3/26 特別ドキュメント。月曜生戦争、前代未聞の終焉。
■団体:WWF−WCW
■日時:2001年3月26日
■会場:フロリダ州パナマシティビーチ特設リング(ナイトロ)//オハイオ州クリーブランド、ガンダアリーナ(RAW)
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

先週もまたお休みさせてもらっちゃったRAWレポート、今回はスペシャルバージョンです。なんといっても、この日はWCWを買収したビンスが、WCWナイトロの最終回をほとんど乗っ取って勝利宣言してしまうという歴史的な事件が起こったのです。よって俺も今回は、ナイトロとRAWの両方をレポートします(ナイトロは夜8時から二時間、RAWは9時から二時間で重なるんだけど、ナイトロは夜の12時からリピート放送をしてくれるので、両方録画できるんです)。特にナイトロでは省略できないような大事な発言がいっぱいあったので、すごく長くなると思う。

ここで、あまり詳しくない方のために(というか俺もそれほどアメプロ詳しくないんですが)、WWFとWCWの関係についてごく簡単に触れておくと、この二社は95年以来、月曜夜に看板番組をぶつけ合って(正確に言えば、WCWが新番組のMonday NitroをRAWの時間帯にぶつけた)視聴率大戦争を繰り広げていたのです。レスリング重視のWCWが優勢だったこともあったけど、ここ二、三年はWWFが圧倒。片やWCWは番組の質もどんどんつまらなくなっていた。俺も以前はよくWCW観てたんだけど、ここ一年はほとんど観なくなってた。もう退屈で耐えられない。でもってこの日、とうとう5年以上に渡る月曜生戦争が、WCWを買収したビンスの完全勝利という形で決着が付きました。しかもライバル番組をジャックして同時二元中継を行い、ガチの興行戦争の結果をそのままアングルにしてしまうという前代未聞の方法が取られました(ええと、WWFとWCWの戦争初期についてもっと知りたい方は、幻の美少女田中正志氏の幻の著作『開戦!プロレス・シュート宣言』をどうぞ。絶版だけど、入手方法はあるとか。観戦記ネットの主宰に聞いてみてください)。

というわけで今回のレポートは、8時開始のナイトロの模様から始まります。

「まあ最終回くらいナイトロ見るか」と軽い気持ちでテレビをつけたら、WCWのロゴが出たあと、いきなりRAWのインタビューセット(RAW is WARのパネル付き)を背景に、得意満面のビンスが登場して仰天。「なぜこの私、ビンスマクマーンがWCWの番組に出てるのかな?? 私は私の競争相手を買収したのだよ。私がWCWを所有しているのだ。だから、今日この番組の最終回で、(嫌みたっぷりに強調して)君達WCWファン、君達WCWスーパースター達に、WCWの命運を教えてあげよう。今夜このスペシャル同時中継で、すべてが開かされる。なぜなら、WCWの命運は私の手の中なのだからだああ(と自分の掌を見せて嫌みに笑う)。」

その後、いつものナイトロの番組開始のクリップが流れ、中継開始。今日は春休み特別企画で、ビーチの野外会場からの中継(企画したときには、まさかこれが最終回になるとは考えてなかったはず)。いつものように花火がばんばん上がり、ファンがきゃーきゃー騒いでいる(後方にちょっと空席あり)。日本だったら、団体最終興行でファンがこんなにノーテンキに騒ぐことは在り得ない。アナウンサー達は「これが最終回だなんて信じられないよ。」「ミスターマクマーンはなにをたくらんでるんだ?」等々話す。今日は「Night of the Champions」と銘打って、5大タイトルが全てかけられるとのこと。

2001年宇宙の旅のテーマで背広姿のフレアーが登場。しばらく静かに上を見つめてからいきなりハイテンションになって「さっき私が、Hooo! (この雄叫びはフレアーの代名詞)私が聞いたのは、ビンスマクマーンがWCWをその手に握ったという宣言だったのか? それは、お前がジャックブリスコ、ドリーファンク、ハーリーレイス、ロードウォリアーズ、スティング、ルーガー、スタイナーズ、バグウエル、リックフレアー、(リッキー)スティンボートを全て手に入れたという意味かあ? そんなはずはないね!」

