にオースティンの勝ちを喜んでいる者も多いみたいだった。
多くの期待を裏切りアンチハッピーエンドに持っていくところやロックを悲劇のヒーローに仕立て上げるところとかは去年と同じだったレッスルマニアですが、今年の方がさらに衝撃がでかかったでしょう(俺個人は去年のほうが驚いたけど)。究極のベビーのターンですから。俺はこれは英断だと思う。「悪い奴がベビーである」という転倒の元祖であるが故に、現代プロレスの破壊的快楽の象徴としてストーンコールドは長いことベビーであり続けなければならなかったわけだけど、ビンスとの最大の抗争以上のインパクトはずっと作れないままだったし、ベビーのままじゃ今後もおそらく作れないでしょう。だったら、観客の(「ストーンコールドは常にベビー」という)安心感をぶち壊すことで真に破壊的なものを見せつつ、別の展開を模索したほうがいい。しかし今後の展開どうするんだろう。ヒールになった選手ってのは、反則や卑怯な技に頼る分、「一人で技で勝つ力」が弱くなるってのが鉄則なんだけど、オースティンもそういうヒールになるんだろうか。想像しづらいなあ。

まあそれにしても、今回のレッスルマニアは質が高かった。ほんと去年より数倍いいですよ(去年はちょっとしょぼすぎたんだけど)。マクマーン親子対決とメインは圧巻だったし、ヴァージョンアップしたTLCもあり、アングルとベノワの技の攻防もあり、もう一つメイン級のトリプルHテイカー戦もあった。途中から観たのにヴォリュームがありすぎて疲れた。去年の最高興行Fully Loaded に近いものがあるけど、展開の凝り方や結末の衝撃度は断然こっちが上でしょう。ということで、俺寝ます。明日のRAWレポートはまたもお休みさせてください。




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