ジョン・ウー・キック、ストーカーのメイク
■団体:闘龍門
■日時:2001年2月25日
■会場:ディファ有明
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

現在試合前のトークショー(スキット?)でその日の見どころや流れなどを、それと
なくお客さんに提示しているのを慣例としているのは(新日のケロは別として)
闘龍門だけだと思う。その事はもうスッカリ認知されているので、試合開始には殆ど
の座席が埋まっているのが特徴だ・・・が、会場までの時間を読み違えて到着したのは
すでに第一試合のフィニッシュ直前だった。
「終わった・・・」と思った矢先に神田が下克上エルボーでSAITOから勝利。
SAITOは闘龍門の道場で師範代をしているだけあって、そつのなさが第一の特徴。
ただそんな選手がこれだけアクの強い選手たちの揃ったリングでのし上がれるワケも
ない。ウルティモ校長はオーバーさせるタイミングを見計らっているかもしれないが、
多分その時はドン底の底まで落としてからだろうなぁ。

意外だったのは会場が神田の勝利をアップセットと捉えていた様子だった事だが、これ
は単純に短時間の決着に驚いただけだったようだ。
そして終了後乱入してSAITOを痛ぶるM2Kに少し遅れて正規軍、しばらく後に
C−MAXが登場。
望月成晃(以後モッチー)はリキむマグナムを軽くかわすバツグンのマイクで、自分の
ポジションを明確にし、C−MAXもヒール風ベビーとして2つのグループに絡んで
いく。この日はM2Kは前半のラインアップだったところから、早々に話題はメインの
斎藤了対ビッグ・フジの自転車盗難から発生した遺恨の決着戦についてとなる。
斎藤が悲愴感たっぷりのマイクで試合への決意を語るのだが、何しろ賭かっているのが
自転車なので、客席からは必死に訴えれば訴えるほど失笑が漏れていた。
この失笑からも1000人強の小会場であるディファとは言え、このカードがメインで
ある事に益々不安を感じさせられた。
またこのMCで気付いたのだが、正規軍はどうもマトモに喋れるのはマグナムだけの
ようで、本来オチャラケのキャラでなくてはいけないはずのマグナムが、妙にカタい事
を言うのは正規軍のトップとしての立場ではやむを得ないものの、彼自身にしてはマイ
ナスなのではないかと思う。

遅刻してしまったので、試合については第2試合から書いていきたいが、会場について
まず言うと北側は多少の傾斜と入場ゲート及び花道はあるものの、決して見易い場所
ではない。できれば団体側は北側で多くアクションを取るようにさせるとか、料金設定
を安くするとかいった配慮をしていただけると有り難い。


  「D・キッド&アステカ対D・ドラゴン&望月亨(以後モチスス)」

一応X扱いとなっていたキッドのパートナーだが、発表方法も観客のリアクションも
到底Xのそれではなかった。まぁアステカの実力自体がXと言うか・・・。
M2K側にはセコンドに神田も付き、キッドの紹介時に背後からテープを投げた女の子
にスゴんでいたのは可笑しかった。
試合はいつも通りキッドの説明不能な飛び技や丸め技の数々に翻弄されつつ、M2K側
が要所をしめ展開。キッドの技を喰らい、場外にエスケープしたモチススが「何だ、あ
の技は・・・」と呟いたのには爆笑してしまった。
そして勿論いつも通りテッド田辺は悪事の数々を見逃すワケだが、サスガに自分が青の
ポリケースで殴打されるとなると反則を取らざるを得ず、M2K側の反則負けとなる。
今時難しい事考えずに、観客が反則負けを反則負けとして受け入れている空間を作り上
げている事自体大したものだと思う。
アステカがまた再登場できるかはわからないが、Xではなかったが×でもなかったと
一応言っておこう。ウルティモ校長にはポスター等も含めXと×を楽しく使い分けて
欲しいな。