フレアーの一言一言叫びながらの渾身のマイクは続きます。「私は今日、ある親しい者に今日はリングに上がるなと言われた。どうせTNTにもTBSにも二度と出れないんだから。彼女は私にこの場に及んで惨めに叫ぶなと言った。私は惨めじゃない。私は14度世界チャンピオンになったんだから。このもっとも偉大な、そうだ、WCWという世界でもっとも偉大なレスリングの組織でだ! そう我々は ---私はスティング、ルーガー、ロードウォリアーズ、私の最高の友人(アーン)アンダーソン、フォーフォースメンについて話しているんだ--- 我々は世界のどのプロレス団体にも劣ったことはなかった。ビンス、お前とも我々は何年も互角にやってきた。ビンス、ちょっとしたことだか、1981年にお前がWWFのアナウンサーになりたがっていたとき、重役会議でお前の父親は、私をチャンピオンにするように投票したんだぞ! Hooo! (と叫んでロープに飛んで戻ってきて) 「どうだ! そしてそれ以来私は、リモジンに乗り、ジェット機で 飛び、女の唇を盗み、辣腕をふるまい (limousine-riding, jet-flying, kiss-stealing, wheeling-dealing)、 WCWと共にやってきて、世界中の女とキスをし、泣かせてきたのだあ!」と言っています。これはingで韻を踏んでいるわけです。

「我々はWCWとして生き、呼吸をし、汗を流し、最高となるためにやってきた。いつも重要なのはボーイズ(レスラー達)ではなく、オフィスにおけるWWF vs WCWだった。ボーイズは毎晩リングに上がり、最高となるため、やれることを全てやってきた。自分で選んだこの生きる道のために。そんなボーイズが今夜ここにいる。我々はどこにも行かない。お前は我々を所有し、我々の命を予言することなどできない。我々はWCWだ。我々は血を流し、汗を流す。お前が前回一時間戦い、身を切り刻み血を流し続けたのはいつだ!? お前はそんなことはしていない。絶対にしていない。お前はいつも、ドレッシングルームにはいなかった。毎晩血と汗を流しながら次の街に向かう、その旅にお前はいなかった!お前には人々の命を握れない!もう一度言う。お前に我々を支配することなどできない。」

「最後に言いたい。私のこのスポーツにおけるキャリアの中で、最大の敵はスティングだった。そこで今日我々はやるぞ。スティンガー、ネイチャーボーイはお前を求めている。スティング!スティング!我が最大の敵!スティングよ! これがお前の、、、(ここで観客がスティングコールを始める。フレアーもいっしょに叫ぶ)これがお前の英雄(the man)になる最後のチャンスだ!なぜなら、私こそthe manだからだ!!」

いやあ、俺はいつもフレアーの血走ったおおげさなアピールはうざいだけだと思ってたけど、今回ばかりは圧倒されました。すごいすごい。ほぼ完全収録しちゃいました。ちなみにこのアピール時、「WWFサックス!」とか「ビンスは悪魔だ」とうと書いた観客のプラカードも映されていた。

US王者ブッカーT vs 世界王者スコットスタイナーの統一戦。
俺の乏しい知識によると、ブッカーはでかくて跳躍力があり、技の正確度の高い選手。でも動きがカクカクしてて、キャラ的にも面白味に欠ける(「真面目でいい黒人」ってだけなんだもん)。彼を正当派最強チャンピオンにしたのはちょっと無理があったと思う。対するスコットは、あるとき突然ムキムキお化け(新日に出てたときとは比較にならないほど)の悪役となり、キャラは結構おもしろかったけど、同時に技のバリエーションが致命的に減り、さっぱりまともな試合ができなくなった。確か首か背中が悪くてそうなったのかな。まあこの二人ではたいした内容は望むべくもない、と思ってたんだけど、さすがにこの日は二人とも気合い入りまくりで目一杯の動き。思いきりチョップや蹴りを出し合っている。ハイライトはスコットのノーザンライト。それを2で返したブッカーがブックエンド(要はロックボトム)でピン。スコットは今後レスリングできるかどうかさえよく分からない状況みたいだけど、ブッカーはどうなるんだろう?WWFではちょっとロックとかぶるかも。

