雨中極寒のKOTC7、サク&ティト、絶妙の遭遇
■団体:King of the Cage 7
■日時:2001年2月24日
■会場:カリフォルニア州San Jacinto, Soboba Casion
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

昨日の「UFCなんとか観れたよう騒動」の興奮も冷めやらぬなか、本日はKOTC7の生観戦をしてきました。実は、今回は単なる観戦じゃないんですよ。故あって大山選手の試合の取材(?)を頼まれて、KOTCに申し込んでプレスパスをもらったんです。それをいいことに、俺プレスだもんねえ、という顔をして(大山選手以外の試合は必要ないはずなのに)大部分の試合を、金網との距離約10センチのカメラマン用のイスに座って観てきました。俺の隣の隣ではケンシャムがライオンズデン勢に声を張り上げてアドヴァイスしてるし、ラウンドガールのおねいちゃん達の胸が俺の鼻先一センチを通り過ぎていくし、選手の汗は飛んでくるしで、今まで知らなかった世界を体験できました。

いやでも実は、観戦中はそんな自慢できるほどのパラダイス状態でもなかったんですよ。なぜって? お馴染みソボバカジノでの格闘技大会は常に屋外開催なんですが、今日はあいにくの雨だったんです。それなのに大会は強行。試合場である金網リングの床の上にも、雨は容赦なく吹き込んできていました。一応、上にある照明施設の部分に、リングをおおうようにごく簡単な屋根がついているのですが、あまり役に立っていませんでした。(試合ごと、ラウンドごとに係員が必死でモップやタオルを使ってリングの床の上を拭いてはいたんですが、それでも足をすべらす選手が続出。)また、俺のようにリングのすぐ外にいる者達には、その屋根の渕から大粒の滴がぼたぼた落ちてくるんです。いやもう2月の夜で寒いし、でかい水は頭に落ちてくるしで、俺間違いなく風邪を引いたと思います。なんか今これ書きながら頭ぼーっとしてますもん。他の観客席もほぼずぶ濡れ状態だったのに、レインコートを羽織りながらほぼ満員(4〜5000人くらい?)の客が集まった。いったいどーなってるんでしょう?

とにかくそんなかんじだったんで、本日試合前はバックステージにいました。ここで驚いたのが、日本人の関係者の多いこと多いこと。フジテレビが大勢スタッフを送りこんできてたし、DSEの人もいるし、ロスにある日本人向けの情報誌の記者の人もいた。週刊プロレスの人もいたし、ユージシマダはレフェリーやってた。プライドとの交流、ますます深まってます。

そんななか、俺は大山選手の相手のマイク・ボーグに話しかけました。ものすごく気さくな兄ちゃんで笑顔で、へい、調子はどーだい? オーヤマ? ジュードーの選手だって聞いているけど良く知らねえ。試合は別にグラウンドでもスタンドでもどっちでも構わねーよ。俺はこの試合に向けてハードに練習してきたからな。オーヤマに会ったら、上等のマウスピースをつけておけと言っといてくれわはははは、と話してくれました。俺が日本でプロレスやったんでしょ? と話を振ると、やったやった、オーツカじゃなくてオチアイと。悪くねえよ。たぶん三月にまた日本でやるよ。飛行機はエコノミークラスだけどな、などなど。

対する大山選手(この人、顔立ちがものすごく端正なので遠くから観てもすぐ分かる)は、試合に集中したいためか、あまり話してくれない。それでも、今日は打撃で勝負をするつもりです、とのコメントをくれました。また、同行している打撃コーチの手塚さん(大山選手がアマ修斗で優勝した時、一緒に格通に載ってた人)がいろいろ話してくれて曰く「大山君の打撃は荒削りだけど、威力はすごいよ。一番強いのは右フックだけど、なにが当たっても相手は倒れるよ。」

さて試合ですが、日本人選手の試合とメインの4試合だけおおざっぱに報告します。これは、雨のせいでメモがきちんと取れなかったせいもあるし、また、あんまり間近で観たので選手の肉体の存在感そのものに目を取られちゃって、試合の流れとかを冷静に観れなかったこともあります。ライトに小雨が照らされる夜の金網で、めちゃくちゃ寒くて 選手の吐く息が霧となってモクモクしてる中で、体から湯気もたてて闘う選手たちを毛穴が見えるほどのドアップで観るのは凄いものがありました。特に拮抗した試合で、へとへとになってる両選手が苦しくてグルグル唸りながら、両方のセコンドがギャーギャー叫んでいる中でもみあい殴り合っているシーンとか、物理的な強度が高すぎて観てる俺が普段の感覚を失ってきて、なんでこの人達はこんな苦しいことをやってて、俺とか他の客とか、なにが楽しくてこれ観てるんだろうとか、普通まず感じないような重苦しい気分に一瞬襲われたりしました。すぐ戻ったけど。

大山利幸(トシ大山)(17秒KO)マイク・ボーグ

ボーグの突進に一瞬足を滑らせた大山、すぐに立ち上がるとどんぴしゃの右フック。一撃でボーグがひっくり返っておしまい。手塚さんの言うとおりの試合だった。まったく恐るべき打撃力を持った組み業師、衝撃のデビューです。会心の一撃はイメージ通りだという大山、今後は桜庭を目指してプライドで頑張ると、一撃で腫れ上がった右手を冷やしながら話してくれた。すごい礼儀正しい人です。