  「望月成晃対S・市川」

久々の東京登場となるモッチーの相手はストーカー市川となった。これはまだまだ
モッチーが復調していないという事なのかは、市川相手ではますます推し量る事は
難しいが、この相手をどう転がすのかに注目して試合を待った。
セコンドとして当然M2Kのフルメンバーを引き連れ、ストーカーを待つモッチーだが
いつもの入場曲のアタマの「運命」の後に流れたのは「ラスト・オブ・モヒカンのテー
マ(グレイシー一族が使用)」だった。
ストーカー市川のマスクとペイントをしたセコンドとストーカー・トレインで入場する
市川。背中にグレイシーのロゴによく似たSのロゴを付けた柔術技に赤のOFG。
実はこの日は北側の席での観戦だったため、2Fバルコニーに移動しようかと思い
第一試合後ロビーに出たのだが、顔にペイント用の下書きをしたグッズの販売員さんに
「今日は開放してないんですよ・・・」と言われていたのだが、この時始めて下書きの
意味が解った。
さて、試合に戻ろう。市川はモッチーにも青のOFGを渡すが、グローブをはめてコー
ナーを叩くモッチーにすっかりビビってしまう。ここでゴングと同時にタオルのコール
マン対藤田ネタかと思ったが、牽制のキック他の前にアリ−猪木状態に自ら誘うが、コ
ーナーに追いつめたと思ったところでボディープレスであっさり3カウント。
試合後はマイクでクレームをつけるが、その日見せられなかったM2Kの数々のコンビ
技の披露に一役買うだけだった。

ここで休憩前にドラゴン校長による発表。最強者決定リーグの概要とカード等の一部
組み合わせなど。A〜Cブロックの勝者と各ブロックの敗退者によるバトルロイヤルを
当日行い、Dを決めてのワンデイ決勝トーナメントを開催との事。
「Dの人が勝つんでしょう?」と言いたいところだが、それが許されるのは闘龍門では
モッチーだけ。逆にそれを言える(勿論言わないとは思うが)立場の人がいるのは、
ある意味健全だと思う。
  

  「CIMA、SUWA、TARU対M・TOKYO、新井健一郎、堀口元気」

現在プロレス界で「さん付け」で呼ばれるのはデビル、チョコボール向井、そして
TARUだと思う(猪木は微妙だな)。市川とのコミカルなやり取りですっかり
「いい人」キャラが定着してしまったが、昨年末の後楽園でのあまりの男っぷりの良さ
に、逆に試合中大逆転の裏切り行為でM2K入りするのかと思ったくらいだ。
さて、まず入場だが堀口(入場時に取材に来ていたワンギャルにレイをかけていた)
やアラケン、マグナムはそれぞれキャラクターに合わせた曲とパフォーマンスで沸かせ
C−MAXもそれぞれイメージにピッタリの曲で入場と試合前にもうすっかりお腹一杯
な感じになる。言葉にしてみると正規軍はキャラ負けしているのかな?という感じが
なくもないが。

試合は特筆しようがないくらいのハイスポットだらけで、多分数カ月先には世界中の
団体でパクられているんだろうな、と思わせるハイレベルな攻防の数々だった。
個人的に一番好きなのはSUWAがリングの真ん中に立たせた相手に走り込んでの
ドロップキックでコーナーまでブッ飛ばす通称「ジョン・ウー・キック」。
技も名前もセンス抜群だ。プロレスについて1日中考えている事が伺い知れるな。
またこれで3カ月連続で東京大会を観戦しているが、先々月はあったが先月は出さな
かったスポットや逆も多々あったように思う。考え過ぎかもしれないが、そこまで計算
していないとも言い切れないほどのクォリティーがこの試合にはある。
最後は得意のフィニッシュ・パターンでC−MAXの勝利だが、試合のクォリティーや
会場の雰囲気、進行のスムーズさに一見さんの存在を無視しない団体側の配慮と、プロ
レス初心者に今一番おススメできる団体のトップがこの闘龍門である事を、改めて
再認識させられた。
 