CM後、春休みスペシャル企画なので、昼間にビーチで行ったファンとの交流イベントの模様が。いつものように、楽しくきゃーきゃー騒ぐファンたち。ううむ。

RAWの会場のいつもの控え室から、ビンスが弁護士と電話している。「奴らはこの最後の放送の舞台に、レッドネック(日に焼けて首の赤い奴ら=白人労働者への差別語)の安酒場を選びやがった。なんて奴らにふさわしいんだ。」

タッグ王座挑戦者決定戦(3way タッグマッチ)
キッドマン、レイミステリオJr組 vs 3カウント(シャノン・ムーア&エヴァン・カレイジアス) vs ユン・ドラゴンズ(カズ&ヤン)
すみません俺、3カウントのシャノンと、カズのパートナーの日本人(?)って誰だか知りません。ともかくこの試合、開始から6人入り乱れての目眩がするような空中戦。全員が次々にトップロープから場外に飛ぶスポットの最後で、キッドマンがスワンダイブ形式で場外にシューティングスター・アタックを放ったのには仰天。いつもこんなことやってんのか?最後はレイが、スワンダイブ式のギロチン(ロープの上でバランスを崩しかけたのに、持ち直した。さすが!)を決めて勝利。短い時間で、全員が飛べるだけ飛んだという試合。

再びビンス。やっぱり電話をしていて「彼の才能は悪くないよ」とか、早くも使える選手の見積りをしている様子。そこにトリッシュがシャンペンを持ってやってくる。ビンス「本当にこの特別な夜を祝福するなら、、、」とトリッシュをソファーに押し倒す。

シュガー・シェーン・ヘルムス(チャンピオン) vs チャボ・ゲレロJr のクルーザー級タイトルマッチ。
チャボはWCW時代のエディのテーマで入場している。ヘルムスは初めて見ます。なんかいかにも新人ぽいぎこちなさがあるけど、変わった技を出してる。エアプレーンスピンの体勢で回してから、相手の顔を膝に落す技とか。チャボのほうは、切れのあるバックドロップを放って直ぐに立ち上がるところとか、チョップを打ったあと見栄を切るところとか、エディにそっくりですね。速いけどどこかぎこちないやりとり(ヘルムスのせいだと思う)の末、最後はヘルムスが、リバースゴリーみたいな体勢から後ろに落す危ない技でピン。この選手はまだ未知数だけど、チャボにはぜひWWFでまた叔父と絡んでほしいなあ。

2本のベルトを肩にかけたブッカーTが、会場裏からメッセージ。「いろんな感情が混じってるけど、今はとにかく俺は二冠王だ。このWCWの終幕の時に言いたい。これは本の一章の終わりかも知れない。でも後には多くの章が続くんだ。俺は今後、自分がこのビジネスで最高の存在だと証明してゆく、、、」等。最後に彼の常套句「Don't hate the player, hate the game」で締める。

トリッシュがビンスのシャツのボタンを外しているところに、マイケルコールがインタビューに。不機嫌になるビンス。「お前は今、この時間に私の邪魔をしようとするのか?」それでもマイケルが、WCWファンと選手たちが今後を心配していますけど? と質問。ビンスは「そうか。お前、自分の仕事の保証についてはどう思うんだ? 失せろ。」解説のスコット「我々の仕事の保証はどうなるんだい?」

王者シェーン・オーヘル&チャック・ポルムボvsチームカナダ(ランス・ストーム&マイク・アッサム)のタッグタイトルマッチ。
ストーム以外の3人はあまりキャラがない。大きい割にはよく動くけど。最後はオーヘルが、ジェフ・ハーディのと同じ形のセントーンボムでアッサムをピン。でもこの技って、ただやるだけなら難易度は全然高くないはず。俺だって子供の頃布団の上にやってたもん(全然痛くない)。ジェフは空中での体のしなりと着地寸前時の身のこなしが美しいからこれが必殺技になるのであって、それがない大男がただやってもしょうがないと思うんだけど。