アレックス・アンドラデ(1R 2,3分)今村雄介

今村の体型ってのはとても特徴的で、なんというか、空手バカ一代に描かれたグレート東郷とか、昔なんかの格闘技ゲームにでてきてた台湾の金持ちの大極拳使いのおっさんとか、ああいう感じです。試合はしばらくお見合いが続いて観客がブーを始めて、俺の横でケンシャムが気にするな、リラックスだ、と叫ぶなか今村がどこどこ突進して組み付く。アンドラデ振り解いて突き放す。そのうちアンドラデが打撃で詰めてきて、左右フックが連続で入って今村膝を付く。そこにアンドラデがたこ殴りで今村タップ。アンドラデはマイクを取って、なんと桜庭に挑戦表明。こらこらこら。なんか最近、無名の選手が桜庭の金魚として日本に行って、万が一勝てば儲けもの、みたいな記念受験志願が流行っている気がする。コンピューターミスだってあるかもだし、どうせダメモトだし、東京で遊べるし、みたいな。

スーパーバウト ガイ・メッツァー(2R レフェリーストップ)アレクサンダー大塚

AOコーナーでたっぷり時間かけて入場のアレク、試合はいいところなし。打撃では明らかに劣勢だし、タックルに行ってもがぶられるか、差し替えされて逆に押し込まれたりしている。1Rは逆ワンツーをもろにくらいひっくり返るも、なんとかしのぐ。でも2R、メッツァーにハーフを取られて上から殴られ(ヒジ?)、目の近くをカットしてストップ。うーん、今日の調子だと何回やっても勝てそうもないなあ。

メインイベント第一試合
ジェレミー・ウイリアムス(3R判定2-1)イヴェス?(Yves)・エドワーズ

ハーレイの持つミドル級王者次期挑戦者決定戦とも言うべきこの試合。次世代柔術の総師クリス・ブレナンの代打は、彼の一番弟子の金髪のジェレミー。タイツにも「Brennan's Disciple(ブレナンの門弟)」と入れてる。彼は前回のグラジエーターでは、シックスナイン三角の状態から相手の足首をひねって靭帯をねじ切るという恐るべき勝ち方をしている成長株です。名前を覚えておいて損はない選手でしょう。対するエドワーズは、強いという評判は聞いていたけど俺はみたことない、フックンシュート等で活躍する選手。試合は大接戦の末、ガードからの強烈な三角狙い等が光ったジェレミーが僅差で勝利。セコンドのブレナン「You fuckin' shit!!!」と愛弟子を祝福。

メインイベント第二試合
ミドル級タイトルマッチ(たぶん) ジョー・ハーレイ(3R判定2-1)チャーリー・コーラー

前回ブレナンをグラウンドヒジで失神KOして、ミドル級王者に付いたライオンズデンの新生ハーレイの初防衛戦。相手は柔術家だけど、どっちかというとグラウンド&パウンダーのコーラー。コーラーが鋭いタックルでテイクダウンを重ねるも、ハーレイの下からの攻撃や、スタンドでの攻勢が目立つ。2Rには、上を取ったハーレイの「ブレナンを倒したヒジ」が炸裂。一発でコーラーを流血に追い込む。結局、ハーレイの完勝。判定が僅差なのは、ハーレイの方に、寝てる相手への顔面キックによる減点があったから。ケンも満足。

メイン3 ピート・ウイリアムス(1R終了棄権)リック・リー・マシス

ピート、リーのヒールに一瞬ひやり。それ以外は打撃(ロー、パンチ)で確実にダメージを奪う。ケンは試合中、セコンドのバーノンやボーランダーに「〜しろとピートに言え!」と指示を出し、総師ぶりを発揮。

ここで最終試合前にゲスト紹介が行われました。俺的に今日の最大のビッグニュースは、試合よりも、ここにありました。ケンシャム、カーに次いで桜庭がリングに上げられ、その次に、つい昨日UFCで人を殺したティトがもうCAに戻ってきていて、呼ばれて桜庭の隣に並んだんです。そして並んで写真に収まる二人(言うまでもなく、昨日ティトは桜庭の名前を出したばかり)。リング上でティトは桜庭の肩に手をかけて、なにやら話かけてました。いや、この組み合わせ、このタイミングには感動しましたね。だって、長いことどの雑誌のミドル級ランキングでも独走状態だったプライドの桜庭に、ここのところ急速にUFCのティトが追いかけてきていて、昨日の勝利でとうとうほとんど並ぶか追い抜くかまで来た。その、昨日の今日での遭遇ですよ。もうばっちり過ぎ。これって、「ティトの地元南カリフォルニアでプライドと提携しているKOTC」だからこそ在り得たものでしょ。それに、これが二か月後だったらサクはシウバに負けちゃってるかもしれないし、サクが勝っても今度はティトがランデルマンに負けちゃう可能性が非常に高い。この場所にして今この瞬・間だからこその、二大団体のミドル最強の名声(実質はともかく)を分け合う二人の遭遇と成り得たわけです。ひねてますか俺?

メイン4 スーパーヘビー級タイトルマッチ(たぶん)。リコ・ロドリゲス(2R膝十字)ポール・ブエンテロ

1Rは、高田道場所属のリコのグラウンドを凌ぎ切ったキックボクサーポール、2Rにハーフからキムラ、ストレートアームバーと腕を攻めておいての、膝十字にタップ。

しかしKOTCは、回を重ねるごとに、プライドとの関係が深まるごとに豪華になっていきますね。今回なんてガイ、ピート、リコのスターが出て、さらに日本人選手も多かった。もっとも、メインの4試合の組み合わせはちょっとアレだけど。最初のミドルの二試合は拮抗した実力を争わすものなのに、次のヘビーの二試合は露骨に金魚を当てた、ただのスターの顔見せなんだもん(もっとも「金魚」の二人はけっこう手強かった)。まあ結果の分かり切ってる試合というのは、特になにも書くことがないので観戦記執筆の際には楽ですが。まあ、そんなとこで。今日のビッグニュースはサクティト揃いぶみ、試合のMVPは大山と言うことで。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