  「ビッグ・フジ対斎藤了」

試合前にこの試合に至るまでのアングルの流れをビジョンで説明。12月、1月と
後楽園で見ている自分には少しだけ長いように感じたが、この日が初観戦の人たちには
丁度いいくらいかも知れない。
まぁまず普通ならメインどころか後半戦で対戦する事すら考えられないマッチメーク
だが、とりあえず斎藤は女の子からの会場人気は高い。テープを投げに後ろの席から
わざわざ自分の隣まで来た子もいたくらいだ。
しかしコール前に斎藤が突っかけたため、その女の子は「勝ったら投げよう・・・」と
自分の席に戻っていった。
試合は最初のうちは勢いで斎藤が押し込んだものの、地力の差と、格差を気にもせず試
合にドンドン介入するC−MAXのメンバーにヨレヨレになりながら、ドラゴン・スー
プレックスによる「幻のフォール」を最後の一太刀として、先ほどの女の子の願いも
空しく、フジの隠し技であるジャーマンで轟沈。
ハッピー・エンドを期待した観客の「まぁ仕方ないか」という空気が会場を支配し始め
ようとした中、どういうワケかC−MAXが異常なまでに斎藤を潰しにかかる。
流石に見かねたのかS・市川が斎藤の上に覆いかぶさるが、すぐにつまみ出される。
苦しそうに市川がマイクで「いくらなんでもやり過ぎだよ」とアピールするも、
C−MAXのメンバーは「何言ってるんだ」というポーズも見せずに叩きのめすと、
ついにブーイングが発生し始める。
その後マイクを持ったCIMAが改めて自分たちがヒールである事を宣言し、今後は
標準語で喋る事もないと付け加える。
「一番ダラしない」マグナムに「M2Kにヒールのポジションを奪われた」と言われ、
最近すっかりベビーづいてるC−MAXがそのポジションを明確にした、というのが
この格差のはなはだしい対戦のキモだったようだ。できればこのターンをもっと衝撃的
にするために、ベビーっぽい部分もしばらく見せてもらいたかったところだが、突き
放したマイクに戸惑いながらもブーイングを飛ばす観客を見る限り、当初の目的は
果たせたようだ。
またCIMAは何度となく「イヤだったらイヤ!って言いな!」と繰り返していたが、
これは観客に「イヤ!」とリアクションさせる(オースティンの「HELL YEAH!」のよう
な)狙いがあるのではと思う。だがコレはちょっと浸透しない気がするな。

まぁここでM2Kが出て3軍対立の図式が現れれば解りやすかったかも知れないが、
そうなると逆にM2Kがヒール風ベビーにハマってしまうかもしれない。この日は
ヒールのC−MAXお披露目という事で良かったのでは?と思う。
またちょっとひっかかったのが「今後は関西弁でしか喋らない」という宣言だが、東京
と併せて、定期的に開催する神戸では今まで通りヒール風ベビーで、東京(及び関西
以外)では極めつけのヒールという、97年ころのWWFでのカナダ対アメリカの構図
のコピーも面白いような気がする。
ただあの時のアメリカ側のベビーはオースティンで、今闘龍門でその大役を果たせる
のはやっぱりM2Kしかいないのが現状なんだよなぁ・・・。


 「試合結果」

2001.02.25 ディファ有明  1800人(超満員)

■ メインイベント シングルマッチ60分1本勝負
×斉藤 了 対 ビッグ・フジ○
(11分51秒、ジャーマンスープレックス)


■ セミファイナル タッグマッチ60分1本勝負
マグナムTOKYO、新井 健一郎、堀口 元気 対 CIMA、SUWA、TARU
○CIMA(15分42秒、マッドスプラッシュから片エビ固め)新井 健一郎×


■ 第3試合 シングルマッチ45分1本勝負
○望月 成晃 対 ストーカー市川×
(0分38秒、ダイビングボディプレスから体固め)


■ 第2試合 タッグマッチ30分1本勝負
○ドラゴン・キッド,アステカ 対 ダークネス・ドラゴン、望月 享×
ドラゴン・キッド組(12分04秒、反則・レフェリーへの暴行により)


■ 第1試合 シングルマッチ20分1本勝負
×SAITO 対 神田 裕之○
(3分23秒、下克上エルボーから体固め)




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