ショーン・ステイジアック(withステイシー)vs バンバンビガロ
ステイシーの介入でビガロの負け。いくらビガロが負け役のスペシャリストだからと言って、こういう歴史的なイベントで、こんなつまらん負け方させるなんて最低。ステイシーは使い方はあると思う。ビガロは以前より肥ったな。

ビンスの控え室に、コミッショナーリーガルが入ってくる。「私はWCWをよく知っていますが、こんなひどいモノをお買いになって本当に大丈夫ですか?」とかなんとか。ビンスは大丈夫だと帰らせる。

昼間のイベントで、ビーチにたたずむDDPインタビュー。さやわかな顔で"In the words of Grateful Dead, what a looong strange trip it's been."「Grateful Dead(有名なロックバンド)の言葉を借りるなら、これは、なんて長くて奇妙な旅だったんだろうか。その全ての瞬間が最高だったよ。何物にも替えられない。世界の全てのファンに感謝したい。彼らが、ジャージーの海岸にいたペイジ・ジョセフ・フォーキンバーグという子供をダイヤモンド・ダラス・ペイジにしてくれた。本当にものすごくやりたいと思って、そのために努力すれば、なんだってかなうんだよ。誰をオーバーさせるかを決めたのは、プロモーターじゃなくファンなんだよ。ファンだけでなく、俺の夢を信じ支えてくれた妻のキンバリーに感謝したい。その夢は終わったのかって? そんなことはないよ。今度は一つ上のレベルにもっていくのさ。」 かっこいいなあ。ちなみに俺はWCWで総合的にもっとも優秀なのはこの選手だと思うんですが。レスリング技術もキャラ立ちもしゃべりも全部揃ってる。

ここで、WCWとNWAの歴代の名選手達の姿を次々に映したクリップが。テーズ、キニスキー、ドリー、テリー、ブリスコ等から、ベイダーやムタの姿も。

控え室のビンス。電話の相手に「時間だ。私はいかねば。」

キッド・ロメオ&エリックス・スキッパーvsレイ・キッドマン組のクルーザー級タッグタイトルマッチ。
レイが動きまくる試合。今日久しぶりにレイみたけど、やっぱすごいなあ。最後はキッドマンがフェイスバスターで勝利。スキッパーは肩車式クロスアームスープレックスを出した。

黒バットがいくつもぶら下がってる控え室で、スティングが吠える。「俺は戻ってきたぞ。この歴史的な夜、フレアーと最後のダンスだ。何年も前にはじめて、今日で永遠に終わりだ。未来についてみんな案じているのか? 確かなことは、スティングに関しては、なにも確かじゃないってことだけだ。みんな、It's showtime!」

WWFの会場のビンス、廊下を自身満々に歩いて行く。

フレアーvsスティングの、WCWナイトロ最終試合。
フレアーはナイトロのシャツを着たまま戦う。試合はまあ、ふたりの黄金スポットを丁寧に確認するように魅せて行く試合に。アナウンサー達も、WCWの歴史と二人の戦いの歴史を確認している。しかし客は単に沸いているだけで、感傷的なムードなどこれっぽっちもないなあ。この試合、俺が最後に観た二年くらい前の二人の試合に比べても、双方ともちょっと動きは落ちてるかなと思ったけど、まあ今日に限ってはそういう問題でもないでしょう。フレアーの4の字を逃れたスティングが、サソリでギブアップ勝ち。スティングはフレアーを抱き起こし、そのまま抱きしめる。そして握手、抱き合う二人、、、

と感動的な場面もそこそこに、いきなり画面がRAWの中継に切り替わる。実況もJRとヘイマン。リングから引き上げかけていたビンスが、再び紹介されて戻ってくる。ヘイマンは「月曜戦争の勝者、ミスターマクマーン!」とか言ってる。リングに立ちマイクを持ったビンスは、これは史上初の同時二元中継であって、このシーンをTNTのナイトロの視聴者も観ていることを説明。「こんな歴史を作れるのは一人しかいない。私はWCWを獲得した。私は私の競争相手を買ったのだ。タイムワーナー社が他に売る相手がいないから、誰もWCWをどうしていいか分からないから、私に買ってくれと頼んだのだ。タイムワーナーはすでに契約にサインした。しかし私は、この日曜、レッスルマニアにてサインするのだ。ターナー自身が会場に契約書を持ってくるのだ、、、」等々。

さらに「なんで私にそんなことができたかって?WWFスーパースターズの助けのおかげという者もいるかもしれないが、要は私は自分の力で成し遂げたのだ。私の努力、私の金でだ。レッスルマニアで私に契約を懇願しに来るターナーに、私はリングサイド席を用意しよう。奴に私が息子をぶちのめすところを見せてやるのだ。なぜならそれが、競争者になるということだからだ。私は誰よりもそれを知っている。敵の喉を掴み、締め殺さなくてはならない、私がWCWにやったように。」

ビンスの絶好調ゴーマン節は続きます。「WCWについてはどうしようか?彼らを単に棚にしまい込むこともできる。そして座ってただヴィデオを観て楽しむこともできる。ホーガンのあのくだらんやつとか(と、筋肉ポーズを真似る)。また、WWFのような壮大なメディア企業にすることもできる。それをするなら、そのWCWに誰を使うべきか、君達に聞きたい。私が親指を上げるか、下げるかするので、反応してくれ。」

「まずホーガンから行こう。アップ(親指を上げる=賛成の意)か?」 観客それなりに歓声。「ダウン(親指を下げる=反対の意)か?」 いくらかの好反応、同時にブーイングが。レックスルーガー。明らかにブーイングが多い。バグウエル、観客好反応。ブッカーT、やっぱり好反応。
ビッグパパパンプ(スコットスタイナー)、観客好反応。ここでビンスが打ち切ろうとすると、観客はゴールドバーグの名を叫び出す。ビンス「ああ、他にもいるか。お前らスティングが欲しいのか?」観客好反応。ビンス「ゴールドバーグはどうだ?」ここで観客大反応。

「なかなかおもしろい。だがこんなことしなくても、私は飛行機に乗ってレッドネックたちの海岸、フロリダのパナマビーチに行き、そうだ、WCWの最後の放送はビアホールで、酔っ払いのレッドネック達の前で行われたのだ。なんと最適な場所だろうか。とにかく私は、その試合会場に行きリングに上がり、すべてのWCWスター達の目の前で言ってやろうかと思っていたのだ『お前ら、首だあ!』と。実際そうなるのだ。私はWCWを棚に押し込む。奴らは埋葬されるのだあ(buried)。WCWは埋められ続けるのだ。このアリーナの全ての者達、私に立ちはだかろうとした全ての者と同じように!」ここでass hole と叫ぶ客がちらほら。ビンスはさらに煽る。「それを始めるな。私は尊敬に値する者だ。この野郎私はビンスマクマーンだぞ!俺はWCWもWWFも所有しているのだ。私を尊敬しろ!」

ここで突然、マクマーン家の音楽が流れ、シェーンの入場クリップがビジョンに映しだされる。そして、ナイトロの会場のリングに上がるシェーンの姿がビジョンに。動揺するビンス。今後はナイトロのシェーンと、RAWのビンスが適宜かわるがわる画面に。また、画面が二分割されて、ナイトロの会場のパナマシティビーチと、RAWの会場のクリーブランド両方の画面が出る時も(なぜかこれ、TNTのナイトロ放送では、シェーンの声と口の動きが一致していなかった。同じ時間に同じ場面を流してた、TNNのRAWでは問題なかったのに)。

シェーン「やあビンス。驚いたかい。僕はこのパナマシティビーチの、WCWのリングに立っている。ダッド、いつものように、お前のエゴがお前を滅ぼしたのさ。お前は(すぐ契約せずに)厚かましくもターナーにレッスルマニアに来させてそこでサインをしようとしたんだろ。僕はそれを狙っていたのさ。もうWCWとの契約は完了したんだよ。マクマーンの名でね。だがそれは、シェーン・マクマーンの名でなされたのさ。そうさ、僕が今、WCWを所有しているのさ。ダッド、WCWはかつてお前をやっつけた(kicked your ass)ように、またお前をやっつけるのさ。そしてそれが、今度の日曜のレッスルマニアでも起こるのさ!」そしてシェーンは観客の声援に応える。

(これはナイトロの放送なんだけど)RAWの画面に切り替わり、JRとヘイマンが驚きの叫びを上げるなか、ビンスが狼狽したままリングを引き上げる。そして今夜のRAWのメインカードの予告が流れる。さらに、レッスルマニアの宣伝CMが続き、ナイトロは終了。

まったくすごい話ですよね。他局のライバル番組にのっとられたまま最終回を終える番組なんて、聞いたことがない。しかしこの最終回、最後だというのにファンがあまりにノーテンキに騒いでて、番組中でもノスタルジックに歴史を回想したりする場面はごく僅かしかなかった。ひたすら大量に情報とイメージを流し回転し続けるアメリカのプロレスからは本当に歴史感覚が消えてるなあ、だから起源も終わりも重みを失っているということか、どうですかボードリヤール先生とか思ってた。でも考えてみると、この番組では結局本当の意味での「終わり」は来なくて、ライバル会社のストーリーに組み込まれながらWCWの物語も続いていくことが示されて終わった。プロレスってのは会社が潰れない限り、どこまでも物語が生産され続けるドラマだと思ってたけど、会社が潰れても物語が続いちゃうこともあるんですね。しかしそれにしても、自分が一方的な大ヒールとなることでWCW全体をベビーフェイス化してしまうビンスにも脱帽ですね。

ってことで、ここでやっといつものRAWレポートに行けるんですが、もう十分長く書いちゃったんでなるべく簡単にすませることにします。すみません。実際この日のRAWは、WCWのっとりの大アングル以外にはあまり特筆することがなかった。

あ、ここのところのWWFの動きですが、最近は当然ながら全てが次の日曜のレッスルマニアに向けて動いています。ロックとストーンコールドはテンションを増し、トリプルHとテイカー、ビンスとシェーンの因縁も出来てきました。ビッグショウとケインは、それだけでは弱いと鉛筆組が思ったのか、レイヴァンを混ぜてのハードコアマッチに。去年に続いて、エジクリ、ハーディー、ダドリーのTLC(机、ハシゴ、イス)マッチ2も決定。また、ジェリコが秘かにコミッショナーリーガルの英国のお茶のポットに自分の小便を注いで飲ませる、というショートギャクを作って二人の一騎打ちも決定。あと、最近はタッグを組んでいるアングルとベノワが仲間割れをはじめました。ストーリーからはみ出てた二人もこうしてレッスルマニアに収まりそうです。また、SMACKDOWNの解説をやってるタズが、キングの遺志を継いで「表向きは悪役解説者だけど究極的には民衆の快楽を守るベビーフェイス」としてRTCと抗争をはじめました。

番組開始。いきなりビンスが登場。それぞれWWFとWCWを映している二台のテレビを横に、ナイトロ開始時と同じように、自分がWCWを買収したこ
と、本日の同時中継で、自分が彼らの運命を握っていることを自信たっぷりに語る。さらに(ちょっと前にWCWに電撃移籍した)ジェフジャレットに関してはGoonnee!!(消えうせる)の文字がふさわしい、と。

アングル登場。レッスルマニアでの自分の相手が未だ決まっていないことを抗議。そこにレッスルマニアジャケットを来たベノワ登場、喧嘩を売り、すぐに二人のレッスルマニアでの対戦が決定、乱闘に。(乱闘のくせに)寝技の切り返しの攻防の末、ベノワのクロスフェースが決まり、カートはひたすらタップして許しを懇う。そこにエジクリが乱入してアングルを救出。しかし、ベノワの足を取ってテイクダウンしたアングルの動きの無駄のなさは芸術でした。

ビンスが横目でWCWのテレビ(ルーガーとバグウエルが映っている)を観ながらステフと電話で話している。ステフはトリプルHとバケーション中らしい。ビンスはレックス特急は止まり、バフはstuffed(薬漬けってことかな?)だ、と。さらに本日、ロック、ストーンコールド組vsテイカー、ケイン組を組んだとも。

マイケルコールが、デブラに(本日ロックとタッグを組む)ストーンコールドの様子を尋ねる。デブラは話したくない、と。

タズvsヴァル。
ノーザンライトでタズの勝ち。

ビンスとトリッシュとリーガル、またWCWのモニターを観て、今映っているアニマルについて、奴は私がWCWの新オーナーであることをどう思うだろうか、、、と話している。

客席の中で踊るドインク(かつて活躍した、ピエロの恰好をした選手)が映しだされ、レッスルマニアで彼も参加する(伝説のスター達の)ギミックバトルロイヤルが開催されることを放送席が告げる。

リーガル登場。ジェリコ戦のウォームアップとして、ホーリー兄弟のどれかを指名。出てきたクラッシュとモリーを、リーガルはいたぶる。そこにドインクが乱入。ウォールオブジェリコでリーガルを痛めつける。当然正体はジェリコ。

ビンスの控え室、今度はダスティンローデスが映っている。ビンスはトリッシュに、ダスティンがゴールドダストだったとき、胸にシリコンを入れようとしてたことを話す。ビンス「なんとばかげているのだ、考えてもみろ、ある者が、、、(ここでビンスはトリッシュの胸に目が行き、いきなりトーンを代えて)肉感的で、みずみずしく、やわらかい胸を持っているとは、、、。」WWFからWCWに移った人間を次々といやらしく攻撃するビンスです。この日こうやってビンスに言及された者達とは、実際にWWFは契約しないとか。だったらシュートアングルですねえ。

ジェリコにやられてご立腹のリーガルインタビュー。本日ジェリコvsビッグショウを組む。

カート&エジクリin控え室。エジクリは本日、自分たち三人と、ベノワ、ハーディーズ組のカードが決定したことを喜んで伝える。カートは「私はさっきタップしてたのではないのだよ。ただロープに逃げようとしていただけだ」を連発。「分かっているともカート」と流すエジクリは最近エジクリの仲間としてWWFデビューしたライノを「昔からのダチ」としてカートに紹介(実際彼らは、カナダのインディーでいっしょにやってたらしい)。「あんたがこいつらのダチなら俺のダチだ。あんたのために俺は繁殖する!(I'll breed for you)」と叫ぶ野獣系のライノにびびるカート「ま、まあ、彼のintelligence と integrity はわからないけど、とにかくintensity はあるね。」あ、書き忘れたけど、最近ECWの残党として、このライノの他にスパイクも来て、ダドリーズと組んでいます。さすがに二人とも相当いい仕事をしてる。

ロックとオースティンの最近の遺恨をまとめたクリップを紹介し、また、前回のSMACKDOWNで行われた二人の対面インタビューの模様を紹介。一触即発状態の中、ロックが普通の人間の口調なって、自分のことをIとかmeとか一人称で呼び「俺はお前に俺の全てをぶつけてやる」等と話すことでシリアスムードを盛り上げていた。

再びデブラインタビューが試みられる。この複雑な状況(夫ストーンコールドと対戦するロックのマネジャーであること)について。デブラ再び回答許否。

控え室のビンス、トリッシュに「とうとう私はこれから、WCWとそのファンたちの運命をアナウンスしに行くのだ」と言い、グッドラックキスを要請。フレンチキスでした。

ビンス、リリアンの紹介に載ってリングに登場。ヘイマンは、彼を岩に座り「もう俺は何も征服するところがない」とさけぶアレクサンダー大王に例える。でもビンスは、紹介がナイトロの中継がこちらに切り替わるよりも先に行われちゃったことをすばやく察したらしく、リングサイドでリリアンに「なんだあのアナウンスは。私はもっと多大な尊敬に値する。やり直せ」と命じてもう一度花道を途中まで引き上げ、そこでリリアンの二度目の紹介を受け、満足そうに戻ってくる。

以後10数分は、上のナイトロレポートに書いたのと全く同じ二元中継。RAWのほうでは、音響の問題はまるでなし。

CM後、控え室のビンスが電話で弁護士に怒りをぶつけて荒れている。

ベノワ、ハーディーズ(withリタ)組vsアングル&エジクリ
ベノワがクリスチャンをクロスフェース葬。試合はとくに特筆することなし。試合後ベノワがアングルにトペ。さらにライノが乱入して、マットとリタに立て続けにスピアを見舞う。

テイカー&ケインインタビュー。今日は休みをとっているトリプルHを、レッスルマニアで倒すこと等を話す。しゃべったのはテイカーのみ。

テストvsXパック(withアルバート)。
レフェリーはエディ。テストとレッスルマニアで当たるそうだ。エディとアルバートの介入でXパックの勝ち。エディは試合後もテストをいたぶ
る。レッスルマニアの消化試合の理由づけを適当に作ったって感じの試合。

オースティンインタビュー。今日のロックとのタッグ結成について。インタビュアーを黙って睨んで黙らせて去る。
なんとここで、ビンスに首にされたはずの前コミッショナーのミックが入場。レッスルマニアジャケットを着て、なんか本を持っている。大歓声の中マイクを握り「久しぶりだね。みんな俺を覚えていてくれていて嬉しいよ。俺がこの俺の新しい本(Foley is Good)を宣伝しにきたと思うかい?たしかにこれ、5月8日発売なんだけど、それを言いに来たんじゃないよ。それとも俺がバケーションを取りに来たと思うかい?このオハイオ州クリーブランドに!(right here in Cleveland Ohaio!=こうやって地元の地名を強調することで観客を沸かすのはコミッショナー時代からのミックの御家芸)」

さらにミックは、実際にはレッスルマニアに絡みたくてここに来たことを話す。そこにビンス登場。お前は解雇したはずだ、私の所有地に踏み込むな、警察を呼ぶぞと叫ぶビンスにミックは、実はビンスに解雇される前に(ビンスに薬漬けにされる前の)秘かにリンダとさまざまな契約を結んでいたことを明かし、その模様をヴィジョンに映す。で、その契約の一つに、「ミックは2001年のレッスルマニアで、好きな試合を選択してスペシャルレフェリーをすることができる」というのがあるので、ここでシェーンvsビンス戦のレフェリーをすることを選ぶ、と言う。楽しそうに笑うミックと、憤懣やり方ない顔で無言で引き上げるビンス。いや強引に過去を作りますねえ。いろんな契約をしたらしいから、今後も「かつて行われた契約」でミックが絡むことになるのかな?

控え室で苛立つビンス。イチゴをつまんで、まずそうに吐き出す。

ジェリコvsビッグショウ。
ケインやらレイヴァンやらリーガルやらが乱入して、結局ビッグショウの勝ち。

廊下を歩くロック。オースティンの控え室をスタッフに尋ねる。彼がただ「あっちだよ。」と答えると「、、、あっちのどっちだ?」と無言のプレッシャーをかける。びびった彼が丁寧に「あっちの方向の、右側の部屋です」と答えると、ようやく満足したロック「新入りか?」「そうです」ロックは手を差し出して「ロックだ。」新入りさんは嬉しそうにロックと握手して「私の名前は、、、」ロックすかさず止めて「ノーノー、、言うな。じゃあな。」(つまり、"It doesn't matter what your name is!!" を言わずに暗に示したということ)

ダドリーズinWWF New York。レッスルマニアのTLCマッチ2に向けて気勢を上げる。

ロック、オースティン&デブラの控え室を尋ねる。今日はロック様モードに戻っていていきなり Excuse me の代わりに Excuse the Rock と挨拶。お互い、今日の試合では協力し合うこと、でもそれはあくまで試合終了時点までてあることを確認する。

ロック、オースティン組vsテイカー、ケイン組。
あまり冴えない攻防の中、乱入トリプルHがテイカーにイス攻撃をして、オースティンがピン。試合中オースティンにぶつかられたロックは、試合後恒例の祝杯をあげるオースティンに前蹴りからスタナー。乾杯のビールを倒れたオースティンの横に置いて引き上げる。ということは、次のSMACKDOWNではオースティンがロックにピープルズエルボーをかますのかな?

ということで、さっきも書いたけど本日のRAWは、WCWとの歴史的アングルを打ったことを除くと、かなり退屈な内容でした。この日に関しては、レッスルマニアに向けての準備アングルの全てが、WCW問題に食われていた。レッスルマニア、地元のバーでやってくれることは分かってるんだけど、当日俺、別の用事があるので観れるかどうか分からないんです。観れたらなるべくはやくレポート上げますね。誰かWCWから参加はあるのかな?では。




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